Tue 230620 銚子商の甲子園/昭和百年企画に長嶋茂雄の大河はいかが/がくや姫 4391回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 230620 銚子商の甲子園/昭和百年企画に長嶋茂雄の大河はいかが/がくや姫 4391回

「千葉県の銚子」と言えば、まず思い出すのがお醤油のこと。「ヒゲタ」と「ヤマサ」2つの名門は、銚子駅から徒歩10分ほどのところで長くシノギを削り、シノギを削ることでお互いに力をつけて、同じ千葉県の野田・キッコーマンと対峙してきた。

 

 もっとも、東日本ではキッコーマンにヤマサにヒゲタ、千葉県勢が圧倒的に強いお醤油業界であるが、西日本にいくと状況は一変し、特に味にうるさい京都&大阪あたりの人は、それぞれのオウチに好みの醤油があって、「うちの醤油は〇〇です」というのがその家のアイデンティティになっていたりする。

    (銚子電鉄・銚子駅に停車中の「澪つくし」号)

 

 西日本のお醤油でワタクシが好きなのは「ヒガシマル」であるが、生まれ育った秋田では「キッコーマン」ならぬ「キッコーナン」がそれなりの勢力を保っていて、六角形の亀甲の中に「萬」の文字を入れた亀甲萬(キッコーマン)の向こうを張り、亀甲の中に「南」で亀甲南(キッコーナン)、これをヒイキにしている家庭は少なくない。

 

 ついこの間、世田谷区梅ヶ丘の某居酒屋で軽い食事をとっていたところ、目の前にいきなりその亀甲南(キッコーナン)が登場して度肝を抜かれた。マイナーどころか、バッタモノかと思っていたキッコーナン、意外にメジャーに活躍しているのかもしれない。

 

 お店の人に「秋田のカタですか?」と尋ねようと思ったが、残念ながら「店の人」3人は3人ともマコトにブアイソ。そんなことを尋ねようものなら噛みつかれそうな雰囲気だったし、居酒屋と言っても「激辛タコライス」なんてのがあって、とても秋田料理の店ではなさそうだった。

(市内各所に設置されたベンチにも「ヒゲタしょうゆ」と「ヤマサしょうゆ」が同居、素晴らしいライバル関係が続いている)

 

 さて、お醤油談義はともかくとして、人生初の銚子の駅で降りた今井君は、6月8日の厳しい日差しを浴びながら、思わず「銚子商の甲子園のことを書かなきゃな」とシミジミ、昭和の甲子園の雰囲気を思い出していたのであった。まずは銚子商の校歌を読んでみてくれたまえ。

 

   幾千年の昔より 

   海と陸との戦いの

   激しきさまを続けつつ

   犬吠埼は  見よ立てり

 

 作詞:相馬御風。作曲:東儀鉄笛。明治44年制定の校歌は、歌えばたった十数秒で終わってしまう。甲子園で勝利して、ホームベース前に整列して、昔なら14名、今なら20名近い高校生たちが熱唱する。

 

 例の2018年「金足農旋風」の時の全力斉唱、今ではもう懐かしい思い出だが、昭和の高校生はほぼ例外なくあのスタイルで、熱い涙をぬぐいながら全力斉唱を続けたのだ。

           (JR銚子駅)

 

 銚子商は、それこそ昭和の甲子園を代表する名門。春夏合わせて合計20勝、コドモの頃の今井君はとにかく甲子園に夢中だったから、おそらく銚子商の校歌を10回以上は耳にした。

 

 幼い今井君は、紅白歌合戦を1回見るだけで、歌謡曲でも浪曲でも演歌でも何でも、その1回で記憶してしまうほどの記憶力の持ち主だった。銚子商の校歌を10回以上も聞けば、完全に脳細胞に埋め込まれる。何と諸君、ワタクシは今でもしっかりとアカペラで、銚子商の校歌を歌えるのである。

  (JR銚子駅と銚子電鉄戦は、跨線橋で繋がっている)

 

 1965年夏には、準優勝している。ベスト4に残ったのは、銚子商・宮崎の高鍋高・秋田の秋田高・優勝した福岡の三池工。準決勝で秋田高は三池工に善戦したが、4−3で逆転負け。いやはや、「将来ボクは秋田高に入って、この雪辱を果たすぞ」と、幼い握りこぶしを握りしめたものである。

 

 決勝戦、銚子商には「木樽」という名の絶対的エースがいて「4番ピッチャー」、いかにも昭和な二刀流。木樽(きたる)はその後プロ野球ロッテでも大活躍した名選手だったが、残念ながら三池工に2−0で惜敗した。

 

 でも諸君、「木樽」という滅多に見ない珍しい苗字こそ、今日の記事をヒゲタとヤマサ、銚子の誇る2つの醤油メーカーの話で始めた理由でもあったのだ。何しろ醤油の町だ、醤油を入れる「木樽」を作る人だって、江戸期以来この町にたくさん存在しただろう。

 

 その時の銚子商に、1年生でレギュラーを獲得していた「土屋」という選手がいた。6番レフトだったかライトだったか、さすが1年生で準優勝チームのレギュラーになるだけあって、なかなかの好プレーを連発したようだ。

    (絶対にあきらめない。銚子電鉄・ちょうし駅)

 

 その土屋さんの甥に「土屋正勝」という名投手がいて、彼は1973年の夏・甲子園で、作新学院の江川卓と投げあったことで有名。「怪物」を向こうに回して一歩も譲らず、0−0のままついに雨の延長戦に突入。最後は江川の押し出し四球で決着がつくのだが、その年の銚子商はベスト8止まりだった。

 

 銚子商が優勝したのは、翌1974年である。4番サード篠塚利夫、5番ピッチャー土屋。PL・中京商・平安・前橋工と順調に勝利して、決勝戦は山口の防府商を破った。今こうして並べてみると、すでに校名が変更になったり、強豪野球部がほぼ伝説と化していたり、やっぱり「昭和は遠くなりにけり」の感が深い。

 

 銚子商の校歌を作詞した相馬御風は、早稲田大の校歌「都の西北」の作詞で有名。早稲田大英文科の出身だが、彼の翻訳書をみると、ゴーリキーにツルゲーネフにトルストイ、どういうわけかロシア文学の人でもある。

 

 作詞した校歌は、ラグビーの秋田工、バスケの能代工、他に高崎商・新潟商・足利工・高岡高商・日本大学、やっぱり「いかにも昭和」の名門がずらりと並ぶ。「歌うと短い」「あっという間に終わってしまう」というスッキリ感が、ワタクシは大好きである。

     (銚子電鉄、もっとも古いタイプの車両)

 

 こうして銚子商の校歌を口ずさみながら、JR銚子駅から「絶対にあきめない」がスローガンの銚子電鉄のホームに向かって歩いていると、2026年「昭和100年」の大河ドラマに、昭和の野球の話はどうだろうかと思ってしまう。

 

 もちろん、甲子園そのものがテーマでもいい。しかし甲子園の歴史ということになると、すでに平成に入って30年、平成が終わってからも2026年で8年目、昭和100年企画としてはずいぶんズレてしまっているし、人物をテーマにしない企画では、人間の成長を描くべき大河ドラマにふさわしくないかもしれない。

 

 するとふとワタクシの頭の中に浮上するのが、長嶋茂雄なのででござるよ。いや、昭和をテーマにしたりすれば、「東京オリムピック噺」「いだてん」同様のfiascoになっちゃう可能性がグイッと高まるのであるが、昭和百年企画に昭和のヒーローを選ぶとしたら、やっぱり長嶋さん、悪くないんじゃないか。

         (銚子電鉄、車内風景)

 

 おりから、今もワタクシは来年の「光る君へ」の出来栄えが心配でならない。「紫式部の誕生から成長を描き、成熟から老いを描く」のだとしたら、そんな針の穴を通すようなことがうまくできるだろうか。特に「成熟から老い」のところが心配だ。

 

 朝ドラの主人公がママになり、オバーチャンになっても、老いのメイクや衣装やら何やらがマコトに中途半端で、息子や娘よりママが若く見えたり、バーチャンより孫が年上に見えたり、同じことが大河でも繰り返されて、その場面での実年齢を知るたびに「日本中が驚きの絶叫」なんてことになりやしないか。

 

 ついでに、登場人物の名前についても、世代間で意見の相違が生まれかねない。中宮・定子、我々の世代は、古文の授業中に厳密に「ていし」と発音させられ、それを「さだこ」と読むとクラス中の爆笑に繋がった。

(ドアは、懐かしい1枚もの。この1枚が豪快にガオッと開く)

 

 しかしすでにドラマでは「さだこ」と決まっているらしい。ということはきっと若い世代の古文の時間では、先生が「さだこ」「さだこ」と教えているのかもしれないが、少なくとも大河ドラマにかじりついている中高年にとっては、あれはどうしても「ていし」。「ていし」が「さだこ」では、きっとジーチャン&バーチャンはイヤでイヤでたまらないんじゃないか。

 

 同様に「彰子」、ワタクシたちの世代のセンセはやっぱり厳しく「しょうし」と発音して教え、これを「あきこ」と読むとやっぱりクラスがドッと沸いた。「しょうし」でない彰子は、どうも違和感が強いのである。

 

 まあ「ドラマはドラマ、あくまでこれはフィクションなのだ、史実を忠実に描くのではないのだ」とは納得ずくで見ることになるのだが、何とかここはひとつ「さだこ」「あきこ」だけは許してもらえないだろうか、そういう偏狭なことを思いながら、とりあえず来年を待つのである。

 (銚子電鉄、1日乗車券。若い車掌さんから直接購入する)

 

 ついでに諸君、バラエティでも構わないから「がくやひめ」という企画はいかが。「かぐやひめ」ではなくて「がくやひめ」、漢字で書けば「楽屋姫」。「オペラ座の怪人」の女子版で、古い劇場の楽屋に居着いた女子妖怪ないし女子幽霊が、若いイケメン俳優たちに様々なアプローチを試みる。

 

 もちろん「オペラ座の怪人」と同様に、彼女のアプローチには何らかの深い事情やら深い心の傷やらが絡んでいるのだが、その事情や心の傷が、全10回シリーズなり12回シリーズなりを通して少しずつ解明され、最終回のクライマックスで一気に解決、楽屋姫は安らかに天国に旅立っていく。

 

 ま、その程度のバラエティドラマ企画、そんなのも思い描きながら、ワタクシはテツヲタ天国、「絶対にあきらめない」の銚子電鉄に乗り込んだのである。

 

1E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN 3/10

2E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN 4/10

3E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN 5/10

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