Sun 230730 セミが焦げ、里芋は煮える/広島の大盛況/グランヴィアと栄枯盛衰 4416回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 230730 セミが焦げ、里芋は煮える/広島の大盛況/グランヴィアと栄枯盛衰 4416回

 長かった夏の全国行脚も、あと1回を残すのみとなった。その「あと1回」がずっと先の8月中旬にポツンと1つ、ちょうどお盆の頃だから、まあ今は「とりあえず完了」の感が強い。

 

 この夏も、よく頑張った。前半は梅雨前線にムンムン蒸されて蒸し焼き、後半はお日さまのカンカン照りに容赦なく焼かれて黒焦げ、いやはや汗みどろの東奔西走は、いつもの夏の数倍キツかったような気がする。

 

 国連の事務総長は「世界は沸騰している」と表現したそうだが、いやはやこんなに暑くては、セミは焦げ、サトイモは煮える。実際このあいだの京都でセミの抜け殻を写真に収めたが、「こりゃホントに焦げちゃったのかいな?」と思うほどに黒く変色していた。

 

 それどころか、実際に空気が焦げくさい。気温が40℃近くなるということは、地面のコンクリートやアスファルトの温度は、おそらく、目玉焼きが焼けるぐらい。走るクルマの表面も、うっかり触ればヤケドする。空気が少しぐらい焦げくさくても、ちっとも不思議はない。

 

 というわけで、今井君はもうヘトヘトだ。ヘト田 ヘト五郎というか、ヘト山 ヘト左衛門というか、ヘト崎 ヘト次郎というか、とにかく何が何でもヘトヘトだ。さっきスーパーで買ったスイカ3人分を一人で貪ったけれども、それでもまだ疲れが取れない。

(広島駅ビル「ekie」内「ばくだん屋」で冷やし中華をすする。「海苔だく」「ネギだく」、タレは中辛。せっかくの冷やし中華なのに、ワタクシは「汗だく」のありさまになった)

 

 そういう疲労の真っただ中で、吉祥寺のスタジオに出向いて「過去問解説講座」の収録を続ける。京都大学と名古屋大学だ。

 

 京都大学は、何しろ設問がご存知の通りの単純明快なヤツだから、解説する方はマコトに楽であるが、いやはや今年の名古屋大学は、設問の形式が難関私大並みに複雑に込み入って、こりゃ解説するワタクシも目が回りそうだが、解かなきゃいけない受験生もさぞかしたいへんだったろう。

 

 どうなんだろう、国公立大学でこんなに設問形式を複雑にする必要があるんだろうか。単語10個の整序英作文問題で、「並べ替えた2番目・7番目・10番目の単語を書きなさい」って、そんな不思議なことをさせなくても、出来た英文をそのまま書かせれば済むことじゃないか。

(広島は、2日連続の大盛況。1日目は旧7帝大レベルの難問を扱う 1)

 

 特に2023年の名古屋大学第3問は、留学生3人の会話文を素材にしているが、空欄やら下線部やら内容一致やらが入り組んで、あっちを見たりこっちをめくったり、さぞかし試験会場はページをめくる音でザワザワたいへんな騒ぎだっただろう。「事務処理能力検定試験」みたいなありさまだ。

 

 というわけで、今のワタクシは「ヘト田 ヘト五郎」であると同時に若干「イラ川 イラ之進」「イラ島 イラ太郎」でもある。どこの国公立大もみんな京都大学みたいに、中身の濃い英文をじっくり腰を据えて読ませてくれる出題だったら、受験生も今よりずっと幸福なんじゃないか。

 

 名古屋大学第2問もそうだ。3ページの英文が、もうポコポコ穴だらけ、これじゃちっとも落ち着いて読めやしない。たったこれだけの文章に、穴ボコばかり何と14個。テーマになっているイルカのコミュニケーションなんかに、興味を持って集中しているヒマがない。

(広島は、2日連続の大盛況。1日目は旧7帝大レベルの難問を扱う 2)

 

 こういうふうで、「ヘト田 ヘト五郎」兼「イラ川 イラ之進」として暑い書斎の中でムクれていたら、ふと「おお、なかなかヤルじゃないか」というニュースが飛び込んできた。我がふるさと秋田県秋田市土崎港で「水害に負けてられません」と、7月21日の夏祭りを実施したというのである。

 

 秋田の水害が報じられたのは、7月15日。我が土崎港にもやっぱり洪水被害があった。しかし土崎港の曳山祭は、ユネスコ世界文化遺産でもある。水害の発生から1週間あまり、さすがに中止も検討されたが、「いややっぱりここで元気を出さなきゃいかん」と、地元の人々が立ち上がった。

 (7月12日、鞆の浦に小旅行を試みる。詳細は次回 1)

 

 動画もいくつかアップされているようだから、まあよかったらご覧いただきたい。かつてイザベラ・バードが名著「日本奥地紀行」の中で「こんな野蛮なお祭りは見たことがない」と、呆然と描いてみせた激烈な祭りである。

 

 もちろん、イザベラ・バードが目撃した時代からは、もう150年も経過している。お祭りはググッと大人しくなって、この今井君のコドモ時代と比較しても、発散されるエネルギーは当時の半分にも満たないかもしれない。

 

 しかし諸君、あれほどの大水害を経験しながら、わずか1週間で何とかふりしぼった元気の総量は、やはり大したものである。きっと批判もあるだろうけれども、「ヘト田 ヘト五郎」兼「イラ川 イラ之進」は、祭りの動画を何度も見返して、思わず熱い涙を拭ったのであった。

 (7月12日、鞆の浦に小旅行を試みる。詳細は次回 2)

 

 さて7月11日のワタクシは、長崎から電車を乗り継いで広島に到着した。その前日と前々日は福岡県・佐賀県・大分県が水害に襲われた日であって、あちこちで新幹線が止まり、在来線も多くが運転見合わせになっていた。

 

 だから前日のワタクシは、長崎から広島への移動が可能かどうか、あれこれ可能性を模索したのである。広島に西から入る電車のダイヤ回復は見込み薄と思われたので、長崎空港から羽田空港か伊丹空港を経由して、広島へは東側から入ろうと、半ばそれを既定路線にしていた。

 

 しかし夜が明けてみると、前日までの激しい雨はウソのような快晴になり、「こりゃどうやら梅雨がスカッとあけたらしい」と判断。新幹線も在来線も動き出して、何だ、行程について心配はいらなかったのである。

 (7月12日、鞆の浦に小旅行を試みる。詳細は次回 3)

 

 長崎から「西九州新幹線」で武雄温泉駅まで30分ほど北上。ここで「リレーかもめ」という在来線特急に乗り換えて、博多まで1時間。博多で再び新幹線に乗り換えて、広島までまたまた1時間の乗車になる。

 

 たったこれだけの旅で2度も乗り換えがあるのは面倒だが、まあ全て定刻で運転してくれた。移動の心配は杞憂に終わって、予定通りワタクシは15時の広島駅に降り立った。

 

 一時は「国際線のヒコーキでソウル経由」なんてのまで思いついたのだが、広島もまた快晴。公開授業の開始までポッカリ4時間もヒマを持て余す結果になった。

 (7月12日、鞆の浦に小旅行を試みる。詳細は次回 4)

 

 いろいろ考えて、前日のうちにホテルも取り直したのである。もともとの予定では、サミット会場にもなった「広島グランドプリンスホテル」。しかしプリンスホテルは瀬戸内海にグッと突き出した島の先端というロケーションなので、公開授業会場に向かうのに時間がかかる。

 

 雨のせいでスッタモンダが予想されている以上、もっと広島駅に近いホテルの方が安全だろう。そう判断したワタクシは、広島駅に隣接した「ホテルグランヴィア」に予定を急遽変更、電話口で係りの人にひたすら謝罪し事情も説明して、キャンセル料もナシにしてもらえた。

 

 そういう経緯があって、プリンスホテルには感謝感謝&また感謝である。昨年の秋に宿泊して以来、窓に広がる瀬戸内海の絶景が大好きになったホテルだ。いつか近いうちに必ず長期滞在して、今回の恩に報いたいと考える。

 (7月12日、鞆の浦に小旅行を試みる。詳細は次回 5)

 

 変更した方の「グランヴィア」は、ワタクシの普段のお気に入りのシェラトンホテルと、広島駅を真ん中にして対峙する老舗だ。むかしむかし、今井君が代ゼミ四天王をやっていた25年前、初めての広島出張で宿泊したのがこのグランヴィア。懐かしい懐かしいホテルである。

 

 しかしその代ゼミ広島校ももはや姿が見えない。いやはや、栄枯盛衰をしみじみと感じるのである。25年ぶりに宿泊してみると、館内のレストラン配置も変わってしまった。

 

 むかしむかし小イワシの刺身があんなに旨かった和食レストラン「瀬戸内」、ちょっと立ち寄ろうとすると、ちょうどお休みの様子。残念な気持ちでお部屋に入ってみると、コップも、イスも、デスクも、トイレも、みんなみんな昔のままの姿ですっかり年老いていた。

(ホテルグランヴィア広島、あまりにレトロな室内に感歎する)

 

 25年前の今井君は、まだバリバリの若手ホープのつもり。東京から新幹線グリーン車で4時間、当時使っていたMDプレイヤーで音楽を聴きながら、長文読解の参考書原稿を手直ししたりした。

 

 聴いていた音楽は、Kirk Whalum「Colors」。MDを1枚しか持参していかなかったから、広島までの4時間で「Colors」を5回近く聴いた。岡山と広島の県境あたりから雪になって、三原や東広島を通過する頃には大雪になった。

 

 だから翌日の広島は、朝から雪景色。2月上旬の雪の広島で、受講生がキチンと集まってくれるかどうか不安だったが、大教室は予定通りの満員になった。

 

 もう2月上旬だったから、首都圏や近畿圏の私大入試はもう始まっていただろうに、当時も今井ファンはマコトにケナゲだったので、「入試よりナマ今井に会うことを優先しました」という生徒も多かった。

 

 あのとき生徒諸君が18歳だったとすれば、今ごろ彼ら彼女らはもう43歳なのである。東大模試で全国トップを取りつづけたスーパー優秀生も混じっていたし、「明日からいよいよ入試本番なので、お守りにチョークを1本ください」と講師室を訪ねてきた不思議な男もいた。

 

 これもまた栄枯盛衰、MDプレイヤーはとっくにナシ、カーク・ウェイラムだって、7月11日の誕生日で65歳になっちゃった。ただし彼は今もマコトに精力的に世界で活躍中。ちょっとぐらい暑くても、ちょっとぐらい面倒な曲でも、不平を並べたりしない素晴らしい男である。

 

1E(Cd) Barenboim & Chicago:SCHUMANN/4 SYMPHONIEN 2/2

2E(Cd) Barenboim:MENDELSSOHN/LIEDER OHNE WORTE 1/2

3E(Cd) Barenboim:MENDELSSOHN/LIEDER OHNE WORTE 2/2

4E(Cd) Menuhin:SCHUBERT/SYMPHONY No.3, No.5 & No.8 

5E(Cd) Menuhin:SCHUBERT/SYMPHONY No.9

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