Wed 211201 超優秀生が7割を超える公開授業/京都ゑびす神社、お火焚き祭 4134回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 211201 超優秀生が7割を超える公開授業/京都ゑびす神社、お火焚き祭 4134回

 こんなふうに(スミマセン、昨日の続きです)目の前の生徒たちがどんどん優秀になってくると、どうしても心配なのが今井君の二の舞である。中3ぐらいで「優秀だ」「優秀だ」とおだてられると、昔も今も若者は、基礎基本徹底の鉄則を見失いがちだ。

 

 マコトに気恥ずかしい話であるが、かつての今井君は中2の段階で完全に脱線してしまった。周囲の仲間たちが夢中で勉強している年齢相応の勉強がバカバカしく思われてきて、1学年上、2学年上、それどころか3学年上、そういう勉強でなければ意味がないみたいな妄想に憑かれた。

(京都・四条烏丸「からくさカレー」の黒カレー。カレーを増量してもらった。たいへんおいしゅーございました)

 

 いまや日本という国を挙げて同様の妄想に憑かれているように思うのだが、年齢相応の基礎基本と言ふものがあって、その枠を踏み外せばロクな結果は待っていない。

 

「英語は小学2年で準一級に合格しました」

「小学4年で数学検定◯級に合格しました」

「源氏物語を小5で読破しました」

「ドストエフスキー全集の全巻を小6で読破しました」

 

 そういう逸話を胸を張って語るヒトは少なくないが、ホントにスミマセン、今井君も御同様、まあむかしむかしはその種の天才児としてもてはやされ、しかし中2か中3で基礎基本の枠を踏み外し、気がつけば東大にさえ入学を拒絶され、当然のごとく激しく世を拗ねて脱線に脱線を重ね、結局は予備校講師で人生を終わりそうな勢いだ。

(京都・四条烏丸「からくさカレー」。お店の人たちもみんな優しかった)

 

 思い起こせば、中2の秋に本屋さんで購入してきたのが「解法のテクニック数学Ⅰ」。数Ⅰだけじゃ物足りなくて「解法のテクニック数ⅡB」も買っちゃった。矢野健太郎センセのこの本は、当時の理系ハイレベル高校生のバイブルになっていた人気シリーズ。出来れば中3までに、数Ⅲまで終わっちゃいたいと考えていた。

 

 そういう笑止千万は、英語でも国語でも同じだったので、何しろワタクシの姉上は4歳年上の大学受験生だったから、姉上の本棚にある大学受験の参考書をテキトーに奪ってきて、中2や中3で原仙作「英文標準問題精講」だの、その姉妹編「和英標準問題精講」だの、そういうヤツをどんどんやっつけていた。

 

 するともう、笑止千万は止まらない。中3で早稲田大や上智大の赤本をペラペラめくり、「何だ、この程度か?」とせせら笑い、高校の物理やら化学の参考書まで読み切って、「この調子なら高1で東大だ」とか、おやはやマコトにアホな自己満足に浸っていた。英語じゃ物足りなくて、ドイツ語やフランス語までかじり出した。

(ワタクシとは何の関係もないが、「からくさカレー」のお隣は老舗の金庫屋さんだった)

 

 だから高1の春、とりあえず身近で一番優秀な高校に合格すると、さっそく申し込んだのが「乙会」。もちろん(仮名)の「オットカイ」であるが、当時の乙会は今とは比較にならないぐらい小難しい問題しか扱っていなかった。

 

 当時のオットカイがどのぐらい難しかったかと言ふに、いやはやたった10行の英文を日本語に訳すだけなのに、東大に現役で合格するような優秀な高3生でも優に3時間はかかるのである。

 

 伝説の参考書「思考訓練の場としての英文解釈」なんてがあった。タイトルからしてもうどこかにイッちゃっているが、昭和中期の東大&京大の入試状況を映す鏡でもあったし、今だに「思考訓練」という文言に憧れて、超ムズ&時代遅れな参考書を書き続けているセンセも珍しくない。

 

 そのオットカイで、高1春の今井君が申し込んだのが、高3生の最難関コース。少なくとも英語と国語なら、高1の春の段階で全国の高3生に負けるとは思えなかったし、数学もすぐに追いつけると考えた。だって諸君、もう「解法のテクニック数Ⅲ」まで、高校受験の直前に一通り終わっちゃったのである。

(11月16日午後2時、京都ゑびす神社では「湯立て神楽」「お火焚祭」が催される)

 

 そういう笑止千万をいつまでも続けていれば、まあ遅かれ早かれ破綻がやってくる。今井君の場合は、高1の7月の期末テスト。基礎基本も何もあったものではない。とにかくマトモな解き方は全て「イモ」と豪語していた数学で、マトモなことが全く出来なくなった。

 

 計算用紙を真っ黒にして、やっとのことで正解を導くようなことはしたくない。何でもかんでもオットカイの赤ペン先生に「あまりにも見事」と喝采されるような解き方をしないと気が済まない。すると「全てを初等幾何で」「絵を描いて」「図を3つ比較して」みたいな解き方以外はイヤになる。

 

 英語でも国語でも同じこと。本来は「誰でも1回読めばスーッと理解できる文章」を書かなければならないのに、「1回で理解されちゃうような安易な文章は書きたくない」と豪語。気がつけば、ナンボ読んでも他人も自分も分からない難解な文章しか書けなくなっていた。

    (京都ゑびす神社、「湯立て神楽」最終盤 1)

 

 こんなトシになってワタクシが、目の前に居並んだ優秀な受験生諸君が心配でたまらないのは、実はそういう自分の重い蹉跌の記憶があるからである。年齢相応の基礎基本という大事なものがあって、それを踏み外すと元に帰るのは極めて難しい。

 

 今井君が育ったむかしむかしは、参考書と問題集と通信添削の天国。実際の学年より2つも3つも上のものにチャレンジして、意味のない優越感に浸るのは実にカンタンだった。

 

 21世紀、特に都会の青年諸君にとっては、参考書より何よりも、手当たり次第の塾天国。「受験を超えた数学」「入試レベルを超えた物理」「4技能を超えた英語総合力を養成」、そうやって優秀な高校生を誘い、基礎基本徹底という人生の基本を忘却させる。

    (京都ゑびす神社、「湯立て神楽」最終盤 2)

 

 1116日、ワタクシの公開授業会場は、阪急の大阪梅田駅至近。「アイアングリーンの会」「オットカイ」など(全て仮名といたします)、界隈は塾また塾の塾天国であって、基礎基本徹底という重く苦しい努力を忘れさせてくれるハッピー世界。今井君の心配は募るばかりであった。

 

 集まってくれた100名のうち、7割までがいわゆる「Sレベル生」。まあ受験業界のことだ、そういうイヤらしい言い方も許してくれたまえ。中高一貫の「Sレベル」、公立トップの「Aレベル」、それを合わせると9割に近い。

 

 すると諸君、かつての今井君の逸話が、かえって彼ら彼女らの心をギュッとつかむのである。「今までの人生でほとんど減点されたことがない人たち」と言ふ言葉に、彼女ら彼らはギョッとして視線をこちらに向け、数百年前の今井君の大失敗に真剣に耳を傾けてくれる。

 

 本来、大阪梅田の会場で「Sレベル」受講生が7割超なんてことになれば、東大京大の入試問題をさらに凌駕するような難問を次々と説いてみせなければ満足してもらえない。しかし諸君、以上のような文脈で基礎基本徹底を訴えると、さすがにSレベル生諸君だ、みんな笑顔で大きく頷いて、今の自分たちの危機をしっかり正しく理解してくれるのだった。

    (京都ゑびす神社、「湯立て神楽」最終盤 3)

 

 なお、この日は朝から京都を散策した。すでに宿泊先は大阪のリッツカールトンホテルに移っている。しかし京都から大阪なら、JRの新快速で30分ほど、阪急なら一気に京都のド真ん中、四条河原町まで45分もかからない。

 

 1116日のワタクシは、JR大阪駅から金沢ゆき特急「サンダーバード」に乗った。サンダーバードなら、指定席もある。30分弱、心配せずに座っていけるし、途中の停車駅もない。

 

 大阪で指定席に座ってみると、驚いたことに諸君、他の客は1人もいない。2年続いたコロナ騒ぎもやっと静まってきて、京都も大阪も観光客がずいぶん戻ってきた頃だから、このガラガラぶりにはずいぶん驚かされた。

(大阪発金沢行き「サンダーバード」。京都まで指定席はこんな感じだった)

 

 しかし何のことはない。サンダーバード指定席は、京都から乗り込む修学旅行生でこの先は超満員になる予定だったのだ。京都に到着すると、今井君が降りるのも待てない張り切った高校生たちが、長蛇の列を作って待ち受けていた。

 

 2週間に及ぶ関西シリーズで、ワタクシが自分に課したのが「1日1観光」。この日の1観光は、建仁寺の西にある「京都ゑびす神社」である。こじんまりしているが、創建1202年、「西宮えびす」「今宮えびす」と並ぶ「日本3大えびす」の一角を占める。

 

 今から3年前に京都に2週間ほど滞在した時からこのゑびす神社のファンで、10年以上愛用して古びたサイフの供養もお願いしたし、短期間でも京都の旅をすれば、必ずここに立ち寄ることにしている。

(京都ゑびす神社、「湯立て神楽」最終盤。いよいよ「焼きミカン」でござるよ)

 

 1116日の京都ゑびすは、「お火焚祭」の当日。午後2時ごろから数十人の観光客が集まり、地元のオエラガタもズラッと集合して、たいへんおめでたいお火焚き祭が始まった。

 

 薄暗い社の中で巫女さまの力強い舞が奉納されている。何しろ薄暗いから中はよく見えないが、それでも21世紀の観光客は貪欲だ。おそらく数十万円はする高級カメラを駆使して「見えた&見えた」「撮れた&撮れた」と、大ハシャギしていらっしゃる。

 

 やがて巫女さまの美しい舞の舞台は明るいオンモに出てきて、薪の火で1時間も前からクタクタ煮えたぎっていた熱いお湯を、フサフサした榊の枝を激しく振り回してヒトビトにふりかける。このお湯を浴びればしばらくは健康でいられるということになっているらしいが、いやはや巫女さま、恐るべき勢いで榊のお湯を振りまくのである。

  (そして、とうとういただいた焼きミカンがこれだ)

 

 お火焚き祭の終盤、「焼きミカン」というフシギなものも配られる。集まったたくさんのお札を真っ赤な炎で焼き、その炎の中にミカンをボンボン投げ込んで焼くのである。

 

 ミカンなんか焼いて、どう味が変わるのか分からないが、まあ焼いたミカンは縁起物だ。集まった数十人の観光客は先を争って焼きミカンをいただく。皮が黒く焦げて、ミカンの味も焦げくさく変わっただけなのだが、まあいいじゃないか、それでまた無病息災、コロナ退散の可能性が少なからず高まるのである。

 

 帰り道は、祇園四条から京阪電車に乗った。「プレミアムカー」、500円で指定席をとれば、夕暮れの京都から大阪でもしっかり優雅に座って旅ができる。何しろ19時半から阪急梅田駅前で超優秀生の公開授業が待っている。京都の旅で疲れ果てているわけにはいかなかったのだ。

 (大阪梅田、Sレベル生7割超の公開授業。出席者約100名)

 

1E(Cd) Wand & BerlinerBRUCKNERSYMPHONY No.8 1/2

2E(Cd) Wand & BerlinerBRUCKNERSYMPHONY No.8 2/2

3E(Cd) Wand & BerlinerBRUCKNERSYMPHONY No.9

4E(Cd) LET’S GROOVE 

7D(DPl) 文楽:国言音頭「大川の段」先代 豊竹呂大夫「五人伐の段」竹本文字大夫  伊勢音頭恋寝刃「古市油屋の段」「奥庭十人斬りの段」竹本文字大夫 先代 豊竹呂大夫

10D(DMv) SPELLBOUND

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