Tue 211102 まもなく関西シリーズ/朝ドラの関西弁/けつかる/ラジオ講座 4117回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 211102 まもなく関西シリーズ/朝ドラの関西弁/けつかる/ラジオ講座 4117回

 こうしてすっかりお目目の調子が戻ってくれば、来週からの関西シリーズが楽しみでたまらない。

 

 明日3日、いろんな事情で山形での公開授業の予定が入り、もちろんそれはそれで楽しみなことこの上ないが、6日に沖縄でのお仕事をこなせば、来週月曜日の京都から18日の兵庫県西宮まで、まるまる10日間ずっと京都&大阪に滞在するのである。

 

 何度か言及しているが、ワタクシは「このさい近いうちに京都に移住しちゃおうかな♡」と考えているほど関西が好き。実際さっきも、京都のど真ん中の超高級マンションの案内書が郵便受けに入っていた。

 

 いやはや、つまりやっぱりホンキなのである。朝ドラを眺めながら、エセ関西弁の練習に余念がない。どれほど研鑽を積んでも、ワタクシの京都コトバも大阪コトバも「エセ」であることは間違いがなくて、1200年もの歴史を蓄積してきた複雑で高級な言語体系を、オカネもかけずにNHK朝ドラで学べるほど人生は甘くない。

(2019年12月29日、ウィーン・シュテファン寺院の屋上に上がって、あまりの強風に絶句する。その後、海外に出ていない 1)

 

 しかし今井の朝ドラ歴は、フツーでは考えられないほどの長さに及ぶ。だってボクチン、「うず潮」「おはなはん」「旅路」の頃からの朝ドラファンなのだ。

 

 伝説の朝ドラ「雲のじゅうたん」「北の家族」「水色の時」だって、みんなリアルタイムで知っている。大竹しのぶどんが17歳だったか18歳だったか、その時代に毎朝朝ドラを眺めていた。

 

 朝ドラだけじゃない。昔のNHKのホームドラマは、東京制作に負けないほど大阪制作も多かった。「けったいな人々」で、ミヤコ蝶々や藤田まことのホンモノの関西言葉を、連日連夜キチンと学びながらコドモ時代を過ごした。

 

 NHKだけじゃない。民放だって、大阪や京都の制作になるものが、全国でビシビシ流れていた時代である。「あかんたれ」とか「細うで繁盛記」とか、関西アキンドの根性ものに涙を流しながら、幼い今井は成長したのである。

 

 だから今井の関西弁は、間違いなくエセではあるけれども、逆にエセだからこそ、いかにもホンモノらしい響きを持っている。もしも根っからの関西人ではない人を審査委員に選んで関西弁の弁論コンクールを開催すれば、きっと今井がグランプリを獲得する。そのぐらいの自信がある。

(2019年12月29日、ウィーン・シュテファン寺院の屋上に上がって、あまりの強風に絶句する。その後、海外に出ていない 2)

 

 確かに、根っからの関西人が今井の関西弁を聞けば「きもちわりー」の一言なのである。それは、東北人じゃない人のエセ東北弁を聞いて、真の東北人が感じる気持ち悪さと同じこと。エセ大阪弁を聞いて、真の大阪人は飛び上がるほど気持ち悪がるが、福岡人も熊本人も全く同じ経験をしている。

 

 例えば諸君、テレビドラマの大阪人は「でっせ」「でっしゃろ」「でっか?」の類いの語尾を滅多やたらに使用する。「ホンマでっか?」「ウソでっしゃろ?」「ホンマでっせ!!」であるが、20世紀中期ならともかく、21世紀も中期に近づいたこの時代、「おいしいでっしゃろ?」とニコニコする大阪シェフにはなかなか出会えない。

 

「けつかる」という語尾もかつて存在した。「泣いてけつかる」「笑ろうてけつかる」「ウソ言うてけつかる」「間違うてけつかる」「立民党首が辞任してけつかる」「アイツ落選してけつかるで」であるが、いやはや現代♡大阪人でそんなに「けつかる」「けつかる」言うてけつかる人はそんなにいないんじゃないか。

(2019年12月29日、ウィーン・シュテファン寺院の屋上に上がって、あまりの強風に絶句する。その後、海外に出ていない 3)

 

 しかしワタクシは、その「けつかる」の文法的分析まで巧みにこなすのである。これはまず、明らかに助動詞。前段の具体例を見れば分かる通り、一般動詞の連用形に助詞「て」を接続し、上から目線で他者の動作や状態を卑しめる意図で使用する。

 

 これが江戸東京コトバだと、「やがる」「...していやがる」に変わる。「笑うてけつかる」とは「笑っていやがる」。「落選してけつかる」は「落選してやがる」。卑しめる対象に対してであっても、大阪コトバだと気持ちのホノカ温かみが残るが、江戸東京コトバだとひたすら冷酷さが強調され、思いやりのカケラもなくなってしまう。

 

 つまり「負けた」「落選した」「辞任した」ことについて「落選してけつかる」「辞任してけつかる」と表現すれば、「どうや、ワイとうどんでも食べにいこか?」みたいな微かな思いやりがホンの少しプラスされるのだが、「落選してやがる」「辞任しやがった」とくると、もう温かみなんかない、単なる罵声または悪口雑言にしか聞こえない。

 

 しかも諸君、これは文字では伝えにくいのだが、「けつかる」の発音にも、江戸東京コトバでは伝わらない極めて微妙な温かみが潜んでいる。ま、それこそ人形浄瑠璃というか文楽というか義太夫というか、大阪コトバの真髄をキチンと学ばないと、なかなか聞き取りにくい気持ちの温もりである。

(2019年12月29日、ウィーン・シュテファン寺院の屋上に上がって、あまりの強風に絶句する。その後、海外に出ていない 4)

 

 ワタクシは、いろんな外国語をNHKラジオ講座で学び続けたフシギな男。1980年代初期から1990年代の中盤まで、おそらく20年近くにわたって、ドイツ語・フランス語・ロシア語・スペイン語・中国語の語学講座を欠かさず聴き続け、1990年ごろにそのラインナップにイタリア語が加わってからは、毎日2時間をNHKの外国語講座に費やしていた。

 

 だって諸君、朝ドラで学ぶ大阪コトバや、ホームドラマで学ぶ京都コトバも、もちろん肉体がよじれるほど面白いけれども、NHKの語学講座で学ぶスペイン語や中国語やロシア語だって、やっぱり顔の筋肉がよじれるほど楽しくてたまらない。

(ウィーン、ホテルメリディアン635室。この部屋をチェックアウトして以来、海外とは2年まるまるご無沙汰だ)

 

 今井君のエセ中国語、いやはやホンモノ以上にホンモノに聞こえるのである。同様にエセ関西弁、北海道や九州の人が聞いたら、間違いなく大阪人のホンモノの大阪コトバよりずっと大阪っぽいのである。

 

「けつかる」などという助動詞はもう誰も使わなくても、浄瑠璃の登場人物はナンボでも使うてけつかるで。武士どころか、しとやかな奥方や奥女中まで、感情が激すれば思わず「けつかる」が口をついて出てくるでぇ。

 

 とうとう新しいNHK朝ドラ「カムカム エブリバディ」が始まっちゃって、すると諸君は何だか恥ずかしくてラジオ講座で外国語を学ぶ気がしなくなっちゃうかもしれないが、今井君のオススメは何と言ってもNHKラジオの外国語講座なのだ。

 

 テレビ講座では「恥ずかしくてムリ」という人も、是非是非ラジオを駆使して何ケ国語でもバリバリ勉強してほしい。その結果を「エセ」と批判&非難するのは簡単だが、いいじゃないか、ホンモノ以上にホンモノらしく聞こえるなら、タモリどんの中国語同様、誰にも文句は言わせない。

(2019年12月30日、羽田空港国際線ターミナルに帰還。海外へ、またいつかはと心細し)

 

 昨日ラジオの開票速報について言及したのは、実はその辺の話をするためであった。諸君、昭和の昔は大相撲中継もマラソン中継もラジオだった。

 

 ラグビーみたいな極めて空間的なスポーツでさえ、ラジオの音声だけで実況中継する能力が人間にはあり、音声だけでラグビーの進行を理解する能力が人間にはあったのだ。「画面がなければ楽しめない」というのは、場合によっては人間の能力の退化と考えなければならないのかもしれない。

 

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