Mon 220725 関西長期滞在も終盤/兵庫県サンダ/三田は遠い/帰路も厳しい 4247回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 220725 関西長期滞在も終盤/兵庫県サンダ/三田は遠い/帰路も厳しい 4247回

 あんまり関西滞在が長いので、今井のことを余りご存じない人からは「ブログを拝見したんですが、今井先生は京都にお住まいなんですか?」と、真顔で尋ねられたりする。

 

 もちろんワタクシはすこぶる意地悪だから、そういう時には「はい、もう随分長く京都住まいです」と、とりあえず完全に知らんぷりで答えることにしている。

 

 すると諸君、相手はすっかり感激したふうで「そうでしょう、やっぱり今井先生の関西コトバはホンモノだと思いました」と言ってくれる。実はNHKの朝ドラで身につけた関西コトバだと告白するにはまだ早い。

 

 何しろ今井の関西コトバは驚くほど年季が入っている。何しろワタクシ、大阪発祥の人形浄瑠璃・文楽を40年も見続けている猛者である。浄瑠璃の台本は、元禄時代や文化文政期の大阪コトバ。義太夫は全て、200年も300年もむかしの正調・大阪コトバで語られるのだ。

 

 そういう古い古い関西コトバを、東京国立劇場と大阪文楽劇場で40年も聞き続けた今井君。昭和&平成生まれの関西人より、はるかに関西在住歴が長いと言っても、決して過言ではない。

(リッツカールトン大阪、6月中ずっとこのバラが飾られていた)

 

 しかも今井は語学の才能に溢れている。頭脳も口の筋肉も、あっという間に今いる場所に同化する。カメレオンみたいなものである。津軽にいれば津軽弁、山形にいれば山形弁。東北には6県あるが、その6県のナマリをキチンと区別して発音できる。

 

 世界で一番クダラン某・調査で「魅力のない県」を独走する北関東の4県なら、もちろん北関東独特の「無アクセント地帯コトバ」。地元の若い人々にはもう全くナマリはないが、今井はその地域のジーチャン&バーチャンに、決して引けを取らない素晴らしい方言での会話を展開してみせる。

 

「北関東」とは茨城・栃木・群馬・埼玉であるが、諸君、いったんワタクシが北関東のオジーチャンになりきって会話を始めれば、あら不思議、今井君はたちまち阿武隈山地やら筑波山麓やら宇都宮のギョーザ屋にしゃがんでいるジーチャンに変身し、完全な無アクセントで喋り続けることができる。

 

 まあ、言わば語学の天才だ。もちろん「4ヶ国語ペラペラ」だとか「5ヶ国語でもすーいすい」みたいなカッケー天才ではなくて、「すぐに地元に同化する」「あっという間に地元民と仲良しになる」という類いの才能が、この里芋型の楕円アタマの中で、今にも破裂しそうに煮えたぎっている。

(リッツカールトン大阪。6月のロビーは、ずっとアジサイがキレイだった 1)

 

 というわけで、何しろたっぷりの大阪滞在が続いたから、6月下旬を迎えたワタクシは、もう完全に関西人間に変化していた。大阪リッツカールトンホテル滞在は、6月9日から6月27日まで、何と18日に及んだのである。

 

 すると諸君、今井君のエセ関西コトバは、どんどんホンモノに近くなる。やがてホンモノを凌駕し、元禄時代や文化文政時代、堂島の札差が日本のコメの相場を牛耳って大儲けしていた時代の大阪弁に変じていく。近松門左衛門と井原西鶴と鶴屋南北が、今井の頭の中で跳梁し始めた。

 

 リッツカールトンといえば、言わずと知れた大阪を代表する高級ホテルだ。そんなところに18泊もすれば、チェックアウト時の請求書の数字におそらく呆然とすることになるだろうが、さすがに今年6月のお仕事は強烈だ。小さなビジネスホテルの部屋でキューキュー言っていれば、間違いなくサトイモの全身が反乱を起こす。

(リッツカールトン大阪。6月のロビーは、ずっとアジサイがキレイだった 2)

 

 6月のスケジュールを眺めて、生粋の関西人でも「なんだこりゃ!?」と驚きの絶叫を禁じえなかった。岸和田・泉ヶ丘・なかもず・京都烏丸御池・高槻・西宮北口・堺東・阪神西宮・三田ウッディタウン・和歌山・尼崎。その関西行脚のど真ん中に、なぜか群馬県前橋が入り込んでいた。

 

 こうなると今井君の頭脳は、正調♡関西コトバと北関東の無アクセント方言がごっちゃ混ぜで化学反応を起こし、22世紀の新たな日本語を求めてピコピコ動き出すのであるが、まあいいや、これほどの激務が続くんだから、高級ホテル18泊ぐらい諸君、優しく笑って許してくれたまえ。

 

 しかもワタクシが贅沢をしているのは、あくまで宿泊費のみである。お食事その他はマコトに地味というか「安くて旨い」だけを一途に目指しているのであって、ランチはジャガイモと厚揚げとダイコンのおでん、またはハンバーグとエビフライ定食。ディナーはコンビニ食と日本酒の晩酌で済ませていた。朝食は、パスである。

(京都水族館にて。巨大なエイに対抗するイワシの魚群が美しかった)

 

 6月23日のお仕事は、兵庫県三田。三田と書いて「さんだ」と読む。「そんなの当たり前じゃないか」と、関西の人はおっしゃるだろうが、さにあらず、首都圏で「三田」と書けば、それは何が何でも「ミタ」であって、ハイソな人々の天下♡ケイオーギジュクの本拠地がミタである。

 

 今井君は浪人生時代、駿台予備校の「東大実戦模試」を夏も冬もそのケイオー三田キャンパスで受験させられたから、ミタに良い思い出は皆無である。一方の兵庫県「サンダ」は、若い頃からそのアクセントに驚かされた。

 

 首都圏地方で「サンダ」と言えば、それこそ「無アクセント」であって、「サ」にも「ダ」にもアクセントを置かない。ましてや「ン」にアクセントが置かれることはあり得ない。

 

 まあ諸君、「ン」にアクセントを置いて「サンダ」を発音してみたまえ。相当変わったオジサマが、お蕎麦屋か居酒屋で怒り狂っているようにしか聞こえない。だから首都圏の「サンダ」はマコトに平板な発音になる。

 

 一方、関西圏の「サンダ」は、冒頭の「サ」に圧倒的なアクセントが置かれ、あとは右肩下がりにスッと下がっていく発音になる。中国語「四声」の第4声とほぼ同じ下がり調子の発音。「サンダル」の「サ」にアクセントを置き、「ル」の発音を省略すれば関西のサンダになる。

      (兵庫県三田、フラワータウン駅)

 

 諸君、サンダはマコトに遠い。ふるさとは遠きにありて思ふもの、そして悲しく歌うものであるが、サンダもまた遠きにありて思ふものである。鉄道を使うなら、大阪駅から満員電車でまるまる1時間かかる。城崎温泉行き特急「こうのとり」という裏ワザもあるが、なかなか時間帯がぴったり合ってくれない。

 

 そこで今井君は、高速バスを利用する。ハービス大阪というバスターミナルから乗って、途中で伊丹空港を経由。伊丹空港まで30分、伊丹空港からまた30分、ゆっくり座っていけるから、超満員の通勤電車よりいくらか快適だ。

 

 しかし、そのバスチケットを買うのがなかなか難しい。ネットで買えればいいのだが、HPには「ネットでは買えません」。交通系のカードで「ピッ!!」についても、HPには「できません」。「窓口でキップを事前購入してください」と、マコトに厳しい記載がある。

 

 ところがその「窓口」のオネーサマというかオバサマというか、まあ要するに女子職員のオカタが、なかなか厳しい関門になっていらっしゃる。午後1時の段階で、「4時半のバスのチケットが欲しいんですが」と言ってみると、彼女のお目目がカッと真っ赤に見開かれた。

 

「アナタは、そのバスに絶対に乗るんですか?」と問いただすのである。

「絶対に乗るんですか?」

「絶対にですか?」

「ホントに絶対に間違いなく乗るんですか?」

彼女の口から「絶対に」というコトバが3回繰り返された。

 

 仕方なくワタクシも、大キライな「絶対に」というコトバで応じ、「はい、絶対に乗ります」と宣誓させられた。いやはや21世紀の世の中で、バスチケットを購入するために「絶対」と言ふ恐ろしい言葉で誓いを立てなければならないとは、ひっくりかえるほどビックリしたものである。

   (フラワータウンから、神戸電鉄で三田駅に到着)

 

 こんなたいへんな思いをして高速バスのチケットを購入したのも、西梅田から大阪駅にかけての夕方の通勤ラッシュに恐れをなしていたからである。

 

 諸君もぜひ一度、夕方のラッシュの時間帯に大阪駅周辺を歩いてみたまえ。老若男女、歩行者のほぼ全てが超高速で闊歩する地下道の雑踏はマコトに危険。ホンの少しの躊躇も許されないし、歩行者の群れの大波に逆行しようものなら、あっという間にモチャモチャにされる。

 

 それを回避しようと高速バスに切り替えてみたのだが、今度はこうして「あれもできません」「これもできません」「絶対ですか」「絶対ですね」「絶対乗るんですか?」の絶対ぜめにさらされる。とかくこの世は生きにくい。

 

 まあ致し方ない。こんなふうにして今井君は青息吐息、途中の渋滞も何とかくぐり抜けて、18時、サンダ「フラワータウン」にたどり着いた。

   (三田から、神戸・新開地にも直通の準急で行ける)

 

 三田は、記憶の中ではたいへん懐かしい町である。もちろん実際の訪問は初めてであるが、今井君がまだコドモの頃、高校野球の強豪として、「三田学園」が春のセンバツで大活躍した。1969年から1970年ぐらいのことである。

 

 2年連続ベスト8。後にジャイアンツで大活躍した2人の左バッター・淡口憲治と山本功児がクリーンアップを打った。ジャイアンツでの淡口は、打席で構えに入ってから左の腰をキュッと2回ひねるポーズで有名。もしYouTubeに動画があったら、ぜひ目撃してくれたまえ。

(兵庫県三田で、銘酒「三田壱」をいただく。たいへんな山の中に分け入らないと買えない銘酒だそうである)

 

 サンダの公開授業は、出席者150名。関西屈指の新興高級住宅街であって、出席してくれた諸君の表情もマコトに明るい。開始直前にも、帰りの電車のホームでも、生徒諸君につかまってたくさんのサインを書き、たくさんの写真に収まった。もちろんマスク厳守でのことである。

 

「え? 帰りは電車?」であるが、さよう、帰りは電車を乗り継ぐしかなかった。もう高速バスの運転は終わっていた。

 

「フラワータウン」から神戸電鉄で10分、三田からJR西日本の各駅停車で40分。人身事故があって20分以上遅れた電車で、酔ったサラリーマン集団がマスクなしで声高に語り合う車内に耐え、22時半、ほうほうのていで大阪駅にたどり着いた里芋サト助なのであった。

 

1E(Cd) Prunyi & Falvai:SCRIABIN/SYMPHONY No.3 “LE DIVIN POÈME”

2E(Cd) Knall:BRUNNER/MARKUS PASSION 1/2

3E(Cd) Knall:BRUNNER/MARKUS PASSION 2/2

4E(Cd) Kubelik & Berliner:DVOŘÁK/THE 9 SYMPHONIES 1/6

5E(Cd) Kubelik & Berliner:DVOŘÁK/THE 9 SYMPHONIES 2/6

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