Thu 221027 京都16kmウォーク/みたらしリラックマ/一乗寺ラーメン街道 4285回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 221027 京都16kmウォーク/みたらしリラックマ/一乗寺ラーメン街道 4285回

 自分には恐るべき執念深さがあって、一度始めてしまったことは、なかなか途中で放棄しないのである。このブログにしてからが、2008年6月に開始した時には「100回続けられるかどうか」と、意地の悪い人々は遠巻きにして冷笑していたが、あれから15年、今もこうして絶好調で更新を続けている。

 

 当時は、ビックリするほど多くの人が、今井ブログそっくりそのままの形式のブログを立ち上げたりした。日付の書き方から、毎回ラストに貼りつけるデータ記録まで、「おやおや、まるっきり同じじゃないですか」と溜め息が出るほどのブログが、あっちからもこっちからもポンポン誕生した。

 

 しかしそれこそ「100回続くかどうか」だったのであり、後発のヒトビトの多くはせいぜいで30回、甚だしくは10回、いや5回、今井君ほど充実した長文を書き続けることができず、テーマもネタもすぐに枯渇して退場していった。延々15年、約4300回も継続している今井の執念深さは、やっぱり只事ではないのだ。

(京都16kmウォークの終盤、「一乗寺ラーメンストリート」で、普通のラーメンと普通のギョーザを満喫する)

 

 だから、例えば快晴の京都の1日、「今日こそは京都ウォーキング」と決意して歩き出せば、それなりに常軌を逸したウォーキングを実現してしまう。

 

 10月18日、まだ昨日の大阪・天王寺の酒が小腸や大腸に残存している重苦しい感覚が残っていたが、ワタクシはとりあえずホテル至近の平安神宮からウォーキングを開始した。

 

 予定のコースは、平安神宮から鴨川へ、鴨川沿いに出町柳まで北上して、糺の森から下鴨神社へ。下鴨本通り経由で北大路に出たら一気に東進、「一乗寺ラーメンストリート」で昼食をとって、最後は松ヶ崎から地下鉄北山駅まで西に進み、京都府立植物園でコスモスとキクを眺めてからホテルに帰る。全体で約16kmのコースである。

 

 普通の人が歩く速度は4km/hであるから、16kmとは「まるまる4時間歩き通そう」という話である。朝8時に例の朝食をたっぷり胃袋に詰め込んで、ちょっと休んで10時にスタート。一乗寺ラーメンストリートに着くのは13時ごろ、植物園に15時、ホテル帰還が17時の予定だった。

(京都16kmウォークの目的地は、北山通りの京都府立植物園。菊花展が開催中のはずだった)

 

 まあ諸君、これは明らかに「計画倒れ」の見本のような計画だ。10月下旬の受験生が日曜日をまるまる1日つぶして作った「奇跡の大逆転プラン」みたいなヤツだ。

 

「日本史の参考書1冊を1週間でマスター」とか「数学の問題集1冊を10日でやり終える」とか、切羽詰まったミラクル狙いのプランは、どうせ半日も経たないうちに挫折する。かく言う今井君も、受験生の頃も、学部生時代も、就職して社会人になってからも、挫折したミラクルプランは数知れない。

 

 ところが、チャンと大人になった後は、サトイモ独特の粘り強さが身についたというか、サトイモが自然薯やら大和芋やらに成長したらしく、当初どんなに無理と思われる計画を立てても、気がつくとマコトに見事にやり遂げているのである。

 

 どうやら、この成長にあずかって特に効果があったのが、2005年から開始した「1年60日の海外生活」であるらしい。2005年2月に代々木ゼミナールをヤメちゃうまでの今井君は、この上なく淡白にスカッと何でも諦めてしまうタイプだった。

(ウェスティンホテルから至近、平安神宮から京都16kmウォークを開始する)

 

 昔から「東北人は粘り強さが身上」「最後まで決して諦めないのが北国の男」と言われてきたが、秋田出身の今井君には、どうやらその貴重な粘りのDNAが欠如しているらしい。今回もハメハメハ大王の登場だが、「風が吹いたら諦めて、雨が降ったら転職する」、それがかつての今井君だった。

 

 しかし2005年以来すでに20年以上、1年60日の海外珍道中を続けるうちに、ワタクシの肉体&精神には、納豆とオクラとアカモクとタマゴを高速で1000回かき混ぜたような、ムッとするほど濃厚な粘り強さが醸成された。海外珍道中の連続こそ、人に粘りを植えつける絶好の訓練だと信じる。

 

 何しろワタクシは、ブダペストでもマラケシュでもイスタンブールでも、リスボンでもアムステルダムでもプラハでも、サンパウロでもブエノスアイレスでもマルセイユでも、鉄道とバスとトラムと徒歩だけで、ありとあらゆる街角を元気に闊歩してきたのだ。

 

 それが20年以上に及べば、京都ウォーキング16kmぐらい朝メシ前。今回は時間の都合で朝メシ前ではなくて「朝メシ後」ということになるが、朝のビュッフェで胃袋に詰め込んだレタスとオニオンとベーコンと豆とオムレツを燃料に、10時から17時まで京都の街を自由自在に歩き回った。

  (糺の森から下鴨神社へ、豆鳥居がキュートじゃないか)

 

 平安神宮からスタートして、最高気温25℃まで上昇した1200年の古都を進む。スタートしてまもなく、川べりに座り込んで銅線細工の励むジーサマに遭遇。おそらくホームセンターで購入した銅線を材料に、小さなペンチを駆使して巧みに小さなカゴを製作していらっしゃる。

 

 殺虫剤を傍らに置いているところをみると、かなりの頻度で大量の蚊の襲撃に悩まされている様子。銅線で丹念に編んだ美しいカゴを自慢げに見せながら、さらに新しい作品の製作に励んでいらっしゃる。マコトに楽しげな、素晴らしい老後の過ごし方じゃないか。

     (下鴨神社にて。今年3回目の参拝だ 1)

 

 糺の森から下鴨神社に入る頃には、日も高く昇って気温はさらにぐんぐん上昇した。鴨川は相変わらず鳥たちの天国であって、カモの家族にシラサギ、ウの集団にアオサギ、常に孤独に集中してエサを探すサギの諸君がワタクシのお気に入りである。

 

 糺の森は「ただすのもり」と読む。もちろん我が読者諸君はご存じだろうが、翌日お蕎麦屋で出会った東京のオバサマ4人組は「これって、何て読むんだろうね?」と、みんなでずいぶん悩んでおられたようなので、一応「ただすのもり」とふりがなをつけておく。

 

 糺の森には「下鴨神社七不思議」があって、詳細は諸君の方でググっていただこう。その七不思議の1つが「カラスの縄手」と呼ばれる細い参道に関わるもの。「縄手」と書いてもちろん「なわて」、「なわて」には「縄手」の他に「畷」の文字もあり、縄のような細く長い道を指す。

(下鴨神社七不思議、「烏の縄手」にて。カラスとは八咫烏(ヤタガラス)、八咫烏は太陽の化身で、神武天皇を奈良の橿原まで導いたんだそうな)

 

「平安京より古い」と言われる下鴨神社。七不思議は他に「何でも柊」「連理の賢木」「赤椿」「初芝」「船ケ島」があり、最後の1つが「御手洗川の泡」である。

 

「御手洗川」と書いて「みたらしがわ」。「御手洗の池」もある。普段は静かな池であるが、この池に水が湧き出る時、小さな玉のような泡が池の底から上がってくる。

 

 はるかな14世紀、後醍醐天皇がこの御手洗池の水を掬ってみると、「不思議な泡が湧き上がってきた」「まず1つ、続いて4つの泡」と言ふことになっていて、諸君、「みたらし団子」の始まりは、この時の合計5つの泡だったというのだ。いやはや、さすが京都、あまりに奥深い。

 

 というわけで、みたらし団子関連のお土産が、下鴨神社のショップにズラリと並んでいる。「みたらしリラックマのハンカチ」だの、「みたらしリラックマの扇子」だの、「みたらしリラックマのメモ帳」だの、修学旅行で訪れた健気な中高生のオサイフを、みたらし君はリラックマとタッグを組んで虎視眈々と狙い続けている。

     (下鴨神社にて。今年3回目の参拝だ 2)

 

 ワタクシはもうさすがに立派な大人だから、みたらしリラックマがどんなに誘惑してこようと、そんな罠にはまることは決してない。決然と下鴨神社を後にして、オサイフの口を懸命に押さえながら、下鴨本通りから北大路を目指した。

 

 それにしても、下鴨神社訪問は今年になって3回目だ。前の2回はどちらも近くの「浅井食堂」のハンバーグ定食を貪りにいくついでだったが、こんなに繰り返してお参りしているんだ、そろそろリラックマ以外のご利益があってもよさそうなものだ。

 

 しかし今回は、名店・浅井食堂のハンバーグやナポリタンが目的なのではない。北大路に出たところですでに正午過ぎ、そのまま東山を正面に見て東に歩き続け、午後1時を回ったあたりで一乗寺ラーメンストリートに出た。

     (下鴨神社にて。今年3回目の参拝だ 3)


 味にチョーうるさい近畿圏で、しかも1か2を競う有名ラーメン街道だ。「百名店」に5年も連続して選ばれている名店の前には、20名を超える長蛇の列ができている。待ち時間30分ぐらいか。いやはやラーメン通と言ふものは、驚くべき忍耐力を必要とする。

 

 その店の名は「極鶏」。極鶏と書いて「ごっけい」と読むらしい。「鶏だく」と「赤だく」とがあって、「鶏だく」はドロドロ系の極地であるとのこと。「ドロドロ of ドロドロズ」の評価もあって、「よく混ぜないと麺が丼の下の方のドロドロに絡まない」という恐るべき世界であるらしい。

 

 ワタクシにも、珍しいもの見たさ、コワいもの見たさはある。しかしマコトに残念なことに「ドロドロ系」は自分の好みから最も遠い。ワタクシはあっさり透き通った醤油ラーメン派。佐野ラーメン、白河ラーメン、旭川ラーメン。赤湯ラーメンのファンなのだ。

(京都16kmウォークの後半、北大路と東大路の交差点にて。何だかお空が怪しくなってきた)

 

 というわけで、この日のワタクシが選択したのは、食べログ人気トップ20にも入れてもらっていない、最も普通のラーメンの店。本日1枚目の写真に屋号までしっかり写ってしまっているから、今さら隠しても仕方がない。あえて「珍満」を選んだ。

 

 こういう選択に、ラーメン通の皆様は失笑&冷笑するかも知れないが、ごく普通のギョーザ、ごく普通のラーメン、冷たい瓶ビール、この日すでに10km以上を踏破した我が肉体&精神には、全てがこの上なく美味なのであった。

 

1E(Cd) Weather Report:HEAVY WEATHER

2E(Cd) Sonny Clark:COOL STRUTTIN’

3E(Cd) Kenny Dorham:QUIET KENNY

4E(Cd) Shelly Manne & His Friends:MY FAIR LADY

5E(Cd) Miles Davis:KIND OF BLUE

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