Mon 220228 Cowardの末路/君死に給ふことなかれ/国際法講義の思ひ出 4172回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 220228 Cowardの末路/君死に給ふことなかれ/国際法講義の思ひ出 4172回

 国際情勢のあまりの危機の大きさと、ウクライナの人々の苦難のあまりの深刻さに、2月24日以来すっかりションボリうち沈んで、とても「何を貪りました」「どんな遊びに興じました」みたいな軽薄な文章を書けないでいた。

 

 というか、朝から晩まで、晩から深夜を過ぎて早朝まで、口をパックリ開けたまま机の前にしゃがみこみ、シチュエーションが全く違うのに、与謝野晶子の「君死に給ふことなかれ」を何度も繰り返し延々と暗誦するのが精一杯。間違いなく今頃は伊豆の河津のサクラや菜の花が満開だったが、出かける気力さえ失くしてしまった。

 

 ここまでワタクシがションボリ気力を失くしたのは、間違いなく11年前、2011年の3月11日以来のことである。あの時はどうしてもブログなんか書いている気にならず、1週間ほどお休みをいただいた。大震災の日は金沢に滞在していて、富山の公開授業に向かったのだった。

(本棚の奥から、国際法の入門書3冊を引っ張り出してみた)

 

 あの時は天災、今回は100%の人災だ。80年前の世界大戦から立ち直った人類が、廃墟を前に全ての希望を託した国際機構、そのリーダー役のはずの人が、理性と知性と人間性とプライドをかなぐり捨てた暴走だ。

 

 これが映画なら、彼にはまず「Coward」のレッテルが貼られる。核兵器の陰に隠れないと何にもできない「卑怯者」「臆病者」「弱虫」「腑抜け」であって、先週ついたウソを今週くつがえし、昨日ついたウソはもう誰にも信じてもらえない。もうウソを取り繕う気力も失せたようだ。

 

「shouldn't, mustn’t, can't go unpunished」。これもあくまで映画の中のセリフだが、いったい彼は柔道8段として何を学んできたのか、神聖なタタミの上でクサリガマや毒剣を振り回すみたいなことをやって、「だってボクを攻撃するヤツがいるんだもん」とは余りに情けない。

 

 今は、祈るばかりである。次々と入ってくる情報に熱い涙を流しながら、戦火がこれ以上拡大しないことを真剣に祈るしかない。神様&ホトケ様、いや不動明王の怒りの鉄剣が、Cowardどもの跳梁を決して許しませんように。しかし自らの無力さに、またまたションボリするばかりだ。

 

 これまた映画の世界で言えば、ウクライナに向かおうとしている戦車の列が、何かのハズミで一斉にクルリと反対を向き、砲口に一輪挿しの花を挿して、もと来た道を行進し始める瞬間は来ないだろうか。世界の人々の熱い祈りが通じて、何だかその瞬間が刻一刻と迫っているような気がするのは、ワタクシだけだろうか。

   (百万遍、京都大学そばの知恩寺にお参りする)

 

 しかし諸君、同時にこれは、国際法とか国際機構とかの整備を真剣に行わずにここまで怠けてきた、言わば人類全体の問題ではないのか。

 

 国連が出来て80年、その機能不全に世界中の人々がイヤケがさし、安保理で拒否権が行使されるたびに「もうこれじゃダメだ」「もうこれじゃ新しい国連を作らなきゃダメだ」、多くの人が声高に叫んでいたのに、結局そのまま放置すること半世紀に及び、状況の改善を怠ってきた。

 

 もうずいぶん前のこと、ワタクシがまだ学部3年生の夏、「なぜ罰則のない国際法が機能するのか」について、国際法担当の教授が熱く訴えかけていた。いやはやほとんど涙を流さんばかりの教授の熱烈な講義に、我々は例外なくあの教授のファンになった。

    (これも京都大学そば、吉田神社にお参りする)

 

 カンタンに言えば、条約を結ぶのは平和を願う熱烈な国民の意思に基づくのであり、国際機構に加盟するのもやはり平和を願う国民の熱意に基づくのであって、例え国際法違反に対する懲罰制度や、懲罰を与える権威&権力が存在しなくても、「自らの熱い自由意志で参加した国際法制度に、やすやすと違反することはできないはずである」とおっしゃったのである。

 

 ワタクシは記憶力のオニであるから、あの時の教授の表情や息づかいまで、今もアリアリとマナコに浮かんでくる。というか、あの講義を聴いていた学生諸君の息づかいまで、今もなお思い出せるのである。

 

「やすやすと違反することはできないはず」の、要するに人間としての良心をかなぐり捨て、コドモでも分かるように言えば、自分でした約束を自分で「やすやすと」反故にして「何が悪いんだ」と開き直るCoward、その暴力の跳梁を如何ともしがたい国際制度を、なんと80年間、我々は放置してきたのだ。

(今のワタクシには神頼みしかない。京都大学そば、吉田神社から坂を上がって「山蔭神社」にもお参りする)

 

 しかもいま国際社会に出来ることは、「村八分」どまり。大量の核兵器をフトコロにして恫喝しながら、市民の虐殺と他国の国土蹂躙を続けるCowardに対して、「経済的村八分」で対抗するしか方法がないとすれば、「いったい80年間我々は何をやってきたんだ?」と未来の人類に対して深く恥じ入るしかない。

 

 国際法と国際機構の定期的メンテナンスを怠ってきた我々の世代の怠惰を、素直に反省すべき時なのだ。これほど急速に変化する世界においては、せめて10年に一度、いや5年に一度でも足りないぐらいだ、定期的にメンテナンスを図らなければ、法も機構も生きながらえることはできない。

 

 若い世代の課題なんだろうけれども、法や機構のメンテナンスは、既得権を持つ者たちの良心と譲歩が前提。これはマコトに難しい。既得権の放棄を積極的に認める精神は、極めて良質の教育の継続によってしか育たない。

(お菓子の神様「菓祖神社」。吉田神社から坂を右に曲がったあたりである)

 

 もしも希望があるとすれば、侵略を実行させられた者たちが過去に受けた教育の中身である。20歳代後半から40歳代前半の人々の教育は、まさにワタクシたちの世代が、親として教師として担ってきた。

 

 ワタクシたちの世代は、コドモたちには決して「人を殺せ」とは教えなかった(はずだ)。親としても教師としても、ヤイバを握らせて「人を殺して死ねよ」とは教えなかった(はずだ)。侵略をさせられた者たちの教育だって、21世紀には全く同じだったはずである。

 

 というわけで諸君、ワタクシは、祈る。諸君も、祈ろう。今年の大学入試はほぼ全て終了した。祈りはもちろんそっちを向いた祈りでもいい。

 

 しかしぜひ諸君、進む学部がどこであれ、理系であれ文系であれ、めでたく入学したその大学で、一般教養課程の国際法や国際機構論の授業を真剣に聴き、近未来の国際秩序をみんなで熱く語り合ってくれたまえ。

 

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