Sun 220320 そろそろションボリ卒業/京都の山奥でクマ鍋/ネギ責め&セリ責め 4175回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 220320 そろそろションボリ卒業/京都の山奥でクマ鍋/ネギ責め&セリ責め 4175回

 延々2週間も更新を怠けたこと、マコトに申し訳ないと思っている。プーチンのロシアのあまりの蛮行にションボリしたのと、3月7日以来の全国行脚の激務で疲れ果てたのとで、15年来の軽薄な文章を書き連ねる気にはとてもなれなかった。

 

 しかしこのままでは、この2月3月の多忙な日々はみんな忘却の彼方に消えてしまう。2022年の早春は、ワタクシとしてもかつてないほど目まぐるしい日々だった。悪逆非道な暴君のフルマイにションボリするあまり、自分自身の日々を記録に留めることまで忘れる必要はないだろう。

 

 京都の山の奥の奥までクマの肉を味わいに出かけたのは、もう50日も前のことになる。宿泊していたのは京都北山の宝ヶ池、そこからタクシーで30分あまりの山奥に、冬はクマの肉の鍋を味わわせてくれる名店が存在する。

    (京都の山奥の高級店でクマ鍋を貪る 1)

 

 当日は朝から雪。3月以降は非常識なぐらい暖かい日々が続いて、あの頃の寒さをふと忘れそうになるが、2022年の日本の冬はマコトに厳しい寒さだった。

 

 特に琵琶湖周辺の豪雪は、おそらく近現代史に残る激しさであって、宝ヶ池から北上したタクシーのドライバーも「いつ立ち往生するか」を真剣に心配している様子だった。

 

 それほどの豪雪の中を走破してたどり着いた名店だ。クマもさぞかし旨いだろう。今までワタクシがクマを賞味してきた店は、① 東京・六本木の「またぎ」と、② 大阪・玉造の「小原庄助」であるが、今回はツキノワどんたちが実際に暮らしている山の真ん中だ、さぞかしクマ鍋も旨いだろう。

    (京都の山奥の高級店でクマ鍋を貪る 2)

 

 東京の店には、もう10年以上ご無沙汰している。途中で出てくる「行者ニンニク」の香りが強烈すぎるのと、日本酒の熱燗がほぼ100℃の「チーン」なのに辟易して、足がすっかり遠のいた。

 

 大阪の店は、ホンの1年ちょっと前にもお邪魔した。JR大阪環状線の玉造駅と鶴橋駅の中間あたり、いかにも大阪らしい気のおけない庶民的な店である。

 

 ワタクシが「赤身好き」なのを覚えてくれていて、本来は真っ白な脂身を賞味するクマの肉なのに、固くて敬遠される赤身を中心に揃えてくれる。国立文楽劇場で人形浄瑠璃をを満喫したあと、ここのクマ鍋でノンビリするのが大阪の旅のクライマックスだ。

   (2月上旬、京都や琵琶湖は豪雪の日々だった 1)

 

 今回は、京都と琵琶湖の大雪をかき分け&かき分け、やっとたどり着いたツキノワさんたちの本拠地。さすが京都だから、鍋の中のクマどんたちも「京都どすえ」「琵琶湖どすえ」「クマどすえ」「大雪どすえ」と、盛んに京都グマの高級ぶりを訴えかけてくる。

 

 広い個室から綺麗なお庭の雪景色を眺めながら、まずはバラエティ豊かな前菜をいただく。比良山系の雪山が借景。しんしんと降り積もる庭の雪の向こうに、どっしりとした山々が2月の雪をかぶってマコトに静かである。

 

 平治の乱で源義朝が敗北した大雪の夜、常盤御前は義朝の子どもたち3人を馬に乗せて京の都から落ちのびる。今若丸・乙若丸・牛若丸の3人であるが、やがて幼い牛若丸は雪の中を進む馬の鞍の上で眠り込み、ただ一人はぐれてしまう。

 

 いま外の大雪を眺めながら、「牛若丸がはぐれてしまったのは、この辺りだったのかいな?」と思ってしまう。もしも誰か親切なオジーチャン&オバーチャンがいたならば、幼い牛若丸に温かいクマ鍋なりイノシシ鍋なりを作って食べさせてあげたかもしれない。

   (2月上旬、京都や琵琶湖は豪雪の日々だった 2)

 

 方向は全く違うけれども、近松門左衛門「冥途の飛脚」の梅川と忠兵衛にも、ワタクシはクマ鍋かイノシシ鍋を食べさせてあげたい。法律を破って手に入れた50両のカネも、わずかの間に使い果たしてたった二分の小銭しか残っていない。

 

 逃げのびて、忠兵衛のふるさと・新口村は近づくと、寒空に雪が舞い始める。フトコロの小銭で買えるのはモチぐらい。それでも愛し合う男女は人生最後のモチをかじって天国を目指す。いやはや、もしもそこにクマ鍋が湯気を立てていれば、この男女は死ななくて済むのである。

 

 というわけで諸君、京都の山奥のクマ鍋は何だか限りなく悲しい。店のダンナが個室にやってきて挨拶、挨拶だけで去っていくのかと思ったら、なんとダンナ自らクマ鍋を調理して、ワタクシのお椀に次々と、鍋の中身を入れてくれるのだった。

   (京都の山奥の店で、早春の前菜を賞味する)

 

 しかしここでも、ワタクシのわがままな好き嫌いが炸裂する。まず、セリがキライ。ハーブ系は必ずしもキライではないなのだが、ミョウガとパクチーとセリとミツバが食べられない。要するにほとんど食べられない。しかしそのセリを山ほどというか山盛りというか、ダンナはマコトに自慢げにお椀に盛ってくれる。

 

 続いて「ネギ責め」が始まった。前にも書いた気がするが、京都の人々のネギ好きには驚かされる。「ネギが食べられない」という人間の存在を、ほとんど想定していらっしゃらない。

 

 というか、むしろネギが主役なのである。「鴨すきやき」でもネギが主役、ラーメンでも蕎麦でもうどんでも実はネギが主役、イノシシ鍋でもクマ鍋でも、スッポン鍋でもシャモ鍋でも、何が何でも青いネギがアオアオと舞台の前面で踊り狂う。

   (わがままオジサマ今井も、キノコなら大好きだ)

 

 というわけで、クマを食べに来たはずのイマイのお椀には、セリとネギが山盛り、「春の息吹を感じてください」という恐るべきダンナの笑顔を横目に見ながら、「こりゃどうしたらいいんだ?」と途方にくれるばかりであった。

 

 もちろん、悪いのはワタクシだ。「ハーブ系が軒並みダメ」などというワガママなオジサマを、許してもらう必要はない。しかし諸君、豪快にクマやイノシシやカモやシャモを貪りに来て、しかし目の前のお椀がネギとセリだけで満杯にされてしまった絶望のほどは、ぜひ理解してくれたまえ。

   (クマ肉のダシがたっぷりのスープ。キノコも旨い)

 

 思えば、春はワタクシにとって試練の季節なのだ。どこの飲食店に入っても、「春の息吹」と称して目の前に並ぶのは、フキノトウ・ナノハナ・タラノメ・セリ・シュンギク・ミョウガの類い。「うへぇ、おらぁ肉が食いてえだよぉ」とわがままを言っても、滅多なことでは聞いてもらえない。

 

 しかも「クマのお肉を追加」が出来ない。ついこの間も京都市内の店で「イノシシのお肉を2人前追加」という暴挙をやったばかりなのに、この店のダンナには「クマ肉は稀少品なので、追加はできません」と優しくニッコリされて、それでおしまいになっちゃった。いやはや、下卑たイマイにとって、高級店はやっぱり鬼門なのである。

(クマ肉のダシたっぷりのスープで〆のお蕎麦をいただく。おお、ネギがまだまだたっぷり絡みつく)

 

 こういう時、上品ではない育ちのイマイ君はやっぱりファミレスが恋しくなる。我がホームグラウンドは、やっぱりファミレスなのだ。でっかいハンバーグ、たっぷりのナポリタン、ポテトにコーンに目玉焼きにパセリ、こんな素晴らしい光景はない。

 

 不思議なことに諸君、こんなにハープ系が苦手なイマイが、どうしたわけか学食やファミレスのパセリだけは、人から奪ってでもワシワシ、ナンボでも元気に咀嚼&嚥下を続けるのだ。2月中旬から3月中旬の1ヶ月、まさにそういう生活が実現するのであるが、それはまた今後の記事で。

 

1E(Cd) George BensonSTANDING TOGETHER

2E(Cd) ChicagoCHICAGO

3E(Cd) Haydon Trio EisenstadtJOSEPH HAYDNSCOTTISH SONGS 1/18

4E(Cd) Haydon Trio EisenstadtJOSEPH HAYDNSCOTTISH SONGS 2/18

7D(DMv) ALL THE DEVIL’S MEN

10D(DMv) THE WAR LOVER

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