Tue 220208 困難の中で全国行脚/共通テスト英語の話/今宮神社のあぶり餅 4164回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 220208 困難の中で全国行脚/共通テスト英語の話/今宮神社のあぶり餅 4164回

 こんな状況でも、ワタクシの全国行脚は続いていて、1月下旬には京都駅前の会場で共通テスト全問を解説し、2月上旬には兵庫県の豊岡に姿を現して受講生諸君や保護者の皆さまとともに強烈に盛り上がり、一昨日は神戸元町「神戸市教育会館」で再び共通テストへの戦略と戦術を説いた。

 

 ただし今井のスタンスはあくまで「共通テストのレベルで安穏としていないこと」。だって長文読解問題のほとんどが高校入試とほとんど差のないレベル。リスニングだって「ノーマル」からは程遠いチンタラ・リスニングで、21世紀の高校生たちがこの程度で満足しているようでは困る。

 

 だから「戦略」「戦術」に分けてとりあえず出来るだけ多くの設問について解説した後、ワタクシは彼ら彼女らが大学受験で目指すべきレベルとして、リスニングの例題を1問披露することにしている。

 

 小説文ではあるが、ほぼノーマルスピードで7分ジャストの例題。まあ「ショックを受けてほしい」「共通テスト程度で立ち止まることなく、もっともっとずっと高いところを目指して、日々たゆまず邁進してほしい」ということである。

   (京都・今宮神社参道「かざりや」のあぶり餅 1)

 

 もちろん諸君、いきなり7分のノーマル♡スピードではショックが大きすぎるだろうから、実際のリスニングの前にワタクシが「大意」を少し詳しめに説明する。3人の登場人物名と、3人の人間関係と、1人1人の性格や行動を2分ほどかけて説明するのである。

 

 すると、おやおや、7分のノーマル♡スピードでも、ずいぶん聴こえるものなのである。「あそこも聴こえた」「こういう単語が何度も繰り返されたのが分かった」「全部は無理だったけど、...の場面だけは完璧にフォローできた」と、嬉しそうな笑顔で話しにくる生徒諸君も少なくない。

 

 そこでワタクシは「大意をつかむ」ことの重要性を熱く語る。読書でもリスニングでも、何より重要なのは「大意の把握」であって、いきなり細部の点検に夢中になることではない。大意さえ把握できれば、自ずから細部についても推理ができ、未知の単語の推測もカンタンになる。

(地下鉄・北大路駅から散策1時間、今宮神社にたどり着いた)

 

 今年の共通テストでも、残念ながら「大意の把握」に関わる設問はほとんど見当たらない。2021年もそうだったが、2022年になってもほぼ改善は見られず、求められるのは「読書能力」ではなくて「細部点検力」ないし「校閲能力」に過ぎない。

 

 鵜の目&鷹の目で「第◯段落の第△文に一致」みたいな点検作業に夢中になっても、読書の楽しみはない。おそらく塾や予備校の「共通テスト英語攻略」みたいな授業は、講師も生徒も細部点検の時間勝負に苛立ちを募らせ、笑顔の全くないトゲトゲした雰囲気に終始することになるだろう。

 

 例えば「第6問B」なんか、せっかくプラスチックのリサイクルに関して興味ある文章を出題しながら、実はもともと分かりやすい一覧表に示されていたものを、あえて混乱を招くような文章に書き直し、受験生を苛立たせるのが目的であるかのような出題だ。

 

 この問題を解説して幸福を感じる講師もいないだろうし、解説を聞いて気持ちがポカポカする受講生も存在しそうにない。17歳18歳の彼ら彼女らが懸命に読まなければならない文章なら、せめて読めば幸福と成長が得られるような文章を、精選の上で出題してほしい。

(今宮神社。1月中旬、初詣の華やかな雰囲気が残っていた 1)

 

 そうかと思えば「第6問Aであるが、いかにも大意を選ばせるような体裁の設問も存在する。「Basically」という副詞の後ろに続く空欄40である。「基本的には」の次に続くんだから、まあ「大意を選べ」ということであって、2021年に出た「サマリー選択問題」と同形式と言っていい。

 

「お、要旨選択、大意選択、これはなかなか優れた設問じゃないか」と一瞬は思うのであるが、しかし諸君、ここでは選択肢の作り方が杜撰。2021年の要旨選択問題でもそうだったが、正解となる選択肢と本文中の記述が、余りにもピッタシ一致する。

 

 つまり、こういうことである。最終段落の第1文から第2文にかけての記述が

Can people change? … seem to say no

一方、正解となる選択肢は

it might be hard for us to change

「人は変われるのかな? 『ノー』であるようだ」と本文で言っておいて、正解の選択肢が「我々が変わるのは難しいかもね」というわけだ。

 

 これじゃ、大意とか要旨の把握力どころか、やっぱり「第◯段落の第△文に一致」式でオシマイじゃないか。鵜の目&鷹の目で細部を点検するイライラ人間の勝ちになりやすい。

 

 2021年の第6問Aでも、「いかにも要旨選択」を装った問題があった。空欄42であるが、

本文・第5段落2行目に、

The NHL has been making stricter rules & guidelines.

一方、正解の選択肢

The NHL has been implementing new rules & guidelines. 

本文中のセンテンスと正解の選択肢が、思いっきりSもVもOも一致していた。

(今宮神社。1月中旬、初詣の華やかな雰囲気が残っていた 2)

 

 こうなると、若い新進気鋭の予備校講師が「共通テスト英語♡攻略大作戦」みたいなタイトルの講座を担当する場合、思わず口走ってしまうであろう一言が、大ベテラン今井は心配でならない。

 

「大意の把握とか、要旨要約能力なんか、実はどうだっていいんだ。細部を素早く点検して、選択肢と一致するセンテンスを本文から探し出せばいい」。こうして講師も生徒も細部点検能力ばかり鍛えようと考え、イライラ&トゲトゲ人間が塾や予備校の教室に溢れかえる結果になる。

 

 もちろんそれはそのまま大学の教室にも反映される。本来おおらかに学部での読書生活を謳歌すべき若者諸君が、ヒタイに深いシワを寄せてトゲトゲしく細部点検にばかり励もうとすることになる。

 

「東西の古典と悠長に対話なんかしているヒマはない、だって人生は時間との勝負なんだから」。その種のイライラを募らせた青年を2000人も3000人も詰めこんだ大学が、青年期を送るのに好ましい場所とはワタクシにはとても思えない。

   (京都・今宮神社参道「かざりや」のあぶり餅 2)

 

 こうして何だか無性に腹が立ってきたワタクシは、滞在先の京都を日々悠然と散策して過ごしている。前にも述べたとおり、今のワタクシは京都宝ヶ池のプリンスホテルがお気に入り。数々の国際会議を支えてきた由緒も伝統もある静かなホテルで、京都の雪を眺めながら心を鎮めるわけである。

 

 2022年の冬は、きっとこの厳しい寒さで長く語り継がれることになる。今年の受験生は、「あの冬はひどく寒かった」「驚くほど雪が降って、受験会場に行くのもたいへんだった」と、40歳になっても50歳になっても懐かしく思い出すことになると思う。

 

 そういう思い出に「コロナ」の一言が混じりこまざるを得ないのが残念でならないが、今井君は「雪の京都の宝ヶ池プリンスホテルから洛北の散策を満喫した冬」というほうを優先して2022年を記憶しようと考える。

 

 地下鉄烏丸線で南下すれば、始発の「国際会館」から松ヶ崎、北山、北大路。北大路で下車して、北風の中をひたすら太陽に向かって西に進む。みんな「寒い」「寒い」と縮こまっているが、さすがに正面から受ける陽光は暖かくて、日向さえ選んで歩けば、思わずコートを脱ぎたくなるぐらいだ。

(あぶり餅「かざりや」の向かいは同業の「いち和」。創業1000年の歴史を誇る。あまりの歴史に驚いて、「いち和」訪問はまた次回ということにした)

 

 あちらこちら立ち寄りながら1時間ほど散策すると、今宮神社にたどり着く。ワタクシはそんなに信心深いサトイモではなくて、初詣でも十日恵比須でも節分でも、この20年以上お賽銭箱に小銭さえ入れた記憶がないから、今宮神社に参詣した目的は、もちろん神社の参道で向かい合った2軒の「あぶり餅屋」である。

 

 神社に向かう参道の右が、創業1000年を誇る「一文字屋和舗」、通称「いち和」。平安時代の中頃からここで餅を炙って売っている。参道の左が創業500年に迫る「かざりや」、暖簾には「根元」「本家」とあって、500年もの大先輩に一歩もヒケをとらない名店だ。

 

 ワタクシはとりあえず「かざりや」を選択。1000年の歴史を誇る大先輩の方は、いったん敬遠して遠くからその勇姿を写真に収め、またの日を期すことにした。しかもその「またの日」が驚異的にすぐにやって来るのがサトイモどんのスゲーところなのであるが、その話はまた後日とする。

(創業500年に迫る「かざりや」。あぶり餅、たいへんおいしゅーございました)

 

 あぶり餅は、大人の親指の先というか、大きめのハマグリの身ぐらいのお餅。竹串の先に刺した餅を10本ほど束にして、お店のオバサマが店先の備長炭で炙ってくれる。よく時代劇に登場する長い腰掛が並んでいて、小さなストーブで暖まりながらお茶を飲んで待っていると、約5分後には白味噌の餡のかかったあぶり餅が運ばれてくる。

 

 やっぱりこういうのがいいじゃないか。鵜の目&鷹の目、額に深いしわを寄せて「第◯段落の第△文に一致」の点検作業に夢中になるより、厳しい北風に吹かれて京都の歴史の真っただ中を散策、長い歴史を生き抜いた白味噌餡の餅を味わって、また悠然と読書に取り掛かる。ワタクシは、そういう日々のほうが圧倒的に幸福だと信じる。

 

 ついでだから、今宮神社のすぐお隣の大徳寺も訪問。「瑞峯院」「龍源院」の2つの石庭を眺めてからホテルに帰ることにした。北風の厳しい午後だったが、石庭でもやはり春の陽光を実感。北野天満宮の梅も、城南宮の梅も、ちらほら花が咲き出している。

 

 東京ではまた明後日あたり、重い雪が積もりそうな予報だけれども、間違いなく春は近い。あと40日もすれば桜が咲き始め、50日後には満開になる。いやはや今はじっと我慢して、いろんな困難の解決を辛抱強く待とうじゃないか。

 

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