Tue 210921 古女房シリーズ最終回/δバチはリキッドタイプ/乗り切って花道 4098回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 210921 古女房シリーズ最終回/δバチはリキッドタイプ/乗り切って花道 4098回

「δ」と書いてデルタ、写真を見ると球形の針山に刺した待ち針の数が(すみません、前回の続きです)、もともとの新型バチの数倍になってどうやら数百本、不気味なことこの上ない。

 

 こんな不気味なδバチがブンブン&ムンムン、屋根裏を無数に飛び回っているだけで耐えがたい不安に襲われるが、さらに困ったことにこのδバチ、ひと昔前のターミネーター2「リキッドタイプ」よろしく、いわば液体状に姿を変えて蚊帳の中にも平気で闖入してくるのである。

 

 もはや、得意なメンテナンスどころではなくなったのが、後藤旅行社の惨めな破綻と解散の頃。朝毎堂とフミハルの攻撃も激化、ヤトー軍は「とにかく井戸端に出て来なさいよ」「手伝ってはあげないけど、さんざん意地悪を言って徹底的にとっちめてあげるから」と息巻いていた。

(なお夏の思ひ出:7月下旬、京都は祇園祭の真っ最中。来年こそはフルで満喫したい 1)

 

 しかも数ヶ月後には、世界からたくさんの人の集まる大祝祭が2つ控えていた。「やめろ」「やめろ」「中止&中止」の大合唱の中、引くに引けない古女房。石油ストーブ&石炭ストーブのせいで、桜は異様に早く咲き、異様に早く散ってしまった。

 

 これが4月初旬の古女房。後ろ姿にはあまりに大きな寂寥感がまとわりつき、うなだれた背中からは「引き受けるんじゃなかった」という後悔が、冷めた湯気みたいな陽炎になってゆらゆら、その姿を見て思わず感涙を拭ったのは、果たしてこのワタクシだけだったろうか。

 

 せめて、あの広い額の脂ぎった汗ぐらい、誰かがぬぐってあげればよかった。脂汗が額に幕をはり、ごま塩バーコードの髪の毛が脂汗で額に張り付いている状況の為政者が、心も身体もすっかり参って、原稿やプロンプターさえまともに音読できなくなった。

 

「だから普段からきちんと音読の練習をしておくべきなんだ」とか、サトイモお得意の我田引水的♡論陣を張るつもりはないが、憔悴しきった古女房がカメラの前に立つたびに、可哀想で可哀想でもう見ていられなかった。

(なお夏の思ひ出:7月下旬、京都は祇園祭の真っ最中。来年こそはフルで満喫したい 2)

 

 6月、リキッドタイプのδバチはいよいよ猛威をふるいだした。屋根裏から液体状になってポタポタ、我々のつった蚊帳の上に雨だれのように降ってきた。

 

 しかしもちろんそれはただの雨滴ではない。どろどろに融けた液体バチである。もはや蚊帳なんかほとんど役に立たない。蚊帳の網をラクラクと通り抜けて、強い毒性を保ったまま、湿った畳のうえにボタボタ降り注ぐ。

 

 もちろんこれは比喩であるが、蚊帳の中の我々としては、蚊帳の中で傘をさし、肉体にリキッドバチが触れないように長い雨合羽を着て、足の裏からハチの毒が回らないように、長いゴム長靴を履いてしゃがみこんで震えているしかない。

 

 6月から7月にかけては冷たい長雨に震えたが、7月中旬に梅雨が明けるといきなり猛暑が襲ってきた。7月の我々は、雨戸を締め切って暗闇の中で蚊帳を釣り、外の猛暑にも関わらず蚊帳の中で分厚い雨合羽、傘をさしてゴム長靴、ゴム手袋にマスクにゴーグル、異様な重装備で震えたり汗みずくになったり、悪夢というより「ほぼ地獄絵図」の状況に耐えた。

 

 こうして諸君、昨年9月にダンナの跡を継ぎ、片手にマジックリン、片手にカビキラー、軍手に麦わら帽子で旧家のメンテナンスに立ち上がった古女房は、今や絶体絶命の窮地に陥った。

 

 赤いお屋根の巨刹「習毛寺」の横暴と、遠山堂の石投げ青年と、手伝わないがひたすら文句ばかりの井戸端連の攻撃に耐えながら、ほうほうのていで2大祝祭の開催を迎えたわけである(スミマセン、前々回からの続きです)。

 

 習毛寺からは、「強烈な不満と断固たる反対」の嵐。遠山堂では「機動列車ミサイル戦隊」を開発。ゴレンジャーさながらの戦隊モノで来ましたな。むかし「列車戦隊トッキュウジャー」についてこのブログでも言及したが、いやはや事態はますます切迫して来た。

(なお夏の思ひ出:京都ブライトンホテルのそば、スポーツの守護神「白峰神宮」を訪ねる 1)

 

 あんなにみんなで熱中したはずなのに、今になってもなお2大祝祭の開催について「失政だ」「大失政だ」と口を尖らせている人々が少なくない。

 

 しかしワタクシなんかは、もしもあそこで朝毎堂のご意見を拝聴して、古女房が「じゃあヤメちゃいましょう」と頷いたが最後、あの空手の型の名演技も、ソフトやバスケやスケボやレスリングの大健闘も、その瞬間に全てオジャンになっていたのだということを忘れないでいたいのだ。

 

 空手1つをとってみたって、オジャンの危機にあったのは選手たちばかりではない。彼ら彼女らを応援する全ての人たち、彼ら彼女らに憧れて日々熱心に空手の稽古に励む少女や少年たち、そういう少女や少年を取り巻く全ての人たち、おそらく1つの競技だけで数万の人たちの絶望に繋がったのだ。

 

 空手やソフトは、次回のパリの大祝祭では正式競技にはならない。「なら、中止しましょう」のヒトコトで、「今回は諦めてください」「次回もありません」という宣告になる。

 

 つまり選手&関係者ばかりか、その競技を愛する数万の人々の絶望につながる。日本中のバスケ部女子にソフト部女子をはじめ、大げさかもしれないが、全競技なら日本だけで数百万、いや数千万かもしれない。

 

 世界ベースなら、おそらく数億。東京での活躍を待ちわびた人々と、彼女ら彼らを取り巻く人々に、それほど残酷な宣告をせよと、社説に堂々と書き込んだ朝毎堂の冷酷さに、ワタクシは愕然とするのである。

(なお夏の思ひ出:京都ブライトンホテルのそば、スポーツの守護神「白峰神宮」を訪ねる 2)

 

 マラソン女子の金メダル道下選手の激走に感激しなかった人はおそらく皆無だと信じるが、朝毎堂は社説という舞台でそれも「やめましょう」と言ってのけたのだ。「3年待ちなさい」という宣告がどれほど冷酷か、宣告される人々の立場に立って内輪で徹底討論することさえ、おそらくしなかったのだ。

 

 ワタクシなんかはたいへん単純な人間だから、選手の伴走者たちにえらく感激してしまって、あれから半月が経っても、2位のロシア選手の伴走者の優しい表情が忘れられない。冷たい9月の雨にびしょ濡れになりながら、彼は一度も笑顔を絶やすことがなかった。

 

 ああいう態度と表情の伴走者が、マラソンやスポーツだけではなく、人間の活動する全ての分野に次々と生まれてくることを願ってやまない。

 

 オリ&パラをやったおかげで、世界中の小中学生で「将来の志望」欄に「伴走者」と書く子が増えたりしたら嬉しいじゃないか。ユーチューバーでもインフルエンサーでももちろんいいが、「夢は、伴走者」なんてのは、たとえキレイゴトに見えても、間違いなく素晴らしいことである。

 

 ま、こうして古女房はまもなく引退する。ワクチンばかりか絶対的特効薬さえ必要な事態だったのに、手にしていたのはカビキラーとマジックリンとクレンザー。しかし「スガーリン」とまで揶揄されたチョー頑固なズーズー弁の古女房は、リキッドタイプδバチの地獄の第5波の大波を、どうやら見事に乗り切ってみせた。

 

 今やテレビ視聴時間が長い人ほど、コロナに関する知識は専門家並みに該博であって、「そうとは言えない」「全く乗り切ってなどいない」と難しい顔でおっしゃるだろうけれども、ごくごく素直に感染者数のグラフを眺めてみたまえ。地獄のような大波は、古女房のマコトに一途な前進前進また前進で、すでに我々の背後に遠のいた。

 

 オリ閉会式、大きな黒い蛾の止まった演台を前に、降りしきる雨の中のIOC会長はスガーリンの頑固さを絶賛した。ほぼ無人と化したパラ閉会式でも、IPC会長は硬いコブシを2回突き出してスガーリンを大絶賛。世界の要人からこれほど開けっぴろげな賛辞を受けた宰相は、日本史上例がないのではないか。

 

 本日の東京の感染者数は、260+α。2ヶ月前には毎日5000を超えていたことを思えば、大げさでも何でもなく、これは地獄からの生還であって、雨戸を締め切った屋根裏部屋の蚊帳の中、雨合羽にゴーグルにマスクに長靴でみんな汗みどろになって震えていた状況からの生還は、ほとんど奇跡と言っていいぐらいじゃないか。

(なお夏の思ひ出:京都西陣「斉 阿うん」でスッポンを満喫。7月中旬にはお酒も楽しめた。祇園祭「霰天神山」の松が飾られていた)

 

 こうして諸君、ナースと医師と歯科医と救急救命士、キツい腱鞘炎になってもおかしくないぐらい連日ワクチン接種に励んでいただいている人々に限りない感謝を感じつつ、ワタクシは危機脱出に専念した頑固な古女房にも、やっぱりスガスガしい喝采を送りたいのである。

 

 花道も、たっぷりだ。あの2回の閉会式もそうだろうし、最後のアメリカ出張も花道。そしておそらく帰国後、27日か28日ぐらいに、「東京と大阪を除いて、緊急事態を解除できることになりました」「国民の皆様のご協力、ありがとうございました」という会見があって、それがホントの最後の花道になる。

 

 お得意のカビキラーとマジックリンを駆使して、もっと別の時期に活躍してもらいたかった古女房だが、少なくともワタクシぐらいは喝采を送ってあげたい。

 

 古女房シリーズの最後に、古老の知恵を2つ。

① セミの多く鳴く夏は、水害が多くなる。今年も7月からセミしぐれが激しかった。梅雨明け前から激しいセミしぐれが続くようなら、水害の備えをしたほうがいい。

 

 普段リベラル系の発言の多い人は、激しい緊張にさらされると急激に右傾化する。今回もリベラル系からいきなり「ロックダウンが必要」という悲鳴が上がった。

 

 しかしロックダウンとは、街の要所要所に警察車両が止まり、重装備の警察官や自衛官がそこいら中に立って、民間人に外出許可証の提示を求める事態。軽々に口に出すべきことではない。

 

1E(Cd) AFRICAN AMERICAN SPIRITUALS 1/2

2E(Cd) AFRICAN AMERICAN SPIRITUALS 2/2

3E(Cd) RichterBACHWELL-TEMPERED CLAVIER 4/4

4E(Cd) Glenn GouldBACHGOLDBERG VARIATION

7D(DPl) 能:宝生流/鉢木(近藤乾三 松本謙三)

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