Fri 220211 雪の洛北/カラクサカレー/渡月橋/天龍寺/嵯峨野の竹林/落柿舎 4165回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 220211 雪の洛北/カラクサカレー/渡月橋/天龍寺/嵯峨野の竹林/落柿舎 4165回

 こんなに頻繁に京都に滞在していると、「朝起きてみたら一面の雪景色だった」という経験も少なくない。

 

 ワタクシが生まれてから18年を過ごした秋田の海辺の町なんかだと、雪は必ず強烈な北西の季節風とともにやってくるから、夜の雪は激しい吹雪となって窓の隙間から吹き込んできたし、真っ暗闇に重たい海鳴りの音がドーンドーンと一晩中響き続けて、朝起きた時の荒れた雪景色には特に驚きはなかった。

 

 京都の雪は、気づかないうちに積もっている。風も吹かないし、海鳴りなんか全くするはずがない。あえて雪を予感させるものといえば、「妙に静かだな」という自分自身の呟きぐらいだ。いつもより冷え込む深夜に、不思議なほど外が静まり返っていれば、翌朝の雪を期待してもいい。

        (雪の嵯峨野、竹林の道 1)

 

 その「静かだな」の呟きが、今年はずいぶん多いようだ。宿泊しているホテルが「宝ヶ池プリンス」だというのがおそらくその理由なので、北大路や北山通りからさらに北上、しかも山を1つ上がったところにあるから、洛中よりぐっと標高も高くなる。

 

 京都駅前とか四条河原町では暖かく晴れている日でも、北山通りを過ぎたあたりからいきなり雲が分厚くなってチラチラ雪が舞い始め、宝ヶ池のホテルに到着すると、周囲の杉の林がすっかり雪をかぶっていたりする。

    (雪の朝、宝ヶ池プリンスホテルからの風景)

 

 その辺のことを話してみると、タクシードライバーの皆さんも嬉しそうに笑ってくれるし、この10年通い続けてすっかり馴染みになったお蕎麦屋の女将さんも「そうなんですよ、北山通りあたりが境目ですね」と頷いてくれた。

 

 昨年の夏過ぎから宝ヶ池プリンスホテルがやたらに気に入ってしまった理由は、何と言ってもその静けさである。もよりの地下鉄烏丸線の終点「国際会館」まで乗っていく人はあまり見かけないし、タクシーに乗っても北山通りから先は長いトンネルを抜ける山道だ。「静かだな」と呟く頻度は相当なものである。

        (雪の嵯峨野、竹林の道 2)

 

 これがもし京都駅のグランヴィアとか、蹴上のウェスティンとかなら、洛北や嵯峨野で雪が積もっているのにも気がつかないんじゃないか。宝ヶ池の朝だからこそ「おお、雪だ雪だ」と一声、「とりあえず雪の金閣&銀閣でも眺めに行きますかね」と、たちまち1日のプランが決まる。

 

 前回の雪の時は、宝ヶ池の朝の雪がかなりの深さに達していたので、ワタクシは全く慌てなかった。とりあえず四条烏丸付近のカレー屋「カラクサカレー」に向かい、午前11時半、まだ混雑しないうちに辛口の昼食を胃袋に詰め込んだ。

(四条烏丸「カラクサカレー」、赤カレー&黒カレーの合いがけ、ルーたっぷり増量の光景)

 

「カラクサカレー」はオススメだと思う。関西のカレーは「最初口に入れた時、まず贅沢な甘さが広がり、後からピリッと辛くなってくる」という種類が多く、それはそれで間違いなく非常に深い味わいなのだが、「カラクサカレー」はその「最初の甘さ」を抑え気味にして、グッと攻撃的な辛さで迫ってくる。

 

 チキンの「赤カレー」と、ビーフの「黒カレー」があって、「赤」と「黒」の合いがけも注文できる。ワタクシは常に「赤&黒」の合いがけを選択、しかもルーをたっぷり増量してもらって、意地でもお口の中を辛さでいっぱいにしたいのだ。

    (四条大宮から嵐電を利用、終点嵐山に到着)

 

 お昼前に店を出て、阪急電車で烏丸から四条大宮へ。大宮から嵐山電車に乗りこんで雪の嵐山に向かう。修学旅行生ナシ、中国&韓国からのお客様ナシ、熟年日本人の団体ツアーも旗振りツアーも一切ナシ、静まり返った渡月橋を渡ると、桂川の流れの音も経験したことがないほど澄んでいる。

 

 とりあえず天龍寺へ。シラサギどんも凍えるほど冷え込んだ雪のお庭を眺めて数十分、我が極端に短いアンヨも「名糖製菓♡ホームランバー」並みに凍てついた。「ホームランバー」をご存知ないオカタは、早速ググった上で近くのコンビニに走りたまえ。

        (雪の渡月橋、嵐山風景)

 

 この日の目あては、雪の嵯峨野の竹林だ。天龍寺から野宮神社を右に見て大河内山荘に向かう竹林の道であるが、さすがに今はカップルも人力車も、中高年の団体ツアーもほぼ皆無。その代わりに何故だかインド系の若者グループが雪道を駆け回っていた。

 

 足は冷え切って短いアイスキャンディ化していても、何しろ我がポンポンの中は赤カレーと黒カレー、チキンとビーフが激しくケンカ中。「だからポカポカ暖かい」と見栄を張りたいところだが、残念ながらケンカが激し過ぎてゲップが止まらず、最後に強烈なゲップを1つしたのが特にいけなくて、いやはや今度は胸焼けが止まらない。

          (雪の天龍寺)

 

 しかも諸君、北国の雪と違って、京都の雪は湿気がグイッと多く、傘ナシで外を闊歩するのは困難だ。マスクをしているせいで、メガネの曇りをどうすることもできない。常寂光寺から二尊院に向かい、雪の落柿舎の風情を味わったあたりで、短足サトイモくんは「もうこれ以上は無理」と音をあげた。

 

 ホントはこのあと、ナンボでも散策の計画があったのだ。雪の祇王寺も見たい。清涼寺や大覚寺に回るのも悪くない。化野念仏寺で雪をかぶった西院の河原も眺めたい。そのついでに鳥居本まで短い足を伸ばせば、大好きな平野屋を訪ねてイノシシ鍋で温まるのも可能だった。

 

 しかし諸君、京都の湿雪の中の今井君は、今や4重苦。マスクの中は吐息が結露してビショビショ、メガネは拭いても吹いても曇って前が見えず、お手手もアンヨも凍えるほど冷たいし、ポンポンはカレーゲップ由来の胸焼けでひっくり返りそうだ。

 (雪が激しくなり、落柿舎のあたりで思わず気力が失せる)

 

 落柿舎の縁側に座り込んで、ワタクシはMKタクシーのアプリに救いを求めた。来てくんろ、来てくんろ、助けに来てくんろ。湿雪でビショビショの高級コートをハンカチで拭いながら、念仏やお題目にすがる思いで「MKサマ、MKサマ、MKサマ」「MK大明神、ナムアミMK、ナム妙法MK経」、それを20回ほど唱えたところで、「タクシーが見つかりました」の表示が出た。

 

 諸君、さすが京都だ、凍えるような湿雪の中にも神サマ・仏サマ・MKサマはちゃんと救いに来てくださるのである。そして諸君、雪の中から姿を現したMK大明神にワタクシがお願いしたのは「金閣寺まで」。おお、ノドモト過ぎれば熱さも胸焼けも全て忘れ、貪欲に雪の中の観光を続ける。マコトに許しがたいサトイモどんなのであった。

       (落柿舎から金閣寺に向かう)

 

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