Fri 211224 藤沢と本厚木での大盛況/老舗バーの話/丸の内北口で仕事納め 4150回
ワタクシは、どんな店でも「いかにも常連」っぽく振る舞うのが恥ずかしい。だから、どの店に行ってもマコトに控え目であって、バーのカウンターでマスターと「だよね」「だよね」みたいな馴れ馴れしい言葉遣いや目配せで、他の客と違うコミュニケーションをとったりすることはしない。
代々木上原にある某バーは、おそらく日本中どこのバーのバーテンダーでも一目置く名門バーである。マスターはたいへん優しい人で、ワタクシみたいな無知なオヤジがどんなダメな注文をしても、注文通りのカクテルを黙ってニコニコ作ってくれる。
もちろん今井は決して「常連」ではない。訪問した回数は、おそらくまだ10回に満たない。カウンターに並ぶ常連の皆さまは、マスターとたいへん親しげに語り合っていらっしゃるが、今井はいまだに「ですね♡」「ますね♡」という語尾でしか話せない。
ワタクシが好きなのは「バンブー」である。他にもいろんなジンやウィスキーをストレートでいただくけれども、カクテルならバンブー。あまりに強烈なアルコールは、さすがにもう受け付けない年齢になった。
(12月20日、神奈川県本厚木にて。仕事納めも近づいた)
むかしむかしは、東京中のバーでいろいろ馬鹿げたお酒を注文した。ニコラシカ、ダーティーマザー、ゆきぐに、ブラックルシアン。「今井サンには『ゆきぐに』がよく似合いますよ」と言ってくれる同僚まで存在した。
ポーランドのウォッカをストレートでとか、クエルボを立て続けに5杯とか、そういうバカバカしいことを続けて、あの当時はずいぶん身体を悪くした。
体調が悪くなれば、バーでウォッカやテキーラやジンを「ストレートで」みたいな注文はしなくなる。それでもウィスキーのストレートはずいぶん続けたが、さすがにそろそろ、ラフロイグのような超ケムリくさいのは御免こうむりたい。
代々木上原の某バー(ワタクシのほうで匿名希望)のバンブーは、そんなワタクシの状況にまさにピッタリのお酒である。「おやおや、これは優しいですね」とホッと軽く嘆息し、「ではこれをもう1杯いただいて、その後で軽く食事して帰ります」とニッコリ、その後でお寿司屋に回って8貫か10貫、日本酒ぬる燗でモグモグやってお部屋に帰る。
(本厚木で豪華ケーキセットを戴く。おいしゅーございました)
別のバーで「普段はどちらのバーへ?」と尋ねられ、銀座でも赤坂でも六本木でもなく「代々木上原です」と答えると、バーテンダーの目の色が変わる。店の名前を言わなくても、ローカルなその駅の名前だけで、「この客、油断できないぞ」という雰囲気になる。
さっきヤフーニュースをポチポチやっていたら、某・大人グルメ雑誌のインタビューに、その某バー♡マスターが応えている記事が見つかった。こういうインタビューも無慈悲に拒絶しない、マスターの静かで穏やかな人柄がますますいいじゃないか。
今井の正体も、マスターはとっくにご存じだ。いつのことだったか、同じカウンターに並んだお客さんの中に「むかし今井先生の授業を受けていました」「懐かしいなあ」というビジネスマンがいらっしゃったらしくて、いつのまにか店内で正体が知れてしまった。
(鎌倉紅谷「クルミっ子」。藤沢のお土産にいただいた。 1)
そういうことは別に珍しくないので、12月21日、神奈川県藤沢での仕事納めのあと、東京駅丸の内北口の「なか卯」で単独祝勝会を開催中にも、「今井先生ですか?」と、20歳代半ばの青年が挨拶に来てくれた。「今井先生のおかげで第1志望に合格できました」「今はようやく社会人です」とおっしゃる。
そりゃ、びっくりするに違いない。だって、22時過ぎの「なか卯」である。まさか「なか卯」の店内で、疲労しきったダルマみたいな今井君が、牛丼と親子丼とおろし蕎麦のセットで生ビールをぐびぐびやっているだなんて、想像もつかないじゃないか。
「写真を1枚いいですか?」と尋ねられて、もちろんお断りする理由もないし、お断りするほど高級にツンと収まりかえったサトイモでもない。「なか卯」のポスターと一緒に、恥ずかしいほどニコヤカにスマホの写真に収まった。
(鎌倉紅谷「クルミっ子」。藤沢のお土産にいただいた。 2)
実はこの時、他のお客とも視線が絡まり合っていた。「お、今井だ!!」と思いつつも、「まさか今井がこんなところに?」と躊躇し、「今井先生ですか?」の声をかけられずにいるマコトに内気らしい青年だった。
新潟か群馬あたりの雪山でスノボを楽しんできた帰りらしくて、大っきなスノボを店の壁に立てかけ、注文を終えてから今井に気づき、いやはや何ともうろたえた様子である。
うろたえる必要なんか何にもない、モジモジしている暇があったらサッサと声をかけてくれればいいものを、友人に何だかいろいろ今井について打ち明けている。声をかけるか or かけまいか、それを躊躇しているうちに、前述の積極的な青年に先を越されてタイミングを失ったようである。
(鎌倉紅谷「クルミっ子」。藤沢のお土産にいただいた。 3)
それにしても諸君、さすがに「なか卯で仕事納め」と言うんじゃ、やっぱり寂しすぎるじゃないか。もちろん「なか卯」、メシそれ自体は間違いなく旨い。牛丼も、親子丼も、唐揚げも、温かいおろし蕎麦も、みんなたいへんおいしゅーございました。
しかしやっぱり、こんなにいろいろなことがあった2021年の仕事納めを、「なか卯」一軒でオシマイにするのは寂しすぎる。12月21日のワタクシは〆の一軒を求め、寒風ふきすさぶ丸の内北口界隈をあてもなく歩き回った。
(12月21日、東京駅丸の内北口、なんと「なか卯」で単独祝勝会&仕事納めの納会。ここでもさまざまな出会いがあった)
もちろん、丸の内北口にこだわる必要はないのだ。有楽町のガード下に回ってもいいし、ガード下の向こうには「コリドー街」だの「奥路地」だの、東京のシブいお店がナンボでも復活しつつある。
仕事納めの直前、神奈川県本厚木は、出席者約80名。仕事納めの藤沢は、出席者約100名。ともに「キャパ1/2ルール」を厳守するにはギリギリの数字だったが、いやはや特に藤沢は、ルール範囲の「ギリギリ密」、濃厚な人口密度に達してしまった。
だから諸君、あえて写真の掲載は遠慮することにする。遠慮はするが、2021年の仕事納めとしてはまさに出色の出来ばえ。国立大最難関の長文読解問題をマクロ&ミクロ両面から徹底解説して、「こりゃまだまだ他の若い講師諸君に主導権はわたしませんよ」という今井の健在ぶりを示してきた。
(仕事納めの「なか卯」、親子丼・牛丼・おろし蕎麦に生ビール。幸福の原点はここにある)
「なか卯」で一番の大盛り丼定食を完食した後でも、今井はなお意気軒昂だ。この寒空になお、居酒屋の路上のオープンテーブルを選択。だって、お店の中はあったかいが、タバコの煙がギュッと充満している。これほどタバコのケムリが充満しているということは、他のデルタ軍団やオミクロン軍なんかも充満している危険性がないとは言えないじゃないか。
路上のオープンテーブルも、泥酔したサラリーマンでいっぱいだ。時計を見るに、すでに23時に近い。他のお店はとっくにクローズして、後片付けが始まっている。
(丸の内の路上、寒風吹きすさぶオープンテーブル 。手前のアンヨ2つは、今井君の短いアンヨだ)
道ゆく青年たちの中に「お、今井だ」「あ、今井だ」と、このサトイモ軍曹に気づく人々も多いが、こっちは諸君、ビールに熱燗をノドの奥に流し込むのに忙しい。
ついでに諸君、注文した「ナチョス」「オリーブ」というマコトに投げやりなツマミも旨い。ポップコーンもやっぱり旨い。絡みつく視線に対処している余裕はなくなった。
こうして2021年の仕事納めは、丸の内の冷たい風の中でクライマックスを迎えた。しかもこの夜のイマイは、思うところあってあえてタクシーを利用しない。23時半、最終の地下鉄千代田線でお部屋に帰った。
こんなに遅くなっても、24時半にはお部屋に戻れる。電車の中も、駅からの徒歩ルートも、みんな安全が保たれている。こんなに幸福な街は、世界中に他に考えられない。ワタクシは来年もまた、目いっぱい公開授業で日本中を飛び回りたい。
(丸の内北口、サラリーマンの皆様でオープンテーブル も超満員。順番待ちのグループの視線が痛かった)
実はすでに、2022年2月と3月のスケジュールが決定している。うぉ、今井本人がビックリするほどの強烈なスケジュールだ。「沖縄の翌日に淡路島」なんてのもある。おお、いいじゃないか、いいじゃないか。このぐらい強烈じゃなきゃ、激しい今井は決して満足できない。
年が明ける前に、そのスケジュールも公開できると思う。まあ今夜のところは諸君、サンタクロースからのプレゼントでも楽しみにしながら、日本に急激に迫る強烈な寒波に備え、毛布やら電気毛布やらにくるまって、徹底的に暖かく聖なる一夜を過ごしたまえ。
おっと、サンタのプレゼント用に、靴下も忘れずに。そしてもう一度おっと、その靴下、キレイに洗ってあるかい? そのへんは、老いたサンタさんやサトイモさんへの、最低限の礼儀でございますよ。
1E(Cd) Kubelik & Berliner:DVOŘÁK/THE 9 SYMPHONIES 5/6
2E(Cd) Kubelik & Berliner:DVOŘÁK/THE 9 SYMPHONIES 6/6
3E(Cd) Avner Arad:THE PIANO WORKS OF LEOŠ JANÁĈEK
4E(Cd) Akiko Suwanai:INTERMEZZO
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