Sun 220327 京都府立植物園/照月/祇園「きんなべ」/早春シリーズを打ち上げ 4180回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 220327 京都府立植物園/照月/祇園「きんなべ」/早春シリーズを打ち上げ 4180回

 2月15日、大阪茨木でのお仕事は翌16日の夕暮れからだから、京都でポッカリ丸1日が空いた。しかし2021年の年末から、滅多やたらに京都の滞在しているので、お寺巡りも神社もそれなりに飽きてきた。一計を案じたワタクシは、京都府立植物園を訪ねることにした。

 

 宿泊していたのが宝ヶ池プリンスホテル。ここから地下鉄でたった2駅南下すれば、北山駅から徒歩30秒、梅でも桜でも紅葉でも一目置かれている広大な植物園がある。

 

 ワタクシはこの4〜5年、桜より梅に凝っている。幼い頃の春に眺めた桜の花は、今よりずっと色が濃く華やかだった。桜の花はしっかりしたピンクと思って生きてきたから、21世紀の桜はほぼ真っ白に色褪せてしまったように見える。

 

 花の命は短くて、その儚さこそスンバラスイということになっているが、いやはややっぱり21世紀の桜の命は短すぎる。咲いたと思ったらもうハラハラが始まっているし、花びらがひとひら&ひとひら散っていく風情がよかったのに、最近の桜は5枚の花びらをつけたまま、花1個がいきなりボテッと地面に落ちることが多くなった。

 

 千鳥ヶ淵でも角館でも弘前でも、その辺はあんまり違わない。それでも枝垂桜はまだピンクが濃いし、花の命もそれなりに長い。しかしソメイティというかソメイヨシノちゃんたちは、春の嵐の翌日にいきなり花筏(はないかだ)、ソメイヨシノの木の方は、もうすっかり葉桜に変わっていたりする。

(2月15日、京都・祇園の名店「きんなべ」で「沖すき」をいただく。おいしゅーございました 1)

 

 それに対して梅ちゃんの方は、2月初旬から3月中旬まで、辛抱強く我々を楽しませてくれる。あっちが散ればこっちが咲き、こっちの香りがうせた頃には、あっちの香りがギュギュッと濃厚になって、目よりも鼻腔の奥を華やかに楽しませてくれる。

 

 だからワタクシ、2月の京都なら北野天満宮、3月の京都なら竹田の城南宮、前者ではごく普通の梅の林、後者ではあまりにも華やかな枝垂梅の風景を満喫する。梅の花の蜜を吸いに来るメジロたちの美しい羽毛の緑が、梅の濃厚なピンクにマコトによく映える。

 

 しかしさすがに2月15日、京都府立植物園の梅はまだホンのちらほらしか花を開いていなかった。何しろ今年は雪が多かった。3月以降いきなり気温が急上昇して、人々は今年の冬の寒さを忘れてしまったようだが、2月までは記録的な大雪と厳しい冬が続いていた。

(京都府立植物園の温室で。花の名前は諸君が調べてくれたまえ)

 

 あんまり梅が寂しかったので、ワタクシは追加料金を払って有名な「温室」に入場してみた。諸君、京都を訪ねることがあったら、是非ともこの温室を2時間か3時間かけて巡ってみたまえ。

 

 新京極もいいだろう、錦市場もいいだろう。もちろん太秦の映画村も、嵐山の土産物街も楽しいだろう。しかしグッと激しく趣を変えて、「京都府立植物園の温室探索に2時間」、修学旅行の自由行動に、大学生カップルでの卒業旅行に、なかなか意表をついた思ひ出になるに違いない。

 

 もちろんメインは温室内に満載の植物観察なのであるが、その辺の詳細はググっていただいた方が遥かに的確だ。むしろワタクシは、早春の植物園♡温室を訪れた様々な人物のマンウォッチングが楽しかった。

(京都府立植物園「昼夜逆転室」。朝5時に就寝 → 昼11時に起床の今井君には、まさにピッタリのお部屋じゃないか)

 

 1人、20歳代後半から30歳代前半と思われる長身の男子が目についた。観光でやってきたようには見えない。「ひとり旅を満喫中」のタイプの人なら、バエ狙いの写真をバシバシ撮って、その場でSNSに投稿、そういう行動に余念がないものである。

 

 しかし彼は、写真を全く撮影しない。そもそもカメラも持っていないし、スマホをいじくり回すそぶりも一切ない。すでに植物園内を熟知している様子で、一定の速度を維持したまま、言わば「顔見知りの植物たちに挨拶して回っている」という風情である。

 

 この風情から察するに、彼はまず「観光客」「旅人」ではなく、「愛好者」や「バエ狙い系」でもなく、おそらく研究者、例えば京都大学のドクターコース在籍者ないしポスドク、いやもうすでに本物の学者の一員で、植物たちのラテン語の学名も全て知り尽くしている、その類いのオカタかもしれない。

 

 ホントに毎日ここを訪ねて、馴染みの植物たちに心の中でラテン語で挨拶していらっしゃるんじゃないか。おそらく190センチ以上の長身、長い両腕をブラブラさせながら、ゆっくり一定のスピードで温室内を進んでいく。

 

 1つ1つの植物に、和名と学名と簡単な説明の記された小さなカードがついているが、彼はそういうものには全く関心を示さない。「全てとっくに熟知しています」という落ち着いた態度が素晴らしい。

 

 もちろん、そんな想像はみんな今井君の一人合点に過ぎないので、「ただの暇つぶしの一般人」「もしかしたらちょっと変わった御仁」「困った御仁」である可能性のほうが高いのだが、植物園でマンウォッチングを満喫中のサトイモ君には、そんな想像もまた大いに楽しいのである。

(京都府立植物園にて。これはカカオの木。カカオの実がタワワに実っていた)

 

 2時間も温室を満喫して外に出ると、曇天の2月の京都は急激に冷え込んできた。どうしても暖かい鍋物が食べたいが、まだ午後4時前だ。迎え入れてくれる店なんか一軒も見当たらない。

 

 京都北山に有名な「照月」という店があって、20世紀の名優・田村正和どんの馴染みのお店であったらしいが、ここも午後の中休み中だ。しかも「照月」は、「寿司もなか」という驚きのメニューで有名。「お寿司をモナカの皮で包んで食す」という趣向であるが、これはそれなりの勇気が必要だ。

 

 平安期の勅撰集「後撰和歌集」の中に、「水の面に 照る月なみを 数ふれば 今宵ぞ秋の 最中なりける」とあって、これは源順の歌。「誰ですか? ゲンジュンって?」という世界であるが、源順と書いて「みなもとのしたごう」と発音する。三十六歌仙の1人である。

 

 その「照る月なみ」からお店の名前の「照月」、「最中なりける」から「寿司もなか」、これはこの店の桃の節句の名物料理である。まあ諸君、来年の2月ぐらいに京都を訪問したら、ぜひ「寿司もなか」、試してみたまえ。

(2月15日、京都・祇園の名店「きんなべ」で「沖すき」をいただく。おいしゅーございました 2)

 

 しかし2月15日のワタクシは、寿司モナカじゃなくてどうしても温かい鍋物が食べたかった。予約してみたのは、祇園の名店「きんなべ」である。

 

 平常時なら、とてもイチゲンさんが飛び込みで入り込めるような店ではないが、何しろ疫病の流行と戦争の危機でインバウンド皆無という世の中。サトイモの名店闖入も、マコトに温かく迎えてもらえた。

 

 大女将が店の門口まで迎えに出てくれていて、深く深く奥まで続く店内の、一番奥の個室まで導いてくださった。予約したのは「沖すき」。海の幸8種を済んだ昆布出汁で煮込んで、独特のポン酢でいただく。お鍋には1枚の和紙を使う。ガスの強い火で熱しても、出汁のたっぷり入った和紙の鍋は焦げつくことさえない。

(2月15日、京都・祇園の名店「きんなべ」で「沖すき」をいただく。おいしゅーございました 3)

 

 沖すき、マコトにおいしゅーございました。ただし諸君、これはホントに&ホントにどこまでも内緒であるが、酢のニガテな今井君には、この独特のポン酢が厳しい。普通の米酢より、酢のニオイがもっともっと強烈に鼻をつく。

 

 しかしこんな名店の奥座敷まで上がり込んでおいて、平常時なら京都中の大物たちを相手にしている大女将に向かって「酢が天敵なんです」と告白することはできない。

 

 自慢げにポン酢をどんどん注ぎ足そうとする大女将に向かって、「いやいや、まだまだケッコーです」と、震える声でお断りして、「それよりお酒をもう2合」「さらにまたまたお酒を2合」「おいしいお酒ですね」と、ポン酢を避けるためにお酒を次々に注文。あっという間にワタクシの限度の6合を超えてしまった。

(3月25日、銀座「デリー」のカシミールカレーで早春シリーズの打ち上げを敢行した)

 

 さて諸君、昨日3月26日は、1月29日から2ヶ月連続した全国行脚「早春シリーズ2022」の締めくくり。昨日東京・三鷹の公開授業で、無事に2021年度の年度末となった。言わば「年度単位の仕事納め」だった。この年度も無事に見事に乗り切った。大いにおめでたい。

 

 せっかくだから、前日25日のうちに年度末の打ち上げをやってきた。超おなじみ「銀座デリー」の極極辛口♨︎カシミールカレー。いつもに劣らぬ極悪タイプの黒々としたカシミールを「ソース大盛り」で貪れば、2021年度の様々な思ひ出が、これまたお馴染み「ソーマトー」をやってくれる。

(3月25日、仕事のない日だったから、ランチにマハラジャビールで早春シリーズを打ち上げた)

 

 まもなく始まる2022年度こそ、たっぷり祝勝会やら懇親会やら打ち上げやらを満喫できる年度になることを、いま心から期待している。

 

 もちろん、「話していないと元気がなくなる」マグロみたいな今井としては、休みなんかほとんどいらないから、夏も秋も冬も、イヤになるほどたくさんの全国行脚を続けたいと願っている。

 

1E(Cd) Ashkenazy(p) Müller & BerlinSCRIABIN SYMPHONIES 2/3

2E(Cd) Ashkenazy(p) Müller & BerlinSCRIABIN SYMPHONIES 3/3

3E(Cd) SECRET OF ISTANBUL

4E(Cd) CAN ATILLA1453 SULTANLAR ASKINA

5E(Cd) Jarvi  GoteborgGRIEGPEER GYNT 1/2

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