Sun 221225 緊迫の網膜剥離、緊急手術/さすが名医/早春スケジュールも確定 4304回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 221225 緊迫の網膜剥離、緊急手術/さすが名医/早春スケジュールも確定 4304回

 いま、左目の視力がほとんどない。先週19日に、網膜剥離の緊急手術を受け、眼球内に圧力の高い治療用ガスを注入した。

 

 なにぶんにも東京都内屈指の「隠れた名医」だから、当然のように手術はカンペキに成功して、あとはこれから4週間、安静にして回復を待てば、視力は完全に戻る。

 

 しかし問題は、このブログである。執筆4300回を超えたところ。「5000回を目指す」とまで豪語しておきながら、そこでプッツリいきなり2週間も、何の連絡もなしに更新が途切れれば、さぞかし心配した読者もいらっしゃっただろう。「すわ、今井がとうとう力尽きたか」と、思わずニヤニヤした人だっていたかもしれない。

 

 ところがどっこい、今井はちっとも力尽きてなんかいないのである。知力・体力・精神力、3者揃って今もムキムキ、面と向かって会ってみればわかるが、そんじょそこいらの人間なら、瞬時に吹き飛ばして差し上げるほどの迫力が漲っている。

(神戸からすぐの須磨海岸、山陽電鉄「すま」の駅、11月8日。本文とは何の関係もありません)

 

 だから諸君、「今井に直接会ってみよう」などという無謀な欲望は、捨ててしまった方がいい。

 

 夏目漱石「三四郎」に登場する「広田先生」は、何しろ旧制一高で英語を担当するほどの知識人だ。その人格は「偉大なる暗闇」と言ふ表現で示される。

 

 それに比べて諸君、予備校の世界で英語と雑談を武器に30年生き抜いてきた今井先生と言へば、要するに何の秩序も存在しないドロドロのカオス、しかも「手術のあと1週間はお風呂に入っちゃいけません」と宣告された、悪臭漂うカオスである。

 

 だから「直接会う」なんてのは、諸君を冬眠中のクマ数頭分の体臭が包み込むことを意味するのであって、「入浴もダメ」「頭を洗うのは厳禁」「それを守れなければ、眼炎から失明に一直線」と言い渡されている以上。滅多なことでは外出も出来ない。

(11月8日。大阪滞在中の今井は、神戸の須磨寺を訪れた 1)

 

 だから諸君、19日の手術以来、ワタクシは肉体も精神もモンモン、肉体の底の底から溢れかえるエネルギーを持て余し、万が一ノコノコ訪ねてくる人物でもあれば、頭の先からワッシワシ、あっという間に平らげてしまうほどのモンモンぶりでほぼ1週間が経過した。

 

「奥州安達原」のヤマンバは、迷って訪ねてきた旅人の腕をスポンと一息に引き抜いて、ムシャムシャ胃袋に収めてしまうが、まあ今の今井の勢いはあのヤマンバに劣らない。

 

 そう言えば、30年前の渋谷のヤマンバどんたちも、そろそろ50歳に到達するはずだが、どんなヤマンバに成長なさったか、少し興味はあっても、その姿は決して目撃したくない。

(11月8日。大阪滞在中の今井は、神戸の須磨寺を訪れた 2)

 

 さて、ワタクシの左のお目目であるが、繰り返すようだが「都内屈指の隠れた名医」の執刀であるから、手術はわずか30分で完了。「網膜剥離」と言えば、失明一歩手前、2時間3時間を争う緊急手術の世界であるが、さすが名医、手術台に座って、麻酔が始まって、あらら、あっという間に全てが済んだ。

 

 予兆はあったのだ。左目の飛蚊症がグンと悪化したのは、4年ほど前。長い読者なら覚えていてくれるだろうが、昨年10月に反対の右目を手術した。あれは「網膜付着物切除」という軽めの手術。あの時すでに左目の飛蚊症も、我慢できないぐらいひどくなっていた。

 

 黒というか茶褐色というか、太い毛糸のようなものが常に4本か5本、左の眼球の中を緩やかに漂っていたのである。だから、普通の飛蚊症とはレベルが違う。普通の飛蚊症なら、半透明の細い糸か微生物みたいなものが1つか2つ、空を眺めた時に気づくぐらいのもののはずだ。

 

 しかしまあ、何しろ右目の手術をしたばかり。ここで無理して左目も手術すればニッチもサッチもいかなくなるから、右目が術後回復するまで、のらくら時間を稼いでいた。

(11月8日。大阪滞在中の今井は、神戸の須磨寺を訪れた 3)

 

 状況が急変し始めたのは、11月上旬である。ブログ記事上のワタクシは、まだ11月上旬の関西に滞在して、滋賀や京都で公開授業に励んでいるところなのであるが、まさにお目目の状況が急速に暗転しだしたのは、あの京都の公開授業の頃だった。

 

 左目の左側に、明らかに今までとは違う種類の大きな飛蚊が出現した。「黒か茶褐色の毛糸が4〜5本緩やかに漂っていた」と先ほど書いたが、その穏やかな眼球の湖の中に、未知の真っ黒な軟体動物が激しい勢いで遊泳し始めたのである。

 

 すでに12年前に、反対側の目の網膜剥離を経験しているワタクシであるから、1112日の段階で「これは網膜が剥離しかかっている状況だ」と予感。さらに病状が悪化すれば、直ちに「都内屈指の隠れた名医」に助けを求めようと心に決めた。

 

 いやはやそれにしては、あそこから1ヶ月以上、ずいぶん暢気に日本中をほっつき回っていたのである。まあこれから1ヶ月ぐらいかけてゆっくり記録は書いていくが、京都から福岡に回り、広島にしばらく滞在し、高知・札幌・仙台・福山・千葉と仕事を続け、紅葉真っ盛りの京都と奈良も堪能して、12月13日の昼過ぎに沖縄・那覇に到着した。

(神戸・須磨浦公園からの絶景。しかし左目には大きな黒い飛蚊が数匹。ゆったりと泳ぎ回る飛蚊に、とても絶景を楽しむ気にはなれなかった)

 

 13日の沖縄・那覇の夜、「もはやノッピキならない事態」と痛感。公開授業が始まって15分後、左目の奥の軟体動物はついに大きなリボンの輪っかとなって眼球の中心で激しく踊り始めた。

 

 それでも全くオクビにも出さずに授業を続けた今井はさすがに大ベテランであるが、ホテルに戻って22時、「もうこれはどうしようもない」「名医の手を煩わせる以外に方法はナシ」と判断。翌々日早朝のヒコーキに予定を変えて、急遽帰京の決断となった。

 

「え? 翌日じゃないの?」「何で翌々日?」であるが、だって翌日はまた沖縄の胡屋(ごや)で公開授業が予定されていた。翌日の大イベントをキャンセルなどということは、責任上どうしてもしたくない。「都内屈指の名医」とはすでに10年の付き合い、「大丈夫です」というオスミツキもあったのだ。

 

 しかも諸君、驚くじゃないか、ワタクシは「どんな病気でも、とにかく食べなきゃダメだ」という信念の持ち主。眼球の中の黒々とした軟体動物を睨みつけながら、「これでもか?」とジーマミードーフを嚥下し、「これでもか?」とハンバーグとステーキを咀嚼し続けたのである。

(神戸・須磨浦公園には「カーレーター」と言ふ名の不思議な乗り物が存在する)

 

 こうして12月15日朝、朝一番のヒコーキで沖縄から帰京、9時半に羽田に着くと、予約してあったタクシーに飛び乗って、10時半にはシツコイようだが「都内屈指の隠れた名医」に前に座っていた。この日は休診日のはずだった名医は、わざわざ診察室にその勇姿を現し、「大丈夫です」とニッコリ請け合ってくれた。

 

 しかしやっぱり、網膜はすでに剥離しかかっていた。12時、緊急措置としてレーザーを使用、剥離しかけて出血している部分をレーザーで覆うように100ヶ所ほど楕円状に囲み、「これで3日後の手術までは確実に大丈夫」と太鼓判を押してくれた。勇気百倍、今井君はいったんオウチに帰ったのである。

(神戸・須磨浦公園の「カーレーター」、ご年齢は、ワタクシと同じぐらいと思われる 1)

 

 しかしこの夜には、横浜で公開授業がある。横浜駅東口の東進ハイスクールであるが、この校舎は今や絶好調、この1年で在籍生徒数がグイグイ、どうにも止まらない勢いで増加している。

 

 ここの校舎長には、この10年ものすごく世話になっていて、どうしても「いきなりのキャンセル」なんかしたくない。だって今年だけですでに3回も、今井の公開授業を開催してくれた。来年3月16日にもまた公開授業を予定している。

 

 何しろ名医に「大丈夫です」「心配は全くいりません」とニッコリ太鼓判を押された自信がある。しかも絶好調の横浜駅東口のハイスクール、言わばヒノキ舞台だ。「次の1年で在籍生徒をさらに2倍に、いや3倍にでも4倍にでも増やしてやろう」とエネルギーもパンパン、なんと東京大学の長文読解問題を1問、1行も省略せずに解説し尽くした。

 

 こういうふうで、緊迫感にあふれた数日間だったが、結局ワタクシの全てのエネルギーは、① 食べること  授業で喋りまくることの2つが源なのだ。

 

「安静にしてください」「無理をなさらないでください」という優しいお見舞いの言葉は多いが、もし食べなければ、いやそれ以上に「もし授業をしなければ」、ワタクシは確実に干からびて、まもなく蒸発して消滅する。授業だけはさせてくんろ、授業さえすれば、どんな瀕死のピンチからでも脱出してみせる、そういう生き物なのだ。

(神戸・須磨浦公園の「カーレーター」、ご年齢は、ワタクシと同じぐらいと思われる 2)

 

 あともう1つ、「文章を書かせてくんろ」というのもある。いま右目しか見えない状況でこうやって長々と長文をものしていると、おそらく気難しい人たちは「大丈夫なんですか?」「もっと自分を大切にしなきゃ」と腕組みして睨みつけてくると思う。

 

 しかし諸君、ワタクシにとって一番のクスリは、① メシと酒  授業でしゃべりまくること  文章を書きまくることの3者。その3つを無慈悲に奪っておいて「大人しく寝ていなさい」なんてのは、そりゃあんまりムゴイ仕打ちじゃないか。


 というわけで諸君、2023年のワタクシの早春スケジュールがほぼ確定した。おお、素晴らしいスケジュールだ。6週間後ぐらいにはお目目も完全に復調するから、絶好調でしゃべりまくる春の今井君を、全国で楽しみに待っていてくれたまえ。決してヒバリやウグイスに負けるつもりはない。

 

1E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/SYMPHONY No.2

2E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/SYMPHONY No.3

3E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/SYMPHONY No.4

4E(Cd) Menuhin:BRAHMS/SEXTET FOR STRINGS No.1 & No.2

5E(Cd) Baumann:MOZART/THE 4 HORN CONCERTOS

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