Fri 220408 とりあえず、折返点/城南宮の妖艶な梅/個タクの個性的ドライバー 4191回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 220408 とりあえず、折返点/城南宮の妖艶な梅/個タクの個性的ドライバー 4191回

  国際情勢がこんな状況だから、こういう場でも、楽しい話題にはどうしても集中できない。自分の仕事が絶好調で進行中だとか、軍鶏鍋やクマ鍋やイノシシ鍋が旨かったとか、梅や桜を眺めて万感の思いだったとか、そういう話に熱中できないのは当たり前だ。

 

 しかしともあれ、3月7日から始まった20日間に及ぶ東奔西走の奮闘の話も、とりあえず中間点まで記録し終えた。福岡大牟田から始まって、大阪梅田・岡山・沖縄浦添・淡路島洲本・小倉のダブルヘッダーと突き進んで、ちょうど1週間が経過した。

 

 あと1週間ベストを尽くせば、最終盤は関東地方の連戦だから、まあとりあえず東京のオウチに帰還できる。だから「東奔西走」の名に値する連日連夜の大奮闘は、3月13日でほぼ半分終わったことになる。

   (3月14日、京都城南宮の梅園を再訪する 1)

 

 そういう一段落というか正式には「半段落」の思いで、14日のお昼は京都大原「野むら山荘」の軍鶏鍋を満喫した。ここでしっかり体力と精神力を回復しておかないと、半段落後の残りの半分に支障をきたす。ワタクシの場合、知力&体力は大丈夫でも、精神力の面でガス欠になりやすいのだ。

 

 しかし諸君、ワタクシの高貴な♡精神は、別に食欲と体力だけに支えられているのではない。高貴なサトイモ精神をビシッと維持するには、食欲をパンパンに満たした後に、「美への欲求」もキュンと満たさなければならない。

 

「美への欲求」については、満たし方はナンボでもあるはずだ。何しろ京都&大阪に滞在中なんだから、美術館&博物館はそれこそ「ナンボでも」存在するし、お寺や神社系統の美なら、おそらく世界で最も豊富な街をウロついていることになる。

   (3月14日、京都城南宮の梅園を再訪する 2)

 

 舞妓さんとか芸妓さんとか、ワタクシはそういう趣味はほぼカンペキにゼロであるが、お好みのオカタたちにはその種の美だってギュッと詰め込まれている。いやはやたいへんだ、どうやって美への欲求を満たすか、こんなに選択肢に迷う街はない。

 

 そこで諸君、品行方正きわまりない今井君が選択したのは、「梅の花」。「馬の鼻だろ」とか、そんな下品な冷やかし方はしないでもらいたい。今井君はこの春になってからも、北野天満宮に京都府立植物園に城南宮、もうすでに3回も、梅の花を眺めるために京都の街を右往左往してきた。

 

 3月14日のワタクシが選んだのは、再び城南宮の枝垂れ梅。城南宮は3月9日に訪れたばかりだが、5日前のあの日の梅は、まだ7分咲きというか8分咲きというか、要するにまだ満開には至っていなかった。

 

 しかし7分咲きの段階でも、「こりゃ満開の梅をどうしても見なきゃ」と、思わずワクワクするほどの妖艶さ。この5日間に満開は過ぎて、もう花吹雪に近くなっているだろうが、桜の花吹雪ではなくて梅の花吹雪、ワタクシは目撃したことがない。

   (3月14日、京都城南宮の梅園を再訪する 3)

 

 梅の花言葉は、「上品」「忍耐」「忠実」「高潔」「気品」「品性」だ。身が引き締まる真冬の寒風の中、誰も気づかない片隅で2輪3輪4輪、わずかに震えながらマコトに健気に咲いている。

 

「キミ、大丈夫かい?」「生きていけるかい?」と尋ねてあげたくなる可憐さが身上。「大丈夫です」と小さな声で答えた瞬間、花の奥から思いも寄らない濃厚な芳香が溢れてくる。厳しい緊張感の中に隠れた思いがけない濃密なカホリ、梅の魅力はそういうものだと思われる。

 

 ライバル♡桜どんのほうは、何しろ周囲の空気はグッと暖かく緩んでくるから、花言葉も少し緩みがち。「優美」「しとやか」「豊かさ」に「ごまかし」なんてのまで揃う。

   (3月14日、京都城南宮の梅園を再訪する 4)

 

 花言葉ではうまく表現できないので、ここは諸君、松尾芭蕉どんに登場してもらうが、彼によれば「松島は笑うが如く、象潟はうらむが如し」。そのまま当てはめれば「桜は笑うが如く、梅はうらむが如し」なんじゃないか。大らかで豊かな桜に対し、「寂」「悲」「忍」系の美を含むのが梅、そう思っていた。

 

 しかし諸君、今日の写真の城南宮の梅を眺めてみたまえ。満開を2日か3日過ぎた、散りそめから花吹雪の枝垂れ梅、これほど妖艶で豊穣な、成熟した大人の美に溢れた梅なんか、ここまでのワタクシの長い人生で1度も眺めた経験がなかった。

   (3月14日、京都城南宮の梅園を再訪する 5)

 

 そういう豊穣な梅の景色の中を、たくさんの美しい緑のメジロが乱れ飛ぶ。メジロが花をつつくたびに、白やピンクの花が惜しげもなくバラバラと地面に舞って、梅の木の下はピンクの絨毯になっている。

 

 桜の花筏ももちろん美しいが、急速に厚く降り積もる梅の絨毯も、写真で見ただけでさえ、芳醇なカホリを思い起こして陶然とするほどだ。

 

 人々はみな、夢中で写真を撮っている。驚くほど多くの高級カメラがそこいら中からニュッと突き出され、スマホなんかでノンキに6枚か7枚で済ませているのは、このサトイモ君ぐらいのものである。

(梅の下には、たくさんのフキノトウ。5日前よりグッと成長していた)


 気がつくとワタクシのすぐ目の前で、美熟女モデルと思われるオネーサマというかオバサマというか、若干コスプレ系な黒づくめの洋装で、盛んにポーズをとっていらっしゃる。モデルさんなのか、それともお店のマダムなのかわからないが、まあ要するに自信満々の美熟女どんである。

 

 彼女に高級カメラを向けているのは、相当なご年配のオジサマだ。妖艶な枝垂れ梅の花吹雪の中、オネーサマ(と言ふことにしておく)の激烈なポーズと、激しい笑顔がニカーッと次から次へと炸裂。炸裂するたびに連続シャッター音が梅林に102030回反響する。バッシャバシャ&バッシャバシャ、周囲に遠慮する様子なんか全くない。

 

 せっかく城南宮の梅の美しさを夢中で説明していたのに、サトイモどんの記憶にビシッと定着してしまったのは、残念ながらそういう光景なのであった。要するにキレイゴトばかり言ってちゃダメなのだ。

(梅の花々の中に、メジロどんが1羽、頑張ってポーズをとっている)

 

 ま、そのぐらいいいじゃないか。とにかくワタクシは、梅の花の意外なほど芳醇さ&妖艶さに初めて気がついて、長い間ウットリと梅園の中を歩き回っていた。

 

 響きわたる高級カメラとスマホカメラのバシャバシャ音にも関わらず、自ら撮影した梅の写真の美しさにも感激。今日の写真のうち数枚は、少しぐらい逆光でもワタクシにとっても永久保存の候補になるぐらいだ。

 

 だって諸君、「ワタクシにとっても永久保存版」って、それなりに凄いことなのだ。15年前にブログを始めるまで、ワタクシは写真に対する関心はほぼゼロ。昔は海外の旅でも写真なんかほとんど撮影しなかっだが、今日で4191回目を迎えるブログ記事に、掲載した写真は何と合計3万枚を超えている。

    (京都城南宮にて。落ちたツバキも美しい 1)

 

 その約3万枚の中で「永久保存版の候補」とまで言えるものは、そんなに数は多くない。ニャゴロワの数枚、なでしこの数枚、ヨーロッパの数枚と中南米の数枚だ。

 

 ホンの数年前までは解像度の低いカメラしか使わなかったから、今はどれを眺めても不満が残る。なでしことニャゴロワがまだ元気だったうちに、もっともっとカメラのテクニックを向上させておくべきだった。いまは反省しきりでもあるのだ。

    (京都城南宮にて。落ちたツバキも美しい 2)

 

 15時半、城南宮の前で客待ちをしていた個人タクシーに乗り込んだ。ついこの間も書いたが、京都の神社や寺院の前で客待ちをしている個人タクシーのドライバーには、マコトに個性の強烈な人が少なくない。

 

 この日も、そういうオカタのクルマだった。「近鉄電車の丹波橋の駅まで」と言った瞬間、「いったいどうして丹波橋なん?」「丹波橋なんか、何にもない場所ですよ」「城南宮の梅より、三室戸寺の梅のほうがずっとええで」「丹波橋なんて」と、約10分にわたって、丹波橋と城南宮をこきおろし続けるのだった。

 

 最後には「現金だけです」と、クレジットカードも電子マネーもQRコード決済も全否定し、嵐のごとく丹波橋駅前から姿を消した。

 

 残されたワタクシは呆然。美しかった梅の風景と、美熟女の激烈なポーズとニカーッと濃厚な笑顔と、運転手さんの丹波橋への悪口雑言とが頭蓋骨の中で渦巻いていたが、とりあえず近鉄特急に乗り込んで一路で南へ、青丹よし奈良の都を目指したのであった。

 

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