Tue 230425 名優の訃報/歌舞伎雑感/バエ優先が多すぎないか/天龍浜名湖鉄道 4351回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 230425 名優の訃報/歌舞伎雑感/バエ優先が多すぎないか/天龍浜名湖鉄道 4351回

 坂本龍一が亡くなったのが、3月28日。名優・奈良岡朋子が亡くなったのが、その5日前の3月23日。奈良岡朋子は、例えばNHK大河ドラマ「篤姫」のナレーターとしても有名だった。

 

 宮崎あおい主演の「篤姫」がNHK-BS4Kで再放送されるということで、NHKは連日連夜の大番宣を打っているが、まさにちょうどその番宣の真っただ中に、ナレーター奈良岡朋子が亡くなってしまった。

 

 そして今度は市川左團次が亡くなり、せっかく「久しぶりに団菊左(だんきくさ)が揃ったな」と思っていたら、久々の団菊左、あっという間に終わりになってしまった(本日は全て「敬称略」といたします)。

 

 もちろん、団十郎と菊五郎と左団次が3人揃えば何でもかんでも「団菊左」の名に値する訳ではない。3人が3人とも押しも押されもせぬ名優でなければ「団菊左」とは言われない。明治時代の初期、9代目団十郎・5代目菊五郎・初代左団次が揃って、これを歌舞伎の世界では「団菊左」と呼んだ。

 

 しかしとにかくホントに久しぶりに、市川海老蔵がニュー団十郎だということになって、令和には令和なりの「団菊左」がスタートしたばかりだった。こんなにアッサリとニュー団菊左時代が終わってしまって、マコトに残念だ。

(3月6日、天龍浜名湖鉄道で、奥浜名湖の日帰り旅を満喫 1)

 

 市川左團次は、テレビドラマにも多数出演した。というか、20世紀後半から21世紀初頭にかけては、歌舞伎俳優がナンボでも遠慮なくテレビに登場していたのである。

 

 昭和バージョン団菊左の一翼を担った尾上菊五郎だって、菊五郎を襲名する前の尾上菊之助時代から、テレビの時代劇に出ずっぱりだった。

 

 NHK大河ドラマ草創期、1966年「源義経」は今でも有名だし、民放の時代劇で「悪党狩り」なんてのにも主役を張った。悪党の屋敷に横笛を吹きながら単独で乱入し、悪党一味を数十人、約1分半で撫で斬りにするというマコトに荒唐無稽なドラマ。当時の歌舞伎界のスーパースターが、そんなドラマで主演していたのである。

 

「鬼平犯科帳」が代表作ということになってしまった中村吉右衛門も、他に「切り捨て御免!!」とか、数十人・数十秒・一気に撫で斬りタイプの、「悪党狩り」に負けず劣らず乱暴なドラマにも躊躇なく出ていた。21世紀の歌舞伎スターの皆様も、もっとどんどんテレビ出演すべきなのではないか。

 

 それこそ「枚挙に遑がない」であって、もちろん「遑」と書いて「いとま」、その「遑」の文字についても、ここに漢和辞典並みの今井の深い知識を披露してもいいのであるが、それはまた後日に譲る。

(3月6日、天龍浜名湖鉄道で、奥浜名湖の日帰り旅を満喫 2)

 

 そこでその「枚挙」であるが、中村富十郎・中村梅之助・片岡孝夫時代の片岡仁左衛門・坂東八十助時代の坂東三津五郎・中村竹弥・市村竹之丞・中村勘三郎・尾上松緑・ニュー団十郎のパパの先代団十郎、それこそ「遑がない」の実例そのものである。

 

 時代劇の人気が長期下降線を辿れば致し方ないのかもしれないが、歌舞伎および歌舞伎傍系の俳優たちの、テレビの世界への露出が少なくなって、ワタクシのようなファンはマコトに寂しい思いをしている。

 

 今井君は40年前に人形浄瑠璃を知って以来、近世演劇については文楽一辺倒。実は今日もまた文楽を観に大阪に来ているのであるが、あくまで文楽のライバルとして、歌舞伎の世界も応援したいことは人後に落ちない自信がある。

(3月6日、天龍浜名湖鉄道で、奥浜名湖の日帰り旅を満喫 3)

 

 どうして「文楽歌舞伎」の40年が続いたかといえば、要するにワタクシ、「厚塗り」が苦手なのだ。あれほど強烈に厚塗りして、例えばお顔の皮膚のアレルギーなんかは大丈夫なんだろうか。

 

 もちろん文楽でも、三味線弾きや太夫さんの中にも舞台用メイクをしてらっしゃる人も見かける。でもそれはあくまで人前に出るエチケットとしての薄メイクという発想であって、もともとのお顔がわからなくなるほどのスーパー厚塗りとはワケが違う。

 

 シンガーでも女優さんでも男優さんでも、21世紀には歌舞伎俳優並みの厚塗りさんが多くなって、今井君みたいな神経質なオジサマは、それなりに辟易しているのである。

 

 これは決して批判とか非難ではなくて、あくまで好みの問題にすぎないが、ワタクシなんかはどんな世界でも、厚塗りさんが近くに寄って来ただけで、ほうほうのていで逃げ帰るというか、慌ててチャンネルを変えるというか、ドアに鍵をかけて閉じこもるとか、要するにどうしてもダメなのだ。

(3月6日、天龍浜名湖鉄道で、奥浜名湖の日帰り旅を満喫 4)

 

 そんなワタクシがもう10年も前、某テレビ局のバラエティに出演を依頼され、担当者から「メイクをします」と言われた時に、どんな態度に出たか、諸君、まあ想像してくれたまえ。

 

「そんなの絶対イヤ」であり、「どんなに自分が醜く見えても、何が何でもノーメイクでいたい」であり、「断固拒否」「強烈な不満と断固たる反対を表明」であって、一計を案じた今井君は「実は皮膚にアレルギーがありまして …」と、とっさにウソをついた。ウソも方便、こういうピンチでは許されていいんじゃないか。

(3月6日、天龍浜名湖鉄道で、奥浜名湖の日帰り旅を満喫 5)

 

 予備校の世界でも、何しろバエ優先の時代に突入。バエさえするなら、もう「メイクが当然」なのであって、男性講師でもメイクはごく普通になったようである。

 

 だって映像授業であり、画面に大うつしになるのに、意地でもノーメイクで通すというのは、さっきの文楽の三味線や太夫さんの場合と同じように、エチケットに反すると考えるのもまた当然じゃないか。

 

 ただワタクシだけは、どんなにバエバエ時代が続いても、「バエなくていいです」「バエなくて全然かまわないです」を通したい。おお、ワガママでござるね。でも諸君、典型的昭和男として、20世紀の生き残りとして、どこまでも頑固に「中身のみで勝負」を続けていきたいのだ。

 

 昔の予備校で、英語の先生がウルトラマンのカッコで教壇に立って大喝采を浴びたことがあった。しかしその大喝采は、最初の数分だけ。やがて爆笑と喝采がやんで睡魔が襲い始めると、教室内の雰囲気は強烈に凍りつき、30分過ぎからの1時間はほぼ地獄絵図。とてもバエどころではなくなった。

 

 同じように、チャイナドレスで教壇に立った漢文講師女子もいた。戦国時代の授業の時、鎧&兜の武将姿で登壇した日本史講師もいた。みんなみんな、まもなくこの世界から消えてしまった。唯一長くこの世界に君臨したのは、シルクハットにフロックコートでの数学講義を試みた秋山仁センセぐらいのものである。

(3月6日、天龍浜名湖鉄道で、奥浜名湖の日帰り旅を満喫 6)

 

 ラーメンのバエのために、チャーシューてんこ盛りで「麺もスープも見えません」みたいなのは、今井君はダメなのだ。うな重のバエのために、「うなぎが重箱から前後20cmずつハミ出ています」というのも、ワタクシにはムリなのだ。

 

 そういうのは、かき氷でもパフェでもケーキでも、アナゴの握り寿司でも一緒。バエのために「なんだこりゃあ?」と、バラエティタレントさんたちが絶叫するようなのも一緒。いやはや、もう一度繰り返すけれども、別に批判するのではなくて、あくまでも好き嫌いの問題、ワタクシは、ダメなものはやっぱりダメなのだ。

(奥浜名湖、西鹿島駅。ここで天浜線から遠鉄電車に乗り換える)

 

 その類いのバエの世界、鉄道やヒコーキにも少なくない。ポケモンジェットとかスターウォーズジェットとか、新幹線でも、キティちゃん新幹線に、京都から関西空港に向かう「はるか」全車両、みんなみんなバエバエバエで、ちょっと行き過ぎなんじゃあーりませんか?

 

 その種のヒコーキや新幹線に乗りこんでみると、盛り上がっているのはごくごく内輪の数人と、乗務員の皆さんだけ、乗客の大半は日々の激務で疲れ切り「どうでもいいから寝かしてくれ」という顔色の悪いオジサマばかり、何だか見ていられない。

 

 そのあたりは、今日の写真の「天竜浜名湖鉄道」でも同じことである。3月6日、名古屋3連泊中だったワタクシは、仕事は夕方7時からだったので、朝早めに名古屋を出て浜名湖一周を試みようと思い立った。

(浜松ゆき、遠鉄電車。キャラクターなし、シンプルな電車でホッとする)

 

 名古屋から名鉄の特急で豊橋へ、豊橋で東海道線に乗り換えて「新所腹」にたどり着いた。「天龍浜名湖鉄道」は、奥浜名湖を右に見ながら、ゆっくりゆっくり西に向かう。もし「バエ」というものがなかったら、マコトに穏やかなローカル鉄道である。

 

 しかし残念なことに、ここもやっぱりバエが支配している。電車は一面「ゆるキャン」なるもののキャラクターたちに占拠され、キティちゃん新幹線並みに「ゆるキャン」女子高生キャラクターでいっぱいだ。

 

 まあ間違いなく、ファンにはたまらない大サービスなのだが、乗客の皆様を眺めてみるに、「ゆるキャン」ファンと思しき姿は余り見当たらない。乗り鉄や撮り鉄の皆様は確かに多いけれども、何だかみんな不機嫌で、あえてその「ゆるキャン」と言ふものを避けて写真を撮っているように見えた。

(浜松の名店、錦華楼。ラーメンも餃子も高評価の店である。ラーメン豚さん、むかしむかしはさぞかしバエたであろう)

 

 思い出すのは、JR四国の「アンパンマン列車」である。岡山から四国方面に向かう特急列車のキャラクターは、徹底的にアンパンマンなのだ。

 

 乗客がどんなに疲れたサラリーマンだらけでも、電車全体がアンパンマンキャラクターでバエバエ、車内放送までアンパンマンの声が流れる。サラリーマンは疲労倍増、げっそりした顔で列車を降りていく。

 

「もうヤメた方がよくないか、こんなことは」と思いめぐらしながら1時間が経過。天竜浜名湖鉄道、略して「天浜線」は西鹿島駅に到着した。

 

 ワタクシはここで遠鉄電車に乗り換えて浜松に向かう。だってそろそろ浜松でうなぎを貪り、ちゃんと名古屋に帰らないと、夕暮れからの仕事に間に合わなくなってしまう。

 

1E(Cd) Eduardo Egüez:THE LUTE MUSIC OF J.S.BACH vol.2

2E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN 1/10

3E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN 2/10

4E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN 3/10

5E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN 4/10

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