Sat 231230 京都でクラシック/大阪で文楽/京都のナポリタン/大阪イノシシ鍋 4476回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 231230 京都でクラシック/大阪で文楽/京都のナポリタン/大阪イノシシ鍋 4476回

 11月下旬のワタクシは、まるまる京都で一週間、優雅に休日を過ごすことにした。

 

 24日に京都の駅前で講演会、その後ちょうど一週間空けて、12月1日に神戸の三宮で講演会。その間に一週間あいているから、まあ普通なら東京に帰ってゆっくりするところだが、「ゆっくりする」だなんて諸君、そんな怠惰なことを言っていていいものだろうか。

 

 だってまず25日には、京都北山のコンサートホールでライブの予約をしていた。26日には大阪日本橋の国立文楽劇場で、恒例の秋の人形浄瑠璃を満喫する予定。すると帰京は27日になり、12月1日の神戸まで、東京にいられる時間なんかたった3日しかない。

 

 ならば、このまま近畿圏にとどまった方がいい。京都・大阪・神戸だけではない。奈良にも滋賀にも、晩秋から初冬を満喫すべきところはナンボでもあって、ヒコーキ代やら新幹線代やらを往復5万円も6万円も払って右往左往する必要なんか全く感じないのである。

   (大阪・鶴橋「小原庄助」でイノシシ鍋を貪る 1)

 

 11月25日のお昼、まずは京都グランヴィアホテルをチェックアウトして、荷物を宝ヶ池プリンスホテルに送る。京都駅八条口にプリンスホテルのオフィスがあって、宝ヶ池まで無料で配送してくれる。

 

 仕事のある日はグランヴィアで、単なる観光は宝ヶ池プリンスで。この3年4年、ワタクシはこのパターンを選択している。「何でそんな遠い宝ヶ池なんかに?」とビックリする人は少なくないが、ワタクシがこんなに宝ヶ池が気に入っている理由は、明日の記事の写真を眺めれば明らかにある。

 

 さて25日、ワタクシはまず北山の京都府立植物園を目指す。何しろワタクシは「年パス」こと年間パスポートの所有者だ。今年は「梅が咲いた」「桜が咲いた」「アジサイが咲いた」「カキツバタが咲いた」「ハスが咲いた」「バラが咲いた」、そういうニュースが入るたびにこの植物園を訪問した。

   (大阪・鶴橋「小原庄助」でイノシシ鍋を貪る 2)

 

 そういうことをやっているうちにワタクシは、「カキツバタとハナショウブとアヤメとイチハツの花を、一瞬で見分けることができる」というツワモノに成長したのである。年間パスポート、恐るべし。諸君、ワタクシは2024年の年間パスポートも必ず購入して、もっともっとこの植物園のファンになりたいのである。

 

「京都コンサートホール」は、この植物園に隣接していて、徒歩で3分か5分の道のりだ。この日の演奏は、広上淳一どんが深く関わっている京都市交響楽団。ブルックナー交響曲4番がメインの硬派なライブであるが、京都市内のクラシック猛者がワラワラ詰めかけて、ホールはほぼ満員になった。

 

 ワタクシはこういう高級ライブで「ブラボー!!」「ブラボー!!」と熱く絶叫するタイプの猛者ではないから、クラシックでもジャズでも、とにかくコンサート会場に闖入した今井君はマコトに大人しい。

   (大阪・鶴橋「小原庄助」でイノシシ鍋を貪る 3)

 

 この日の席は最前列。指揮者の真後ろ、第2バイオリン軍団の真ん前、そういう華やかな席だったが、とにかく今井君の目標は 「大人しくしていること」「何が何でも目立たないこと」なのである。

 

 出来るだけ目立つまい、とにかく存在を悟られまい、密かに密かに過ごしたい、それが唯一の望みであり願いである。間違っても会場のど真ん中で「今井先生ですか?」「写真いっしょにいいですか?」みたいな大騒ぎになるのは、厳に慎んでいる。

 

 だから演奏開始前には、こっそり静かなカフェにこもって、シャンパンとかグラスワインとかをチビチビ、この日はビールしかなかったからビールを小瓶で1本だけ、開演10分までそのビールをチビチビやって、「今井先生ですか」の声をできるだけ避けて過ごすことにした。

  (大阪・鶴橋「小原庄助」で、ついでにセコガニも貪る)

 

 ところが諸君、この店のナポリタンが異様なほど旨いのである。こんなに旨いナポリタンは、おそらく我が人生で初めてなのである。

 

 諸君、この今井閣下のナポリタン歴を、侮ってもらっては困る。高校生時代に体育祭も文化祭も全部サボって、片手で文庫本をめくりながら貪ったナポリタンがスタートだった。

 

 その後はナポリタンのメッカ・高田馬場界隈でありとあらゆるナポリタンをすすり、新宿に池袋に渋谷、そういうナポリタン初心者向けの街を征服した後は、初台・神保町・代々木八幡・京橋・八重洲、とりあえず東京の旨いナポリタンならみーんな知っている、ナポリタンを知り尽くした旦那なのである。

 

 この頃のナポリタン旦那は、関西に進出しはじめた。京都&大阪の名店に次々とこの楕円形の頭を突っ込んで、「ナポリタンのことなら知らぬことはない」というアリサマ。ところが諸君、驚くなかれ、この日の京都コンサートホールで味わったナポリタン以上に旨いナポリタンは、今まで味わったことが(きっと)ない。

(11月26日、京都・北野天満宮の御土居は、ちょうど紅葉の見頃を迎えていた 1)

 

 店員さんに尋ねてみると、この店の営業は不定期、「ライブのある日に限っての営業です」とそっけない。ということは、キッチンの背後に驚くべき有名シェフやなんかが、こっそり隠れて控えているなんてことはありえない。

 

 場合によっては「業務用」、袋を空けてチン、ないしはチンで解凍してそのまま何にもせずにお皿にネロリ、そういうナポリタンかもしれないのだ。しかし間違いなく、ワタクシほどの大ベテランでも、「こんなに旨いナポリタンはいただいたことがない」と絶叫するほどのレベルなのだった。

 

 まあ諸君、もし「そんなはずはない」とおっしゃるのであれば、ぜひ一度「京都コンサートホール」を訪問して、ここのナポリタンをじっくり味わっていただきたい。ただし、ライブのチケットをお持ちでないお客様は、お店の立ち入りも出来ない。試食には、ライブの代金が必須である。

(11月26日、京都・北野天満宮の御土居は、ちょうど紅葉の見頃を迎えていた 2)

 

 さてその翌日26日は、大阪日本橋での「錦秋文楽公演」千穐楽を観に行った。京都宝ヶ池から大阪日本橋までは、いやはやマコトに遠い。京都地下鉄烏丸線から阪急に乗り継いで、阪急「淡路」の駅から大阪市営地下鉄・堺筋線に乗り換えだ。

 

 しかしもちろんそんなのは面倒だから、今井君は京都から新大阪まで新幹線に乗っちゃうのである。京都から新大阪までは、何だか知らんが自由席なら「特定運賃」だか何だかが適用され、1400円ちょいで利用できる。新大阪が終着の「ひかり」「こだま」なら、ガラガラの自由席で贅沢を満喫できる。

 

 そうやって大いに贅沢をしてたどり着いた文楽であるが、その中身についてここで語るのはヤメにしよう。だって諸君、「奥州安達原」、あんまり関心はないんじゃないか。

 

 こんな不思議なものにすでに40年、こうして完全にハマっている今井君を、ぜひどうか不思議オジサンないし不思議サトイモとして、くれぐれも優しく取り扱っていただきたい。

(11月26日、京都・北野天満宮の御土居は、ちょうど紅葉の見頃を迎えていた 3)

 

 むしろ諸君に関心をいだいていただきたいのは、文楽の後でワタクシが貪ったイノシシ鍋である。今日の写真は1枚目も2枚目も3枚目もそのイノシシ。ワタクシは、クマでもシカでも、ダチョウでもラクダでも貪る猛者であるから、イノシシならもう何の躊躇もなく、ほとんど噛むこともなく胃袋に送り込む。

 

 入ったお店は「小原庄助」、近鉄か大阪環状線の鶴橋駅で降りて、玉造(たまつくり)の方向に北上すれば、徒歩10分弱の道のりだ。すでに15年も前からワタクシはここの大のヒイキで、1年に少なくとも1回は、この店でクマなりイノシシなりを貪るのである。

 

 小原庄助とは、遠い遠い昔に福島県会津地方に実在した人物であるらしい。民謡「会津磐梯山」の中に登場する有名な大酒飲みで、民謡の歌詞によれば「小原庄助さん。何でシンショーつぶした?」「朝寝・朝酒・朝湯が大好きで、それでシンショーつぶした」「ああ、もっともだ、もっともだ」と言ふことになっている、

(11月26日、京都・北野天満宮の御土居は、ちょうど紅葉の見頃を迎えていた 4)

 

「シンショーつぶす」というのがまた古語というか死語というか、古語辞典やらネット検索が必要な厄介な言葉であるが、今朝の朝日新聞「天声人語」によれば「赤外線通信」「携帯メール」が、ともに三省堂の国語辞典から削除されたとのこと。世の中の流れはマコトに速く、小原庄助さんなんかとてもついて行かれない。

 

 そこで「シンショーつぶす」であるが、漢字で書けば「身上を潰す」、持っている財産を全てなくしてしまうことを示す。朝寝・朝酒・朝湯みたいな、まさに今井君が大好きなことをやっていたら、「財産をみんななくしちゃうぞ」という、まあそういう教訓を会津の民謡に込めたわけだ。

 

 しかし諸君、まあそう難しいことを言いなさんな。朝寝・朝酒・朝湯ぐらいナンボでもするような豪傑のほうが、やっぱりずっと魅力的だ。今まさにギュッと小さく縮んでいこうとする日本民族にとって、何より大切なのはその類いの無節操な英雄豪傑の存在なんじゃないですか?

(11月26日、京都・北野天満宮の御土居は、ちょうど紅葉の見頃を迎えていた 5)

 

 というわけでワタクシ、この「小原庄助」の個室で開き直り、恐竜時代からのマコトに長い付き合いになる友人とともに、早速イノシシを煮て貪り食うことにした。まず2人前、あっという間に平らげて「追加!! もう2人前」、お酒も1人それぞれ6合ずつでで合計1升2合、2時間もかからずに空っぽにした。

 

 そしてこういう店でも、やっぱり「今井先生ですか?」の声はかかるのである。まず最初に、店を切り盛りするオバーチャンが「今井さんって、何か難しい勉強を教えてはるんですか?」と尋ねにきて、次にその娘さんであるオバサマが「今井さんって、有名な先生なんですか?」と恐る恐る尋ねにきた。

 

 まあ今井君、別に難しい勉強なんか教えていないし、「有名な」先生であるかどうかは疑問の余地の残るところ。しかしとにかく勉強は教えているわけだから、ごく曖昧に頷いておいた。

 

 すると諸君、驚くなかれ、オバーチャンのマゴ、娘さんの息子、20歳➕αの若い男子が1人、まもなくオズオズ顔を出して、「お、ホンモノの今井先生だ!!」と言って大騒ぎになった。むかしむかし彼が高校生の頃、今井の授業を受けて大笑いをしていたそうなのである。

 

 いやはや、恐れ入った。今井君もまた恐るべし、どうやら「すごく有名な先生」「チョー面白い先生」であるらしい。笑いについてはマコトに厳しいこの大阪の街の真ん中で、手放しで「オモロイ」と言ってもらえる栄誉は、滅多なことで手に入るものではないから、今井君というのは間違いなくスゴい先生であるようだ。

 

 そんなにスゴい先生が、鶴橋あたりの店で泥酔してロレツが回らなくなってしまうのはマズいから、「恐竜時代の友人」とも相談して午後10時、この日は2次会も3次会も自重して、さっさと京都宝ヶ池のホテルに退散することにした。

 

1E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du Pré:BEETHOVEN/PIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 6/9

2E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du Pré:BEETHOVEN/PIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 7/9

3E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du Pré:BEETHOVEN/PIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 8/9

6D(DPl) 能:宝生流 羽衣(野口兼資 松本謙三)/ 宝生流 綾鼓(高橋進 森茂好)

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