Sun 231203 京都から山形へ/山形県民の勤勉さに敬服/名店・庄司屋の板蕎麦 4461回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 231203 京都から山形へ/山形県民の勤勉さに敬服/名店・庄司屋の板蕎麦 4461回

 昨日まで神戸にいた。今は長崎にいる。おとといは神戸の三宮で講演会、今日は午後から長崎で講演会。まもなく久しぶりの東京に帰るけれども、そこからまた大阪・奈良・兵庫での講演会が目いっぱい続いて、ワタクシの仕事納めはクリスマスごろである。

 

 神戸から長崎へはマコトに長い道のりであって、短時間の乗り換えが2回もある。博多を九州新幹線「さくら」に乗車したまま通過して、「新鳥栖」で乗り換え、乗り換え時間が7分しかない。新鳥栖から在来線で30分ぐらい行くと、今度は「武雄温泉」で乗り換え。ここの乗り換え時間も3分しかない。油断もスキもないのである。

(11月3日、山形で220名の大盛況。申し込み時は「150名程度」のことだったが、一気に70名も増えた。嬉しい限りである)

 

「油断もスキもない」と言えば、「あっ、今井先生だ!!」「あれれ、もしかして今井?」の方もたいへん頻繁であって、何だかここにきてワタクシ、再び三たびブレイクしている実感がある。長崎に到着してすでに2回、「うわ、ナマ今井だ!!」と驚く人々に遭遇している。

 

 だから、ノンキにアクビなんかしている暇は全くないし、鼻水を垂らしたりクシャミをしたり、背中をボリボリ掻きむしったりしていれば、たちまち「今井が鼻水を垂らしてた」「クシャミをしていた」「今井先生は背中が痒いのかもしれない」その他、余計な怪情報が飛び交うことになる。

 

 そこで、精神をぎゅっと緊張させ、肉体も楕円形に固く固めたまま、この長く複雑な列車移動に耐えるのである。ましてや諸君、昨夜は東海道新幹線の中で「クマ撃退スプレーの誤噴射」なんてのがあった。今井君としても、クマやサトイモやキウィに間違えられないように、緊張感を持って移動に臨まなければならない。

 (11月初旬の富士。降った雪もすぐに融ける高温の秋だった)

 

 11月3日には、「京都から一気に山形へ」という恐るべき列車移動を敢行した。京都から東京まで2時間、東京から山形まで山形新幹線で3時間、合計5時間の長時間移動。しかもその直後、午後5時から山形での講演会が待っていた。

 

 もちろん、無理をすればヒコーキ移動も可能なのである。京都から大阪伊丹空港までバスで45分、ないしはタクシーで40分弱。伊丹から仙台空港まで一気に1時間ちょい。仙台空港から山形駅まではバス移動、これが1時間弱。しかし結局のところ、合計時間は列車移動とほぼ変わらない。

 

 ならば、新幹線移動の方が遥かに楽なのだ。京都で仕事のある時は、新幹線直結のホテルグランヴィアに宿泊している。グランヴィアから新幹線ホームまでは、徒歩で5分もかからない。山形での宿泊も駅直結のメトロポリタンホテルだから、ほぼドア to ドアであって、こっちの方が遥かに楽だ。

(おいしい山形めしあがれ。さくらんぼに山形牛、何を食べても旨い)

 

 今年の秋は、11月上旬になってもまだ真夏日が連続するような暑さが続いたけれども、さすがに山形まで北上すれば、沿線はマコトにのどかな秋の風景が続く。

 

 新幹線とは言っても、福島を過ぎて板谷峠を登り始めれば、正式には在来線扱い、最高速度も150km程度になる。そのぶん峠の紅葉も満喫できるので、「峠の力餅」で有名な峠の駅あたりからは、車窓は完全に「里の秋」の趣き。真っ赤な柿の実が農家の庭先にワンサ、夕日に照らされて光っているのを、カラスがつついていたりする。

 

 それにしても山形県民、この誠実さと勤勉さはどうだろう。今や山形の豊かさは、日本全国の模範とすべきだと言っていい。

 

 半世紀前まではNHK朝ドラ「おしん」の世界であって、かつての東北地方の貧しさを象徴するような風景が続いていた。山形といえば、紅花とサクランボ。毎年のように大雪や冷害や水害の被害に遭い、山ばかりで海岸線の少ない地勢は、20世紀的な鉱工業化には向いていなかった。

(おいしい山形めしあがれ。すいかも今や山形が旨い。山形県民の勤勉さには、もはや敬服するしかない)

 

 いったい誰が主導したのか分からないが、だからこそ山形は「後の先」を取り、徹底した農業充実の路線を選んだのである。サクランボが主導した果樹園経営は、ブドウ・ナシ・もも・りんご・メロン・スイカ・柿と限りなく広がり、そのほとんどで全国トップを競っている。

 

 米沢から山形に向かう盆地に入ると、丘陵地帯のほとんどが果樹園、丘陵の中腹はほぼ果樹で覆われ、まさに「耕して天に至る」の観がある。その丘陵ギリギリまで、もちろん平地はみな水田であって、山形「つや姫」の旨さはこれまた全国トップを競い、だからもちろん日本酒も旨い。

 

 蕎麦もラーメンも、もちろん全国トップ。米沢ラーメン・赤湯ラーメンと言えば、ラーメン好きなら知らぬ者はないだろうし、お蕎麦の方は山形の板蕎麦がある。今回のワタクシも山形の人気一番店「庄司屋」で、あえて長い行列に並んででもお蕎麦を満喫する計画だった。

(山形名物「のし梅」。むかしむかしの山形土産といえば、とにかくこの「のし梅」ばかりだった)

 

 ワタクシの子供時代と比べれば、まさに隔世の感がある。何しろ我が父上は山形県の出身。「おしん」の舞台のすぐ近く、最上川の中&下流域の寒村が父上の故郷であって、お盆や冬休みや秋の休日に、幼い今井君も頻繁に山形を訪問した。いやはや、驚くべき田舎の風景にしばし呆然としたものである。

 

 それが諸君、フルーツ全般で首位に立ち、コメも蕎麦も酒もラーメンもみんな日本トップとなれば、その県庁所在地の駅前の賑わいは、「これがあの山形?」と、すでに半信半疑の繁栄ぶり。駅前にはとうとう高層ビルが姿を現した。

 

 農業にポイントを絞って「後の先」をとり、誠実に勤勉に働いて一気に頭角を現した山形。おお、ワタクシは嬉しいのである。スポーツでも何でも、半世紀前の山形は何もかも後進地域だったように記憶するのだが、今やこうしてグイッと前に、その勇姿を現した。

 

 一方でその北のお隣、我が故郷・秋田県が遥か後方に置いていかれつつあることについては、マコトに忸怩たる思いがあるけれども、もしかすればそれもまた何らかの意味で「後の先」、まあ希望を捨てないでいようじゃないか。

(山形で「芋煮」「すきやき」を満喫した後、「たこすけ」のタコ焼きを購入。ホテルの一室で貪った)

 

 山形での講演会は、山形大学の大教室を会場に、出席者約220名。申し込みベースでは130名から150名とのことだったが、実際にフタを開けてみると、当初の予定を大きく上回って、200名を軽く超えてしまった。おお、おめでたい、大いにおめでたい。

 

 その「申し込み」についても、やっぱり日の出の勢いの山形は、熱心さが違う。申し込みが始まってあっという間に満員〆切になってしまい、申し込みが遅れた人々からは「締め切りになるのが早過ぎませんか?」と、驚きの混じった不満の声さえ上がったという。

 

 こんな嬉しいことはない。というか、ならばもっと大きな会場がほしかったところであるが、残念ながら山形にはこれ以上大きなハコはなかなか見つからないんだそうである。もちろんライブ会場やコンサートホールなら何とかなるだろうが、やっぱり大学、黒板や机があったほうが好ましい。

 

 それなら、例えば来年はダブルヘッダーにしてもいいのである。山形と仙台でダブルヘッダー、その形式でもいい。山形と仙台ならバスで1時間弱、ワタクシはそのぐらいの移動を伴うダブルヘッダーぐらい、軽くこなす体力も精神力も全く衰えていない。

(翌日は、山形で一番人気のお蕎麦「庄司屋」に入る。鴨焼き(奥)、ニシン(左)も旨かったが、何と言っても手前のナメコが絶品だった)

 

 その晩は、山形名物の芋煮やらすき焼きやら、ついでだから屋台で買ったタコ焼きやらを満喫して更けていった。仕事が上首尾だった夜には、どこで何を食べて何を飲んでも旨い。ましてやここは山形だ。旨くないはずはないのである。

 

 翌朝は早く起きて、山形のお蕎麦屋で一番人気の「庄司屋」の列に並んだ。というか、実はもともと予約してあったので、列に並んだのは15分ほど、名前を呼ばれて長い列をふっとばし、すぐにテーブル席に腰を据えた。

 

 それにしても、予約ナシの他のお客さんには申し訳ないことをした。山形はその朝から冷たい雨が降りはじめ、関東や関西からひた人々は、みんな冷たい雨の中で身体を震わせていた。それでも、ふとコトバを交わした関西のご夫婦は、マコトに楽しそうにお蕎麦を待っていた。

    (庄司屋で、まずは小さな蕎麦味噌を満喫する)

 

 この日はもう東京に帰るだけだったので、ワタクシの長っ尻にはまさに「火がついた」の趣き。熱燗のお銚子を2本 → 3本と立て続けに注文し、飲みに飲んで7合、2合徳利3本と1合徳利1本が空になった。

 

 いただいたのは、まず小さなお皿の蕎麦味噌を1つ、続いて鴨焼き、なめこおろし 、ニシンの棒煮。山形なめこの巨大さと旨さに呆然とした後は、合い盛りの板蕎麦で〆る。白い更科蕎麦と、おなじみの蕎麦色をした田舎蕎麦との合い盛りである。

 

 これを「源平蕎麦」と呼ぶ地域も多い。白い方が源氏の白旗、蕎麦色の方が平家の紅旗、白旗と紅旗の対峙する源平の戦いをイメージして「源平」というわけだ。京都で馴染みの名店「松葉」でも、やっぱり「源平」、人気メニューの一つである。

(庄司屋、〆の板蕎麦は、合い盛りを選択。たいへんオイシューございました)

 

 食べきれるかどうか、ちょっと微妙な大盛りである。「庄司屋」のライバル「三津屋」の方では、「板蕎麦」と注文すると「量が多いですよ。お一人で、大丈夫ですか?」と問い返される。その曇った表情に恐れをなして、思わず板蕎麦を諦める人だって多い。

 

 しかしワタクシ、言わずと知れた大食い男である。キライな人参はヒト切れたりとも食べないが、好きなものなら徹底して貪る。生牡蠣48個の大記録は、まさにギネスもの。お蕎麦はもちろん大好きだから、板蕎麦の1枚や2枚、あっという間にペロリである。

 

 ただしこの「合い盛り」の場合、すする順番に注意が必要。先にお蕎麦色の田舎蕎麦をすすり、これを7割から8割ぐらい平らげてから、おもむろに白い方をすすり始めるのがいい。田舎蕎麦は、歯ごたえ&喉越しともに重量感があって、腹が膨れてから食べるのにはいささか困難があるのだ。

 

 まず田舎蕎麦で、満腹感6割ぐらいまで。そこでほとんどデザート感覚で白い方に取り掛かり、最後は赤&白交互に味や食感の違いを満喫しながら完食に向かう。そういう工夫をすれば、絶品の山形蕎麦をパーフェクトに楽しめると信じるのである。

 

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