Mon 230529 新ジャンル「昭和劇」を提案する/上御霊神社にイチハツを見に行く 4373回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 230529 新ジャンル「昭和劇」を提案する/上御霊神社にイチハツを見に行く 4373回

 時の流れは速いもので、感動の広島サミットからあっという間に10日が過ぎ去った。ワタクシも「思うところあってお酒の量を減らします」「ここから5000回達成まで一気に行きます。滅多なことでは休みません」と2つの宣言をして、まあとりあえず10日の間は有言実行できている。

 

 思いおこせば先週の日曜日、「どうしてまる子ちゃんが始まらないの?」「もしかしてサザエさんも放送休止?」みたいな驚きの声が日本中から上がったものだった。かく言うワタクシも、「これは全面的にNHKの報道に任せるべき案件ではないか?」と、ふと首をひねったものだった。

 

 あの日、「笑点」は放送したんだろうか。日曜日の夕方を待ちかねているオジーチャンやオバーチャンのために、せめて「笑点」ぐらいは、災害でもないかぎり放送を続けた方がいいと思った。

 

 ワタクシは、「笑点」「まる子ちゃん」「サザエさん」、3つともにたいへん縁が薄くて、まる子ちゃんは半年に1回、サザエさんもやっぱり半年に1回、「笑点」となるとおそらく30年に1回、最後に見たのはおそらく平成の初めか昭和の終わり頃である。

 

 いや、正直に言えば、小学校高学年か中学1年の頃までは、ほぼ毎週「笑点」を見てゲラゲラ笑っていたのだ。落語家の中では桂小南と三遊亭小円遊の2人が好きで、「笑点」を見なくなったのは、何だかずいぶんお説教くさい落語家が、大喜利の司会を務めるようになってからである。

 (京都・上御霊神社のイチハツ。詳細は、明日の記事で 1)

 

「サザエさん」については、1990年代の初めに予備校講師を始めてすぐ、定番の雑談の中に「サザエさん、もうそろそろヤメにした方がよくないか?」というのを入れたほど、当時の若き今井君はあまりの時代錯誤に激しい違和感を居抱いていた。

 

 ちょうどその頃「磯野家の謎」というタイトルの本がベストセラーになり、何と200万部も売れた。サブタイトルには「サザエさんに隠された69の驚き」とあり、著者というか何というか、「東京サザエさん学会」と記されている。

 

 そういう本を読んでしまうと、どうしても自分の雑談に本の内容の影響を受け、せっかくの雑談のオリジナリティ♡が消えてしまうから、今井君はその本を手に取ることさえしなかったが、まあ中身は今井の雑談と同じようなものだったらしい。

 

 何と言ってもまず、年齢の問題があった。サザエさんが10歳代だなんて、普通信じられるかね? 弟のカツオが小学生なんだから、どうしてもカツオの実年齢は11歳程度。妹ワカメが7歳か8歳だとすれば、姉のサザエはせいぜいで18歳。まあ何か事情があったとしても、20歳ちょい程度でなければならない。

 

 その段階で十分にひっくり返るが、するとその父親、禿げた頭に毛が1本ポヨーンと残っている「波平」さん、あの男子が40歳代後半から50歳代前半、その妻「ふね」も40歳代後半から50歳代前半ということになる。

 

 でも諸君、どうしたってあの2人は60歳代半ばに見えないか。毎日お勤めに出てはいるが、見るからに60歳で定年退職 → 再雇用という年恰好、老齢年金の受給を70歳まで繰り下げてホクホク、「わしゃまだ元気だ」という雰囲気が濃厚だ。

 

 波平49歳、ふね47歳、サザエ19歳。そういうことになると、やっぱり1990年代の若き今井君としては、当時18歳の生徒諸君に向けて、大切な授業時間を10分ほど割き、「もうあの番組はヤメにしよう」と演説を始めずにはいられなかった。だって、目の前の受験生たちとサザエさんが同年代だなんて、どうしても受け入れがたいじゃないか。

(京都・上御霊(かみごりょう)神社にて。詳細は、明日の記事で 1)

 

 しかしやっぱり名作は名作なので、気がつけば2023年、あれから30年の間の激しい視聴率ツバぜりあいを見事に勝ち抜いて、世帯視聴率6%を確保している。世界の7不思議に入れてあげたいぐらいだ。

 

 NHKの朝ドラや大河ドラマが大苦戦している中で、特に営業努力もせずに「来週も見てくださいねぇ、うーふふふふぅ♡」「じゃんけんぽん、うーふふふふぅ♡」、おそらく19歳、サザエさんの「うーふふふふぅ♡」で締めくくっただけで6%、そりゃもう奇跡的としか言いようがない。

 

 常に家族全員で小さな卓袱台を囲み、朝食でも夕食でも、ほぼ全員がそろう。誰も見ていないテレビは、おそらく「カラーテレビ」であるが、食事の時間は絶対にテレビをつけない。

 

 そのテレビは昭和独特の「家具調テレビ」、デザインは昭和の日立「ポンパ」に見えるが、何しろ「東芝がお送りいたしまーす♡」であり、サザエさんに続いてイクラちゃんだったかタラコちゃんだったかスジコちゃんだったかが「いたしまーす♡」とおっしゃるんだから、テレビは間違いなく東芝、間違っても日立のポンパではない。

 

 カツオもワカメも決して食事中にゲームなんかしない。ネコも決して食卓に飛び乗ったりしない。ましてや「スマホをいじる」「家族1人1人がバラバラにスマホを見ている」などという悲劇的な事態にはならない。かかってくる電話は、茶の間の向こうの廊下の黒電話。酒屋やクリーニング屋の「御用聞き」なんてのも「勝手口」にやってくる。

 (京都・上御霊神社のイチハツ。詳細は、明日の記事で 2)

 

 ここまで徹底して全ての変化を拒絶し、何が何でも昭和の牙城を守ろうとする姿勢は、30年前の今井君ならいざ知らず、今やワタクシには強烈に感動的なものに思えるのである。

 

 もしもサザエさんを21世紀ジーチャンとマゴが一緒に見ることがあったら、「あれなーに」「あの人だーれ」「どうして裏口のドアに鍵もかけてないの?」「いきなり玄関が開いて『ごめんください』とか言ってるけど、セキュリティは大丈夫なの?」、幼稚園児のマゴとしては、セキュリティが心配でたまらないだろう。

 

 ところが諸君、ウワサで聞いたのだが(何しろもう1年近くサザエさんにご無沙汰しているのだ)、どうも最近、サザエさんがヒヨったか何かで、「プッシュ式電話」やら「子機」やらが画面に映るようになり、ついについにスマホが登場したり、軽薄な21世紀的要素が侵入し始めたらしいのだ。

 

 そりゃダメだ、サザエさん。あなたたちはどこまでも20世紀の砦であり、昭和の牙城でいてくれなきゃいかん。50歳近い男たちはみんなハゲ頭にポヨ毛が1本。何が何でも黒電話。朝も晩も子供たちは必ず正座してゴハン。そういう昭和の堅固な砦が、どうしても民放の日曜6時台にガンバっていてくれなきゃ困る。

 (京都・上御霊神社のイチハツ。詳細は、明日の記事で 3)

 

 というか、ワタクシはテレビの世界の人々に、1つの提案があるのだ。新ジャンル「昭和劇」と「昭和ステージ」のご提案だ。

 

 むかしむかし、民放テレビの世界には「時代劇」というものが君臨した。1960年代から1970年代、ゴールデンタイムにはどこかの局で必ず時代劇をやっていた。

 

「3匹が斬る」「オランダ左近」「切り捨て御免」「悪党狩り」「剣客商売」「大江戸捜査網」。岡っ引きと八丁堀の同心が江戸の街を飛んだり跳ねたり、たいへんな大活躍だった。カンヌのヒーロー:役所広司どんだって、「3匹が斬る」で高橋英樹&春風亭小朝を仲間に、毎週毎週許しがたい悪党たちをコテンパンに切り刻んでいた。

 

 しかし今や時代劇なんか、東京キー局は相手にしない。仕方なくジーチャン&バーチャンは、老眼でリモコンと格闘しながら何とか「CS」というものに辿りつき、わずかな年金で「時代劇専門チャンネル」を眺めるしかないのである。

(京都・上御霊(かみごりょう)神社にて。詳細は、明日の記事で 2)

 

 それも仕方ないだろう。ちょんまげの世の中が終わって、すでに150年が経過、ちょんまげ世界はリアリティがなさすぎる。

 

 1960年代や70年代の頃なら、ちょんまげ時代からまだ100年、映画もお芝居もまだちょんまげ時代を主流にしていた。しかしさすがに150年も経過すれば、ちょんまげ世界の記憶はほぼ世の中から消滅。若い人々への訴求力がなくなって当然だ。

 

 そこでワタクシの「昭和劇」「昭和ステージ」という新ジャンル提案に至るわけだ。ちょんまげ時代とは違って、昭和の世界ならその最盛期からまだ50年。サザエさんの世界をもっともっと進化させて、演劇やドラマや映画に構成したらどうだろう。

 

 だって諸君、NHK-BSで5月に一気放映した「男たちの旅路」全3シリーズ、ものすげー面白かった。鶴田浩二、桃井かおり、水谷豊、池部良、柴俊夫。岸本加世子、根津甚八、久我美子、中条静夫。笠智衆、加藤嘉、殿山泰司。1976年から1982年にかけての放送だけれども、この俳優陣で面白くないわけがない。

 (京都・上御霊神社のイチハツ。詳細は、明日の記事で 5)

 

 このレベルの昭和劇の「新作」を、どんどん新しく制作していったらいいと思うのだ。

 

 50年も昔のフィルムを倉庫の奥から探しだしてきて放送するんじゃなくて、昭和の設定、昭和の時代考証、昭和の空気や言葉遣いや表情を徹底的に追求し、21世紀の若い俳優陣と若い演出家とで、ホントに「昭和劇」というジャンルを切り開いていけないだろうか。

 

 ついでにワタクシ、「昭和ステージ」にも期待している。昭和タイプのバラエティの復活だ。21世紀は、バラエティ劣化の時代になりかけている。

 

 芸人たちが身内バナシで盛り上がり、罰ゲームに興じ、互いにせせら笑い、スタジオにメシを運び込んでは、「んんんー!!」と表情を歪めて美味を表現する。どの番組もみんなおんなじだ。

 

 ワタクシが提案したいのは、かつてあんなに華やかで明るかった昭和バラエティの復活だ。お手本として「ヤングおー!おー!」をあげておく。1969年から1982年、大阪毎日放送(MBS)。日曜午後6時台を席巻したバラエティである。

 

 桂三枝、笑福亭仁鶴、やすし&きよし。最後の方になって明石家さんまも登場し、タイガース小林繁投手のモノマネでブレイクした。アイドルたちのお歌が中心のバラエティだったが、やっぱり昭和のステージがいいのは、罰ゲームやせせら笑いが存在しない無条件の明るさのせいだろう。

 (京都・上御霊神社のイチハツ。詳細は、明日の記事で 5)

 

 裏番組と言っては語弊があるが、「笑点」とNHK「レッツゴーヤング」とが同じ時間帯のライバル。「ヤング」という集合名詞が存在し、「ヤングの皆さん、こんにちは」とか「ヤングのみんなぁ、頑張ってるかーい?」とか、まあそんな使い方をした。

 

 もしもその「ヤングのみんな」を目撃したければ、それこそYouTubeで「ヤング101」ないし「ステージ101」を見てみてくれたまえ。何だかずいぶん年長に見えるヤング女子、みんな同じ顔に見える1970年代の長髪ヤング男子、そういう「ヤング」が明るく歌って踊る昭和ステージを、21世紀の諸君も目撃できると思う。

 

 ところで本日掲載した写真は、全て京都鞍馬口・上御霊神社のイチハツを撮ったもの。こんなに奥ゆかしい紫の花の群落、他ではなかなか見られないだろう。しかし、今日もさすがに長く書き過ぎた。詳細は、すべて明日の記事で。

 

E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN 7/10

E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN 8/10

E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN 9/10

E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN 10/10

E(Cd) Solti & Chicago:BEETHOVEN/SYMPHONIES 1/6

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