Fri 220701 大阪なんばの地下街を満喫/豚まんは二見/大根とジャガイモが絶品 4240回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 220701 大阪なんばの地下街を満喫/豚まんは二見/大根とジャガイモが絶品 4240回

 大阪に12連泊もしていれば、もちろん「今日は仕事がない日」などという嬉しい1日もやってくる。京都散策ももちろんいいが、大阪を散策して「真っ昼間からお酒を飲む」というシアワセは、何ものにも代えがたい。

 

 梅田のホテルから難波まで御堂筋を4kmまっすぐに南下、確かに今回のスーパー猛暑の始まりの頃ではあったが、6月中旬はまだ30℃になるかならぬか、猛暑と名付けてあげるにはまだ生ぬるい日々であって、4km程度のウォーキングなら何とか耐えられた。

 

 というか、耐えた方が1杯目2杯目のビールの旨さが激烈にアップする。午前10時にホテルからスタート、宿泊していた西梅田のリッツカールトンホテルを出て梅田新道まで一気に地下道を東進すれば、その十数分の間だけは、猛烈な大阪の朝の陽光を一切浴びなくて済む。

 

 そこから先は、御堂筋を南下するだけである。どこまでも続くビル群を自分の左側に置けば、朝の鋭利な日光を全てビル群が遮ってくれる。涼やかな日陰ウォーキングなら、熱中症の心配はほとんど皆無である。

(大阪ミナミ「おか長」のエッグソーセージ。マコトに昭和な絵柄がいいじゃないか)

 

 もし涼しい季節に梅田から難波までのウォーキングを楽しむなら、御堂筋より「堺筋」の方が面白い。堺筋は御堂筋よりさらに1ブロック東進した通りであるが、北浜の大阪証券取引所があったり、道修町(どしょうまち)の製薬会社ストリートがあったり、御堂筋よりはるかに見所が多い。

 

 その「道修町」製薬会社ストリートの散策については、また回を改めて詳細を記すことにして、とにかく「仕事がお休みの1日」のワタクシは、一路ひたすら梅田から道頓堀、道頓堀から難波を目指した。

(大阪ミナミ「おか長」の風景。「おかちょう」ではなく「おかなが」と発音する)

 

 要するに「ミナミ」の飲み屋で昼から好き放題をしようと考えたのであるが、好き放題ついでに難波で「二見の豚まん」も買って帰りたい。諸君、大阪で豚まんを貪るなら、とにかく「二見の豚まん」を選びたまえ。大流行中の「551」じゃダメだ。

 

 大阪人が好む豚まんは、何が何でも「二見の豚まん」。新大阪や伊丹空港なんかで、長蛇の列に並んで「551」の赤い紙袋の豚まんを購入している人々を眺めながら、大阪の人は「そんなにおいしいか?」と、不思議そうに首を傾げている。

 

 だって諸君、551って、要するに皮ばっかりじゃないか。特に皮の上部の頂点のあたり、あんなに皮ばっかり分厚いんじゃ、肉のあんの味が全く染み込んでこない。

(大阪ミナミ「おか長」のおでん。だいこんが絶品、ワタクシは1回4個をスタンダードとしている)

 

 一方の「二見の豚まん」、豚のあんの量が圧倒的に多い。皮を食べてるんじゃなくて、どこまでも「豚を食べている」という充実感が濃厚だ。もちろん皮もたいへん重要、しかしせっかく豚まんを買って、あんナシの皮だけを食べなきゃいけない部分があると、さすがに興ざめだ。

 

 ま、もちろん個人の好みの問題だろうけれども、諸君、とにかくその「何でもいいから有名な方」という選択肢を選ぶ生き方、そろそろヤメにしませんか。「知名度が低くても旨い方を選択するのが当たり前やろ」、さすが大阪人は正しい生き方を身にしみてご存知でいらっしゃる。

(これは別の日、新大阪駅地下の串カツ屋にて。夜遅くまでの超満員が復活している 1)

 

 というわけで、今井君もグルメ番組やグルメ雑誌で取り上げられたお店より、難波の地下街の「安くて、早くて、旨い店」を求め、あえて梅田から4kmの道のりを踏破した。

 

「コマメな水分補給」という優等生的な行動は当たり前だが、途中から少々それも控えめにして、冷たいビールの1杯目2杯目をさらに旨くする努力を楽しんだ。

 

 あれは1990年代の中頃だったか、サントリーから「ダイナミック」というビールが新発売になって、CMは赤井英和と山口智子。真夏の営業でヘトヘトになった赤井英和が思わず水を飲もうとするのを遮り、山口智子が「赤井さん、あとちょっと頑張って」と、夕暮れのビールの旨さを暗示して励ますシーンがあった。

 

 熱中症対策のコマ水(コマメな水分補給)を推奨する政府の方針からして、あのタイプのCMはきっとご法度なんだろう。今やYouTubeを検索してもなかなかあのシーンは発見できないが、ちょいと水分を我慢してでも、ビールの最初の1杯を満喫するマッチョで昭和なスポコン精神が、大阪の街にはまだ残っていそうだ。

(これは別の日、新大阪駅地下の串カツ屋にて。夜遅くまでの超満員が復活している 2)

 

 というわけで、ついに難波に地下街にたどり着いた今井君は、南海高島屋デパートの地下街「なんなんタウン」に闖入。昨年の秋からもうすっかり馴染みなった「おか長」のテーブル席を占領した。もちろんカウンターでもいいが、何しろ午前11時、まだ店内は空いていた。

 

 最初に注文したのが、エッグソーセージ。昔の学生街の安い定食屋では、必ず皿の端っこに十数本のナポリタンと一緒に転がっていた赤いウィンナであるが、贅沢にそれが5本、美しい幾何学模様に並べられて、真ん中の目玉焼きを飾っていらっしゃる。

 

 こういうのが諸君、旨いのである、安くて、早くて、旨いのである。鉄板が申しぶんなく熱いので、ウィンナに夢中になっているうちに目玉焼きが思い切りスカスカに固く焼けてしまうが、まあそんなことは構わない。

 

 昭和の東京の定食屋の思い出が、モワッとウィンナの切り口から噴き出して、思わずキャベツの千切りと縮んだパセリが欲しくなり、「すみませーん、ナポリタンありますか?」と叫ぶところだが、マコトに残念なことに、この店のメニューにナポリタンは存在しない。

(これは別の日、新大阪駅地下の串カツ屋にて。夜遅くまでの超満員が復活している 3)

 

 そこで今井君は、ここで一気に「おでんの世界」に突撃する。時計はまだ11時30分だが、おでんでビール、おでんで日本酒、「いったい何がいけないの?」であって、他のお客さんも申しぶんなく積極的に、おでんの世界の攻略に全精力を傾けていらっしゃる。

 

 ワタクシが溺愛するおでんは「だいこん」「厚揚げ」「じゃがいも」の三種である。大阪のおでんにはロールキャベツとかシューマイとか、田舎育ちの今井君のおでんメニューに含まれないものもあるが、まあ諸君、どうでもいいから一度「おか長」のテーブルかカウンターに座って、おでんのだいこんを賞味してみたまえ。

 

「おか長」と書いて「おかなが」と発音する。ワタクシはずっと「おかちょう」だと思っていたから、おそらく今後もずっと「おかちょう」と呼び続け、文楽の帰りにも、公開授業の帰りにも、仕事が休みの日の真っ昼間にも、ずっと「おかちょう」のおでんのだいこんを満喫しつづけるだろう。

 

 しかも諸君、大阪の人は「ビールの大瓶」を「おおびん」とは呼ばず「だいびん」と発音する。東京では間違いなく「おおびん」だが、大阪では何の疑いもなく「だいびん」であって、「おおびん」と発音すると「だいびんですか?」と真顔で訂正される。

(大阪「おか長」の日本酒メニュー。「純米吟醸」「本醸造」「純米の極み」「越後純米」と並ぶ中、「呉春」についての「普通」の文字が素晴らしい)

 

 その表情に、笑顔は全くない。能の世界に「ひためん」、漢字で書けば「直面」という表現があって、面をつけない登場人物が、しかしまるで能面のように完全な無表情で演じることを「ひためん」という。

 

「おか長」の面々も、ほぼ完璧なひためん。かつて一度だけ表情を緩めてくれたことがある店長をはじめ。アルバイトの男子も女子もカンペキな無表情で酒と料理を運んでくる。

 

 中でも一番カンペキな無表情で店内を動き回っていたアルバイト女子に、4個目のおでんのだいこんを運んできてもらった時、「おいしいですね」と声をかけてみた。

 

 諸君、驚くなかれ、あれほどカンペキなひためん、あれほどカンペキな無表情を保っていた彼女が、思い切り表情をくずしてニッコリ、「ありがとうございます」と言ってくれたのだ。うーん、いつもニッコニコな人も嬉しいが、強烈に固いヒタメンの無表情を突然くずして100%ニッコリ、これもまた信じがたいほどに嬉しいものである。

(ワタクシの大好きなジャガイモと厚揚げ。大阪滞在2週間で、それぞれ合計5個ずつ平らげた)

 

 そして諸君、この店の真骨頂は、だいこん以上にジャガイモだ。半年前、カウンターで隣りに並んだオジサマが、お刺身数種類を平らげた後で、何となく居ずまいを正してジャガイモ1個をご注文。すぐに出てきたジャガイモを、自慢げにヒタイのあたりにかざしながら、1口1口頷きながら、ホクホク召し上がる様子を眺めた。

 

 あれ以来ワタクシは、とにかくチャンスがあったらあのジャガイモを試してみようと憧れ続けてきた。そして6月中旬のお休みの日、とうとう憧れのジャガイモをホクホク、周囲の客に見せびらかしながら満喫したのである。いやはや、マコトに意地汚い今井君なのである。

 

1E(Cd) Reiner & Wien:VERDI/REQUIEM 2/2

2E(Cd) Wigglesworth & Netherland radio:SHOSTAKOVICH/SYMPHONY No.4

3E(Cd) Mravinsky & Leningrad:SHOSTAKOVICH/SYMPHONY No.5

4E(Cd) Maggini String Quartet:ELGAR/STRING QUARTET in E MINOR & PIANO QUINTET in A MINOR

5E(Cd) Barbirolli & Hallé:THE BARBIROLLI ELGAR ALBUM 1/2

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