Fri 230602 もう梅雨末期?/大田神社のカキツバタ/来年は上賀茂神社で競べ馬 4376回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 230602 もう梅雨末期?/大田神社のカキツバタ/来年は上賀茂神社で競べ馬 4376回

 これじゃ、「いきなり梅雨末期」だ。東京は午前中からの雨が夕方ごろに強烈な風雨になり、あとで天気図を眺めてみるに、午後4時半ごろに「線状降水帯」のド真ん中に入っていたようである。

 

 もう3月の頃から「暖かさが2週間早い」「花の咲くのが2週間早い」と、このブログでも異変を嘆き続けてきたが、梅雨入りは3週間早く、線状降水帯の発生も3週間早い。日本の亜熱帯化は加速度的に進み始めたようである。

 

 昨日書いた通り、ワタクシはつい一昨日「東京湾一周コース」というバカげた冒険をしてきたばかりだ。その途上でお世話になった東京湾フェリーがまず止まり、JR京葉線も、内房線も外房線も次々に止まって、いやはや2日ズレていたら、ワタクシは房総半島の真ん中あたりで立ち往生するハメになっていた。

(4月24日、ついに「大田神社のカキツバタ」に遭遇する 1)

 

 今は東海道新幹線もストップしていて、「今日中に運転再開できるかどうか分からない」と言っている。ワタクシは巻き込まれずに済んだが、きっと今頃は東京駅・名古屋駅・京都駅・新大阪駅、大混雑というか大混乱というか、とにかくたいへんな長蛇の列になっているに違いない。

 

 もちろん、旅慣れたビジネスマンの皆さまが多数派だ。混乱もある程度は抑制できているだろうけれども、昨年夏のワタクシは、やっぱり線状降水帯に襲われた福井の駅で、駅の外まで長々と延びた長蛇の列を見たばかりだ。あの時は、暑さと疲労で倒れる人が相次いだ。

 

 アプリをポチポチッと5回か6回操作すれば、そんな長蛇の列に並ばなくて済むんだから、JRの係の人たちはぜひ長蛇の列の皆さまにそれを伝えてあげていただきたい。長蛇の列に1時間も並びながら、せっかくのスマホでゲーム三昧じゃ、あんまりもったいないじゃないか。

 

 新幹線ばかりじゃない。空港もタイヘンだ。電車が終日運休になり、バスも運休、タクシーは人手不足で、車両はあってもドライバーがいない。「ドライバー不足でタクシーがいない」という事態は、この春以降ワタクシも身に沁みて知っているが、駅も空港も、タクシー乗り場は3時間待ちになっている。

(4月24日、ついに「大田神社のカキツバタ」に遭遇する 2)

 

 ヨーロッパや中南米で何度も同様の事態に直面したけれども、こういう大混乱、切り抜けるのにはかなりの機転が必要だ。今井君ほどに旅慣れていても、今日のこの状況、万が一仕事の東奔西走の真っただ中だったり、南船北馬のオデュッセイアの最中だったりしたらと思うとゾッとするばかりだ。

 

 せめてタクシードライバーの増員だけでも、早く進めてもらえないだろうか。コロナの日々にどんどんヤメちゃったドライバーの皆さまに、会社サイドから積極的に連絡して、職場に復帰してもらうように頑張ってくれないだろうか。

 

 だって諸君、今やこんな悪天候じゃなくても、金曜夜のザギンやギロッポンでは、滅多なことではタクシーがつかまらない事態になっている(らしい)。

 

 ワタクシは「アプリを駆使する」という方法で切り抜けているし、「つかまらなきゃオウチまで歩く」という原始的手段に訴えてもいい。というか、「そもそも金曜夜とか雨の日は外出しない」、どんどん消極的になりつつある。それじゃダメだと分かっているが、移動手段がないんじゃ、どうにも致し方ないじゃないか。

(4月24日、ついに「大田神社のカキツバタ」に遭遇する 3)

 

 さて4月24日、京都のワタクシはまだまだ元気&チョー積極的であって、午後2時過ぎまで京都府立植物園を満喫した後は、ひたすら徒歩で京都の北山界隈を闊歩し続けた。

 

 まず目指したのは、カキツバタで有名な大田神社。ワタクシの定番の散策コースであるが、今度こそ大田神社のカキツバタを間近に眺めるチャンスがやってきた。

 

 実は諸君、ワタクシは大学学部生の頃から、「どうしても大田神社のカキツバタが見たい」「何が何でも大田神社のカキツバタが見たい」と熱心に念じ続けてきたのであるが、あの頃から幾星霜、どうしても実現できずにここまで来てしまった。

 

 それと言うのも、大田神社のカキツバタが満開になるのが「5月の連休中」「意地でも大型連休中」という時代が長かったせいである。

 (上賀茂神社。大田神社から徒歩15分ほどでたどり着く)

 

 ゴールデンウィーク中の京都なんか、考えてみるだけでゾッとするほどの大混雑であって、ぞろぞろ長い列にならんで他人の肩越しにやっと見えたか見えないか、「そんなカキツバタなら見なくていいや」と、どうしても尻込みすることになる。

 

 ちょうど、デパートの催事場で行われる新聞社やテレビ局主催の展覧会と同じことである。まずは新聞社が、大量にチケットをバラまく。テレビ局は、来る日も来る日もTVCMで大広告を繰り広げる。

 

 すると、押し寄せるは押し寄せるは、首都圏中&近畿圏中のオジサマ&オバサマ連が、大挙して催事場を占拠する。ゴッホでもゴーギャンでも、セザンヌでもモネでもマネでも、入口あたりに黒山の人だかり、とても呑気に絵なんか眺めている気分ではなくなってしまう。

 

 大田神社のカキツバタも、満開がゴールデンウィークである限り、長らくそんなありさまが予想され、まだ20歳代の気難しい今井君は、毎年毎年「あの神社のカキツバタが見てみたい」と熱い憧れを抱きつつ、なかなかアンヨがそちらのほうに向かなかった。

(5月5日、上賀茂神社では「賀茂競べ馬」が開催される。神事はなんと1093年から続いている。兼好法師も訪れ、織田信長もやってきた)

 

 しかし今年は、「全てのお花が2週間早い」「気候全体は3週間早い」という異常気象。なんでもかんでも嘆いてばかりいるんじゃ情けないから、「よっしゃ、それなら異常気候を逆手にとって、学部生時代から憧れ続けた大田神社のカキツバタ、今年こそ深閑とした神社の静寂の中で眺めてこようじゃないか」と腹を決めた。

 

 北山通りから深泥池近くの大田神社まで、じっくり散策を満喫しながら歩いていけば、1時間ほどの道のりである。昨年から、青もみじ、紅葉の真っ盛り、冬ざれた1月、何度も何度もここを訪問したが、ついにカキツバタが盛りの大田神社を訪ねることができた。

 

 おお、夢ではないか。5分咲きから7分咲きのカキツバタ、午前中に眺めた上御霊神社のイチハツと、写真で見る限りそんなに大きな違いはないが、学部生時代から憧れ続けた風景と言ふものは、やっぱり別格の感動を呼ぶのである。

(賀茂競べ馬の準備が進んでいた。「むち打ちの桜」、この辺で馬にムチが入るらしい)

 

 大田神社から上賀茂神社まで、徒歩で10分か15分ほどの道のりである。この10日後の5月5日には、一の鳥居の内側の広大な芝生のあたりで、「賀茂競馬」が行われる。4月24日、間近にその競馬神事を控えて、準備が着々と進んでいた。

 

「競馬」と書いて「くらべうま」と読む。1093年、堀河天皇の時代に始まった神事で、兼好法師はこの競べ馬を見物に出かけ、「徒然草」の中にその様子を描いた。その300年後だか400年後だか、織田信長どんも賀茂の競べ馬にやってきた。

(寒い1日だったので、夕食は北大路「清修庵」で温かいキツネ蕎麦。おぼろ豆腐が食べ放題になるので、諸君、今井君は4回もオカワリをした)

 

「競べ馬」は2頭1組、約200メートルのコースで行われる。騎手を「乗尻」と呼び、馬のスピードだけではなく、舞楽の装束を身につけた乗尻たちの乗馬の作法やら乗馬技術も試される。

 

「レース」と呼んでいいのかどうかわからないが、とりあえずレースでは、約1馬身の差をつけて2頭の馬を走らせる。その1馬身差が広がれば前を走る馬の勝利、差が縮まれば後ろを走る馬の勝利とする。むかしは合計20頭による10レース、今は10頭による5レースが競われる。

 

 こりゃ諸君、どうしても実際に行って見てみたいじゃないか。兼好法師だってノコノコ見に来たんだ。信長どんだって颯爽と参加したんだ。この今井君が目の当たりにしていけないはずはない。来年2024年、5月5日の予定が、これでビシッと決まったわけである。今から大いに楽しみだ。

 

 なお、せっかくだから、「徒然草」第41段、賀茂の競べ馬を長めに行った日の兼好法師の述懐を以下に引用しておく。まあ読んでみたまえよ。今井ブログほど面白くはないかもしれないが♡、「さすが兼好法師!!」と喝采してくれたまえ。

 

「五月五日、賀茂の競べ馬を見侍りしに、車の前に雑人立ち隔てて見えざりしかば、おのおの下りて、埒のきわに寄りたれど、殊に人多く立ち込みて、分け入りぬべきやうもなし」

 

「かかる折に、向ひなる楝の木に、法師の登りて、木の股についゐて物見るあり。取りつきながら、いたう睡りて、落ちぬべき時に目を醒ます事、たびたびなり」

 

「これを見る人、あざけりあさみて『世の痴れ者かな。かく危き枝の上にて、安き心ありて睡るらむよ』と言ふに、我が心にふと思ひしままに『我らが生死の到来、ただ今にもやあらむ。それを忘れて物見て日を暮らす、愚かなる事は、なほまさりたるものを』と言ひたれば、前なる人ども「まことに、さにこそ候ひけれ。もっとも愚かに候ふ」と言ひて、みな後を見返りて「ここに入らせ給へ」とて、所を去りて、呼び入れ侍りにき」

 

かほどの理、誰かは思ひよらざらんなれども、折からの思ひかけぬ心地して、胸に当りけるにや。人、木石にあらねば、時にとりて物に感ずることなきにあらず

 

 どうですか、「いまこの時にも死が訪れるかもしれないのに、見物なんかして毎日ノンキに暮らしている。こんな愚かなことがありますかね?」とおっしゃる。

 

 いやはや、「東京湾一周」だの、「来年は競べ馬を見に行こう」だの、「いずれアヤメかカキツバタ」だの、今井君は兼好法師に叱られてションボリ、「やっぱりもっと真面目に生きなきゃな」と反省しきりの雨の夜になった。

 

 もっとも兼好どん、そんなこと言って結局アナタ、マコトに巧みに見物の前のほうに割り込んだんじゃございませんか? 「口八丁&手八丁」、そんな気もして仕方ないのである。 

 

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6D(DMv) THE PERFECT ENEMY

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