Fri 220527 ペロロンチーノ?/友人の命日/夏スケジュールにちむどんどん 4226回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 220527 ペロロンチーノ?/友人の命日/夏スケジュールにちむどんどん 4226回

 ウソでも何でもなくて、幼い今井君は非常識だったから、「ひつまぶし」を知らなかった。何しろ読書家の優等生なので♡、文字の上だけなら見たことがあったが、しかしずっと「ひまつぶし」だと思っていた。もう1回念を押すが、ウソでも何でもない。

 

 同じように「ペペロンチーノ」だって、知ったのはずっと大人になってから。オリーブオイルを初めてそれと認識して舐めてみたのは、30歳を過ぎていたかもしれない。

 

 だって諸君、18歳の春に秋田から東京にやってきて、大学の友人たちと喫茶店で昼メシを食べてみたが、東京・京都・大阪、夢のような大都会出身の友人たちだって、むかしは誰も「パスタ」とは言わなかった。

 

 当時の首都圏のオシャレな女子も、みんな「スパゲッティ」「ミートソース」「ナポリタン」、それ以外の言葉が彼女たちの口から出るのを聞いたことはない。

   (山旅の復習 4月10日 高遠からの木曽駒ケ岳)

 

 陸の王者ケイオーみたいな超ハイソ大学に通学させるご家庭なら別のこと、一般的な大学生の家庭では、ママが「今日のゴハンはスパゲッティよ」と言えば、黙っていても今の「ナポリタン」が食卓に登場した。

 

「首都圏のオシャレ女子」、女子学院とか雙葉とかフェリスとかヤンゴトナキ高校のご出身、田舎者の今井君なんか、1度でも口をきいてもらえただけでブルブル両手が震えだすような高級女子たちであっても、何をどう思い出しても、当時「ペペロンチーノ」と平気でのたまう人はいなかった。

      (山旅の復習 4月11日 富士山)

 

 だって諸君、東京のど真ん中にも「カプリチョーザ」も「洋麺屋 五右衛門」もなかった時代だ。それどころか、21世紀イタリアの田舎町を旅していてさえ、「ペペロンチーノ!!」と注文すると、一瞬変な顔をされる。「おお、アーリオオーリオか?」とウェイターに言い直されるぐらいだ。

 

 だから若々しい今井君なんかは当時、ずっと「ペロロンチーノ」だと思っていた。「ひまつぶし」と同じことだ。絶対にウソでもネタでもないから諸君、そんなに冷たい顔をなさってはいけない。だってホントにホントに、ペロロンチーノだと確信していたのだ。

 

 我が大学生時代、オリーブオイルと言ふものについて、何しろワタクシは極端な読書家であったから♡一応その存在は知っていたが、「どんな食べ物でもそのヒト回しで魔法のように美味しくしてくれる」と言ふそのアブラが、どんな色をしているかさえ目撃したことはなかった。

     (山旅の復習 4月17日 秋田太平山)

 

 小学校の家庭科の授業で、「サラダを作りましょう」という1日があって、みんなオウチからキャベツとキュウリを持参させられた。「トマトは?」と質問したヤツがいて、「トマトもOKです」ということになったが、レタスなんか問題外、レタスの存在さえ知らないヤツだっていた。

 

 ドレッシングに使う油は、もちろんサラダオイル。サラダオイルと、たっぷりの米酢と塩をボウルで混ぜて、中にはママから聞いてきたらしく、「コショウを入れなきゃ」と暴れる女子なんかもいたりして、いやはやマコトに楽しかった。

 

 3時間目に刻んでおいたキャベツとキュウリに、4時間目に作ったそのマコトに酸っぱい「米酢ドレッシング」をぶっかけ、給食の時間にまずいサラダをみんなで食べた。5時間目になってもまだ教室の空気が酸っぱくて、今井君は「もう絶対サラダは食べない」「一生イヤだ」と、そう心を決めて今に至る。

      (山旅の復習 4月17日、鳥海山)

 

 どうしてこんな話をするかと言うに、別にNHK朝ドラのストーリーと脚本と演出を批判したいわけではあるが、それ以上に諸君、ワタクシは一昨日・昨日・今日と、1980年代のことをしみじみ思い出して過ごしていたのである。

 

 昨日5月26日は、友人K君の命日であった。彼は大学4年の5月26日の朝、心不全で突然亡くなった。出身は、青森県の木造(きづくり)町。名門・弘前高校に五能線で列車通学したというマコトに朴訥な男で、学部1年の春4月、語学クラスで一緒になると、すぐに今井君と仲良くなった。

 

 当時の学部生には、「授業になんか出ない」と宣言し、蕎麦屋・居酒屋・映画館・バイト先の塾に入り浸るのを勲章と考えているような悪いヤツが少なくなかった。今井君こそその典型。はるかな昔、学部1年生でも喫煙と飲酒はごく普通に許される時代だった。

 

 その悪い今井君に「たまには授業に出てこいよ」と忠告する朴訥なK君。よく言い合いにもなったが、何しろ出身地も近い。何となく仲良くなって、鎌倉の美術館やら、今井君が入り浸り始めたアングラ演劇やら、もちろん居酒屋の類いやらで、ずいぶん長い時間を一緒に過ごした。

 

 彼の出身地・木造は太宰治「津軽」でも何ページにもわたって描かれている歴史ある町である。学部2年の夏に、友人たち5人で木造を訪問し、K君の広大な実家に3泊させていただいた。さらに五能線を西進&南下して、津軽の西海岸まで旅をした。

 

 りんご畑の向こうに岩木山の勇姿があった。太宰は「りんご畑の向こうに岩木山が浮かんで見える」みたいな描写をしていたと思うが、2022年4月の旅で、久しぶりにその岩木山の全貌を眺めた。

      (山旅の復習 4月18日、岩木山)

 

 あの夏休みの旅で、K君を入れて6人、岩木山にも登った。それこそナポリタンとミートソースしか知らず、オリーブオイルに触れたこともなく、ひたすらテーブルの上のタバスコをぶっかけ、異様に酸っぱ&辛いナポリタンで口の周りをケチャップ色に染めながら貪っていた時代である。

 

 昨日は、そういうK君の命日だった。友人たちは頻繁に、青森の木造町までお墓参りに行っている。亡くなってから長い長い時間が経つが、友人たちはキチンキチンと墓参りを続けている。ホントに偉いと思う。

 

 ところがこのワタクシは、どうも墓参りというのが苦手なのだ。例の黒い岩の直方体に向かって手を合わせ、線香のカホリにむせながら20秒か30秒むにゃむにゃ言っても、特に彼の記憶が深く蘇ったりしない。

 

 むしろワタクシは、非常に頻繁にK君の記憶を辿って「あいつのぶんまで」と涙するほうを選んでいる。22歳で死んじゃうだなんてのは、どれほど悔しいか分かったものではない。今井がどんなにダメな大学生だったとしても、たくさんのピンチを何とか切り抜け続ければ、こんなに楽しい人生が送れるのだ。

 

 だから、また巡ってきた昨日の命日も同様、まだ「あいつのぶんまで」と繰り返す。友人たちもみんな、ずいぶん年を重ねたわけであるが、今井はいまだに「あいつのぶんまで」であって、だからこそ「もぅひと花」「もぅひと旗」の思いは強い。

      (山旅の復習 4月16日 月山)

 

 その辺のことを含めて、2022年4月の大旅行について、ずいぶん長いシリーズ物を書かせていただいた。テーマは「山」、木曽駒ケ岳・富士山・鳥海山・月山・秋田太平山・北海道駒ヶ岳・ニセコアンヌプリ・羊蹄山の勇姿を、雲ひとつない晴天のもとで満喫できたのは、間違いなく素晴らしい僥倖だった。

 

 その山旅の中で、岩木山もやっぱり、薄曇りの空の下にその全貌を現してくれた。あれは4月18日のことであったが、列車が弘前の駅を出ると、黄色いスイセンの花の群落の間に、早い桜がチラホラ花を咲かせ始めていた。するとついつい「もぅひと花」「あいつの分も」と思わず熱くなるのだった。

 

 もちろん諸君、「もぅひと花」と言っても、何かおかしなアイディアや、何か奇矯な思いつきを行動に移そうと言ふのではない。重厚な教材を材料に、自他ともに満足のいく授業をたっぷり続けて、深い充実感を味わいたいだけのことである。

    (山旅の復習 4月20日 北海道駒ヶ岳)

 

 幸いこの夏も、6月7月のスケジュールは素晴らしく充実している。すでにこの場をお借りして発表した夏スケジュールに、さらに数回の公開授業がプラスされて、こりゃいいや、最高の夏になりそうだ。

 

 おお、何だかワタクシも「ちむどんどん、してきた」だ。とりあえず、毎日ウォーキングでもして、ペロロンチーノでもずるずるやって、体力と精神力を整えておきますかな。

 

 ただし諸君、ワタクシは大学生のころにスパゲッティの食べ方を徹底的に訓練、「ずるずる♨︎すする」なんてことはしない。イタリア人にも出来ない華麗で優雅なフォークさばきを、出来れば諸君にも公開したいぐらいなのである。

      (山旅の復習 4月20日、羊蹄山)

 

 しかしワタクシ、「公開するのは授業だけ」「人前に出るときは必ず黒板かボードを背にして」という厳しい契約を、学校サイドと結んでいる。

 

 以下のスケジュールで全国を回るから、その華麗なフォークさばきではなく、おそらく世界で一番巧みな教材さばきを、ぜひ友人どうしお誘い合わせの上、ジカに体験しにきていただきたい。諸君も一緒に、英語の授業で「ちむどんどん」したまえよ。

 

   6月9日 大阪 岸和田

   6月10日 大阪 泉ヶ丘

   6月13日 群馬 前橋

   6月15日 大阪 なかもず

   6月16日 京都

   6月17日 大阪 高槻

   6月20日 兵庫 西宮

   6月21日 大阪 堺東

   6月22日 兵庫 西宮

   6月23日 兵庫 三田

   6月24日 和歌山

   6月26日 兵庫 塚口

   7月2日 広島 福山

   7月3日 山口 徳山

   7月8日 神奈川 新百合ヶ丘

   7月11日 金沢

   7月12日 東京 巣鴨

   7月13日 神奈川 二俣川

   7月14日 横浜

   7月16日 静岡

   7月18日 長崎 諫早

   7月19日 埼玉 大宮

   7月20日 東京 吉祥寺

   7月21日 東京 吉祥寺

   7月23日 沖縄 那覇

   7月24日 群馬 沼田

   7月25日 東京 練馬

   7月27日 東京 吉祥寺

   7月28日 神奈川 小田原

   7月29日 埼玉 川越

   8月20日 福井 武生

 

1E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du PréBEETHOVENPIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 8/9

2E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du PréBEETHOVENPIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 9/9

3E(Cd) BarenboimBEETHOVENPIANO SONATAS 1/10

4E(Cd) BarenboimBEETHOVENPIANO SONATAS 2/10

5E(Cd) BarenboimBEETHOVENPIANO SONATAS 3/10

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