Sun 240331 年度末は御茶ノ水を散策したくなる/神保町「三幸園」/今年の桜は 4510回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 240331 年度末は御茶ノ水を散策したくなる/神保町「三幸園」/今年の桜は 4510回

 とにもかくにも、今日で年度末。2023年度が終わる。ワタクシとしては、ちょっと欲求不満な年度だったし、もっともっとグイグイ働きたかったのであるが、やっぱりそこにもいろいろ難しい問題があって、何でもかんでも好き放題というわけにはいかなかった。

 

 ワタクシの場合、「授業をしていないと元気がなくなる」「授業をしてさえいれば気味悪いほど元気が出る」、準ワーカホリックというか、純ワーカホリックというか、そういう珍しい体質の持ち主なので、思うぞんぶん授業をしなかった2023年度は、何となくションボリ寂しく過ごしていた。

(3月30日、東京・市ヶ谷にて。幹のサクラが可愛く開いていた)

 

 きっとそのせいもあったのだろう、昨年5月には「食欲もなくす」という困った事態に陥った。まああれはお酒の飲み過ぎ、毎日1瓶ずつジン(ボンベイサファイア)を空っぽにしていた。ジンはもちろんストレートグラスでクイクイ、5月は仕事がないから、昼からクイクイ、あれで身体を壊さないわけはない。

 

 もう10ヶ月も前のことである。ピンク色の果肉のキウィが気に入って、キウィを食べてはジン、キウィを食べてはジン、そういう日々が続いて、ふと気がつくとキウィ以外のものは何にも食べたくなくなった。「こりゃいかん」と一言、夕暮れのソファの上で気がついて、あれ以来ジンを完全にやめた。

(東京・靖国神社付近、3月30日。福島「三春の滝桜」ゆかりの枝垂れ桜が、すでに8分咲きになっていた 1)

 

 そんな1年だった。ジンをやめてからジワジワ食欲も復活、キウィもしばらくヤメにして、どういうわけかスイカに凝った。

 

 6月から10月までは、来る日も来る日もスイカまたスイカ。皮が出ると捨てるのがたいへんだから、近くのスーパーで1口サイズにカットされたスイカを買って、600円も700円もするカットスイカを毎日1パック貪った。

 

 そのへん、やっぱりあんまり好調な1年だったとは言えないのである。旅のほうはおかげさまで大いに盛りだくさん、春も夏も秋も冬もずっと京都&大阪をのし歩いて、関西三昧というか近畿三昧というか、いやはやマコトに楽しかったが、どうしても「もっと授業がしたい」の欲求不満から抜け出せなかった。

(東京・靖国神社付近、3月30日。福島「三春の滝桜」ゆかりの枝垂れ桜が、すでに8分咲きになっていた 2)

 

 ま、それでも年度末がやってきた。年度末になると諸君、ワタクシはどうしても御茶ノ水が恋しくなる。「なぜ御茶ノ水?」であるが、18歳で上京して丸1年を浪人生として過ごしたのが御茶ノ水、32歳から38歳まで駿台予備学校で「超人気講師」をやったのも御茶ノ水、言わば第2のふるさとみたいなものである。

 

 学部生の頃も、御茶ノ水から神保町を経由して九段下まで、要するに神田の古書店街が定番の散歩道だった。下宿していたのが、千葉県の松戸市。松戸から常磐線各駅停車に乗り込めば、地下鉄千代田線の新御茶ノ水駅まで直通で行ける。

(御茶ノ水・山の上ホテルの勇姿。天ぷら「山の上」、バー「のんのん」、30年もお世話になったが、建て替え工事に入った 1)

 

 御茶ノ水から坂を下って、左に主婦の友会館(当時)やYWCAビル(当時)を見ながら、まず「文庫川村」(当時)にたどり着く。文庫本の古書だけが天井まで高く積み上げられた懐かしい店であるが、今はもうその姿もない。

 

 坂の左には「神田予備校」なんてのもあった。「神田予備校グループ」と言ふものを形成していて、少人数主義の堅実な経営。首都圏の至るところに校舎を展開して、例えば埼玉県の新越谷というか南越谷駅前にもグループの「越谷アカデミー」があったが、今や影も形もない。

(御茶ノ水・山の上ホテルの勇姿。天ぷら「山の上」、バー「のんのん」、30年もお世話になったが、建て替え工事に入った 2)

 

 影も形もないのは、三省堂書店も同じこと。ワタクシは大きすぎる書店は嫌いだから、あまりお世話にはならなかったが、駿河台下に威容を誇った9階建てだったか10階建てだったかの巨大書店は、建て替え中で今はスカッと空き地、神田の青空がキレイに見えている。

 

 ま、そんなことは別にどうでもいいのである。この辺に来たら、とりあえず「三幸」に入ってポンポンをいっぱいにする。「神保町ならカレーだろ?」と言う人も多いだろうが、ワタクシはカレーについては「銀座デリー」にミサオを立てている。

(元気に営業中の神保町「三幸園」。町中華の基本は完璧に押さえていらっしゃる)

 

 それに諸君、神保町から水道橋までは、町中華天国だ。右を見ても町中華、左を見ても町中華。これでギョーザやレバニラを貪らなかったら、再びあのジンとキウィの日々に戻りかねない。クワバラ&クワバラ、カウンターでもテーブルでも構わない、とっととギョーザとレバニラを注文して胃袋を満たしたほうがいい。

 

 というわけで、年度末を控えた3月27日のワタクシは神保町交差点すぐの「三幸」に闖入。まずビール大瓶、返す刀でギョーザにレバニラ、続いて紹興酒1瓶を注文して、あとは落ち着いて水平飛行に入った。このタイミングでビータン、またギョーザ、続いて春巻きも食べなきゃいかん。

        (まずは、ギョーザを貪る)

 

 春巻きについては、どうしても東京圏 vs 近畿圏の対決を意識する。かつて大阪の人は、東京のパリパリ系春巻きを見て、「マクドのアップルパイみたいやな」と噴き出したものである。ま、確かに見た目はそう見える。田舎者の今井君なんか、かつては春巻きはこのパリパリ感を楽しむものだと思っていた。

 

 しかし、大阪で食べても神戸で食べても、春巻きははるかに具だくさん。東京の春巻きと比較すると、その太さは2倍以上に見える。切り口の直径が2倍だとすれば、切り口の面積は何倍でしょう? 切り口の直径が2倍なら、全体の体積は何倍でしょう?

    (東京風の春巻き。パリパリ感がたまらない)

 

 その辺は算数の得意な人に任せよう。もう計算はできましたか? しかしその計算、切り口が完全な円であるとしていませんか? 切り口は、円ではなくて、楕円ですよ。大丈夫ですか?

 

 とにかく諸君、近畿圏の春巻きは、パリパリ感では首都圏バージョンに少し劣るものの、満腹感は抜群。ランチで「春巻き定食」は定番だ。だし巻き玉子定食も定番だが、春巻き定食も完全な定番。春巻き2本とゴハンとワカメスープで、20歳代30歳代の男子でも、完全に満足して帰っていく。そのぐらい春巻きがデカいのだ。

 (ギョーザ、2皿目。ギョーザは、やっぱり基本通りがいい)

 

 ところで「三幸」であるが、土曜日定休、日曜日は22まで、平日は午前2時まで営業しているらしい。いいじゃないか、素晴らしいじゃないか。「神保町、午前2時」って、いったいどんな人が来るのか想像もつかないが、最近の飲食店はとにかく閉店時間が早すぎる。

 

 その辺のことを、近いうちに書かせてもらいたい。だって、ひどいじゃないか、大阪・梅田なんか、午後10時でほぼ全ての店がラストオーダーだ。22時を過ぎると、もうディナー難民になる。コンビニか、チェーン店かしかない。夜遅くまで懸命に働いて、それなのに旨いメシで1日を締めくくれないなんて、あんまりだ。

   (レバニラもやし炒め。これもやっぱり基本がいい)

 

 ついでに近い将来、ヒコーキのプレミアム席で出る食事というかお弁当というか機内食というか、その急激なクオリティ低下についても一言書かせていただく予定。メシのことで文句タラタラはみっともないが、どうも最近、「あまりと言えばあまり」という気持ちにさせられることが少なくない。

 

 さて、3月27日の御茶ノ水散歩は、神保町「三幸」で満腹になりすぎて、早くもオシマイになっちゃった。古書店にも立ち寄らず、竹橋の美術館にも立ち寄らず、あんまり知的な散策ではなかったが、学部生時代やら新進人気講師時代やら、要するに若き今井君時代を思い出して、マコトに幸せな午後だった。

 (紹興酒が1瓶来たところで、ピータンでちょっと休憩する)

 

 そのぶん、3月30日の午後は、逆方向から神保町に向かうことにした。まず代々木駅前のトンカツ屋で空腹を満たし、代々木から総武線の電車の乗って市ヶ谷へ。市ヶ谷から靖国神社を通って神保町へ。もしも桜が咲いていれば、神保町はヤメにして千鳥ヶ淵のお花見へ。そういう計画だった。

 

 しかし諸君、代々木のトンカツの油があまりよくなかったらしい。電車の中ですでに胸焼け、市ヶ谷で降りてみると胸焼けはどんどん激しくなって、異様なほどゲップが出る。何とか靖国神社にはたどり着いたが、こうゲップゲップ繰り返しながらお花見なんかしたって、ちっとも楽しくない。

(神保町の名店「さぼうる」。窓越しに見たナポリタンがあまりに旨そうだった)

 

 ようやく開花宣言の出た東京の桜であるが、その桜の様子がどうもおかしい。作りそこねたポップコーンみたいに、枝の先っぽに白い小さな塊がくっついている、そういう咲き方が目立つ。緑の葉っぱが先に伸びちゃった桜も多い。

 

 何しろ2月が異様に暖かかった。というより、暑かった。梅なんか、2月中旬で満開になった。伊豆の河津の桜も、2月中旬で満開になった。ソメイヨシノ諸君も、「3月に入ったらもう、すぐに咲いちゃおうよ」「そうだね&そうしよう」と衆議一決、みんな大いに張り切ったに違いない。

 

 それなのに、3月はまるまる1ヶ月の異常な低温続き。さぞかし調子が狂っただろう、さぞかし勢いを削がれただろう。葉っぱが先に伸びちゃったのも、ポップコーンみたいな咲き方も、致し方ない。今年はこういう珍しい咲き方を満喫することにすればいい。

 

1E(Cd) Bruns & Ishay:FAURÉ/L’ŒUVRE POUR VIOLONCELLE

2E(Cd) Collard:FAURÉ/NOCTURNES, THEME ET VARIATIONS, etc. 1/2

3E(Cd) Collard:FAURÉ/NOCTURNES, THEME ET VARIATIONS, etc. 2/2

6D(DPl) 文楽:艶姿女舞衣「酒屋の段」竹本越路大夫 染模様妹背門松「質店の段」竹本津大夫

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