Thu 221124 ドーハの悲劇から歓喜まで30年/当時の生徒は48歳/大念仏狂言 4298回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 221124 ドーハの悲劇から歓喜まで30年/当時の生徒は48歳/大念仏狂言 4298回

 

 昨日11月23日のワタクシは北海道の札幌にいて、朝から夕暮れまで思い切りお仕事に励んだ。10時半から12時まで公開授業を1本、14時から15時半まで公開授業をもう1本、毎年恒例になった札幌のダブルヘッダーを、今年もキチンとやりぬいた。

 

 今年もまた最高記録を更新して、1100人もの人が集まってくれた。10年ほど前に200名で始まった初冬の札幌の公開授業は、その後300名、400名、500名、600名と、毎年100人ずつ参加者が増加して、ついに昨年1000名の壁を突破。今年は1100名の参加になった。

 

 ちょうど今の札幌は、コロナ第8波の真っただ中。学級閉鎖その他コロナの影響がいろいろあって、気の弱いワタクシは大いに心配したのであったが、何とか目標の1100名、「毎年100人ずつ増」のノルマを達成できた。

 

「来年は1500名にならないかな」とか、またまた今井独特のワガママでスタッフの皆さんにプレッシャーをかけつつ、先ほどヒコーキで東京に帰ってきた。

(10月23日、京都・嵯峨清涼寺で「大念仏狂言」を観る 1)

 

 札幌のウルトラ大盛況については、後日必ずその詳細を報告するが、さすがに今日のブログには、何らかの形でサッカーの話を書かなきゃいけないだろう。「ドイツに勝利」なんてのは、ワタクシの子ども時代には全く想像もつかないことだった。

 

 というか、昨日はいろんな意味で「光陰矢の如し」「時の経過は強烈に速いものですな」と、つくづく思い知らされた。

 

 だって諸君、昨日の札幌の1100人は、中3生とその保護者の皆さん。今年の中3生は2007年か2008年生まれだから、「ドーハの悲劇」どころか、2002年の日韓共催W杯のことさえも、全くご存じないのである。

    (10月23日、京都・嵯峨清涼寺の勇姿 1)

 

 何しろワタクシは、1993年10月28日のドーハの悲劇を、リアルタイムで目撃した世代である。あの翌朝、ワタクシは駿台予備校の御茶ノ水本校で「東大スーパーコース」4コマの授業があり、朝8時半の教壇に立った。

 

 4クラス全てが、満員の300人教室。「第1志望はゆずれない」と東京大学を志望して浪人した合計1200名もの青年諸君が、ドーハの悲劇の強烈な落胆にうちしおれて、とても授業どころではない有様だった。

      (嵯峨清涼寺、仁王様の勇姿 1)

 

 心優しい今井師は、「いつか必ずW杯に出場できる日が来るから、今はとにかく目の前の教材をこなそうじゃないか」と、落胆する青年たちを元気づけたものだった。いやはや、あれから約30年もの歳月が流れたのである。

 

 当時18歳か19歳だった生徒諸君は、30年が経過して48歳ぐらいという計算になる。48歳ということは、まさに今の中高生のパパやらママやらの年齢であって、昨日の札幌で今井の話に笑いころげていらっしゃったパパやママ、まさにドーハの悲劇の翌日にうちしおれていた青年諸君の世代なのだ。

 

 あの悲劇から30年、昨日からは「ドーハの奇跡」「ドーハの歓喜」がグイグイ、検索ワードのトップに上がってきた。あの朝の今井師は「いつか必ず出られるから」と生徒たちを励ましたのだったが、「出られる」「出られない」どころか、ドイツに勝利するという日がこんなにも早くやってきた。

      (嵯峨清涼寺、仁王様の勇姿 2)

 

「ジョホールバルの歓喜」なんてのもあった。1997年11月16日のことである。駿台の今井師は、1997年4月からは「代々木ゼミナールの今井講師」に変貌していて、ジョホールバルの歓喜の翌朝は、代ゼミ代々木本校の教壇に立っていた。

 

 午前の2コマ目、教卓の上には小さなメモ書きが置かれていて「野人・岡野に謝罪してください 一同」とあった。ヤジン岡野とは、日本のW杯初出場を決めるゴールを奪った伝説の男である。

 

 実はその前週、同じクラスの授業で岡野選手のプレーについて言及したことがあって、その話の中に何か彼の野人ぶりを揶揄するようなニュアンスがあったらしい。

 

 もちろん「謝罪してください」と言っても間違いなく冗談であって、250人パンパンに膨らんだ(今はなき)代々木63A教室の早慶上智クラスの諸君は、みんな嬉しくて嬉しくてたまらない表情。英文法の授業よりサッカーの話で今井が盛り上がることを期待していたのであった。

 

 あれが、25年前。あのクラスの生徒たちが早稲田・慶応・上智に無事に進んでくれたことを願うばかりだが、あの時18歳だった諸君は、現在43歳。いやはや今や就職先で中堅幹部に成長し、「もうサッカーどころじゃないよ」と笑いながら、夢中で仕事に励んでいらっしゃることと思う。

    (10月23日、京都・嵯峨清涼寺の勇姿 2)

 

 というか、彼ら彼女らもまた中高生のパパやらママやらになり、昨日の札幌の聴衆の中に紛れ込んでいらっしゃったかもしれない。元代ゼミの今井講師としては戦々恐々、あの当時の雑談ばかりの授業を、息子や娘に暴露されないことを祈るばかりである。

 

 2002年の日韓共催W杯の頃も、ワタクシはまだ代ゼミの四天王をやっていた。稲本選手が颯爽とゴールを決めて勝ち進み、川口・秋田・森島・中田・明神・中山・三都主・福西・宮本・小笠原、いやはやさすがの今井の記憶ももうオボロゲであるが、ベスト16まで進んで6月18日、トルコと対戦した。

 

 試合は、午後3時半キックオフ。ワタクシはまたしても(今はなき)代々木75教室で授業、単科ゼミ「上級レベルA組」の1学期9講目だった。サテライン=全国同時ナマ中継の授業であるが、いやはや、さぞかし出席率が低かったなんじゃないか。

 

 代々木本校は満員だったが、今みたいにスマホで試合中継をこっそり眺めることもできず、と言って授業の収録映像で後から受講できる時代でもない。サッカーを選ぶか、今井の授業を選ぶか。悩ましい2者択一を迫られた2002年の生徒諸君も、あれから20年、もう38歳になっている。

    (10月23日、京都・嵯峨清涼寺の勇姿 3)

 

 こうして諸君、「ドーハの悲劇」から「ドーハの歓喜」まで、1つ1つのワールドカップの記憶を辿っているうちに、自分がどれほど長い時代を生き抜いて来たかを痛感する。

 

 当時の生徒諸君が立派なパパやらママやらになって、公開授業やら講演会の会場に姿を現すということは、もちろん昨日の奇跡的な大活躍を見せてくれた選手たちだって、ドーハの悲劇世代の親のムスコたちだということである。

(10月23日、京都・嵯峨清涼寺で「大念仏狂言」を観る 2)

 

 やっぱり、光陰矢の如し。GK権田の超絶美技の連続に感激しつつ、しかし今井君には、1つだけ気がかりなことがあった。1993年や1997年や2002年の生徒諸君が、パパやらママやら中堅幹部世代に立派に成長したのに、今井君自身がいまだにこうして予備校世界のド真ん中で大活躍し続けていていいんだろうか?

 

 今もワタクシの授業には、衰えの気配は全くないのである。今もなお、どんどん&スクスク成長を続けていて、授業のクオリティはむしろ高まっていくばかりなのだ。

 

 あの頃のサッカー選手たちは、今やNHK解説席にドッカと腰を下ろし、落ち着いた解説で視聴者を魅了しているのに、今井君は今もなお現場を駆け回り、常に絶妙の授業を展開し続けて、スタッフの皆さんの信頼はちっとも揺るがない。

 

 このままでいいのか。ハムレット「to be, not to be」を、小田島雄志訳では「生か死か」でも「生きるか死ぬか」でもなく、「このままでいいのか、いけないのか」という珍しい翻訳にしているが、サッカーを眺めながら時代の変遷を痛感するとともに、今井君もまた「ワタクシ、このままでいいのか、いけないのか」と、ふと呟くのであった。

 

  (嵯峨清涼寺「大念仏狂言」でカワラケをゲット 1)

 

 本日の写真9枚は、10月23日の京都・嵯峨清涼寺で「嵯峨大念仏狂言」を眺めた時のもの。10月23日、いやはややっぱり光陰矢の如し、ちょうど1ヶ月前の写真であるが、10月18日から1週間の京都の旅の締めくくりに、ワタクシは嵯峨の清涼寺を訪れた。

 

 10月中旬から下旬の1週間、京都の旅はマコトに充実していた。18日は即成院「二十五菩薩お練り供養」、19日は蹴上から京都植物園までのロングウォークと「宵ゑびす」、20日は船岡山ウォークと「二十日ゑびす」「摩利支尊天お火焚き神事」、21日は金沢で公開授業、22日が鞍馬の火祭りで、最終日23日を「大念仏狂言」で締めくくる。

  (嵯峨清涼寺「大念仏狂言」でカワラケをゲット 2)

 

 鉦と太鼓とパントマイムで進む狂言のハイライトは、舞台から客席に向かってのカワラケ投げ。狂言の登場人物3人が、素焼きのカワラケを20枚も30枚も豪勢にひらひら投げるのである。数十名の観客は、舞台から飛んでくる縁起物のカワラケを受け取って、厄除とゴリヤクを念ずる。

 

 かく言うワタクシも、かわらけ1枚をものの見事に右手でキャッチした。こりゃゴリヤクがあるに違いない。かわらけのゴリヤクで、まだまだ授業のクオリティはどんどん高くなり、サッカー選手や生徒たちの世代交代がどんなに進んでも、これからも今井はビクともせずに、ステージに立ち続けているはずだ。

 

1E(Cd) Preston:BACH/ORGELWERKE 4/6

2E(Cd) Preston:BACH/ORGELWERKE 5/6

3E(Cd) Preston:BACH/ORGELWERKE 6/6

4E(Cd) J.S.BACH/SILVIA(Cantata Opera in 3 Acts)1/2

5E(Cd) J.S.BACH/SILVIA(Cantata Opera in 3 Acts)2/2

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