Thu 210429 「昭和の日」の昭和な思い/こんな入試問題はいかが/吉野の桜 4041回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 210429 「昭和の日」の昭和な思い/こんな入試問題はいかが/吉野の桜 4041回

 メヂカラの強い人の目を長い間じっと見つめていると、いつの間にか自分のメヂカラも強くなっていることに気づく。同じように、ギュッと気合いの入った人のそばに長い間座っていると、おやおや、自分にも濃厚な気合いがこもってくる。

 

 逆もまた同様なので、メヂカラのない人の顔をぼんやり眺めていると、自分の表情もまたグンニャリ腑抜けみたいになっていくし、気抜けした顔の人と生活していると、おやたいへんだ、自分もどんどん気抜けして、もうサッパリ行動する気力が抜けている。

 

 だから諸君、もし授業を受けるなら、メヂカラぱんぱん、気合いもバリバリ、「何でこの先生こんなに気合い入ってんの?」「どうしてこんなに張り切り放題なの?」と、少しメンドーに感じるぐらい張りつめている先生がいい。

(吉野の桜。有名な「一目千本」も、4月上旬ですでに完全に終わってしまっていた 1)

 

 昭和のむかしは高倉健や菅原文太のヤクザ映画があって、昭和なオニーサンやオジサンたちは、大型連休ともなれば浅草や上野、大阪難波や福岡天神の映画館に列を作り、追い詰められた菅原文太や、怒りを抑制できなくなった高倉健が、映画のラスト15分、思う存分のメヂカラで思い切り正義の復讐をとげる姿に見入ったのである。

 

 映画館を出る頃には、さっきまでフニャフニャ&フラフラ、親戚も兄弟姉妹も愛想をつかすほど腑抜けだったオニーサン&オジサンたちも、目いっぱい肩をいからせ、強烈なメヂカラで周囲の人間たちを睨みつけた。「寄らば斬るぞ」の強烈な気合いは、近くの居酒屋で生ビールを飲みほすぐらいまでは継続したのである。

 

 昨日の記事に掲載した吉田簑助の表情をもう一度見てみたまえ(スミマセン、昨日の続きです)。こんな強烈なメヂカラで後ろから操られたら、お人形さんにさえその精神力が乗り移って、命のないはずの人形に命が生まれ、自らの意思で力強く行動を始める。文楽の魅力はそこにある。

(4月上旬の吉野の桜。「奥千本」の一番奥に、やっとチラホラ花が残っていた)

 

 ところで諸君、昨日の記事で「京都&大坂の近世史って、日本史の教科書にはほとんど扱われていないんですね」「大坂夏の陣から、大塩平八郎の乱まで、ほぼ完全に無視なんですね」と書きながら、ふと「ところで大塩平八郎から先の近現代史に、大阪って登場するんだろうか?」と考えてみた。

 

 すると諸君、驚くなかれ大阪は、例えば山川出版社の日本史教科書をめくってみても、1837年の大塩平八郎から先、近現代史のページでもシカトが続き、何と何と次に登場するのは1970年の大阪万博。再び150年近いシカトがあって、しかもその後50年、半世紀にわたって大阪の「オ」の字もないのである。

 

 これは諸君、日本史教育の歪みである。むかしむかしは何が何でも京都。1615年から先は何が何でも江戸&東京、政治史にばかり注目するから、文化に経済に農業に漁業、実際には日本の歴史の根底を流れていた庶民の活動をほとんど見落として、「それが日本史だ」と居直るばかりなのだ。

(吉野「中千本」のあたり。4月上旬というのに、ヤマザクラがいくらか残っているだけだった)

 

 ま、大阪はまだ幸せだ。諸君、我がふるさと秋田となると、状況はマコトに悲惨であって、最初の登場は「阿倍比羅夫に懲らしめられました」、次は「坂上田村麻呂に懲らしめられました」、3回目は「後三年の役で源義家に懲らしめられました」。懲らしめられてばかりの古代史が続く。

 

 源義家の次に秋田が登場するのは、なななんと鎌倉・室町・安土桃山、中世期を一気にすっ飛ばして18世紀「天明の大飢饉」。おお、1000年のシカト。その後はいきなり20世紀に入って1931年の昭和恐慌、「飢えで大根をかじる東北の子供たち」の写真までシカト。懲らしめられて、飢える。悲惨しか書かれていない。

 

 しかもそのまま2021年までシカト。次はいつ登場するか分からない。あまりのことに、ふと今井君のメヂカラが、吉田簑助を超越して強烈になってくる。近現代史が東京の話ばかりで出来ていて、それで「日本史」を名乗るのはおこがましいんじゃないか。

 

「日本史の教科書って、書き換えたほうがよくないか?」であって、大阪を中心とした経済史とか、もっと地方に注目した農村史や漁村史や文化史とか、政治史以外の側面をたくさん取り入れて当然なんじゃないか。

(文楽のチケット。前半分は一席おき。後ろ半分はガーラガラだった)

 

 ま、「教科書」という話になるといろいろ難しい話もあるだろうから、例えば予備校の日本史テキストとか、大学入試の日本史の出題とか、そのあたりから「何でも東京」を変えていくのがいいかもしれない。

 

「あなたは日本史の教科書づくりを依頼されました。どんな章立てで執筆しますか? 全体を10章として目次を書きなさい。各章を最低3つのセクションに分けて作成すること」。もしワタクシが入試問題の作成者だったら、こんな問題を作る。

 

 すると諸君、クリエイティブな発想をもつ受験生なら、おそらく政治史にこだわった目次をつくらない。農業史・貨幣史・農村史・地方からみた経済史・演劇史。難関大を目指してホンキで日本史を勉強してきた受験生であれば、そのぐらいの目次は作成できるはずだ。

 

 同じようなことは世界史でも国語でも数学でも物理でもできるはずなので、「あなたは塾で世界史のテキスト作成に携わることになりました。まずは目次を作らなければなりません。全10章、各章3セクションで目次を作りなさい」。

 

 おお、視点をイスラーム社会にするか、思い切ってベトナムやチュニジアやポーランドなど、大きな文明圏の周縁部に位置してきた民衆に据えるか、いやむしろマヤとインカにしてみるか。世界史選択者の腕のふるいどころじゃないか。

     (吉野山、子守茶屋の名物・しいたけ飯)

 

 国語の問題だったら、今井君はこうする。「あなたが高校の国語教員だとします。夏休み用に5冊の推薦図書目録を作成することになりました。5冊を指定し、その内容と推薦理由を併記して目録を作りなさい。なお、推薦図書は実際には存在しない架空の図書でも構いません」。おお、受験生の想像力と発想力と思考力が楽しみじゃないか。

 

 数学や物理でも、同様の出題ができる。例えば力学、例えば数列、例えば対数関数、ある標準的な例題を提示した上で、「あなたは50分授業4回を通して、まだこの分野について何も知らない標準的な生徒たちに、この問題を解けるように導きたいと考えています。4回の授業計画を示しなさい」。

 

 この種のことを考えていると、授業の大好きな今井君はやがて血わき&肉おどって、高倉健も菅原文太もびっくりするほどの迫力でお風呂の中で咆哮し、若き吉田簑助もたじろぎそうなメヂカラのお目目をつむって激しくシャンプーしたりするのであるが、残念でした、今日もまたお風呂のあとはフニャフニャ、こうしてだらしなくブログなんか書いている。

(吉野山奥千本、源義経が隠れ住んだという義経堂。もちろん最近の再建である)

 

 本日の写真は、4月上旬の吉野の桜である。まん防や緊急事態宣言の危機の前のことだから、まあ許してくれたまえ。どうしても観なければならない文楽のために大阪に滞在して、朝のNHKニュースで「吉野の桜が見頃を迎えました」とニッコリされれば、阿部野橋から近鉄特急で1時間半、吉野の山に向かわない方がおかしい。

 

 吉野は、京都と対立すれば必ずここに逃げ込むか拠点を構える難攻不落の深山である。源義経も、後醍醐天皇も、南北朝の南朝も、みんなここで再起をはかった。深山だから桜の盛りは遅い。例年なら4月中旬から下旬。温暖化前は5月の連休まで吉野の桜は美しかった。

 

 しかし諸君、これほど温暖化が顕著になっては、吉野の桜の盛りは4月上旬。今年の盛りは3月末だったらしい。NHKで「見頃を迎えました」と女子アナがニッコリ笑ってみせたこの日、すでに麓はすっかり葉桜。中腹の「中千本」も散って、一番深く山に分け入った「奥千本」に、ちらほら花が残っている程度だった。

 

 吉野の駅に到着して、駅前で待っていたタクシーにすぐに乗り込んだ。吉野駅前で客待ちをしているタクシーはほぼ皆無だから、マコトにタイミングがよかった。「奥千本まで」と告げると、ベテランドライバーはすぐに笑顔で応じてくれた。

 

「もう中千本まで、ほとんど散ってしまってますよ」とおっしゃる。「でも昨日のNHKニュースで、今が見頃と言ってましたよ」と答えると、「ニュースなんか全く当てにならないし、ネット情報も遅すぎます」「地元の店の人やタクシー運転手に個人的に電話して聞かないと」とおっしゃる。

(吉野の桜。有名な「一目千本」も、4月上旬ですでに完全に終わってしまっていた 2)

 

 標高700メートル、「奥千本」にたどり着くと、やっと「ちらほら花が残っている」という感じ。この日は初夏のような快晴の中、どんどん花吹雪になって消えていく2021年の吉野の桜を眺めながら、奥千本から吉野の駅までひたすら急坂を降りていった。

 

 途中、名物「しいたけ飯」の看板は、眺めただけでガマン。中千本まで坂道を降って、毎年の恒例にしている日本酒「やたがらす」で升酒2合を痛飲、旨そうな蕎麦屋もカレー屋も我慢してやり過ごし、麓に一番近い店で、脂の多いイノシシ鍋を楽しんだ。

 

 お土産に購入したのが、夢のように大きな干し柿2個と、やっぱり夢のようにたくさん袋に詰め込んでくれた静岡の干し芋。「なぜ静岡なんだ?」と問うのは無粋。干し芋に干し柿に日本酒、そういうものを満喫しながらホテルで一夜を過ごせば、こんな幸せな春は、他に滅多に考えられない。

 

1E(Cd) Kirk WhalumHYMNS IN THE GARDEN

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