Sat 231223 来年の事を言って鬼を笑わせる/京都フランソア/ゴスペル/チロル 4470回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 231223 来年の事を言って鬼を笑わせる/京都フランソア/ゴスペル/チロル 4470回

 昨日の記事で、京都東山・法住寺に出現した鬼の写真を何枚か掲載した時に、ワタクシの心づもりとしては「来年のことを言えば鬼が笑う」の件について、若干のコメントをするつもりだった。

 

 赤鬼君・青鬼君・黒鬼君、3匹の鬼はいずれもシロート鬼の滑稽味がタップリで、笑うにしても怒るにしてもなかなか味わい深い鬼に見えた。

 

 鬼たちと一緒に姿を現した天狗どんなんか、足元もおぼつかず、拝観者にお酒を注ぐにも手許が定まらず、ワタクシが差し出した大盃に、熱い燗酒をこぼれるほど注いでしまったのだった。

 

「来年のことを言えば鬼が笑う」と言う時、どうしても「鬼がせせら笑う」「鬼が失笑を禁じ得ない」「あんなに恐ろしい鬼でも、思わず吹き出してしまう」というニュアンスがある。

 

「今年のことにさえ四苦八苦しているくせに、来年のことなんか言って、なんて滑稽なヤツなんだ」「そんな遠い将来のことを夢見ているなんて、どうにもしょうがないヤツだ」「まずは目先のことに集中したまえ」というわけだ。

(京都四条「フランソア」で、特製プリンをいただく。オイシューございました)

 

 しかし諸君、もうこのブログに何度も書いているけれども、ワタクシなんかはむしろ「来年のことを言う人」が大好き。今年のこと、目先のこと、目の前の仕事や勉強、そんなチマチマしたことをみんな忘れて、遥かな未来のことを語って笑われている人の方が好きなのだ。

 

 だから「鬼が笑う」と言う時も、鬼たちはきっと醜い顔をもっと醜く歪めて失笑するのではないと思いたい。「そうか、お前はそんなずっと未来のことを考えているのか」と、明るくポジティブに優しく微笑んでくれるのだと信じたい。

 

 つまり、普段はあんな恐ろしい顔を並べて憎々しげに人間たちを睥睨している鬼たちでさえ、もしも来年とか遠い将来のことを語る人がいれば、思わず頬を緩め、「そうかそうか、気に入った。オマエはなかなかいいヤツだ」とやがて呵呵大笑、「まあ酒でも飲んでいけ!!」と鬼の大宴会の車座に加えてくれるのだ。

    (京都四条の名店「フランソア」の勇姿 1)

 

 ワタクシ自身、来年のことを語るのが大好きだ。来年どころか、3年後5年後10年後のことを語るのが大好きだ。ただ、世の中はマコトに世知がらいので、いつまでも幼稚な今井君、いつまでも小学生並みの精神年齢の今井君を、なかなかマトモに相手にしてくれない。

 

 そんな世知がらい世間の人たちも、これからせめて10日間ぐらいは、来年のことを語り合うのを許してくれる。もうテレビの世界だって、今年のことを振り返るのには飽きた頃だ。今年の10大ニュース、今年のスポーツハイライト、今年の漢字に流行語、2023年とはそろそろサヨナラしてしまいたい。

 

 というわけで諸君、廬山寺の鬼たちにも、法住寺の鬼たちにも、みんな明るく優しく笑ってもらうためには、これから大晦日までの一週間、是非とも徹底的に来年の話をしようじゃないか。

 

 中年の人々は酒を酌み交わしつつ。若年層の諸君は珈琲店のテーブルで、2024年をどう過ごすか、それを2025年にどう繋げるか、それを2030年代にどう繋げるか、鬼たちが大笑いに苦しんで腰を抜かしてしまうほど、徹底的に語り合おうじゃないか。

    (京都四条の名店「フランソア」の勇姿 2)

 

 そこで京都のカフェであるが、現在のワタクシが圧倒的に気に入っているのが、四条大橋そばの「フランソア」。かつて名優・宇野重吉がヒイキにしていたコーヒー店であって、ワタクシが初めて訪問した時も、30歳代中頃ぐらいの女性客が「宇野重吉さんがいつも座っていた席はどこですか?」と熱心に尋ねていた。

 

 その「フランソア」で、ワタクシはまず必ず「ブランデーコーヒー」を注文するのである。熱いコーヒーに、かなりの量のブランデーが加えられている。そこに角砂糖を2つスプーンに乗っけて、溶けるのをゆっくり待つ。至福の十数秒である。

(京都四条「フランソア」でブランデーコーヒーをいただく。オイシューございました)

 

 普通のコーヒーならお砂糖なんか入れないが、フランソアのブランデーコーヒーには、角砂糖が必須。角砂糖なしのブランデーコーヒーなんか、初めから味わう必要はない。

 

 慣れない頃は、コーヒーにまでお酒を混ぜて飲むのが何だか気が引けて、申し訳なさをゴマかすためにちょっとお菓子も頼んだりする。

 

 この店の自慢のプリン、同じように店の自慢のチーズケーキ、どちらもマコトに旨いが、お菓子の類いを旨いと言って褒めるなんてのは、高級オジサマ♡のプライドが許さない。「うーん」とか「ああ」とか、意味不明の低い唸り声でゴマかして、もうそれ以上は何も言わないことにする。

  (京都・烏丸七条の「なか卯」。朝食時はゆったり座れる)

 

 今年の11月から12月にかけて、この「フランソア」が滅多やたらに気に入って、たった1ヶ月で4回も訪問した。店のオネーサマたちも実に落ち着いたもので、無意味に笑顔を見せたり、おかしな嬌声を発したりすることは絶対にない。

 

 店内を見渡せば、9割は観光客である。「宇野重吉さんが座ってらっしゃった席は?」のオネーサマだってもちろん観光客だろうし、韓国系の人、中国系の人、ハッキリ東京弁のオバサマ集団、みんな観光客だし、関西コトバのカップルだって、だからと言って別に京都の地元の常連というわけでもない。

 

 そして、それで別にいいのである。こんな有名店になってしまっては、夕暮れの静寂の中でじっとブランデーコーヒーを味わいながら、文庫本1冊読み上げて帰るどころの話ではない。

(なか卯の朝食、「銀ジャケ定食」にもう1つシャケを追加した「ダブルジャケ」。これが気に入っている)

 

 しかしやっぱり、憧れるじゃないか。もう暗記するほどに繰り返し読んだ愛読書を1冊小脇に抱えて店に入り、店内に低く響くジャズなりクラシック小品なりに耳を傾けながら、愛読書の好きな部分だけをゆっくりめくりつつ、夕食までの1時間なり2時間を過ごしてみたいじゃないか。

 

 ところが諸君、残念無念、「フランソア」の店内を圧倒するのは、韓国語や中国語、オバサマたちとカップル諸君の遠慮のないおしゃべりの声ばかり。ジャズだの、ピアノやヴァイオリンの小品だの、そんな贅沢は、どうやら「言いっこなし」らしいのある。

(銀閣寺に近い「ゴスペル」の勇姿。絡まったツタが美しかった)

 

 さて、他に京都で今の今井君が気に入って入り浸っているのは、烏丸七条の「なか卯」の朝食、銀閣寺そばのプチレストラン「ゴスペル」、二条城から徒歩10分ほどの喫茶店「チロル」である。

 

「なか卯」については、全国どこでも同じような店舗だろうし、メニューも基本的に同一だろうから、何もここで改めて語ることもないが、ワタクシが大好きなのは、「ベーコンエッグ定食」に銀ジャケのトッピング。普通の銀ジャケ定食に、さらに銀ジャケをもう1つトッピングする「ダブルジャケ」も悪くない。

 

 ただし「なか卯」、少々頑張って通いすぎた。どんなに好きでも、3日連続とか、そういう行きすぎたことをすれば、さすがに胃袋にズンときて、次に眉間にもズンときて、「今朝はどうしても『なか卯』はカンベン♨︎」という気分になる。とりあえず、今年中はもう「なか卯」、訪問しないだろうと思う。

(京都「ゴスペル」のランチ、グラタンセット。オイシューございました 1)

 

 銀閣寺近くの「ゴスペル」は、今年の春に初めて訪問した。ヌン活、正式にはアフタヌーン活動がまだ盛んな頃で、いやはやオシャレなアフタヌーンティーのセットを前に、女子大生やら社会人女子やらが、3時間でも4時間でもテーブルを占拠して長々とおしゃべりを展開していらっしゃった。

 

 しかしそのヌン活ないしヌーン活、どうやらブームはそろそろ下火のようである。コロナ騒動がある程度収まってしまえば、お茶とお菓子を前に延々とダベっているよりも、ずっと楽しいいろんな活動がナンボでもあるだろう。

 

 ツタの紅葉が壁に見事に絡まりついた11月の「ゴスペル」、春の頃よりも店の雰囲気はずっと落ち着いたようであった。今井君は、ここのグラタンが大好き。銀座6丁目「ライオン」のグラタンが1番だが、たっぷりのタマネギが味を引き立てるここのグラタンもまた捨て難いのである。

(京都「ゴスペル」のランチ、グラタンセット。オイシューございました 2)

 

「喫茶チロル」は、カレーが有名のようである。以前はワタクシもカレーを貪った。カレーにビールで過ごす夕暮れというのは、やっぱり格別である。

 

 しかし、もしもチロルを訪れることがあったら、是非「はちみつトースト」を注文してみたまえ。これは、間違いなく絶品だ。

 

 前回の訪問の時、明らかに「初訪問」と思われるオネーサマが、まさに「待ちに待った」という熱心さで「はちみつトーストとクリームソーダ」を注文なさっていた。

 

 しかし諸君、その直後に彼女を悲劇が襲った。おいしそうにはちみつトーストを食べ始めた彼女のテーブルを取り囲むように、地元京都のオジサマというかオジーサマというか、3人グループが3つのテーブルを1つずつ占拠。孤立無縁でオジーサマ軍に取り囲まれてしまった彼女は、もうとてもはちみつトーストどころではなくなってしまった。

 (二条城そば「チロル」のはちみつトースト。諸君も、ぜひ)

 

 11月下旬の今井君は、そういう悲劇に襲われないように、取り囲まれる可能性ゼロの窓際のテーブルを注意深く選択。前回の訪問からほぼ1年、待ちに待ったはちみつトーストはあまりにも美味であった。

 

 店の向こう側の壁際では、欧米人カップルがビールを飲みながらカレーを召し上がっていたが、そりゃ今井君があんまり旨そうにはちみつトーストを貪っていたからだろう、彼女の方がたまらずにウェイターにメニューを要求。今井君がはちみつトーストを食べ始めてから2分も経たないうちに、彼氏と話し合ってはちみつトーストを注文したのであった。

 

 いやはや、こういうのはマコトに誇らしい経験である。自分が食べているものを、別の客が「あれは旨そうだ」「どうしてもあれを食べなきゃいかん」と思ってくれる。こんなにホンワカ楽しいことが他にあるだろうか。大きな大きな満足感に包まれながら、あの日のワタクシは「チロル」を後にしたのであった。

 

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