Mon 211213 「黄金海宝丼」に驚嘆/北海道にしばしの別れ/酢メシ軍との戦い 4143回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 211213 「黄金海宝丼」に驚嘆/北海道にしばしの別れ/酢メシ軍との戦い 4143回

 こうして諸君、2021年北海道の旅は終わりに近づいた。今年はついに網走への日帰りを敢行した。札幌出発が朝7時、網走から札幌のホテルに帰還したのは、もう23時を過ぎていた。

 

 しかもこの日の午後、道東・釧路あたりではバクダン低気圧の接近で特急列車が軒並み運休、普通列車も運休が相次いで、網走への往復成功はまさに綱渡り、急激に発達した丸い低気圧の北のヘリを、反時計回りに伝い歩くような巧みな帰還だった。

 

 しかし、毎年こんなに大冒険を繰り広げてくると「さてそれでは2022年はどうしようか」と、ハタと思案に暮れる。旅の候補はもうあまり残っていない。小樽・旭川・留萌・増毛・鵡川・音威子府・稚内・網走、たった2日か3日の北海道出張とは思えないほどの大旅行&大冒険を毎年続けて、さすがのワタクシも旅先の選択に苦心するようになった。

 

 もちろん、天売島・焼尻島・奥尻島・利尻&礼文など、北海道からお船でドンブラコ、いわゆる「離島」であればまだまだ旅の候補はある。しかし11月下旬から12月上旬の北海道の離島、しかも前日の講演会を絡めての日帰り旅となると、天売や奥尻や利尻&礼文は候補から外さなきゃならない。

(新千歳空港「どんぶり茶屋」で「黄金海宝丼」を注文。大量の酢メシを相手に悪戦苦闘を演じた)

 

「どうしてそうまでカッカするんだ?」であるが、そりゃ諸君、今のイマイは完全にカッカしていて、いつなんどきドカンと爆発するか予測もつかない。

 

 だって諸君、直近の外国旅行は201912月のウィーンだ。あれからまるまる2年、旅と呼べるほどの旅には出ていない。2005年以来15年、ヒコーキの上に生涯を浮かべ、日々旅にして旅を住処とし、15年で世界250都市を訪問した今井君が、コロナのせいで日本国内にギュッと幽閉されている。

 

 こういう状況では、日帰りでも何でもいい、奥尻に焼尻、天売に利尻&礼文、いや知床半島の先端でもいい、たった1日か2日の余裕があれば、非常識と言われようと何と言われようと、豪放磊落に踏破してきたいのである。

(網走から札幌に向かって走り出した特急「オホーツク」車内。さすがに空席が目だつ)

 

 こうやってあんまりカッカ&カッカ真っ赤に燃え上がり、赤を通り越してカンカンに白熱した備長炭よろしく、「何が何でも熱く行動しまくりたい」と自分で自分に歯止めがきかなくなれば、今日1枚目の写真みたいな非常識な食べ物を思わず注文してしまう。

 

 これは帰京の直前、新千歳空港「どんぶり茶屋」で貪った「黄金海宝丼」である。小丼が7つ、それぞれ小さな海鮮丼になっていて、真ん中がイクラ丼、その周囲を甘エビ丼・数の子丼・中トロ丼・ビンチョウまぐろ丼・毛ガニ丼・サーモン丼が取り囲む。

 

 小さい丼と言っても、中には酢メシがギュッと詰め込まれている。分量だけに注目するなら、まずは酢メシのオムスビ7個が並び、酢メシむすびの上に7人前の刺身を豪華に乗っけたようなシロモノである。

 

 新千歳空港には、最近になってこの種の超豪華♡海鮮丼のお店が増えた。函館朝市の花形「きくよ食堂」も店を出している。函館で仕事があるたびに、翌朝7時か8時の「きくよ食堂」を訪問、豪華すぎてとても胃袋に収容しきれない海鮮3色丼を平らげてきたが、その「きくよ」のノレンと新千歳で再会するとは思いも寄らなかった。

(遠軽で方向転換。午前中の下り列車と同じように、乗客みんなで協力して座席の向きを変える)

 

 この日の「黄金海宝丼」は、それとは全く違うお店で、看板には「どんぶり茶屋」とある。どういう意味で「茶屋」なのか判然としないが、とにかく屋号は「どんぶり茶屋」である。茶屋に入ってまず日本酒の熱燗を1本注文し、フードのメニューをゆっくりめくってみた。

 

 まず何と言っても、非常識な今井君が非常識に狂喜乱舞しそうな「黄金海宝丼」があり、それに続いて小ドンブリを5個に減らした「丸鮮丼」「千代丼」が続く。

 

 こういうドンブリ軍団がいったいナンボするかは、いくら隠し立てしたってググられてしまえば全てが白日の下に晒されるから、21世紀の世界の隠し立ては全て無意味である。ま、お値段に興味のあるオカタは、どんどんポチポチ遠慮なくググってくれたまえ。

(札幌に到着した「オホーツク」。よく見ると車両は満身創痍の状況だ)

 

 以上の超豪華5丼セットに続くのが、ありとあらゆる「3色丼」の乱舞である。こちらは3色を1つのどんぶりに盛り合わせるから、見た目の豪華さというかバエ狙いというか、その辺の話になると「黄金海宝丼」「丸鮮丼」「千代丼」の3者には明らかに劣る。しかしやっぱり函館「きくよ」の丼各種に勝るとも劣らないバエぶりだ。

 

 何と言っても驚くのが、その順列&組み合わせの多種多様ぶりである。3種丼のバラエティは、ホントにホントに順列&組み合わせの世界。「サーモン・ほたて・カニ・まぐろ・ウニ・甘エビ・いくら・数の子、以上8種の海鮮から3つを選ぶとすれば、何種類の丼が可能となるか」。まさに数学のセンセが盛り上がる場面じゃないか。

 

 これら3色丼のお値段は、全て1680円に統一されている。だから「値段の高い海鮮のみ3種」という選択肢はあるようでナシ。「3種を組み合わせてほぼ同じ値段になるように」という前提がついて、数学のセンセでも少しはメンドーな問題設定というか丼設定というか、まあそういうことになっている。

 

 そうやってメンドーになってくると、メンドーのキライな今井君なんかは「じゃ、いいじゃないか、一番豪華なヤツを1つ注文しよう。ちょっとぐらい値段が張っても、ええじゃないか、ええじゃないか、えじゃないか」、幕末の江戸庶民が伊勢神宮に目指し、一斉に変な手まねで踊り出したみたいな行動に出る。

 

 だって、そうじゃないか。そうじゃないか、そうじゃないか、そうじゃないか。そんなにメンドーにメニューが絡まりあっているんじゃ、残念ながらもう平凡に「ドンブリモノ」と呼んであげられない。バエ狙いのバエぶりものなら、一番バエるヤツを注文するのが一番だ。

(おお、かわいそうに車両の塗装がハゲチョロケだ。今すぐにバンソーコーを貼ってあげたい)

 

 というわけでワタクシが思いきって注文したのが、今日1枚目の写真の「黄金海宝丼」。誰がどう見てもゴハン茶碗7杯分の酢メシに、ホントに7人前の海鮮が堂々と乗っかってその鼻息も荒い。

 

 しかし諸君、今井がこのぐらいのことで「降参しました」「参りました」「許してください」と情けない弱音を吐くと思われて困る。確かに最近ずいぶん胃腸の容量は減退したが、ブエノスアイレスでもアムステルダムでもステーキ800グラム、広島でもマルセイユでも生牡蠣48個、その実力を侮ってもらっては困る。

 

 ただし、「普通のメシ」ならナンボでも貪ってみせるが、ワタクシにとって「酢メシ」は天敵だ。バルサミコでもワインヴィネガーでも、いったん「酢」のカテゴリーに入るや、今井の胃腸も食道も全てを拒絶する。

 

 だからこの超豪華「黄金海宝丼」、最大の敵は海鮮の下にギュッと味方どうし身を固めて敵の襲撃を待ち受ける酢メシ軍団だったのである。顔を近づけるたびに、敵イマイの鼻に強烈な米ビネガー臭を吹きつけてくる。こりゃ目が白黒、サトイモ軍もとても対抗できない。

(札幌駅の掲示板。手書きじゃなくて、キレイにプリントアウトして貼り出したほうがよくないか?)

 

 こういう次第で、サトイモ大将としては援軍を要請するしかなくなった。北海道には優秀なお酒が群雄割拠の状況、増毛「国稀」、根室「北の勝」、旭川「男山」、次から次へとアツアツの熱燗になって援軍に駆けつける。徳利はたちまち3本4本とテーブルを占拠、酢メシ軍団は海鮮衆とともに着々と殲滅されていったのである。

 

 気がつけば、勝利した今井名義の勘定書に平気で「15000円」の文字。まあ反省しきりではあるが、ワタクシは諸君、大好きな北海道で目いっぱいの消費に励み、北海道経済に活性化していただきたいのだ。そのためには酢メシ軍団との戦いにも、出来るだけたくさんのオカネを落としていきたい。

 

 だって諸君、網走からはるばる札幌に到着した特急「オホーツク」の車体写真に、もう1度じっと目を凝らしてみたまえ。車両の塗装がベロッと剥げ落ちて、すでに息も絶えだえ。こんなのを見たのは、10年前のブダペスト地下鉄以来である。いつ「廃止」になるか、どの鉄道もいつ「廃線」の憂き目をみるか、分かったものではない。

(新千歳空港「どんぶり茶屋」風景。お客の数より、酢メシの小丼の数の方が多かった)

 

 昨晩も「小動物と衝突したために運行に遅れが生じました」「申し訳ございません」「マコトに申し訳ございません」と、旭川から札幌までの2時間ほどで10回も、車掌さんが平謝りのアナウンスを続けていた。

 

 何もそんなに謝らなくたっていいじゃないか。夜ふけの大自然の中をひた走る長距離特急だ、シカや小動物と接触するぐらい、そりゃ日常茶飯事に決まっている。

 

 だからワタクシ、北海道では徹底的に消費し、お酒にビールにガラナ、かにめしにジンギスカンに海鮮丼、今井のオサイフが許す限りのオカネを落としてから東京に帰りたい。2人前を完食、3人前を完食、そのぐらいは朝飯前。話がお酒になれば、5人前でも7人前でも、あっという間に飲み干してみせるのである。

 

1E(Cd) Ashkenazy & PhilharmoniaSIBERIUSSYMPHONIES 4/4

2E(Cd) Krivine & LyonDEBUSSYIMAGES

3E(Cd) RogéDEBUSSYPIANO WORKS 1/2

4E(Cd) RogéDEBUSSYPIANO WORKS 2/2

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