Sun 220703 舞鶴へ日帰り旅/五老ケ岳/赤レンガ/遊覧船/卑弥呼の丹後とり貝 4241回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 220703 舞鶴へ日帰り旅/五老ケ岳/赤レンガ/遊覧船/卑弥呼の丹後とり貝 4241回

 ちょっと舞鶴まで、日帰りの小旅行を思いついた。

 

 大阪12連泊の真っただ中、「完全にお休みの日」が2回あり、まさか毎日毎日なんば地下街の「おか長」に入り浸って、ジャガイモと厚揚げと大根ばかり食べてもいられない。ワタクシの人生初の舞鶴を訪問して、穏やかな日本海を眺めつつ、ぼんやり物思いにふけるのもいい。

 

 京都発8時38分の「まいづる1号」に乗れば、10時ちょっとすぎには東舞鶴の駅に到着する。舞鶴には「西舞鶴」と「東舞鶴」の2つの駅があって、昨日7月2日、羽田から広島に向かうヒコーキの窓から確認したところ、「西」と「東」の間は広大な山地が隔てている。

 

 宿泊していた大阪梅田のリッツカールトンホテルから大阪駅に向かう。長い地下道を10分ほど歩いて大阪駅に出ると、金沢行きの特急サンダーバードが待っている。京都まで660円の自由席券を買えば、通勤時間帯の大阪から京都まで、マコトに優雅で贅沢な旅ができる。

(京都舞鶴「五老ケ岳」の展望台からリアス式海岸の絶景を望む)

 

 東舞鶴ゆき特急「まいづる」は、京都駅の山陰本線ホームから出発する。嵯峨嵐山方面ゆきの各駅停車は、修学旅行生を満載。もちろん修学旅行生ばかりではなくて、例えば京都を代表する進学校「嵯峨野高校」や「北嵯峨高校」に通う地元の高校生も満載だ。

 

 そういう超満員の電車を眺めつつ、何しろ今井君はゆったり特急電車で休日の旅を楽しむわけだから、とりあえず朝食がほしい。山陰線ホームの付け根に小ぎれいな立食い蕎麦屋があって、ワタクシのお気に入りになっている。

 

 初めて利用したのは、天橋立への小旅行の朝。次に入ったのは、兵庫県豊岡での公開授業の日のお昼。嵯峨野や嵐山の観光にJR嵯峨嵐山駅をスタートにする時にも、このお蕎麦屋を利用する。

 

 すするのは、200円ちょいで食べられる「ミニそば」または「ミニうどん」。ホンの3口か5口で麺はみんな胃袋に流れ込んでしまうが、何しろ昼にドカンと大量のメシを詰め込むのがワタクシの流儀であるから、気まぐれな朝飯にはむしろこの程度が向いている。

(京都発、山陰本線経由、東舞鶴ゆき特急「まいづる」思った以上に混雑していた)

 

 特急「まいづる」は、意外なほど混雑している。停車するのは、二条・亀岡・園部・綾部・西舞鶴。二条・亀岡間は保津川の深い渓谷を行く絶景のルートであり、渓流の車窓からはトロッコ列車や渓流下りのお舟も眺められるが、諸君、多くの人はカーテンをギュッと閉ざして居眠り・ゲーム・お仕事に余念がない。

 

 うーん、間違いなくワタクシがヒマジンであるせいに違いないのだが、日本の皆様にはもっと余裕が必要なんじゃないか。「寸暇を惜しんで仕事」「寸暇を惜しんでゲーム」もそりゃ悪くないが、風景やら絶景やらを満喫する余裕さえなくしてしまっては、肝腎の労働生産性も著しく低下する。

 

 亀岡を過ぎると、車窓は一気に懐かしい田園風景に一変する。京都のフシギは、150万人が生活する大都市の中心からホンの30分電車に乗っただけで、いきなり今井のふるさと同様のスーパー田園風景の真っただ中にワープしてしまうということである。

     (元海軍の街・舞鶴の「赤煉瓦パーク」)

 

 西舞鶴でほとんどの乗客が降りて、終点の東舞鶴まで乗っていたのは、多くが観光客だったようだ。ワタクシは東舞鶴駅前にいたタクシーをつかまえて、まず五老ケ岳の展望台に向かった。

 

 東舞鶴と西舞鶴の間にそびえる五老ケ岳は、海抜300メートル。「近畿百景」の第1位に選出された絶景であって、かつての軍港・舞鶴市街とリアス式海岸の眺めを満喫できる。

 

 案内係のオジサマがまたマコトに話好きな人で、タワーから展望台へ、どこまでも今井君の後を追いかけてきて、嬉しそうにあれこれご丁寧に説明してくれる。どういうわけか今井君は、年齢を重ねるにつれて他の人々に好かれ放題好かれるようになってきたらしいのだ。

(海からの眺めは最高だカニ〜。遊覧船の1時間はマコトに楽しかった 1)

 

 ま、愛想が良すぎるのかもしれない。初対面の人にでも、今の今井君はとりあえず何かしら話しかけてみるのである。昔の無愛想な今井を知っている人は、この変貌と変容に一様に驚きを口にする。

 

 いやはや、15年前までの今井はホントにブアイソー。人を不快にさせるような言動を好み、目の前の人を傷つけ不愉快にさせて快哉を叫び、要するに自分が「性格が悪い人間」であることを楽しんでいた。

 

 しかし今や、ワタクシはほとんど「好々爺」ふうのマコトに気のいい高級オジサマだ。こちらが愛想よくすれば、相手もどこまでも愛想よく迎えてくれる。

 

 展望台の案内係のオジサマもそうだったが、タクシーの運転手さんも同様。展望台の駐車場で30分、ワタクシの帰りを待っていてくれたのだが、「30分、メーターは回さないでおきますね」と笑顔で申し出てくれた。

 

 このタクシーで、カモシカと遭遇したのである。茂みの陰からのっそり、あまりにも至近距離でカモシカと目を合わせた。諸君、カモシカとの遭遇は、秋田高校2年生だったワタクシが、通学路で出会いガシラにバッタリ、あの時以来だった。

(海からの眺めは最高だカニ〜。遊覧船の1時間はマコトに楽しかった 2)

 

 五老ケ岳から舞鶴市街に降りて、あとは「赤レンガパーク」「遊覧船」と、舞鶴の定番を回る。舞鶴はかつて海軍の軍人さんたちが闊歩した町。戦後は大陸からの引きあげ船と「岸壁の母」の悲しい物語の町だった。小型の遊覧船で1時間ゆっくり港を一周すると、その波があまりに穏やかなことに、何だかフシギな気分になった。

 

 さて昼メシであるが、午後2時の舞鶴で昼メシにありつける店はあまり多くない。ほぼ無人の旧市街を散策して、選んだのは海鮮料理店「卑弥呼」。というか、大阪を出発する前からネットを検索して、「この店しかないな」と半ば諦めた気持ちでいた。

(海からの眺めは最高だカニ〜。遊覧船の1時間はマコトに楽しかった 3)

 

 そもそも「なんで舞鶴で『卑弥呼』なの」であるが、それはそれ、最近の異様なほど愛想のいい今井君だ、「なぜ卑弥呼?」の謎についても、入店してからチャンスがあったら店員さんに尋ねてみればいい。「とりあえず卑弥呼の一択」「だって他の選択肢はほぼ皆無」と覚悟して、昼下がりの「卑弥呼」闖入を試みた。

 

 しかしさすがに卑弥呼、地元での超人気店であるらしい。午後2時でもま超満員。一家眷属10数人で訪れた人々も数組存在して、表六玉の日帰りサトイモの闖入はなかなか許されない。店先の椅子にしょんぼり座って、何と20分もじっと入店を待ったのである。

 

 ようやく通されたのが、4人用の半個室。いやはやこれはありがたいことだが、半個室の障子が半分しか閉まらない。というか、障子3枚分の面積に、障子が2枚しかない。すると誰が考えても障子1枚ぶんの面積がオープンになり、半個室の中の様子が思い切りノゾキ放題になるという仕掛けだ。

(東舞鶴駅に向かうトンネル。思わず我が美声を張りあげて懐かしい歌を歌った)

 

 もちろん今井君は、飲食店の半個室で「人に見られては困る」類いの悪事を働く人間ではない。せいぜいで「歯に挟まったサザエのかけらを指でつまみ出す」みたいな無作法を働く程度だ。

 

 もっともつい半年前、福岡県門司のレストランで「歯に挟まったカレーの鶏肉のかけらを指でつまみ出し」ていたところ、そのシーンを斜向かいのテーブルの30歳代後半と思われる高級女子に目撃され、高級女子の強烈に批判的な視線を浴びて、縮み上がる思いをした。奥歯に詰まった食物を指で引っ張り出すような悪事は、何が何でも慎むべきなのだ。

 

 さて、その障子1枚分オープンな半個室で、愛想のいい今井君が注文したのは、「丹後とり貝の刺身」と「グジの塩焼き」。もちろん遊覧船の1時間で渇き放題に渇いた喉に、瓶ビール2本を一気に流し込んだ後である。

 

「丹後とり貝」については、遊覧船のガイドさんに紹介してもらった。「ボランティアでガイドをやってます」と自己紹介した上で、「舞鶴の丹後とり貝は有名で、京都の高級料亭からもどんどん注文が入ります」「美味です」「チャンスがあったら是非どうぞ」とおっしゃった。

  (舞鶴の名店「卑弥呼」でグジの塩焼きを楽しんだ)

 

 その「チャンス」が巡ってきたわけだ。舞鶴のランチでチャンスと言ったら、この「卑弥呼」以外にちょっと考えられない。むかしむかしからの言い伝えに「チャンスはハゲ頭」と言ふのがあって、「チャンスが来たら前髪をつかめ」「後ろの髪はないかもしれないんだから」と幼い今井君は教えられてきた。

 

 そこで諸君、丹後とり貝2500円、ワタクシは躊躇なく注文した。むかし回転寿司でとり貝、なんぼでも貪った記憶がある。御茶ノ水や高田馬場の回転寿司で、確実に一番安く食べられたのがミル貝とトリ貝。100円皿を20枚も30枚も積み上げて、ポンポンがはちきれそうになった。

 

 あのとり貝が2500円もするとすれば、きっと大きな皿いっぱいにたっぷりのとり貝がズラリと並ぶに違いない。そう思って、あえてランチ用の定食ものは注文せず、とり貝の他にはグジの塩焼き1つだけにして、とり貝だけをゆっくりのんびり咀嚼&嚥下する舞鶴の午後を満喫しようと考えたのである。

(舞鶴の名店「卑弥呼」、これが問題の「丹後とり貝」。2切れで2500円の驚きの海鮮だ)

 

 しかし世の中はマコトに摩訶不思議なものであって、やがて運ばれてきた丹後とり貝は、驚くなかれ、たったの2切れしかないのだった。とり貝2切れ、2500円。平均すれば、1切れ1250円。その驚きにワタクシの頭脳はモーローとなり、とても「なぜ卑弥呼?」の謎を解くどころではなくなった。

 

 だって諸君、2500円あれば、この店で一番高い定食ものも注文できるのである。ゴハンも味噌汁もたっぷり、日本海の海鮮もいろいろ山盛り、それでもせいぜい2800円。一方の丹後とり貝、2切れ2500円。咀嚼&嚥下も何も、ほぼ1分で完食、後には大根を刻んだ刺身のツマしか残らない。

 

 いつまでもいつまでも脳の奥の深いところがジンジンして、ショックからの回復はままならない。それほどの高級食材であるならば、遊覧船のボランティアのガイドさんが、それなりにクギを刺してくれたらいいじゃないか。高級海鮮と高級フルーツには、滅多なことで気を抜いてはならないようだ。

 

 ま、「後悔、先に立たず」。午後4時半の東舞鶴駅から京都に帰る特急「まいづる」に乗り込み、電車の中でたっぷり居眠りをして精神力を回復した。悔しまぎれに京都から新大阪まで新幹線に乗り、新大阪駅の地下街で安い串カツをワンサと貪って、とり貝の憂さ晴らしとした。

 

1E(Cd) Barbirolli & Hallé:THE BARBIROLLI ELGAR ALBUM 2/2

2E(Cd) Elgar & London:ELGAR/SYMPHONY No.2

3E(Cd) Barbirolli & Hallé:THE DREAM OF GERONTIUS 1/2

4E(Cd) Barbirolli & Hallé:THE DREAM OF GERONTIUS 2/2

5E(Cd) Ashkenazy & Philharmonia:SIBERIUS/SYMPHONIES 1/4

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