Wed 211117 大女将の優しいイケズ/神護寺をやめて、高山寺へ/京都駅前で奮闘 4126回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 211117 大女将の優しいイケズ/神護寺をやめて、高山寺へ/京都駅前で奮闘 4126回

 1110日、「松山閣松山」こと「しょうざん閣まつやま」の本家・生湯葉料理を食べ終えたのが午後1時。この日の仕事は京都駅前「キャンパスプラザ」で19時半のスタートだから、余裕でもう1観光を楽しめる。

 

 まあこの辺が、京都駅前グランヴィアに宿泊した妙味なのであって、講演会場までホテルから徒歩2分、間違いなくこれは最大の魅力である。

 

 ただし諸君、「ホテルから徒歩2分」とは、正確には「ホテルのロビーから徒歩2分」。「ホテルの部屋」からで計算すれば何と徒歩10分。あまりにもホテルが巨大なので、ワタクシにあてがわれた1143号室から南側のエレベーターまでは、広大なフロアを半周して徒歩8分ほどの長距離ウォークになる。

(京都駅前「キャンパスプラザ」で大奮闘。キャパ1/2ルールが続く 1)

 

 まあいいや、とにかく1日1観光の決意を貫くことにして、松山閣松山の大女将に「この近くで紅葉を楽しむには、どこがいいですかね?」と尋ねてみた。

 

 大女将のオススメは、鷹ヶ峰。源光庵に光悦寺に常照寺、4〜5年前のワタクシが晩秋に必ず訪ねていた京都の紅葉の定番である。

 

 しかし今のワタクシは、鷹ヶ峰がちょっとキライになっている。原因は某・超高額ホテルの誕生だ。「某」も何も、要するに「アマン京都」であるが、「高級ホテル」と書かずに「高額ホテル」と言うのには訳があって、アマンどんの価格設定は悪趣味の極みのように思われる。

        (栂尾・高山寺にて 1)

 

 だって諸君、1泊20万円だというウワサなのだ。1泊とは、おそらく午後3時から翌日正午ぐらいまでの時間帯であって、20時間前後。すると割り算して滞在1時間につき1万円の計算だ。

 

 うひょ、そりゃひどい。ホテルにチェックインして、そこからは自動的に1時間10000円。1000060で割れば約167だから、1分で167円。167を6で割れば27だから、10秒につき30円、3秒おきに10円玉がパチンコ玉のごとくジャラジャラお財布から流出する計算になる。

        (栂尾・高山寺にて 2)

 

 もし計算が間違っていたら、許してくれたまえ。しかしやっぱり、1泊20万円だの1時間1万円だのという贅沢は悪趣味だ。今井君はマコトに慎ましいサトイモであるから、そういうジャブジャブなホテルには嫌悪感があり、そういうジャブジャブホテルの存在する地域には接近したくない。

 

 というか、じゃぶじゃぶ系ホテルに接近するじゃぶじゃぶオジサマやじゃぶじゃぶオバサマが好きになれない。同じ建物の中に宿泊するのもイヤ、同じ地域に足を踏み入れるのにも若干の躊躇を感じる。高額アマンがキライなせいで、鷹ヶ峰からも足が遠のく。いやはや、ムカゴ閣下は気難しいのだ。

        (栂尾・高山寺にて 3)

 

 そこで1110日の今井君は、松山閣松山の大女将のオススメをくつがえし、「高雄の神護寺や栂尾の高山寺あたりなら、紅葉ももう見頃だと思うんですけど」とオズオズ口に出してみた。中でも高雄の神護寺、ちょっと山道を登らなきゃいけないけれども、ワタクシの大好きなお寺である。

 

 ただし「神護寺が好き」と言ふのには、他人に胸を張って高らかに打ち明けられない理由があって、実はワタクシ、神護寺の本堂も塔頭もどうでもいい、興味なんかほぼ0%、興味があるのは本堂と全ての塔頭のその先、崖の上からの「かわらけ投げ」のみなのである。

        (栂尾・高山寺にて 4)

 

 本家・生湯葉料理を2時間も味わって、この店の大女将にはすっかり心を許していた今井君は、思わず「他人には胸を張って打ち明けられない理由」を、思わずカッパと素直に打ち明けてしまった。「実はボク、神護寺の紅葉より、かわらけ投げが好きなんです」という訳である。

 

 その瞬間、大女将の表情がピクッと動き、年を経た生粋の京都人の心の奥から「いけず」のエッセンスがジュルッと音を立てて滲み出るのが分かった。年を経た京都人は「いけず」、そのことを若い♡今井君はすっかり失念していた。

 

 大女将の質問は「かわらけ投げって、オカネはいくらかかりますのん?」。若い♡今井君は思わず真っ正直に「3枚で1000円でしたかね」。「それを何回やりますのん?」と畳み掛けられ、「5回ぐらいですかね。何しろ大好きなもんで」とまたまた正直に返答した。

        (栂尾・高山寺にて 5)

 

 確かに、崖下に向かって小さな素焼きのカケラを投げる爽快さは、3枚1000円でやめられるものではない。中学生の冬、秋田の田舎で雪ダマを毎日100個も200個もブン投げて遊んでいた今井君だ、かわらけの飛距離は、今でも半端な距離ではない。かわらけ20個は投げたいし、それ以下じゃ欲求不満に陥る。おお、7000円もブン投げることになる。

 

 すると諸君、大女将はホントにニンマリ嬉しそうに微笑んで、「そうどすか、それじゃカワラケやのうて、オカネをホカしてるようなもんどすな」「東京の人はオカネもちやから、なんぼオカネをホカしても大丈夫どすな」と畳み掛けてきた。

 

 おお(昨日の記事参照)ワタクシは「世田谷に住んでます」と打ち明けたさっきの会話を少なからず悔いた。いけずな優しい大女将、今井君をマコトにやんわり叱ってくれた訳である

 

 悪趣味なほどの高額ホテル「アマン京都」なんかがあるから、鷹ヶ峰もちょっとキライになった、だってウワサ通りなら1泊20万円、「オカネをホカしてるみたいなもんじゃないですか」と言った自分の言葉のトゲが、女将のいけずにぶつかって、ものの見事にブーメランしてきた。

        (栂尾・高山寺にて 6)

 

 こういうわけで午後のワタクシは訪問先を変更。神護寺のかわらけ投げを諦めて、グッと静かな栂尾・高山寺を訪ねることになった。この春には東京で鳥獣戯画の展覧会に人々が殺到し、ショップではコロナ第5波の前触れとなる大規模3密を呈していたが、さすがに今は寂しい晩秋、静寂の高山寺でおとなしく紅葉を満喫しようじゃないか。

 

 タクシーを呼んでもらって、栂尾まで3000円。京都の中心部からなら軽く5000円を超えるが、鳴滝から仁和寺を経由して行けば、かかる時間も20分程度で済む。

(京都駅前、キャンパスプラザで奮闘。キャパ1/2ルールが続く 2)

 

「実は京都市立御室中学校の卒業生です」というヤサカタクシーの地元情報に詳しい運転手さんが、「占術家・細木数子女史の自宅はあそこです」「細木数子女史の道場はあそこです」と、そこいら中で細木情報を教えてくれた。女史の突然の死のニュースを読んだのは、この日の夜のことだった。

 

 こうしてたどり着いた栂尾高山寺は、予想通り閑散。紅葉はまだ始まったばかりだったし、3年前の台風21号の被害修復工事もまだ継続中。鳥獣戯画の長いお留守のせいもあるのか、むしろお隣の槇尾・西明寺の方が賑わっているぐらいだった。

(京都駅前、キャンパスプラザで奮闘。キャパ1/2ルールが続く 3)

 

 1110日の夜のお仕事は、前述の通り京都駅前キャンパスプラザにて。堀川高校・西京高校・嵯峨野高校など京都市内のトップ校に、滋賀・膳所高校からの参加者も多数加わって、いやはやマコトに優秀な雰囲気。「基礎基本徹底」がメインの講演を、みんな優しい笑顔で集中して聞いてくれた。

 

 出席者・約150名。コロナが終息してキャパ1/2ルールが早く撤廃されることを、心から願ってやまないワタクシなのである。

 

1E(Cd) BarenboimBEETHOVENPIANO SONATAS 8/10

2E(Cd) BernsteinHAYDNPAUKENMESSE

3E(Cd) Fischer & BudapestMENDELSSOHNA MIDSUMMER NIGHT’S DREAM

4E(Cd) LET’S GROOVE 

7D(Pl) 錦秋文楽公演 第2部:ひらかな盛衰記「笹引」「松右衛門内」「逆櫓」:大阪日本橋・国立文楽劇場

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