Thu 220728 志摩半島・賢島/横山展望台/遊覧船とBBQ/しまかぜビュッフェ 4250回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 220728 志摩半島・賢島/横山展望台/遊覧船とBBQ/しまかぜビュッフェ 4250回

 6月下旬の快晴の休日、大阪滞在中のワタクシは、近鉄特急に乗り込んで一気に東へ、志摩半島の賢島を目指した。西梅田から四つ橋線でなんばへ、四つ橋線のなんば駅から近鉄難波駅なら、徒歩で30秒もかからない。

 

 6月19日は日曜日で、ゴルフに出かけるオジサマ軍団やら、伊勢参拝の善男善女 ← 老若男女で、近鉄線のホームは大混雑。ワタクシも休日のこととて若干のお酒を買い込み、賢島まで2時間半の長旅に備えた。

 

 今井君が小学生の頃は、教科書がずいぶん志摩半島のことを取り上げた。社会の時間には、志摩半島のリアス式海岸がどんなに水産業で潤っているか、2時間も3時間もかけて教えてもらった。

 

 光村図書の国語の教科書にも、志摩半島の御木本幸吉どんが紹介されていた。彼がどんなに努力して真珠の養殖に成功したか、エジソンや野口英世、シュバイツァーやキュリー夫人に勝るとも劣らない偉人伝として、その幼年時代・少年時代・青年時代から詳細に説き起こされていた。

    (伊勢志摩国立公園、近鉄電車・賢島駅に到着)

 

 今でもまだあの頃の繁栄の残り香が漂っていて、京都・大阪・神戸の人々が初夏の休日をどう過ごそうかと考えた時、「志摩半島にでも行ってくるか」という選択肢は有力であるらしい。

 

 近鉄電車は大阪から賢島まで豪華特急「しまかぜ」を走らせ、「しまかぜ」に勝るとも劣らない豪華さの「ひのとり」も、伊勢・鳥羽・名古屋方面に向かって快走する。

 

 ただ、まだコロナの日々が続く中で、こんなにたくさんのツアー旅行が実施されているのはチョイ不安。トラピクス・赤い風船・クラブツーリズム、近鉄難波駅の地下の狭苦しいホームには、旗振りツアー旅行の添乗員が小旗をハタハタさせて、ワガママなオジサマ&オバサマグループの世話に余念がない。

 

 どこの鉄道会社でも「座席を回転させて、向かい合わせでのご利用はご遠慮ください」と呼びかけている。ところが諸君、小旗パタパタ、小旗ヒラヒラのツアー客は、一向に気にする様子もなくて、乗車するやいなや家族で&グループで座席をクルリ、「何がいけないんだ?」と開き直る風情である。

 

 立場の弱い添乗員さんとしても、なかなかそれを制止できない。「座席の回転はオヤメください」と注意して回るどころか、オジサマたちにはビールを配り、オバサマグループにもお弁当を配布して、席を回転させたままでの酒宴や饗宴を、むしろ後押しして回るのである。

(横山展望台から英虞湾を望む。湿度が高く、湯気のように濃厚な水蒸気にけむっていた)

 

 難波を出て、やがて電車が奈良県に入り、「まもなく大和八木です」と放送が入る頃になって、やっと近鉄の車掌さんがやってくる。声を可能な限り抑えて、ホントに申し訳なさそうに「座席の回転はご遠慮ください」と、1つ1つのグループにお願いして回る。

 

 しかし「何がいけないの?」という反応も少なくない。だって諸君、6両編成だったか8両編成だったかの列車であるが、今井君が乗車した車両のお隣の車両は「サロンカー」。「座席の回転」も何も、最初から座席が向かい合わせに設定されていて、4人席に6人席、「向かい合わせ」のままガッチリ固定されてしまっている。

 

 そういうサロンカーが平気で存在し、そこでは添乗員さんたちが配布したビールにお酒にお弁当で長時間の大宴会が始まっているのに、まさか普通の座席だけ「意地でも&意地でも、回転はご遠慮ください」とは言えないじゃないか。

 (英虞湾島めぐり乗船券売り場。昭和のカホリがたまらない)

 

 というわけで諸君、列車が伊勢に着くまでは、ウィルスが怖くてビクビクものの長旅であったが、伊勢市の駅で善男善女がドッと降りてしまうと、もう各車両4人か5人のガーラガラになった。安心安全、ネムノキのピンクの花が6月猛暑の山に転々と続くのを見ながら、マコトに快適な旅を満喫できた。

 

 やがて列車は鳥羽を過ぎ、終点・賢島まであと十数分を残すばかりとなって、鵜方(うがた)の駅に停車する。ワタクシはここで下車するのである。

 

 鵜方の「方」、きっともともとは「潟」、鵜方ではなくて鵜潟だっただろう。アシやヨシが海沿いに生い茂り、リアス式海岸がすぐそばに展開する風景を眺めながら、ワタクシはタクシーに乗り込んだ。

 

 目指すのは、横山展望台。タクシーで15分の道のりだ。英虞湾のリアス式海岸の全体像をつかむには最高の展望台だが、「横山展望台」とはまた、味もソッケもないネーミングを選んだものだ。

 

 何かもっと、味なりソッケなりを添付&添加するネーミングはなかったものか。ソッケとは、漢字で書けば「素っ気」。面白み・味わい・風情のことである。せっかくの英虞湾の絶景だ、普通に「英虞湾展望台」が良かったんじゃないか。

(さすが英虞湾。こんなに島が入り組んでいては、船の操縦もたいへんだ)

 

 なお、英虞湾と書いて「アゴワン」と発音する。昭和の小学生なら、社会の授業と国語の教科書とミキモト閣下の偉人伝で「アゴワン」、誰でも正確に発音できたが、何しろ今は「勉強は記憶じゃないんだ」「記憶力なんか何の価値もない」と叩き込まれる時代。アゴワンの発音も、今後マコトに心細い思いで見守るしかない。

 

 この日のアゴワンは湿度が高く、風景全体が水蒸気にぼやけて、横山展望台から見おろす海も島も集落もホテルも、みんな水槽の中の模型ように滲んで見えた。「快晴の日に来たかった」が正直な感想である。

 

 横山展望台の駐車場で待っていてもらったタクシーで、そのまま賢島まで直行した。いわゆる「貸切」の一種だが、鵜方から展望台、展望台から賢島、1時間半貸し切って、かかるオカネは約3000円。何だか運転手さんに申し訳なかった。

 

 この運転手さんともずいぶん話がハズんで、賢島の遊覧船についてもいろいろ情報をいただいた。大型の遊覧船もあるが、むしろ十数人乗りの小型の遊覧船のほうが楽しい、英虞湾の奥の奥まで詳しく見せてくれるとおっしゃるのである。

 

 遊覧船乗り場をウロウロしていると、早速その「小型」の方の客引きどんに声をかけられた。「客引き」と言うと語感も人聞きも悪いかもしれないが、非常に熱心に「小型のほうが楽しいですよ」と説明してくれる。躊躇しているのもみっともないから、運転手さんのアドバイスもあり、パッパとその場でチケットを買った。

   (規模縮小したとは言え、今も真珠の養殖は健在だ)

 

 船着場の老舗♡真珠店を冷やかしているうちに、すぐに出航の時刻になり、午後2時から3時まで、タクシー運転手さんオススメの「小型」のお船を満喫した。湿度が高くても、やっぱり夏の海風は最高に心地よかった。

 

 こういう小旅行の場合、詳細な風景なんか別にどうでも構わない。大切なのは甲板を吹き抜ける爽快な海風なのだ。そう言えば、コロナ前の最後の船旅はウィーンからスロバキアの首都ブラチスラバまで、約3時間のドナウ河。12月の強烈に冷たい河風は、今はこの上なく懐かしい。

 

 船着場に戻って、帰りの近鉄特急まで2時間もあるのに呆然とした。こんな小さな船着場だけの町で、2時間の時間つぶしはたいへんだ。

 

 しかしワタクシはこの15年、日々旅にして旅を住処としてきた猛者である。船着場の脇のごく小さな店のオープンテーブルで、魚介のBBQと生ビールを注文すれば、2時間を悠然と贅沢に消費できるのである。

(左、普通の近鉄電車。右がスーパー豪華特急列車「しまかぜ」の勇姿)

 

 帰路の特急に乗り込む前に、さらに賢島駅の2階レストランで日本酒2合を痛飲。ちょうどいい塩梅になって、「しまかぜ」の車両に乗り込むと、これまたマコトにいい塩梅であって、「うーん、関西のヒトの休日って、ホントに&ホントにいい塩梅であるね」と、思わず深いタメイキをついた。

 

 しかも諸君、この豪華列車には、むかし懐かしいビュッフェ車両が連結されている。ビュッフェでは、もちろんビールにワインにお酒も出るが、「中でも一番人気はカレーです」と、乗務員のオネーサマにニヤリとされれば、そりゃ意地でも、どうしても、何が何でも行かなきゃいけない。

(豪華列車「しまかぜ」には、こんなビュッフェが連結されている)

 

 オナカの中には、ついさっき賢島の船着場の店で貪ったオサカナと貝類のBBQがふんぞり返っているが、そんなのカレーの前ではもうどーでもいい。何が何でも、ビュッフェのカレーだろう。

 

「伊勢市の駅から、ビュッフェはドッと混み合う予想です」と、乗務員のオネーサマはどこまでも言葉巧みにサトイモを誘い、気がつくとワタクシはビュッフェの一番端のテーブルを占領していた。

(しまかぜビュッフェのカレー。こりゃ諸君、意地でも貪らなきゃいかん)

 

 ビュッフェで、もまたお酒を痛飲した。BBQで飲み、駅レストランで飲み、列車の座席でも飲み、ビュッフェで仕上げをする。これだけ飲んで、しかし全く酔っ払った形跡はない。胃袋も鉄壁、肝臓も鉄壁、頭脳も鉄壁かつ明晰。このサトイモ、どこまでも前進また前進であって、もう誰にも止められない。

 

 やがて運ばれて来た黒いカレーに、ワタクシは狂喜乱舞。「カレーは飲み物」とまで派手なことは言わないでおくが、まあ今でもカレー1皿に3分はかからない。もちろん、銀座デリーの極辛口カシミールなら、ゆっくり10分はかけるけれども、ごく標準的な和風のカレーなら、「あれよ」と見る間に胃袋に消えていく。

(カレーを食べ終えた頃、まず列車を豪雨が襲い、豪雨の後には鮮やかな虹が出た)

 

こうしてあまりに乱暴な日々を送る今井の目の前に、見事な見事な虹が現れた。列車が伊勢市に停車すると、乗務員サンの予告通りドッと善男善女 ← 老若男女が乗り込んで来て、ビュッフェもあっという間に満員になった。

 

 その直後、三重県と奈良県の県境の深い山地は一天ニワカにかき曇り、激しい雷雨に襲われた。美しい虹がビュッフェの車窓に出現したのは、雷雨がある程度おさまり、西の空に日がさして、夏の夕方の明るさが戻って来た頃のことだった。

 

1E(Cd) Solti & Vienna:WAGNER/DAS RHEINGOLD 2/2

2E(Cd) Akiko Suwanai:BRUCH/CONCERTO No.1  SCOTTISH FANTASY

3E(Cd) Solti & Vienna:WAGNER/DIE WALKÜRE 1/4

4E(Cd) Solti & Vienna:WAGNER/DIE WALKÜRE 2/4

5E(Cd) Solti & Vienna:WAGNER/DIE WALKÜRE 3/4

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