Wed 220601 6月の受験生が心配だ/復習/授業を+評価/ランチを楽しみたまえ 4229回
何だかよく分からんが、あっという間に6月になっちゃった。6月1日、さすがにワタクシはもともと予備校講師であるから、旅の記録ばかり書いていないで、たまには「受験生のことがホントに心配だ」みたいなことも書いておかなきゃいけないだろう。
特にワタクシが心配しているのは、浪人生諸君のことである。最近は浪人生と直接向かい合う機会がグッと少なくなったが、いやはや6月というのは、浪人生にとって最大の危機である。
読者の中に浪人生やその周囲のオトナがいらっしゃったら、大ベテランの言うことをお耳をかっぽじってよーく聞きたまえ。「ピンチ同時にチャンスでもあるはずだ」と、昔から多くの人がおっしゃっているが、とりあえず浪人生諸君、あなたがたはいま大きなピンチに立っている。
(宇治平等院、4月の新緑。温暖化前はこれが6月上旬の風景だった)
だって、どうだい? 今日の授業には全部ちゃんと出席したかい? 生授業でも、コロナのせいでまだオンラインだとしても、4月中旬にやっと授業が開始されて6月、「あの授業、別に出なくてもいいかな?」という怠け心が、思い切り前面に出てくるのが今日あたりなのだ。
むかしの予備校には朝の時間帯に「チュートリアル」などというものがあって、チューターとかフェローとか「講師ではないが講師みたいな若い職員」が教壇に登場、ビックリするかもしれないが「不必要だと思った授業はサッサと切った方がいいよ」などとアドバイスしたりすることが少なくなかった。
「授業を切る」とは、「価値がないと思った授業にはもう2度と出ないと決意する」という恐るべき行動であるが、21世紀初頭までの予備校には、まだそんな習慣が「正しい選択」として根付いていた。
そういうフェローとかチューター、予備校によっては「アドバイザー」という名前がついていたが、そういう人々が
「1週間にちゃんと吸収できる授業はせいぜいで10コマ分ぐらいだぜ」
「1週間に20コマも30コマも授業に出席していたら、みんな消化不良になっちゃうぜ」
「ダメな授業はどんどん切った方がいい」
その種のすげーアドバイスを平気で口にした。
(宇治川の右岸「興聖寺」を訪ねる 1)
それを煮詰めていけば、やがて「授業をしない予備校」とか「まだ授業なんかに出てんの?」という次元になるが、その世界についてはいずれそのうち発言することにして、とりあえず「ダメな授業は切った方がいい」と言ふ発言について、大ベテランの助言を聞いてくれたまえ。
諸君、絶対に切っちゃダメだ。だって3月&4月、あなたが浪人を決意した時、その予備校の案内書には「授業にさえ出ていれば大丈夫です」「授業以外の教材をやる必要はありません」「講師陣はみんな一流です」と、太いゴシック体で印刷されてなかったか?
それを信じて予備校に1年を託し、それからわずか1ヶ月半か2ヶ月、その予備校のアドバイザーだかチューターだか、そういう人たちにいきなり「切っちゃえ」と言われたら、必ず激しく猛反発すべきじゃないか。
(4月25日夕刻、まだ宇治を散策していた)
諸君、絶対に切っちゃダメだ。どんなに「切っちゃった」という友達が多くても、そのガラガラの教室でセンセのすぐ前の席を占め、「ダメ講師」みたいなレッテルを貼られかけているそのセンセの熱心な授業に、ギュッとかじりついていきたまえ。
どんなに「ダメだ」と判断した授業でも、50分なり90分なりの授業の中に、何か1つでもいい、「これはよく分かった」「この説明はよかった」「ここだけはスゲー理解できた」という部分を探したまえ。そういう1時間1時間が最大の脳の栄養になっていく。
(宇治川の右岸「興聖寺」を訪ねる 2)
次に諸君、復習の話題に転ずるが、今日の授業の復習はしたかね? 4月中旬の授業開始から1ヶ月ちょい、そろそろまず復習を怠けはじめる時期であるが、復習こそ最も実力のつきやすいスーパーチャンス。復習を怠ければ実力はつかない。
それこそ「ホンモノのダメ講師」は、「予習をカンペキにやってこい」「授業が分からないのは予習をしてないからだ」「僕は授業に緊張感を持たせるために自分では予習をしないが、君たちに必要なのは徹底した予習なんだ」の類いのお説教ばかりする。
しかし諸君、授業が分からないのは、諸君が予習をしていないからではなくて、講師の説明が稚拙だからに決まっている。予習していない生徒でも、意地でも分からせる講師でなければ、講師の資格はない。しかも予備校側の案内書では「講師はみんな一流です」だったはずだ。
重要なのは、だから徹底した復習。「あそこはよく分かった」「あの説明だけは凄かった」「今までキライな分野だったけど、今日をきっかけにキチンとやって克服できるようになりたい」と、友達どうしで語り合うだけでも、実はそれこそが最高の復習になっている。
(宇治川の右岸「興聖寺」を訪ねる 3)
でも、ちゃんとそういうことを続けているかい? 何しろ「切っちゃった」「だってガラガラだし」「先生も予習してないとか断言しちゃってたし」とか、そんな状況では困るのだ。どんなに「ダメな授業」と判断しても、意地でも出席して、意地でもセンセをプラス評価する努力をしたまえ。
と、そう決意した瞬間に予備校サイドが「講師アンケート」なんてのを配布したりする。「極めて満足」「まあ満足」「普通」「まあ不満」「極めて不満」の5段階評価で、生徒サイドから講師を採点するヤツである。
ワタクシのオススメは、そういう場合でも意地でもプラス評価を書きまくることである。5段階評価なんかより、記述式の部分に、ぜひ若いセンセのプラス評価を書きまくりたまえ。
それだけで講師がどんどん好きになり、好きになった講師の担当科目も好きになる。好きになっちゃえば、学力がつくのは時間の問題だ。講師がキライなら、その科目もキライ。だから、講師の悪口を書いて損をするのは、悪口を書いたそのご本人しかいない。「そのご本人」なんかに、絶対になりなさんな。
(宇治川の右岸「興聖寺」を訪ねる 4)
いやはや、書くね&書くね。今井はよほど浪人生のことが心配なのであるね。ということは諸君、当然「予習」のことも書かなきゃいけないが、予習にはあんまりこだわらなくていい。
中でも心配なのは「予習をしていないから」という理由で授業を欠席するオロカな選択。中には予習をやりすぎて、授業中の態度が悪くなるヤツだっている。せっかく授業を、講師の説明の点検みたいに思っている生徒だって少なくない。
予習をおざなりにしてはならないのは、あくまでも講師サイド。いつも言っているように、講師の予習は「生徒がどこでどんな疑問をもつか」「この説明で発生する疑問は何か」の徹底した予測であって、授業中に先回りしてその想定疑問もみんな解決してしまうべきだ。
今井の授業に出て「異様によく分かる♡」「なかなか質問に行けない」と溜め息をつくのは、今井君のその種の予習が徹底しているせいである。失笑する人ももちろんいらっしゃるだろうが、30年も予備校の世界で生きてきた人間の言うことだ、失笑ばかりしていないで、タマにはマジメに聞きたまえよ。
(宇治川の右岸「興聖寺」を訪ねる 5)
そして最後に浪人生諸君、ランチをホンの少しだけ贅沢にしてみたまえ。そりゃ浪人生の身だ、「贅沢」と言ってもホドがあるだろうが、カレーでも牛丼でも立食い蕎麦でもいい、1つでも2つでも「自分にご褒美」のトッピングを満喫したまえ。
むかしむかし、まだ健在&パンパンの超満員だった時代の代々木ゼミナールには、「グリル・アターブル」「梅もと」というランチの定番があって、山ほどいた浪人生が長い列をつくった。ライバルたちと同じ屋根の下でランチを楽しむだけでも、「よし、次の授業でもセンセのプラス評価に励むぞ」の決意が固まるものである。
(京都からの帰路、地下街「味味香」のカレーうどんを満喫)
とにかく授業の悪口だけはやめたまえ。「あそこがよかった」「あそこだけはすごく分かった」と、ランチを貪りながら友人たちと肩をたたきあいたまえ。
もし友人がいなかったら、それでも全然かまわない。架空の友人をあなたの隣に設定して「あの説明はよく分かったよね」という会話ぐらいできるはずだ。
どうだい明日の予備校ランチ、「カレーうどん」という選択は? ワタクシは京都・宇治の帰り道、京都駅地下街の「味味香」で、スタンダードなカレーうどんにたっぷりの唐揚げを満喫した。
(京都からの帰路、地下街「味味香」の唐揚げ「チューリップ」を満喫する)
立食い蕎麦もいいじゃないか。つい1週間前、なぜか朝8時の新宿駅で、ワタクシは「箱根そば本陣」に入り、立食いカウンターさえほとんど満員の店で、大汗をかきながら「肉そば」をすすった。
普段なら、お蕎麦は「かけ」でいい。無料のネギをガバッと、トッピングのつもりでぶっかければいい。しかし「今の授業であそこがよく理解できたから」「センセの説明が珍しくよく分かったから」と心の中でつぶやきながら、生タマゴ1つ、ちくわ天1つ、ごぼう天1つ、そうやって自らを奮い立たせるのも、浪人生活の潤いになるはずだ。
1E(Cd) Barenboim:BEETHOVEN/PIANO SONATAS 6/10
2E(Cd) Barenboim:BEETHOVEN/PIANO SONATAS 7/10
3E(Cd) Barenboim:BEETHOVEN/PIANO SONATAS 8/10
4E(Cd) Fischer & Budapest:MENDELSSOHN/A MIDSUMMER NIGHT’S DREAM
5E(Cd) Coombs & Munro:MENDELSSOHN/THE CONCERTOS FOR 2 PIANOS
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