Fri 231222 今日から新デスクトップ/大ベテランMacに感謝/法住寺の鬼法楽 4469回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 231222 今日から新デスクトップ/大ベテランMacに感謝/法住寺の鬼法楽 4469回

 一昨日の夜8時、ようやく東京に帰ってきた。11月1日以来、北海道から沖縄まで延々と東奔西走&南船北馬が続いて、いつ果てるとも知れぬオデュッセイアの日々に、さすがのワタクシも少々グロッキー。昨日は丸1日ほぼ腑抜けの状態で、チビチビお酒を飲むだけの情けない里芋と化していた。

 

 とりあえず、これでほぼ2023年の「仕事納め」なのである。残るは明日23日、東京・池袋での公開授業。昨年の年末は左目の網膜剥離の緊急手術があり、池袋での公開授業を中止せざるを得ない羽目になった。だから今年の池袋は昨年のリベンジ、何が何でも最高の授業にしたいのである。

 

 日本全国1200校を数える我々の校舎でも有数の大規模校舎である池袋校なんだから、教材も東大バージョンないし京都大バージョン、せめて旧7帝国大バージョンを使用するのかと思っていたら、おやおや、校舎からの連絡では「標準レベルを使用」とのこと。ワタクシとしては、いささか物足りない気持ちを抑えきれない。

 (11月15日、京都・法住寺で鬼法楽とお火焚きを見る 1)

 

 今日のブログから、デスクトップのPCを使用する。長年使用してきたラップトップは、2013年に神戸の量販店で購入したものだった。指折り数えて丸10年、PCについてはマコトに無知なワタクシのわがままによく辛抱し、耐えに耐えて奮闘を続けてくれたが、さすがにPCの世界で10年は長すぎた。

 

「神戸で買った」という不思議な来歴にも触れておかなければならない。当時の今井君は「毎日必ずブログを更新する」という信念ないし執念に燃えていた。それなのに諸君、10年前の神戸での公開授業当日、何と何と今井君は使い慣れていたMac君をオウチの机の上に忘れてきちゃった。

 

「どうするんだ?」「どうするんだ?」「だって『毎日必ず更新する』って高らかに宣言したじゃないか」「2008年6月5日のスタート以来、確かに毎日休まず更新を続けてきたじゃないか」「それなのに、今ここでその『毎日』を途切らしていいのか?」。まだ若き今井君は、神戸のホテルで頭を抱える思いだった。

 (11月15日、京都・法住寺で鬼法楽とお火焚きを見る 2)

 

 あの時、可能性は4つあった。まずは①諦める。だって「たかがブログじゃないか」と他人は言うだろう。「10年休まず毎日更新する」という宣言だって、どうせ誰も本気にしてなんかいない。毎日キチンキチンと読んでくれている人だって、そんなに多くはないだろう。事情を打ち明けて「1日だけ休ませてください」と一言、ペコリと謝れば済むことだ。

 

 しかし当時の今井君は、異様とも言えるほどの意地っ張り。5年前の宣言を諦めてニヤニヤ、「だって仕方がないでしょう?」と嘯いてゴマかすだなんて、今井君の沽券にかかわるじゃないか。何が何でも「毎日更新」だけは続けたかった。

 (11月15日、京都・法住寺で鬼法楽とお火焚きを見る 3)

 

 可能性②は、「いったん東京に帰る」。神戸のホテルにチェックインしたのが午後2時。カバンを開けて「Mac君を忘れてきた」と気づいたのが2時15分。公開授業が午後7時半からだから、東京―神戸往復は不可能ではない。しかしそんな時間ギリギリの危険なことをして、公開授業に万が一のことがあったらたいへんだ。

 

 神戸のホテルオークラで、頭を抱えたワタクシが考えた3つ目の選択肢が「借りる」。当時は「ネットカフェ」と言ふものもナンボでもあったし、ホテルでも「PC貸し出します」みたいなのがスタンダードの時代だった。「何だ、借りれば済むことじゃないか」、マトモな人なら、まず思いつくのは「借りる」だったに違いない。

 (11月15日、京都・法住寺で鬼法楽とお火焚きを見る 4)

 

 しかし、10年前の今井君がたどり着いた結論は④「新しいMac君を今すぐ購入する」だった。何しろ使い古したMac君は、DVDドライブまでくっついた分厚く重たい旧型のもの。そのあまりの分厚さと重たさに、出張のたびに腕がちぎれそうになるほどカバンが重たかった。

 

 そこで直ちに「もっとずっと軽くて、持ち運びに便利なヤツを神戸で買っちゃおう」と決意。三宮だったか元町だったか、量販店に出かけてサッサと新品を買ってきた。いやはや素早い決断だった。おかげで諸君、それから5年後の2018年6月、ワタクシはついに「10年休まずに更新」を達成できたわけである。

 

 あれからさらに5年半、「10年休まず毎日更新宣言」を達成した後は「2次会」「3次会」と称して合計800回もの記事を書き、書き始めからすでに4469回、マトモな人なら決してやらないようなイグ♡偉業を続けている。目標の5000回まで残り500回ちょいにたどり着いたが、ここで大ベテランMac君の息がとうとう切れてしまった。

 

 そこで大ベテランの10年選手にワタクシは熱い喝采を送り、いよいよ新しいデスクトップに切り替えた。いやはや何しろ慣れていないから、こんな文章1つをアップするにも四苦八苦しているわけだが、記念すべきデスクトップでの第1回も、何とかそろそろ書き上げられそうだ。

 (11月15日、京都・法住寺で鬼法楽とお火焚きを見る 5)

 

 さてと、ブログの方はなかなか話が進まなくて、いまだに11月中旬の京都あたりをウロウロしている。11月15日、ワタクシは京都・三十三間堂のすぐお隣、「法住寺」という目立たないお寺に、お火焚きと鬼法楽を見に出かけたのである。

 

「目立たないお寺」と言うとマコトに失礼であるが、何しろお隣が修学旅行のメッカ・三十三間堂だ。比較してしまうと、どうしても「目立たない」としかいいようがない。

 

 金閣寺・龍安寺・仁和寺・東福寺・清水寺・南禅寺・醍醐寺、そういう大どころとは、さすがに比較にならなぐらい穏やか、門前ではたくさんの黒ネコたちが日なたぼっこを楽しんでいた。

 

 しかし諸君、このお寺には後白河法皇の御陵がある。1184年、木曾義仲の軍勢がこの寺を銃撃、北面の武士や僧兵勢力を退け、後白河と後鳥羽の両法皇を幽閉して一気に政権を握った。世に言う「法住寺合戦」であって、源平の騒乱の幕開けとなった。

 

 いやはや、さすが1200年の都。京都、恐るべし。勇ましい黒ネコどんたちが周囲にニラミをきかしているような穏やかなお寺1つをとっても、長い長い日本史の中でそれなりの異彩を放っているのである。修学旅行生や外国人観光客の行かない小さなお寺で、ネコたちと日なたぼっこしながら深い歴史に想いをはせるのもいい。

 (11月15日、京都・法住寺で鬼法楽とお火焚きを見る 6)

 

 午後2時ごろに始まるお火焚き&鬼法楽に集まったのは、多く見積もっても200人ほど。お昼前の時間帯から、地元のオバーチャンやらオジーチャンやらがワラワラ集まってきて、お振舞いのおしるこやうどんを啜って世間話に余念がない。

 

 実際には「志」と言ふことでいくばくかのオカネを納めるのだから、厳密には「お振舞い」とは言われないが、おしるこやうどんの入った熱い紙カップを抱え、お互いに挨拶しながら笑いさざめいている光景は、マコトにほほえましい。

 

 鬼法楽と言えば、有名なのは紫式部ゆかりの「廬山寺」のそれであって、ワタクシもコロナ真っ最中の2022年2月、あまり混雑していない廬山寺で鬼法楽を堪能した(Sun 220220 京都・廬山寺で節分「鬼法楽」/子どもたちに鬼をやらせてあげたい 4170回)。この記事の写真は必見。是非&是非、引き続いてこの記事も読んでみていただきたい。

 (11月15日、京都・法住寺で鬼法楽とお火焚きを見る 7)

 

 2023年11月15日、穏やかな法住寺の鬼法楽はノドカこの上ないものであって、威風堂々&颯爽と世の中を荒らしまわる廬山寺の鬼とは全く別種の、世にも可愛らしい鬼たちなのであった。

 

 大地を踏み締めるアンヨも少々頼りないし、掲げたタイマツやマサカリや大槌を振り上げ&振り下ろす仕草も、いささか滑稽味を帯びている。寺を訪れた人々の多くは、着ぐるみの中の鬼の正体を知っていて、近所のオジサマやオジーサマの大健闘に温かい声援を送っていらっしゃる。

 

 鬼法楽が終わると、法螺貝を吹き鳴らす山伏たちが主役。この季節の京都ではほとんど毎日のようにどこかで行われている「お火焚き」が始まる。

 

 お寺の外には消防車数台と消防団員が待機。もうもうと上がる煙に燻されて燻製になりかかった人々は、やがて燃え上がる紅蓮の炎を見つめながら、「今年も1年、あっという間だったな」と囁き合うのである。

 (11月15日、京都・法住寺で鬼法楽とお火焚きを見る 8)

 

 昔から「鬼は、帰なり」と言う。鬼と書いて「き」、帰ると書いて「き」、だから「鬼」とは、遥かかなたの別世界から帰ってきた者を意味する呼称だと言うのである。

 

 その「別世界」とは、一般的には死者の世界であり、黄泉の国である。死の世界から何らかの形でこの世に回帰した者を鬼と呼び、だから鬼を神聖視する人々が少なくない。

 

 発音においても「き」は「し」に転訛しやすく、「し」も「き」に転訛しやすい。鬼はこの世と死の世界を往復する神聖な存在であって、年と年の境目、季節と季節の境目、そういうボーダーラインに近づけば、鬼が通せんぼをして意地悪を仕掛けてくる。その鬼を退治すれば、新しいステージに立てるのである。

 

 そのへんのことは、馬場あき子「鬼の研究」に詳しい。もう半世紀も前に書かれた本であるけれども、今日は冬至、すっかり年の瀬だ。2023年のオデュッセイアを終えたワタクシとしても、はるかな高校生時代に読んだ「鬼の研究」、洞窟のように空気の澱んだ書庫の奥から引っ張り出して、今夜はこれを読んで過ごそうかと思う。

 

1E(Cd) Eschenbach:MOZART/DIE KLAVIERSONATEN 3/5

2E(Cd) Eschenbach:MOZART/DIE KLAVIERSONATEN 4/5

3E(Cd) Eschenbach:MOZART/DIE KLAVIERSONATEN 5/5

4E(Cd) Jochum & Bavarian Radio:MOZART/THE CORONATION MASS

5E(Cd) Jandó:MOZART/COMPLETE PIANO CONCERTOS vol.1

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