Mon 220905 「中学自習室」ラジオ講座の思ひ出/我が新聞購読歴/訃報が相次ぐ 4262回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 220905 「中学自習室」ラジオ講座の思ひ出/我が新聞購読歴/訃報が相次ぐ 4262回

 8月下旬のある朝、京都のホテルの部屋で珍しく「新聞」をめくってみた。おお、新聞、それだけでマコトに懐かしい。

 

 小学2年の春から欠かさず「朝日新聞」を読み続け、中1の秋からはある事情でどうしても秋田の有力地方紙「秋田魁(さきがけ)新報」も読まなければならなくなり、そのまま惰性で延々と、ホンの数年前まで朝日新聞の購読を続けた。

 

 中1の秋から2年間、いったいどうして「秋田魁新報」なんかを購読したかというに、この新聞に連載された「中学自習室」を利用するためである。

 

 英国数の3科目それぞれ週2回ずつ、日曜日を除く週6回、社会面にちょうど新聞連載小説ぐらいのスペースが設けられ、高校受験生は毎日ここに掲載された問題を解き、何とAMラジオ秋田放送で翌朝の午前6時だったか7時だったか、ラジオ講座で解説を聴くことができた。

 

 何しろ昭和の秋田だ。秋田市のど真ん中でも、「塾」なんてのは見当たらなかった。中3の9月になって部活もみんな引退し、いよいよ高校受験が迫ってくると、新聞の問題を解いてはラジオ講座を聴く、そのぐらいしか勉強の仕方は考えられなかった。

 (8月1日、猛暑の大阪・住吉大社を参拝。詳細は、次回 1)

 

「秋田魁新報」は、そういう事情も踏まえて秋田県の高校受験に大きな影響を与え、購読部数も順調に伸ばしていた。だって、高校受験を控えた娘や息子が「さきがけ、とってけれ♡」と真剣に頼み込んでくれば、パパだってママだって「おお、オマエもやっとホンキになったか」とニッコリ頷く他にない。

 

 しかもサキガケは、初夏と晩秋に年に2回の「全県模試」を実施。ここでの成績をニラみながら、全県の中学校で進路指導が行われた。サキガケなしに、秋田の高校受験は語れなかったのである。

 

 言わば、21世紀ベネッセの昭和秋田県バージョン。この時代のサキガケの功績は21世紀に至るまで引き継がれ、秋田の小6と中3は21世紀になっても優秀であり続け、石川県や福井県と並んで「中3までは全国トップ」に君臨し続けている。

 (8月1日、猛暑の大阪・住吉大社を参拝。詳細は、次回 2)

 

 ではなぜ今井君は、高校入試の新聞講座とラジオ講座に、中1の秋から取り組んだのであろうか。もちろん、プライドの高さもギュッと関連しているのであって、中1の秋にはもう、我が姉上の教科書やら問題集やらを奪い取って、中3の範囲まで一応みんなやり終えていた。

 

 ついでに自慢もさせてもらえば、今井君の中学校には中1から中3まで同じ問題で競いあう「漢字と計算の全校学力テスト」なんてのもあって、お恥ずかしながら夏休み明けの今井君は、中1の分際で全校トップに躍り出た。

 

 いま東進でやっている全国統一中学生テストみたいなもの。無学年制で中1がトップって、やっぱり嬉しいものだ。漢字テストで「職につく」の「就く」が書けなかったが、医者の娘の有名な中3の秀才をタッチの差で抑えてトップ。いやはや、なかなかやるじゃないか。

 (8月1日、猛暑の大阪・住吉大社を参拝。詳細は、次回 3)

 

 しかし諸君、中1の秋にサキガケの虜になったのは、そういうことで盛り上がっちゃったからではない。早朝のラジオ講座の解説に、自分の中学の先生たちが2人も3人も登場なさっていたからである。

 

 これは諸君、大事件だ。昭和の、しかも秋田の田舎の真っただ中だ。自分のガッコのセンセがラジオに出てしゃべっている。それを聴かずにいられるものか。21世紀なら、自分のセンセがテレビに出るのもヨウツベに登場するのも珍しくないだろうが、昔の秋田じゃ大事件だ。

 

 英語の垣崎センセ、数学の佐々岡センセ(ともに仮名でございます)。秋田ナマリをものともせずに、毎週毎週ラジオに登場して自信たっぷりに解説していらっしゃった。

 

 放送時間は15分にも満たないが、「カムカムエブリバディ」の英語講座だって、やっぱり15分。ふだん自分がガッコで習っているセンセの声が、ラジオの電波で聴こえてくる興奮はタダゴトではない。今井君も中1秋から中2の冬まで、早起きしてラジオ講座にしがみついた。

 (8月1日、猛暑の大阪・住吉大社を参拝。詳細は、次回 4)

 

 そうやって新聞が大好きになって、大学生になって独立し、一人暮らしを始めてからは、一時「毎日新聞」に浮気した。やがて生活が苦しくなって、新聞は図書館で読むことにした。大学の図書館に全国紙5紙が並べられていて、それを立ったまま斜め読みすれば事足りるようになった。

 

 新聞購読をすっかりやめてしまったのは、5年ほど前のことである。理由は、書くまい。「記事やコラムの偏向ぶりにウンザリした」なんてのは分かりきったことだし、「4コママンガがつまらなくなった」「連載小説に興味が湧かない」「オトナ向け週刊誌の広告にウンザリ」その他、陳腐な理由はナンボでもある。

 (8月1日、猛暑の大阪・住吉大社を参拝。詳細は、次回 5)

 

 しかし2022年8月下旬、ホントにホントに久しぶりで新聞を手にとって、ワタクシは「おおっ」と思わず大きな声を上げた。部屋に届けられたのは「京都新聞」。何しろ京都宝ヶ池の由緒正しいホテルだから、9連泊中、どんなに無視しても、毎朝マコトに律儀に「京都新聞」が部屋のドアノブにかけられる。

 

 そもそも、「ホテルの部屋に新聞が届けられる」なんてのは、すでに20世紀の古い因習に変わりつつある。ドアノブにかけるか、ドアと床の細い隙間からスッと滑り込ませるか、やり方はその2つだが、10年ほど前からその因習は廃れつつある。

 

 最近は、チェックイン時に「新聞はどうなさいますか?」と、ちょっとおどけた表情で尋ねられるのが普通。「どうなさいますか?」とは、昔なら「朝日? 日経? 読売? それとも地元紙?」ぐらいの意味合いだったが、今やむしろ「必要ですか?」「まさか、ですよね」のニュアンスなのである。

 

 それでもワタクシは、京都に泊まれば「京都新聞」のロゴが見たいし、那覇に泊まれば「琉球タイムズ」のロゴを眺めたい。金沢なら「北國新聞」、札幌なら「北海道新聞」、いいじゃないか。だからあえて断らない。読まないが、届けてもらえるなら、届けてもらってかまわない。

 (8月1日、猛暑の大阪・住吉大社を参拝。詳細は、次回 6)

 

 さて、では何故あの朝のワタクシが大きな声を出したかといえば、久しぶりに開いてみた社会面に「福島章」と「久野綾希子」の小さな訃報を発見したからである(本日は全て敬称略といたします)。お2人とも、20世紀終盤から21世紀初頭の日本を彩った大スターだった。

 

 犯罪心理学の福島章は、犯罪心理の分かりやすい解説で朝から晩までテレビに出ずっぱり。上智大教授として、上智大の人気をグイグイ高めたのも福島章の功績の1つだったし、21世紀初頭「心理学科」とを名乗ればどこの大学でも偏差値が急騰したのにも、彼の人気が関係していたかもしれない。

 (8月1日、猛暑の大阪・住吉大社を参拝。詳細は、次回 7)

 

 久野綾希子は、言わずと知れた劇団四季のメインメンバー。かつて今井君がニューヨークとロンドンでミュージカルを見まくったのも、元を正せば久野綾希子がマリアを演じた「ジーザス・クライスト・スーパースター」あたりが始まりなのだ。

 

 思えばあまりに懐かしい学部2年の春だ。場所は池袋サンシャイン劇場。浅利慶太演出、鹿賀丈史(ジーザス)、滝田栄(ユダ)。市村正親も名を連ねた。まさにドリームチーム総出演の伝説のミュージカルだった。

 

 あの華やかな時代を思うと、「訃報があまりに小さすぎないか」と溜め息をつかざるを得ない。あの京都の朝、奥ゆかしい京都新聞を手に「おお、福島章が」「おお、久野綾希子が」と、今井が宝ヶ池プリンスホテルの部屋で慨嘆した声の大きさは、その嘆息の深さと重さのせいである。

 (8月1日、猛暑の大阪・住吉大社を参拝。詳細は、次回 8)

 

 その数日後、4代目・三遊亭金馬も亡くなった。歳をとってから「三遊亭金翁」を名乗っていたが、ワタクシの世代にとってはあくまで三遊亭金馬である。NHKの伝説的バラエティ「お笑い3人組」では、江戸家猫八・一龍斎貞鳳とともにバラエティの草創期を彩った。

 

 三遊亭金馬がラーメン屋「まんぷく亭」主人・きんちゃん、江戸家猫八がクリーニング屋の主人・はっちゃん、一龍斎貞鳳がクレジット会社の営業マン・しょうちゃん、この3人が「お笑い3人組」だった。

 

 江戸家猫八のカノジョ「おたまちゃん」役で、楠トシエも出ずっぱり。この2人の決め台詞「おたまちゃん♡ はっちゃん♡ うーーーー♡」がイヤになるほど繰り返され、しかしどんなにイヤになっても、昭和の日本人はそれでも意地でも笑いこけたのである。

 

 もちろん、ゴルバチョフや稲盛和夫ほどのスーパー偉人になれば、今井フゼイが「ご冥福をお祈りします」などと書く必要すらないだろう。ワタクシとしてはこの10日間、訃報さえわずか1パラグラフにまとめられてしまったこれらの人々のご冥福を、心から祈らずにいられないのである。

 

1E(Cd) Incognito:POSITIVITY

2E(Cd) Larry Carlton:FINGERPRINTS

3E(Cd) Larry Carlton:DEEP INTO IT

4E(Cd) Luther Vandross:DANCE WITH MY FATHER

5E(Cd) Luther Vandross:NEVER LET ME GO

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