Tue 230801 東京を冷やす雷雨/爽やか書斎生活/鞆の浦探訪/広島はまた大盛況 4417回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 230801 東京を冷やす雷雨/爽やか書斎生活/鞆の浦探訪/広島はまた大盛況 4417回

 諸君、驚くなかれ、今夜の東京はマコトに涼しいのである。現在の気温が25℃。昨日の昼の最高気温37℃から、何と12℃も下げてもらったのだから、そりゃ涼しいに決まっている。

 

 ワタクシは涼しいと「すずいねぇ」「すずいねぇ」と、何度か繰り返してニンマリするのがクセ。本来の「すずしいねえ」からメンドーな「し」を省略して心からニンマリ、するとますます心地よく涼しくなってくる。

  (7月12日、広島・鞆の浦。古い灯台のある風景 1)

 

 今朝の東京は、早朝から弱い雨が降った。焦げていたセミも、焦げていた道路のアスファルトも、みんなみんな「ジュッ!!」「ジュッ!!」と歓喜の声をあげた.

 

 焦げサトイモだって、セミ君やアスファルト君たちに負けずに「ジュッ♡」と呼応した。ベランダの物干し竿にたくさんの水滴がついて、朝の光に涼しげに輝いていた。昨日までは悲鳴に聞こえたセミの声も、今朝は「すずいね♡」「すずいね♡」「これなら楽しい夏だね♡」、そういう歓喜の合唱にかわっていた。

(7月12日、福山城。福山から路線バスに乗って、鞆の浦の絶景を目指した)

 

 そこでワタクシは、薄暗い書斎で思わずベートーヴェンを引っ張り出した。交響曲を1番から9番まで、今朝は一気に聴き通そうと考えた。

 

 いずれ優秀なAI君が、ベートーヴェン10番とか11番とか12番とか、ブラームス5番とか6番とか、そういうものをでっち上げてくるだろうから、その前にたっぷりホンモノを満喫しようと、ワタクシはいま必死なのだ。

 

 ワタクシが定番にしているベートーヴェンは、ショルティが振ったシカゴ響のもの。演奏は1985年から1990年、まあ諸君、今井君が予備校講師になる前の、体力的には一番元気だった時代のCDである。秋葉原の石丸電気3号店で購入した。

 

 しかしその「石丸電気」「3号店」、若い人々にはもう全く理解してもらえない。6階建てだったか7階建てだったか、大きなビルの全館が1980年ごろまでは「全てレコード売り場」、それ以後は「全てCD売り場」、若かった今井君が、おこづかいやバイト代や給料のほとんどを注ぎ込んだ思ひ出の建物である。

  (7月12日、広島・鞆の浦。古い灯台のある風景 2)

 

 やがて今井君の足は「石丸電気」から「HMV」に移り、その「HMV」も渋谷店から新宿高島屋店に移ったのであるが、そう言ふものも今はすでにない。まさに「花の色は移りにけりな いたずらに」であって、前回書いた「カーク・ウェイラムのMD」だって、20歳代の人にはもう通じない。

 

 人々は、もうCDプレイヤーもDVDプレイヤーも所有していないのである。「サブスクで聴いちゃいますから」とニコニコ、ズラリと貴重なCDが並んだ今井君の書斎なんか、きっと「意味が分からない」と冷笑&嘲笑されてオシマイだ。

 

 しかしワタクシは、天井まで届く書架を9架も有する我が書斎を、今も心から愛するのである。「すずいねぇ」「すずいねぇ」とホクホク、ベートーヴェンのCDは1枚で60分強であるから、朝6時に1番から9番まで大音量で聴き始めて6時間ちょい、気がつくともう正午を過ぎていた。

 

 半地下にあって普段から薄暗い我が書斎であるが、この頃からさらにグッと重厚な昼の闇に沈んで、9番の歓喜の歌に、遠くから轟く重い雷鳴が混じった。

 

 こういうのも、悪くないのである。2週間も続いた油照りの猛暑の後では、激しい稲妻も重い雷鳴も、やがて落ちてきた大きな雨粒も、見事に歓喜の歌に調和するのである。

     (7月12日、広島・廿日市の大盛況 1)

 

 13時、我が渋谷区は歓喜の雨の真っただ中にいた。雨樋は小型の滝にかわり、稲妻と雷鳴は四方八方から延々と我が書斎を襲い、しかし今井君は落ち着き払って、ウィスキーをロックで次々と飲み干した。

 

 ベートーヴェンの後はシューマン。シューマンの交響曲はバレンボイムとシカゴ響、1977年、ハンブルグでの演奏とある。これはCD2枚だから午後3時ごろに聴き終わり、まだ轟いている雷鳴の中で、メンデルスゾーン「Lieder Ohne Worte」のCDにかえた。これまたバレンボイム、1974年、ハンブルグでの演奏だ。

 

 思えばその1974年、真夏の秋田は連日の激しい雷雨に見舞われた。西の日本海上に背の高い入道雲が並び、雲の下に鋭い稲妻が次々と走るのが見えて、はるかに遅れて重い海の雷鳴が届いてくるのだった。8月上旬から中旬にかけて、そういう重苦しい午後が続いた。

 

 いま聴いているピアノが、ぴったりその時代のハンブルグでバレンボイムが演奏したものだと思えば、間違いなく感慨は深いのである。「サブスクで聴いちゃいますから」の一言とは全く無縁の感慨であるが、いやはや今日の午後は、その類いの深い感慨で胸がいっぱいだった。

     (7月12日、広島・廿日市の大盛況 2)

 

 夜8時、ふとお腹が減って、近くのコンビニまでお弁当を買いに行った。お弁当を買うコンビニは必ずセブンイレブンであって、しかも700円の「唐揚げ弁当」でなければならない。

 

 スマホに届いた「50円引き」のクーポンを差し出し、しかも渋谷区民の味方「ハチペイ」で、8%ポイント還元してもらう。渋谷区民限定のアプリ「ハチペイ」は、もちろん渋谷のアイドル・秋田犬のハチ公がモデル。支払いをすると、「ペイペイ!!」と叫ぶ代わりに「ワンワン!!」と秋田犬が吠えてくれる。

 

 もちろんオトナの秋田犬なんかが本気で吠えたら、そりゃオオカミ以上の恐怖&畏怖の対象であるが、まだ小さなコドモの秋田犬なら、ナンボ吠えられても構わない。何しろ8%のポイント還元、それが来年の3月まで続く。

   (7月中旬の福山は「けんか神輿」で賑わうらしい)

 

 今井君はケチケチ♡倹約生活が大好きだから、ハチペイが使えるシチュエーションなら、意地でもハチペイを使う。

 

 お弁当を買っても「ワンワン♡」、ウィスキーを買っても「ワンワン♡」、お酒だって何だって、高価なのを買って長々ウンチクを垂れているより、普通の安いのをコンビニで買って「ワンワン♡」、そっちの方が遥かに楽しいじゃないか。

 

 こういうふうで、お昼過ぎから続いた東京の豪雨と稲妻と雷鳴は、午後5時ごろにはほぼオシマイになった。目黒川には氾濫危険情報が出たし、お隣の中野区や杉並区では10000戸が停電したりしたが、我が渋谷区は難を免れた。これもきっとハチ公のおかげ、「ワンワン♡」の真骨頂である。

(広島「小イワシの唐揚げ」。7月12日のディナーは徹底的に小イワシ、刺身4人前、唐揚げ4人前を1人で平らげた)

 

 さて7月12日、ワタクシは朝から「鞆の浦」に小旅行に出かけた。広島から新幹線で福山まで30分。福山駅前から路線バスに乗って南に1時間あまり。鞆の浦は予想以上に遠かった。

 

「鞆の浦」と書いて「とものうら」、確か「常石造船」という名の造船会社が高級旅館を運営し、その高級旅館が「自称♡富裕層」向けの雑誌に紹介されてから、急激に人気が出た観光地である。

 

 しかし今井君は決して自称♡富裕層なんかではないから、「高級車で乗りつける」の類いのイヤらしいことはしない。路線バスの最後部座席に収まり、昨夜の酒の酔いを冷ましながら、ゆったりと鞆の浦を目指すのである。

(広島。鞆の浦といえば、何が何でも「保命酒」。こんな老舗がズラリと並ぶ)

 

 鞆の浦に到着したら、小さな連絡船ですぐに仙酔島を目指す。仙酔島と書いて「せんすいじま」、昨日の写真の6枚目、海の向こうの大きな島が仙酔島であり、その手前の小さな島が弁天島である。昨日の写真の5枚目が「小さな連絡船」の勇姿だ。

 

 しかし諸君、とにかく誰もいないのである。船着場にも誰もいないし、到着した仙酔島にも誰もいない。連絡船を操る地元のオジーチャン2名以外には、ホントにホントに誰もいない。

 

 他に出会ったのは、仙酔島の向こう側の小さな海水浴場で大胆なラブシーンを演じていた若い男女と、おそらく盛り上がらなかった社員旅行の帰りのサラリーマン集団5〜6名のみ。真夏の瀬戸内海で、今井君はまさに熱中症の危険を感じるほどであった。

(仙酔島の海水浴場。濃厚なカップル1組が、濃厚なラブシーンを演じていた。ワタクシはたった2分でスゴスゴ退散を決意)

 

 すぐさま帰りのお船に乗り込んで、仙酔島から鞆の浦に戻り、人気の観光スポットであるらしい郷愁の町を歩いた。古い古い灯台、「保命酒」の看板を掲げたたくさんのお酒屋さん、もしもこんなに暑くなければ、郷愁の町も決して悪くない。

 

 しかしこの日の今井君は、常に熱中症の恐怖と戦っていなければならなかった。何しろ夕暮れからは、広島市郊外の「廿日市」というところで公開授業の予定。今回の旅の主目的はもちろんそちらであって、鞆の浦あたりで「熱中症で倒れました」などということになるわけにはいかないのである。

(鞆の浦の炎暑の中、ランチの鯛づくしを満喫する)

 

 そういうことなら「何が何でも、鯛めし!!」であって、我が大好物♡鯛めしで腹をいっぱいにしさえすれば、夕暮れからの公開授業にもますます力が入るというものじゃないか。

 

 海岸の店に駆け込んで貪ったのは、鯛の刺身・鯛の塩焼き・鯛の天ぷら・鯛の煮付け、もちろん我が友♡大盛りの鯛めし。大汗をかいた1日だったが、その大汗を全て取り返して勇気百倍、再び路線バスで福山駅に取って返した。

 

 福山からはもちろん新幹線、その新幹線が「豊橋付近での車両トラブルのため」少しばかり遅れたりしたけれども、公開授業には全く支障はなかった。

 

 7月11日は160名、12日は150名、会場は2日とも満員の盛況で、ワタクシはますます広島が大好きになった。今年も、来年も、再来年も、まだまだ&まだまだ、広島の諸君を元気づけに行きたいのである。

 

1E(Cd) Richter:BACH/WELL-TEMPERED CLAVIER 1/4

2E(Cd) Richter:BACH/WELL-TEMPERED CLAVIER 2/4

3E(Cd) Richter:BACH/WELL-TEMPERED CLAVIER 3/4

4E(Cd) Richter:BACH/WELL-TEMPERED CLAVIER 4/4

5E(Cd) Eduardo Egüez:THE LUTE MUSIC OF J.S.BACH vol.1

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