Sun 230129 新テキスト完成/北野天満宮・お茶壺行列/3500人のプラカード 4316回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 230129 新テキスト完成/北野天満宮・お茶壺行列/3500人のプラカード 4316回

 そろそろ早春の全国行脚というか、公開授業のオデュッセイアというか、長い旅の日々が近づいている。今のワタクシは、全国行脚のスタートに先立って、講演会やら公開授業やらで使用するテキストの準備に余念がない。

 

 2022年と2023年では、使用するテキストが「ある程度」ではあるが異なるのである。一番難しい京都大学系のテキストは、完全に変更して新しくした。他のテキストにも部分的な変更や修正を加えて、たった90分の公開授業が1cmでも1mmでもよくなる努力を続けている。

 

 すでに本部には新テキスト原稿を送付して、準備を整えてもらっている。実施予定の校舎スタッフの皆さんも、参加予定の受講生の皆さんも、1人でも多くの諸君が「極めて満足」と言ってくれるように、出来る限り早く準備を進めていただいたい。

 (2022年11月26日、京都北野天満宮「お茶壺行列」 1)

 

 かく言う今井君も、出来上がった新テキスト群を、1日に1時間はボンヤリ眺めながら、心の準備を怠らない。「たった1時間ですか?」「ボンヤリ眺めるだけですか?」と思うかもしれないけれども、その「ボンヤリ」がいいのだ。

 

 テキストをボンヤリ眺めつつ、

「これも話したい」

「あれも話した方がいい」

「いや、あの話は削除した方がいい」

「この話の挿入のタイミングは、昨年までは冒頭だったが、むしろ開始30分後のほうがいい」

というふうに、次第次第にイメージが出来上がってくる。カンタンに言えば、この毎日1時間のボンヤリこそ、最も大事で最も楽しい準備期間なのだ。

(11月25日、千葉県・海浜幕張で公開授業。駅前のイルミネーションがキレイだった)

 

 さて本日の写真であるが、昨年11月26日、京都・北野天満宮でのもの。11月26日から12月1日まで1週間弱の京都滞在で、10年に1度の当たり年だった2022年の京都の紅葉を満喫した。

 

「ええっ? また京都ですか?」であるが、まさに間違いなく「そうです、また京都です」であって、2022年の京都滞在はのべ60日近くに及び、「ありゃりゃ、それじゃもう京都に住んじゃえばいいじゃないですか」と呆れられるのも全く不思議ではなかった。

 

 だって仕方がないじゃないか。コロナが始まってまもなく丸3年。「クルーズ船は除きます」のテロップが出ていた頃、日々の感染者数が2桁とか3桁とか、「第2波&第3波は必ずやってきます」と表情を硬くしていた頃から、ホントに丸3年海外に出られず、かつて「日々旅にして旅を住処」としていた今井君のフラストレーションは溜まりに溜まり、京都で鬱憤を晴らすしかなくなっていた。

(東京駅で購入、老舗「松山」の「米澤牛 牛肉辨當」。オイシューございました 1)

 

 11月26日朝7時、ずいぶん早い新幹線で京都に向かった。ふだん朝飯を食べないわりに、いざ旅に出るとなると必ず張り切ってデカい駅弁を買うのである。しかも今回は仕事は一切ナシ、100%観光オンリーの旅だから、駅弁にプラスしてビアに日本酒に赤ワイン、好き放題の朝になった。

 

 しかしまあ駅弁というものは、どうしてそんなにコメだらけになるんだろうか。東京駅に並んでいた駅弁のうち、一番旨そうだったのが写真の「米澤牛 牛肉辨當」だったのであるが、すき焼き風味の米沢牛が薄く並べられたその下は「これでもか?」と全てコメなのだ。

 

 吉野家の牛丼の3倍ぐらいのコメが、ぎゅっと硬い直方体の形に詰め込まれて、朝7時の今井君の胃袋を迎え撃つ。いつもなら東京駅を出発して品川まで、たった6分間で全て咀嚼&嚥下の対象となる弁当が、新横浜を過ぎてもまだ残っていた。

(東京駅で購入、老舗「松山」の「米澤牛 牛肉辨當。オイシューございました 2)

 

 しかし、後はまあ快適なものである。名古屋まで、D席の窓に展開する富士山と浜名湖の風景を満喫しながら、赤ワインの大瓶をじっくり味わって行く。「えっ? 大瓶ですか?」の驚きはもっともであるが、何しろこの頃から網膜剥離の不吉な前兆に苦しんでいたのだ。許してくれたまえ。

 

 名古屋の手前からは、酔いも回って惰眠を貪りたくなる。惰眠の合図は、豊橋の通過。ここから岐阜羽島通過あたりまでじっくり惰眠を楽しめば、やがて関ヶ原の古戦場、伊吹山、遥かな琵琶湖の輝き、佐和山城址の小高い丘、すべてD席の特権だ。

 

 さて北野天満宮であるが、この日は午前11時前から「お茶壺行列」が行われる。正式には「お茶壺奉献祭」「口切式」であるが、午前11時前からのこの行列を見物するのが、朝7時に米沢牛辨當をむさぼったり、朝の赤ワイン大瓶を空っぽにしたりした目的だった。

 (2022年11月26日、京都北野天満宮「お茶壺行列」 2)

 

 まあ少し難しいことも書いておけば、豊臣秀吉が1587年に北野天満宮で開いた「北野大茶之湯」が始まり。お茶壺行列は、数日後の献茶祭で用いる抹茶のモト  「碾茶」を天満宮の本殿に届ける。碾茶と書いて「てんちゃ」と読む。

 

 お茶壺を納めた唐ビツは、白装束の若者たちに担がれて、一の鳥居前を出発。アカネ色のタスキ姿の若い女性たちが「伏見桃山」「木幡」「宇治」「莵道」「小倉」「山城」など、京都府内の茶どころのプラカードを掲げて行列を先導、雅楽の音とともに意外な早足で運ばれ、まもなく神前に奉納される。

 

 まあ諸君、下の写真を眺めてくれたまえ。プラカードが先導する大行進。夏の甲子園の開会式そっくりじゃないか。子どもの頃の今井君は、毎年8月7日だか8日だか、朝9時のNHKテレビにかじりつき、甲子園のオニーチャンたちの入場行進を夢中になって眺めたものだ。

 

 甲子園の入場行進を先導するのは、むかしむかしのその昔から「市立西宮高校」の高2女子。戦前戦中には「西宮高等女学校」だった市立西宮高校は、今では共学「いちにし」の略称、兵庫県トップクラスの名門校に成長している。作詞家の岩谷時子サンとか、ドラムスの村上ポンタ秀一どんとか、有名人も多く輩出している。

 (2022年11月26日、京都北野天満宮「お茶壺行列」 3)

 

「いちにし」の高2生が甲子園のプラカードを担当するようになったのは、昭和24年のことである。以降70年。プラカード女子の厳しい選考オーディションを経て、ようやく晴れの舞台に立つ。

 

 いやはや、何と70年の伝統だ。1年に50人が選ばれるとして、70年で3500人のプラカード女子。昭和24年のオカタは、今や90歳に近い。選手たちとの交流とか、「1年後にまた会いましょうね」とか、それなりのアオハル系やロマンス系も、数多くあったんじゃあーりませんか?

 (2022年11月26日、京都北野天満宮「お茶壺行列」 4)

 

 昭和の高校球児というのは、今では考えられないほどのアイドル扱いであって、同じ昭和のアイドル雑誌「平凡」「明星」とそっくりに、高校球児たちがニッコリ表紙を飾る雑誌なんかも少なくなかった。さぞかしオーディションも盛り上がったことだろう。

 

 3500人の元プラカード女子が一堂に会するイベントなんても、もしかすると存在するんじゃないか。70歳・80歳・90歳のおばーちゃんたちが、昭和の甲子園開会式の熱気を懐かしく語り合うシーン、もちろん関西きっての高級住宅地・西宮だ、上品な関西コトバで昭和の熱気を語り合う情景も、なかなか奥ゆかしいじゃないか。

 (2022年11月26日、京都北野天満宮「お茶壺行列」 5)

 

 さてこうしてワタクシは、ふと夏の甲子園を思いながら、お茶壺行列にくっついて本殿にたどり着いた。行列は意外なほど素っ気なく、早足で進むのである。京都の人は、いつもしっとり落ち着いているようでいて、いざとなると驚くほど歩くのが速い。

 

 天満宮本殿の神事には、京都府内の製茶業者などが参列。厳かに「口切式」が営まれる。集まった各地の茶壺を開封し、木箱に茶を移しながら、お茶業界の発展を祈願する。

      (京都北野天満宮、飛梅)

 

 ただしこのあたりからは、本殿の奥の薄闇で静かに着々と進められ、観光客なんかの関われる部分はほとんど皆無。ワタクシは、プラカード行列が満喫できたことにすっかり満足、さっさと「御土居」のほうに周り、繰り返すが「10年に1度の当たり年」だった2022年の京都の紅葉を楽しむことにした。

 

 なお、本日ラストの写真は、菅原道眞どんゆかりの「飛び梅」だ。これからいよいよ受験本番を迎える諸君は、是非この飛び梅、絶好のオマモリと思って、じっと目蓋の奥に焼き付けてくれたまえ。

 

1E(Cd) Karajan & Wiener:BEETHOVEN/MISSA SOLEMNIS 2/2

2E(Cd) Furtwängler & Vienna:BEETHOVEN/SYMPHONY No.7

3E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du Pré:BEETHOVEN/PIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 1/9

4E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du Pré:BEETHOVEN/PIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 2/9

5E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du Pré:BEETHOVEN/PIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 3/9

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