Mon 221205 サッカーはラジオ中継がいい/TV音声はミュート、実況はラジオで 4301回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 221205 サッカーはラジオ中継がいい/TV音声はミュート、実況はラジオで 4301回

 本日1枚目の写真、メラメラ真っ赤に燃え上がる炎が、実際にはどこのどんな炎なのかは次回の記事に譲るとして、とにかく日本代表と日本国民の全てのココロがこんなに熱く激しく燃え上がれば、間違いなくベスト8が見えてくる(はずだ)。

 

 ワタクシは、サッカー観戦歴ばかり異様に長いだけで、現代サッカーの難しい話は全く分からない。要するにズブのシロートに過ぎない。1980年代のマコトに寂しかったフジタ vs ヤンマーとか、三菱重工 vs 古河とか、「国立競技場に観衆がたった数百人」の思い出が、今ではウソのようである。

 

 釜本・杉山・宮本輝・小城が躍動した時代から、ワタクシは信じがたいほど長くサッカーを眺めてきた。「ボーッと眺めてんじゃねえよ」とチコちゃんが叱ってくれなかったせいで、今井君はホントにボーッと眺めてるばかり。難しいサッカー理論になんか、サッパリついていけなくなってしまった。

(11月8日、京都・伏見稲荷大社にて。詳細は、次回。今ごろ日本中がこんなに熱く真っ赤に燃え上がっているに違いない)

 

「サッカーの専門家」という友人&知人もほとんど存在しない。たった1人、雑誌「Number」に頻繁に登場しているフットボールアナリスト田村修一氏とは、ずいぶん昔の話になるが、それなりに懇意にしてもらった。トルシエとオシムと山本昌邦の話なら、田村氏に勝る人はおそらくいらっしゃらない。

 

 もう20年もむかし、田村氏と2人で早稲田祭に出演したことがある。90分間、2人で早稲田大学15号館の大教室を占拠し、数百人の聴衆を前に好き放題を言いまくり、挙げ句の果てに若き今井は聴衆の一部を引き連れて、近くの居酒屋「一丁」、2階の大きな座敷にになだれ込んだ。

 

 あのまま1次会・2次会・3次会、熱い酒宴は延々と続いたはずであるが、どうしたものか20年前の今井君は「1次会まででドロン♡」、あとは野となれ山となれ、その後は田村氏との会合も、次第に頻度が低くなった。

 

 最後にお会いしたのは、確か南アフリカでのW杯の直後。もうはるか以前のことになるが、ヨハネスブルグあたりで買ってきた「ブブゼラ」を、何度か吹き鳴らしてみせてくれた。おお、ブブゼラ、懐かしいじゃないか。今頃はきっとカタールで、スマホ片手に盛んにツイートしていらっしゃるはずだ。

(11月7日、大阪に向かう新幹線からの富士。世紀の一戦の日、とりあえず縁起物の富士の勇姿を掲載しておく)

 

 ところで諸君、そういう超オールドファン今井が、若い諸君にいま是非とも提案したいことがある。「今夜のクロアチア戦、ラジオで観戦しませんか」。これ以上バカげた提案はないほどの提案だ。

 

 世紀の一戦だというのに、NHKはテレビ中継してくれないのである。ワタクシはどういうわけかスポーツ中継はNHKでないとイヤなのだ。プロ野球ならまだ民放でも我慢できるが、サッカーとなると、どうしてもあの派手すぎる熱狂と絶叫が我慢できない。

 

 頼みのNHKテレビは、地上波もBSも知らんぷり。いろいろ放送契約上の難しいことがあるらしいが、公共の電波を5つも6つも独占しておいて、知らんぷりはないだろう、知らんぷりは。怒り心頭に発した今井君は、「NHKではラジオで中継いたします」という投げやりな言葉に、一瞬絶句したのである。

(11月7日、仕事がない日だったので、朝から新幹線でワイン。東京駅構内で「コメの飯なし、ツマミだけ」という理想形の弁当を選んだ)

 

 しかし諸君、考えてみるとラジオ実況、21世紀の世界としてはほとんど「シュール」と言ふ形容にさえ当てはまるその実況形態、実はスゲーいいんじゃないっすか?

 

 映像は、大金をはたいた民放の映像でいい。しかしあの民放アナ独特の絶叫やらタレントさんたちのコメントを全てミュートにして、実況音声だけは、NHKラジオの冷静&緻密な実況に集中することはできる。テレビ音声はミュート、音声はすべてNHKラジオ。こんなにサッカーに集中できる環境はありえない。

(11月7日、新大阪駅の地下で「串カツ酒場 どん」でランチ。ワタクシはこんなお店が大好きだ)

 

 ついでに諸君、スペイン語やイタリア語やポルトガル語での、ラジオの熱いサッカー中継のことを想像してみてくれたまえ。

 

 ワタクシは時々、南ヨーロッパや中南米の国々の激烈なサッカー熱は、20世紀前半から中盤にかけての「ラジオによるサッカー中継」がモトになっているんじゃないかと思うことがある。

 

 テレビがまだ普及していなかった時代、イタリアやスペインの人々、ブラジルやアルゼンチンの人々は、ラジオでサッカー中継に熱中した。映像に頼れない分、伝える側も聴く側も、言葉で伝え合うワンプレー&ワンプレーに、他のこと全てを忘れて極端に集中せざるを得なかった。

 

 集中は、熱狂につながりやすい。夢中でラジオの言葉に集中し、大音量のラジオの前の友人たちは、互いに感激を語り合いつつ強烈に熱狂していく。しかもあの熱いラテン言語の乱舞だ。誰だって、熱狂せずにはいられない。

 

 いつかメキシコかポルトガルか、イタリアかウルグアイあたりで、あえてラジオでサッカー中継を聴いてみたいと思っている。もちろんそれにはスペイン語やらイタリア語やらのリスニングを本気で鍛えなきゃいけないが、しかし同じサッカーでも、感激と熱狂のレベルが数段違うのではないかと想像するのだ。

(大阪で串カツ屋に入ったら、まずはアルミのボールにたっぷりキャベツをいただく)

 

 学部生時代の若き今井君は、千葉県松戸の下宿「松和荘」の部屋にテレビを置かなかった。テレビを買うオカネがなかったのではない。「部屋代 → 15000円/月」という驚異の木造アパートに住んで、塾講師のバイトでシコタマ稼いでいたんだから、テレビなんかナンボでも買えた。

 

 それでもテレビに見向きもしなかったのは、ラジオを心から愛していたからである。タモリのオールナイトニッポンも、たけしや中島みゆきや松山千春のオールナイトニッポンも、野沢那智&白石冬美のパックインミュージックも、「ほぼ皆勤賞」という熱愛ぶりだった。

 

 朝は、NHK FM。皆川達夫の「バロック音楽の楽しみ」、日曜朝は「謡曲」(現在の「FM能楽堂」)、この辺も皆勤した。土曜の昼はTOKYO FMの「コーセー歌謡ベスト10」、そういう類いもほぼ皆勤。いやはや、ラジオのイヤホンを耳から外したことがないぐらいだった。

 

 平日の朝は、FMの「バロック音楽の楽しみ」が終わると、すぐにチャンネルをAMに切り替え、7時から9時まで延々とNHKの外国語講座を聴き続けた。

 

 ドイツ語・フランス語・スペイン語・ロシア語・イタリア語、いやはや、キュウリとハムとトマトをかじり、大キライな牛乳を無理やり一気飲みしながら、いろんな大学教授が面白おかしく教えてくれる外国語の文法を大いに楽しむ日々だった。

(串カツセットを選択、仕事がない日なんだから、もちろんビール、続いて日本酒を少々。「どんどんセット」12本の情景)

 

 そういうふうだから、プロ野球も高校野球も、サッカーもラグビーも、大相撲もバレーボールも駅伝もマラソンも、みんなラジオ中継で満喫したのである。想像力の鍛錬に、あんなに役立つ方法は考えられないぐらいだ。

 

 野球なら、ラジオでも十分に楽しめる。

「打ちました、大きい、ライトバック、ライトバック、ライトの頭上を超えました。ワンバウンド、ツーバウンド、ボールはフェンスに当たって跳ね返っている、バッターランナーは1塁を回って2塁へ。ライトがボールをとって2塁へ矢のような送球、タッチして、セーフ」

そういう冷静な中継を聞けば、テレビの画面よりずっとエキサイティングだった。

 

 問題は、お相撲だ。何しろ冷静な中継を許さないほどスピーディな勝負がほとんど。「ガーンと当たった、つっぱった、つっぱった」までは聞こえても、そこからは場内の歓声にかき消されて、実況アナの声はほとんど聞こえない。

 

「ワァーッ!!」「ワァーッ!!」という歓声だけが聞こえて、しばらくしてからどっちが勝ったか、どんな経過で、どんなワザをかけて、そのワザがどう決まったか、ゆっくりと冷静に説明してもらえるだけである。

(11月7日、ランチのお酒を昼寝で冷まして、夕暮れから大阪日本橋の国立文楽劇場で人形浄瑠璃を満喫 1)

 

 ラグビーみたいな複雑きわまりないゲームになると、ラジオ中継で全体像を思い描くのはそれ以上に困難になる。15名ずつ2チーム、合計30名の選手が、変幻自在にグラウンドを駆け巡る。楕円形のボールがこれまた変幻自在に転がり、しかもキックの高さも作戦によって変幻自在。たった1人の実況アナが的確に戦況を伝えるのはほぼ不可能に思える。

 

 サッカーも、もちろん事情はおんなじだ。合計22名のプレーヤーに、レフェリーやら監督やら、コーチやら控え選手やらの動きまで伝えなければならない。声しか頼れないラジオ中継で、どれほどの冷静さと、緻密で立体的な知性が要求されるか、想像もつかないほどである。

 

 今夜、日付が変わる頃、もちろんまずテレビの映像をつけて、おそらく録画もセットする。しかしすぐにテレビ音声をミュートにして、音声は手許のラジオに全て任せてみる。どんなアナが担当するのか分からないが、絶叫タイプの民放テレビ実況アナとは、別格の感激が得られるんじゃないだろうか。

(11月7日、ランチのお酒を昼寝で冷まして、夕暮れから大阪日本橋の国立文楽劇場で人形浄瑠璃を満喫 2)

 

 まあ諸君、いつもいつものことではあるが、今回もまた長く書きすぎた。今日の記事の写真については、11月7日から10日まで、ごく短い大阪滞在の初日のものであることだけを言っておく。

 

 7日朝、マコトに縁起のいい晩秋の富士山が雲間から顔を出した。思えばまだ日本がドイツに勝利するとは想像もつかなかった日のことであるが、今日の写真の2枚目をもう1度眺めて、その縁起の良さを感じてくれたまえ。

 

 今日の1枚目は、もう一度繰り返すが、こんなに美しくメラメラ真っ赤に燃え上がった炎こそ、スペイン戦での勝利を予告してくれたもの。これほど見事に燃え上がれば、ついでにクロアチア戦の勝利だって予告してくれているに違いない。

 

 そのあとに続くのは、新大阪駅地下の串カツ屋でのもの。いいじゃないか、いいじゃないか、景気がよくていいじゃないか。ぜひ明日の夜は、串カツ屋あたりでベスト8進出の祝勝会をやろうじゃないか。

 

 そしてラスト2枚は、11月7日、ちょうど1ヶ月前にあたる大阪の旅の初日に、人形浄瑠璃を満喫した大阪国立劇場でのもの。いやはやワタクシ、今でもこんなに大好きな人形浄瑠璃や歌舞伎や能狂言も、大学生の頃にラジオで親しんだのが、全ての始まりなのである。

 

1E(Cd) Lucy van Dael:BACH/SONATAS FOR VIOLIN AND HARPSICHORD 2/2

2E(Cd) Holliger:BACH/3 OBOENKONZERTE

3E(Cd) Richter:BACH/WELL-TEMPERED CLAVIER 1/4

4E(Cd) Richter:BACH/WELL-TEMPERED CLAVIER 2/4

7D(Pl) 錦秋文楽公演:壺阪霊験記 勧進帳:大阪国立文楽劇場

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