Fri 221111 村田兆治氏のこと/摩利支天「お火焚き」序章/びゅーんわわの記憶 4293回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 221111 村田兆治氏のこと/摩利支天「お火焚き」序章/びゅーんわわの記憶 4293回

 むかしの野球中継では「ピッチャー、大きく振りかぶって」というセリフが定番。「大きく振りかぶって、足を大きく上げて、投げました、直球、ストライク!!」、午後8時を回る頃から、ラジオ実況アナのボルテージはグイグイ上がっていった。

 

 ワタクシは大学学部を卒業するまで、下宿の部屋にテレビを置いていなかったから、野球中継はもっぱらラジオで聴いた。部屋にテレビがなかったのは、別に貧乏だったからではない。オカネなら、塾の講師のバイトをして、週に3本も芝居を見られるほど潤沢に所有していた。

 

「塾の講師のバイト」については、算数に数学、理科に社会に国語、どんな科目でも遠慮なく担当。当時は芝居1本2000円程度が標準だったが、他に週6本は映画を見たから、若き今井君、講師のバイトで学生にあるまじきオカネを手にしていたことになる。

 

 村田兆治(敬称略とさせてください)ないしサンデー兆治は、その時代の日本のエースである。とにかく大きく振りかぶる。その大きなワインドアップは、野球少年すべての憧れであって、ワインドアップしない地味な投法なんか、もしピッチャーに抜擢されることがあったとしても絶対にイヤだった。

 

 今でもワタクシ、ワインドアップのシャドーピッチングが大好きなのだ。1日に右で10回、左で10回、読書やら執筆やらで肉体が固まってくると、投球ポーズでコリをほぐすことにしている。セットポジションのシャドーピッチングじゃ、ちっともコリがほぐれない。

 

 もちろん、村田兆治のマサカリ投法なみに足をビュンと振り上げたりすれば、後ろ向きにひっくり返るとか、ついでに後頭部を強打するとか、場合によってはギックリ腰になって公開授業が無期延期になるとか、そういう大混乱の元になりかねない。

(10月20日、京都ゑびす神社かす向かいの「摩利支尊天」にて)

 

 21世紀の野球を眺めていて最も寂しいのは、あの「大きく振りかぶって」が過去の遺物になりかけていることである。メジャーリーグでも、日本のプロ野球でも甲子園の高校野球でも、ほぼ全てのピッチャーが、ランナーもいないのにセットポジションから入る。

 

 まあ確かに、「大きく振りかぶって」をやらなくても、球威に大した違いはない。「疲れるだけ」「不安定になるだけ」「制球が乱れるだけ」と周囲に言われれば、そりゃ誰だって憧れの「大きく振りかぶって」を諦める。

 

 あと10年もすれば、ワインドアップの記憶さえ、この世の中から消滅するんじゃないか。ワタクシはそれを危惧している。

 

 確かに不経済だ。「100球投げれば降板」が常識の世の中で、大きく振りかぶって、足を大きく上げて、スピードボールで真っ向勝負、「腕も折れよ」と180球も200球も投げ抜いて完投、そりゃいかん。

 

 それどころか昭和の時代のプロ野球では、そのまま「ダブルヘッダーで2試合連投」なんてのもあったが、今じゃ非常識を絵に描いたような話になってしまう。

(京都ゑびす神社そばの小さなお酒屋さんで、にごり酒「月の桂」を購入。オイシューございました。お店のオカーサンもたいへん優しく応対してくれた)

 

 そういう時代の最後を飾ったのが、村田兆治である。今から15年ほど前、ワタクシは渋谷区の理髪店で、その村田氏と一緒になったことがある。

 

 老夫婦が細々と経営を続けているマコトに小さな理髪店で、当時おそらく50歳後半になっていた村田氏は、もう散髪も最後の仕上げの段階、ニコニコしながら鏡に見入っていらっしゃった。

 

 彼が店を立ち去ってから、床屋の老夫婦に「あれは、もしかして、ロッテの村田兆治投手ですか?」と恐る恐る尋ねてみた。「たまに、思い出したように、嬉しそうな顔でいらっしゃるんです」と、老夫婦は静かに笑った。サインをもらっておくんだったと、大昔の野球少年としての後悔は大きかった。

(10月20日、京都ゑびす神社かす向かいの「摩利支尊天」にて)

 

 次の甲子園大会で、いや別に甲子園でなくても東京6大学で、いや、京都大学が大活躍している関西の大学野球でもいい、誰か才能に溢れる異色ピッチャーが「大きく振りかぶって」「足を高く上げて」を復活させてくれないだろうか。

 

 もちろん、指導者の問題もある。「不経済」「疲れるだけ」「制球難」を理由にセットポジション全盛時代になったんだから、指導者の立場で、いきなり「オマエ、思い切ってワインドアップにしてみないか?」とは言いにくいだろう。

 

 しかしあくまで無責任な立場の今井君なんかは、「要するに気合の問題だ」「今の日本経済に足りないのは、ワインドアップの迫力だ」「マナジリを決して、ワインドアップの企業経営をやってみたまえ」「経営の9割は気合です」とか、だんだんビジネス書みたいなことを書きたくなってくる。

(10月20日、摩利支尊天のお火焚き神事がいよいよ始まる 1)

 

 すると諸君、前回の記事で書いた「摩利支天」「摩利支尊天」、その元になった仏教の守護神・古代インドの女神マーリーチ、進むべき道を誰にも邪魔させない「猪突猛進」の神に話題は回帰するのである。

 

 10月20日午後、そろそろ太陽が西に傾きはじめた時刻。京都・摩利支尊天こと「建仁寺塔頭 禅居庵」に集結した山伏スタイルの面々は、いよいよ摩利支天「火焚き神事」の本番を開始しようとしていた。

(10月20日、摩利支尊天のお火焚き神事がいよいよ始まる 2)

 

 まず、四方八方に色とりどりの矢を放つ。「色とりどり」とは、赤・黄・紫・藍・白・緑であって、もちろんここにそれぞれの色の示す難しい宗教的象徴について語ってもいいが、そんなことをすれば一気に読者離れを招き、せっかく4088も集まってくれた「フォロワー」が、虚しくこの場を去っていきかねない。

 

 こんな平和な世の中で、実際に「矢を放つ」のを見ることは滅多にないから、思った以上に遠くまで飛翔する矢の軌跡を眺めつつ、人々は大きな歓声と嘆息を漏らす。この歓声と嘆息を理由に、この火炊き神事もコロナの3年間「自粛」の憂き目を見た。

 

 そして6本の矢がみんな放たれてしまうと、ついに「火焚き神事」本番に移る。もちろん厳粛で超マジメな神事なのだから、フザケ半分に茶化すみたいなことは絶対にタブーなのであるが、あくまでこれは「百万光年のかなたの異星人が見たらどう思うか」という話なので、まあ許してほしい。

(10月20日、摩利支尊天のお火焚き神事がいよいよ始まる 3)

 

 男児のママたちや、同級生の女子たちがしばしば漏らす嘆きの深い溜め息に「男の子って、どうしてこうなの?」というのがあるはずだ。

 

 かくいう今井君も、高1以降は典型的な優等生になってしまったが、小学校時代の6年間から中3まで、まさにその「男の子ってどうして?」という嘆息のターゲットをやり続けた。

 

 とにかく、常識的には「やってはいけないこと」「やったら絶対に叱られると分かっていること」「父親が見たら、爆笑しながらビンタしてくるだろうと最初から分かっていること」「ヤベんじゃね?」、その類いのことをやりたくて&やりたくてたまらず、そういう自分がどうしても抑えきれなかった。

 

「テストステロンが原因」みたいなご意見もあるらしいが、何しろかつての今井君は、そういう馬鹿げた衝動の発露として、このブログにも小学生時代の「干しぶどう事件」や、修学旅行直後の「びゅーん・わわ大行進」について詳述しておいた。

 

 まもなく4300回に達する当ブログ、数々の人気&名作記事を書いてきたが、その中でも出色の記事である。今年はにゃごろわ忌のことをあまり詳しく書けなかったから、なでしこ忌やにゃごろわ忌の話の代わりに、ぜひ以下の記事をクリックしてみてくれたまえ。

 

Fri 201016 にゃごろわ忌/悪い子チーム/帰りの反省会/びゅーん・わわ大行進 3971回

 

(10月20日、摩利支尊天のお火焚き神事がいよいよ始まる 4)

 

 だから、あくまで「百万光年かなたの異星人がスーパー高性能の望遠鏡で眺めたら」という前提で、10月20日の摩利支天お火焚き神事、どうしても「君たち、とんでもないことを始めちゃったな」「こりゃ絶対に叱られる」「とりかえしがつかないぞ」「やべんじゃね?」と、思わず鳥肌ないしサブイボが立つ思いだった。

 

 そういう取り返しのつかないケムリと紅蓮の炎については、次回の記事に写真たっぷりでご紹介したい。京都の人って、どうしてこんなに紅蓮の炎が好きなんだ? 

 

 そしてもちろんワタクシも、紅蓮の炎の大ファンだ。その証拠に諸君、ワタクシはこの摩利支天のお火焚き神事の後、10月22日の鞍馬の火祭りにもイソイソ、11月8日には伏見稲荷大社のお火焚き神事にもイソイソ、「干しぶどう事件」やら「びゅーん・わわ大行進」の頃の熱くたぎる真っ赤な血は、今もなおサトイモの肉体の奥に漲っているのである。

 

1E(Cd) Philip Cave:PHILIPPE ROGIER/MAGNIFICAT

2E(Cd) Savall:ALFONS V EL MAGNÀNIM/EL CANCIONERO DE MONTECASSINO 1/2

3E(Cd) Savall:ALFONS V EL MAGNÀNIM/EL CANCIONERO DE MONTECASSINO 2/2

4E(Cd) RUSSIAN MEDIEVAL CHANT

5E(Cd) Philip Cave:CONONATION OF THE FIRST ELIZABETH

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