Thu 231102 冬シリーズに突入/指宿で砂むし温泉/犬たちが必要だ/たまて箱 4449回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 231102 冬シリーズに突入/指宿で砂むし温泉/犬たちが必要だ/たまて箱 4449回

 いま京都にいる。昨日は朝のヒコーキで羽田から大阪伊丹へ、伊丹からはリムジンバスに乗って京都に移動した。上空は薄曇りだったが、それでも初冬の富士がよく見えた。7合目あたりまでうっすら雪をかぶって、下界では「まだ夏日」と嘆いていても、山には着実に冬が近づいている。

 

 ワタクシも、昨日から本格的な初冬シリーズがスタートした。すでに9月から、富山・佐賀・鹿児島・小倉・折尾と秋冬の序盤戦を戦ってきたけれども、11月1日の滋賀草津を皮切りに、マコトに楽しい全国行脚が再開するのである。

 

 昨日の滋賀に続いて、今日が京都駅前。続いて、山形・那覇・高崎・高松・西宮・倉敷・大阪京橋・大阪茨木・福岡・札幌・札幌・京都・神戸・長崎・西宮・奈良・大阪梅田・横浜・大阪京橋・大阪天王寺・池袋。セキュリティの関係で日付をここに書くのは差し控えるが、12月24日までほぼ休みなしである。

 

 それでも諸君、今井君は意気盛んであって、このスケジュールの間をぬって大阪で文楽もみるし、京都でクラシックのライブにも参加するし、(おそらく)活イカも貪り、(おそらく)生牡蠣も貪り、(おそらく)ジンギスカンも満喫するのである。

 

 何となく年齢を重ねて、「疲れた」「疲れた」「もうそろそろゆっくりしたい」なんてのは、ダメなのである。昨日のヒコーキでは、超有名・モト衆議院議員とご一緒した。今井君の真後ろの席にいらっしゃった。

 

 プライベートかもしれないので、お名前は書かないことにするが、ヒコーキで出るお弁当を朝からワシワシ召し上がっていた。いやはや彼なんかにももっともっと頑張っていただきたい。GDPが世界3位から4位に下がる可能性が高いというなら、またすぐに3位に2位に上がっていきたいじゃないか。

(ヒコーキから眺める初冬の富士、11月1日。7合目あたりまで、うっすら雪をかぶっていた)

 

 で、鹿児島の指宿であるが、いやはや「砂むし温泉」、これが異次元の楽しさであった。10月7日、夕暮れからは鹿児島の駅前で公開授業が控えていたから、ワタクシは朝6時に起きて、鹿児島中央駅8時の列車で指宿に向かった。指宿までは1時間半ほどの行程である。

 

 遥かなむかし、学部の友人たちと指宿に向かった時は、あの昔懐かしいオレンジ色の「キハ」に乗っていったのである。そのまま池田湖まで行って、富士山そっくりの形が美しい開聞岳の勇姿を眺めた。

 

 しかしさすがに21世紀、すでに「キハ」は鉄ヲタの皆さん垂涎の的になってしまった。いま乗り込んだ「快速なのはな」は、真っ黄色に塗りたくった4両編成。何故か全ての窓が言語道断なほどに汚れていて、曇りガラス以上に透明度が低い。

 

 ワタクシは「車窓から錦江湾の絶景を満喫したい」と思い、本来は砂むし温泉になんか入りたくなかったのだが、錦江湾の絶景の言わば付録として、何だか怪しげな「砂むし体験」を付け加えただけだったのである。

      (鹿児島、指宿駅。10月7日)

 

 何でこんなに窓ガラスが汚れているんだ? 窓という窓が全部みーんな曇りガラスレベルに濁ってたんじゃ、錦江湾どころではないじゃないか。 

 

 桜島のガラス状の火山灰を日々浴びているせいで、ガラスの表面がどんどん削れてしまうのかもしれないが、早め早めに新しいガラスに入れ替えたほうがいい。何しろ乗客のほとんどが、沿線の高校に通う高校生だ。「谷山」の駅ではラサールの諸君もワンサと降りた。

 

 ワタクシは、若い諸君の視界をいつもスッキリしたものにしたほうがいいと思うのだ。視界が濁っていると、思考も思索もスッキリしないのである。

 

 今井自身は右左とも網膜剥離を患った中高年であって、いつでも視界良好とはいいがたい。だからこそ、若者諸君の視界が濁ったガラスのせいで濁ってしまうことが心配でならない。その辺も、地元の公共交通を担う者は考えてあげなきゃいけないと思う。

(指宿からの帰りは「指宿のたまて箱」。こちらの窓ガラスはとてもキレイだった)

 

 さて砂むし温泉であるが、高級旅館の高級砂むしももちろんいろいろ存在するんだろうけれども、ワタクシが選択したのは「ほぼ公共の砂むし」という風情の「砂むし会館」。「ほぼ公共」である割にはずいぶんオカネもかかるけれども、係員の給料だって払わなくちゃいけないんだから、まあ致し方ない。

 

 オカネを払った後は、ギュッと手渡された浴衣を来て、持ち物を全部ロッカーに押し込み、浴衣以外はスッポンポンの状態で砂むしテントの中に闖入する。

 

 砂に埋もれた先客の頭がキャベツかスイカの畑みたいにずらずら並んでいる中を、そのアタマを踏んづけたりキックしたりしないように気をつけながら、自分に指定された自分の穴に「浴衣以外スッポンポン」の全身を横たえる。人生の無常を全身で感じる瞬間である。

 

 この砂が意外なほど熱くて、ヤケドする人もいるらしい。砂むし会館の入り口にも「ヤケドに対しては当館は責任を負いません」という注意書きもあった。

 

 もうもうと湯気のあがる温泉のお湯をたたえた巨大湯槽が脇にあって、湯がそこから砂に染み込む仕掛け。当然ながら湯槽に近いところほど砂の温度も高い。

 

 ワタクシが指定された砂の穴は、まさにその湯槽の真横。「浴衣以外スッポンポン」の我が肉体を横たえた瞬間、その「責任を負いません」をいうヤケドの危機を如実に感じるのであった。

(シェラトンホテルからの桜島、10月8日。朝からたいへんな豪雨になった 1)

 

 すると、係員のオジーチャンやらオニーチャンやらが、にこにこ満面の笑みをたたえて近寄ってくる。手に手に使い込んだ大きなシャベルを手にしていて、情け容赦なく熱い砂をかけてくる。

 

「オレは球根か?」「オレは桜島ダイコンか?」と思わず無意味な抵抗を試みたくなるが、容赦ない砂攻撃はホンの20秒か30秒でオシマイ。我が肉体は重く熱い砂に埋もれて身動きもできない。

 

「目安は10分です」と大きな置き時計を示され、「10分経過したら砂を押しのけて自分で出てください」と指示されたあとは、もう全ては自己責任。その10分が早く経過することをひたすら天に祈るばかりである。

 

 こうして諸君、「砂むし体験」はマコトにあっけなく終了になる。「浴衣以外スッポンポン」から、わずか15分ほどの夢のような嵐のような時間が過ぎて、「あとは温泉のお風呂とシャワーで砂をキレイに洗い流して帰ってください」という流れるような、というか要するに流れ作業そのものである。

(シェラトンホテルからの桜島、10月8日。朝からたいへんな豪雨になった 2)

 

 午前10時半、早くも砂むし体験が終わり、途方に暮れるのである。すぐ鹿児島に帰ればいいのであるが、鹿児島行きの列車は午後2時だから、ここから3時間半を何とか消費しなきゃいけない。自動販売機で冷たいコカコーラを買ったけれども、そんなの3分もかからずにカラッポだ。

 

 仕方なく、海岸沿いにぶらぶら歩いて指宿駅まで帰ることにする。ここにもやっぱり犬の気配はない(前回の記事参照)。昔の日本なら、こういう田舎道には必ず犬たちの気配が濃厚に漂っていて、不審者やヨソモノや野獣の気配があれば、一斉に激しく吠えたて、闖入者の排除に努めたものである。

 

 やっぱりワタクシは、犬たちの復権を激しく世の中に訴えたいのである。昨日も秋田県の北秋田市で、郵便配達中の60歳代のオジサマがクマに襲われて大ケガをした。昔は「鷹ノ巣」と呼ばれた場所で、あのあたりから大館にかけては、かつては獰猛な秋田犬系の雑種犬がナンボでも激しく吠えていた。

(10月8日、鹿児島中央駅。新幹線で博多まで移動する)

 

 幼い今井君の周囲も、犬の獰猛な吠え声があふれていた。隣の家にも、向かいの家にも、当時はちっとも可愛くない恐ろしい秋田犬系の雑種犬がいて、見知らぬ人の行動を強烈な眼光を光らせて監視していた。

 

 少しでも怪しい行動をとれば、躊躇なく吠えたてる。下手をすれば大きなクマにでも躊躇なく飛びかかる。すると近くの犬たちが一斉に吼えたてる。場合によっては繋がれた綱を噛み切ってでも、仲間の救助に向かう。そういう厳しい団結の雰囲気が、町の犬たちにはあった。

 

 しかしこの日の指宿も、遠吠えはおろか普通に吠える犬さえいない。マコトに平和、マコトに暢気である。考えてもみたまえ、午前10時の閑散とした指宿を悠々と歩いていく今井君ほど、犬たちにとって怪しく不審な危険人物は存在しないはずである。

 

 何しろ砂むし温泉に蒸されたばかりだ。異様に体温が高い。ぽっかぽかのポカ之助だ。昔の犬たちなら、「お、変に体温の高い不審な中年男が闖入してきたぞ」「怪しい、不審だ、徹底的に吠えてやろう」と互いに目配せ、指宿の町はあっという間に犬たちの天下と化したはずだ。

(10月8日朝の鹿児島は、豪雨。ホテルまえの「すき家」で朝食。たまにはこういうのも悪くない 1)

 

 それなのに、あくまでもシーンと静まり返っているのである。せめて「ワン」とか「キャン」ぐらい言ってもいいじゃないか。それなのに「ワ」も「キャ」もなし。狂言の世界では、犬の吠え声は「べうべう」、これを発音すると「びょうびょう」であるが、日本中の犬はみんなあまりに大人しくなって「びょ」の字1つもない。

 

 これでは、犬たちの防護ラインが消滅した町に、イノシシにクマ、そういう野獣が大挙して侵入してくるのは当たり前だ。「どうしても犬たちの復権が必要だな」とワタクシが実感した瞬間でもあった。

 

 こういうふうで、指宿の駅前にたどり着いたワタクシは地元の名店「青葉」に闖入し、真昼のクマさんにふさわしくお店の真ん中の座敷に陣取って、前回の写真の「さつああげ」「黒豚軟骨」「きびなご天ぷら」などを貪ったわけであるが、いやはやお酒なしでは、こういうのも余り楽しくないのである。

(10月8日朝の鹿児島は、豪雨。ホテルまえの「すき家」で朝食。たまにはこういうのも悪くない 2)

 

 鹿児島への帰りは、JR九州独特の工夫を凝らした特急電車。題して「指宿のたまて箱」、キレイなアテンダントさんが数名、至れり尽くせりのサービスをしてくれるので、どうやらそれを目当ての鉄ヲタさんたちもたくさん乗っていらっしゃる。

 

 しかしいくら「たまて箱」でも、今井君は眠いのである、朝6時に起きて、7時半の列車に乗り、砂で熱々に蒸されて、たっぷりの薩摩料理を貪った直後だ。たまて箱のアテンダントさんのサービスより、あたしゃひたすら睡眠がほしい。

 

 1時間後、「たまて箱」から降りた今井君は、もうほぼ完全に浦島太郎。ただしこの浦島さん、「たまて箱を開けた」どころか「たまて箱の中に入り込んで居眠りした」という猛者であるにも関わらず、「パッと白煙」「たちまちオジーサン」というわけには行かないのである。 

 

 だって諸君、19時からは鹿児島駅前で公開授業だ。それに備えてここから3時間あまり、シェラトンホテルの浦島さんはギュッと深い睡眠をとる計画なのであった。

 

1E(Cd) Preston:BACH/ORGELWERKE 6/6

2E(Cd) Karajan & Berliner:BACH/MATTHÄUS-PASSION 1/3

3E(Cd) Karajan & Berliner:BACH/MATTHÄUS-PASSION 2/3

4E(Cd) Karajan & Berliner:BACH/MATTHÄUS-PASSION 3/3

5E(Cd) Krause:BACH/DIE LAUTENWERKE・PRELUDES&FUGEN 1/2

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