Wed 210721 やっぱり博多でトンコツも/関西に移動/黒雲と大物浦/串カツも 4089回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 210721 やっぱり博多でトンコツも/関西に移動/黒雲と大物浦/串カツも 4089回

 おやおや、全く知らずにいたが、昨日の記事の最終盤で書いた「秋田市の製紙工場」が、10日前もから火災に見舞われ、昨日ようやく鎮火したのだという。

 

 小学校高学年から中学生時代にかけてその悪臭に悩まされた今井君が、ふとした弾みに製紙工場を思い出したのも、やっぱり何かの縁があるに違いない。そう言えば今日7月21日は、我がふるさとの誇りの1つである世界文化遺産:土崎港曳山祭の当日だ。

(7月7日、七夕の日の大阪を、不吉な黒雲が覆っていた 1)

 

 さて熊本県八代での公開授業の後、夏スケジュールは関西シリーズに移行する。西宮・伊丹・尼崎と、大阪湾の北側を阪急電車やら阪神電車やらに乗り込んで連日ウロウロするわけである。最近は何となく首都圏での生活に飽きて「京都に移住しようかな」と考える毎日。阪急や阪神でのウロウロも悪くない。

 

「どうでしょうかね、関西への移住?」と尋ねると、大阪の人も奈良の人も京都の人も、みんな実に嬉しそうに頷いてくれる。「いらっしゃい」「いらっしゃい」「ぜひ関西にいらっしゃい」と笑う笑顔に、決してウソは感じられない。

 

 だって諸君、もし関西に移住すれば、日々の散策やお散歩だって目いっぱい楽しいじゃないか。寺院めぐりは決して奈良と京都ばかりではない。大阪でも和歌山でも、滋賀でも神戸周辺でも、500年どころか1000年を超える歴史を誇る寺院がナンボでも連なっている。

 

 同じことはランチにもディナーにも言えて、東京一極集中の関東では味わえない「ムチャクチャ雰囲気のいい」かつ「むちゃくちゃ歴史のある」飲み屋やメシ屋がずらりと軒を連ねている。要するに毎日毎日が豪華な歴史散歩になる。

 

 そもそも最近の全国行脚スケジュールを思えば、すでにほとんど半分は関西生活にズブズブだ。例えば昨年12月なんか、上旬から下旬までほとんど大阪と京都のホテルに宿泊していて、東京渋谷区の自宅にいたのは、いきなり奥歯が1本抜けて、大いに焦って歯医者に駆けつけたあの1日ぐらいのものなのだ。

(7月7日、七夕の日の大阪を、不吉な黒雲が覆っていた 2)

 

 ま、いいか。今後の生活設計の話はまたじっくり考えるとして、とりあえず博多のラーメンをもう1杯すすりに行くことにした。せっかく博多に滞在して、すすったラーメンが「薄味の透きとおった醤油ラーメン1杯だけ」というんじゃ、やっぱり博多の豚骨ファンに申し訳が立たない。

 

 とは言っても、大阪への移動時間が迫った今になって中洲や天神や長浜をウロウロするわけにはいかないから、昨日に続いて博多駅2階の「ラーメン街道」で済ませることにする。しかもコロナの真っただ中、「行列の出来ていない店」「可能な限り混んでいない店を選択」という邪道でいくしかない。

 

 前日は空いていた「ナンバーワン」も、この日はいくらか行列ができそうな雰囲気。3密の危険を察知したワタクシは、そのすぐそばの名店「海鳴」を選んだ。他のお客はカウンターに1人、テーブルに1人。3密回避だけを目的に、ワタクシは彼らの反対側のテーブル席を占領した。

   (博多駅ラーメン街道「海鳴」のとんこつラーメン)

 

「海鳴」と書いて「うなり」と読ませる。なぜ「うみなり」じゃないのか、不明である。コドモの頃の今井君は、日本海の轟くようなうみなりを聞いて育った。冬の日本海のうみなりは、どどーん&どどーんと下腹を揺すぶるように響く重低音。吹雪の闇夜のうみなりを聴き続けたおかげで、心にまでどどーんと重低音が定着した。

 

 だから諸君、ラーメン屋であっても「うなり」じゃなくて、どこまでもスタンダードに「うみなり」と発音してほしいのである。冬の日本海の吹雪の夜にどどーんと響くうみなりほど、人間の下腹を強く鍛えてくれるものは他に思いつかない。

 

 そういう贅沢を言いながら待つこと5分、待ちわびた博多とんこつラーメンがやってきた。紅生姜のないのが嬉しい。ワタクシはマコトに神経質な高級オジサマであって、せっかくのキレイなとんこつスープに、紅生姜の真っ赤な着色料がドロドロ流れ出している光景が我慢できないのである。

 

 ラーメンそれ自体については、写真だけ掲載してコメントは差し控える。ということはどういうことか、まあワタクシの気難しさを察していただければ分かる。「特にコメントするほどのことはない」「とりたてて書くほどのことはない」であって、無言の静かな笑顔で店を出た。

 

 そもそもワタクシは「自動販売機で食券を買う」というタイプの店はダメなのだ。店の頑固オヤジが、ワガママな客の注文をみんな一瞬で記憶し、ネギの量から麺のかたさまで、無言で間違いなくカウンターに置いてくれるラーメン屋さんがいい。駅のフードコートに入り込んじゃいけないのかもしれない。

 (7月7日、兵庫県西宮で奮闘。キャパ1/2ルールが続く)

 

 こうして諸君、ちょっと不機嫌な今井君は大阪に移動。宿泊は梅田のリッツカールトンホテル、少なからず贅沢をしながら、7月中旬の関西シリーズを満喫することにした。

 

 それにしても、今年の「梅雨末期」は長かった。関西は何と「5月中旬に梅雨入り」という歴史上マレな事態になり、当然のことながら梅雨末期も長期間に及んだ。その空模様がまた不吉。今日の写真の1枚目と2枚目、ともにリッツカールトン31階の窓から見た不吉な雲行きである。

 

 こんなイヤな色の黒雲、、滅多なことで見られるものではない。源義経の主従が、頼朝の追っ手を逃れて大阪湾の大物浦から船出したのは、まさにこんな黒雲の下だったろう。

 

 大物浦と書いて「だいもつのうら」。沖に出たところで大西風(おおにしかぜ)に遭遇、要するに台風であるが、大西風の黒雲の向こうに、平知盛を先頭にして平家の人々の亡霊が出現。憎っくき義経主従を海中に引きずりこうもとする。

 

 能やら歌舞伎やら文楽やらの「船弁慶」の舞台である。義経に従うのは武蔵坊弁慶のほか、片岡八郎・亀井六郎・駿河次郎・伊勢三郎の「四天王」。常陸坊海尊や鷲尾三郎がどうしていたか、今はっきりと記憶にないが、とにかく弁慶が数珠を押し揉んでお経を唱えると、猛り狂った平家の亡霊もついに退散する。

 

 まあ諸君、ぜひ画像検索で「船弁慶」の平家の亡霊の姿をご覧くだされ。その恐ろしい形相を見れば、江戸期の怪談を遥かに上回るその執念に背筋まで凍りつき、ゾッとして3日か4日は猛暑も忘れ、熱中症の危険からも逃れられるはずだ。いやはや平家の公達、餓鬼道・修羅道・畜生道の苦しみを、マコトに見事に現代に伝えてくれたのである。

 

 今井君の東進におけるキャッチフレーズは、つい最近まで「予備校界の大物」だった。昨年あたりから「予備校界のスーパースター。抱腹絶倒の名講義を聞き逃すな」に変わったが、諸君、「大物」である今井が、平家の亡霊の「大物浦」に思いを巡らすぐらいに、7月7日の黒雲は恐ろしい重苦しさで大阪を覆い尽くしていた。

(梅田阪急デパートの串カツ屋で。デザートの写真しかなくてスミマセン)

 

 さて大阪のワタクシは、餓鬼道や畜生道の恐ろしさもすっかり忘れ、大阪の串カツの旨さに溺れることにした。出かけたのは、梅田・阪急デパートの食堂街。リッツカールトンから阪急デパートまでは、「梅田ダンジョン」とも揶揄される昭和の複雑怪奇な地下街を通って、雨に濡れずにたどり着ける。

 

 ランチへの真剣さこそ、大阪の人々の心意気であって、おしゃれな装いの中年女性がたった1人でカウンターに陣どり、たった1人で3600円の串カツ定食を召し上がる姿を眺めると、まさに胸のすく思いである。ワタクシが選んだのも、同じ3600円のコース。いやはや、オイシューございました。

 

1E(Cd) J.S.BACHSILVIACantata Opera in 3 Acts1/2

2E(Cd) J.S.BACHSILVIACantata Opera in 3 Acts2/2

3E(Cd) SchreierBACHMASS IN B MINOR 1/2

4E(Cd) SchreierBACHMASS IN B MINOR 2/2

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