Tue 210427 近松と西鶴と解法のテクニック/愛染かつら/医師とナースの悲恋 4039回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 210427 近松と西鶴と解法のテクニック/愛染かつら/医師とナースの悲恋 4039回

「そーっと、のぞいて見てごらん」

「そーっと、のぞいて見てごらん」

「みんなで◯◯しているよ♡」

なのである。いやはや「メダカの学校」とは違って、世の中は恐ろしい。というか、文春はホントに恐ろしい。

 

 せっかく補欠選挙で自民党政権に3連敗の苦杯を味わわせたのに、文春の皆さまの「そーっと、のぞいて見てごらん」のご努力の結果、「なーんだ、実はみんなで◯◯しちゃってたんだ」、またまた文春政局に戻っちゃう。

 

「議員パス」と言ふものを使って、電車で三鷹から吉祥寺のエステ店へ。1時間後、中央線と山手線で恵比寿へ、「惣菜を購入」「ラーメン屋で小腹を満たし」「酒屋に立ち寄った」後は、タクシーで交際相手の弁護士センセとの密会へ。マコトに詳細きわまる文春砲は、受験ジャーナリストの杜撰な記事とはレベルが違う(スミマセン、昨日の続きです)。

  (大阪天王寺「愛染さん」こと愛染堂・勝鬘院 1)

 

 しかしKM党のYセンセ、意外に行動様式は地味なのだ。三鷹から吉祥寺、そこはタクシーでいかが? 吉祥寺から恵比寿、そこもタクシーでいかが? もしタクシーを使わないなら、井の頭線を利用して渋谷乗り換えのほうが便利だと思うが、井の頭線って「議員パス」を使えないんだろうか?

 

 今井君なんかは、マコトに下卑た人間だから、「ラーメン屋で小腹を満たし」のラーメンが何だったのか、そんなことばかり気になるのである。「蒙古タンメン 中本」? いや「麺屋武蔵」? ギョーザはどうしたの? デート前なら、もちろんギョーザはなし?

 

 いやギョーザなら「恵比寿の惣菜」の中に入れちゃえば「ギョーザ臭さはお互いさま」ということになるじゃないか。酒屋で何買ったの? ワイン? でもギョーザ+ワインじゃ、何だかデートがチープになりすぎないか? 「そーっと、のぞいて見てごらん」のチープな想像力は、やがてそこまで下卑てくるのである。

  (大阪天王寺「愛染さん」こと愛染堂・勝鬘院 2)

 

 しかし諸君、何しろ「どうしても観なければならない演劇」のために、あえて4月上旬の大阪に宿泊するほど、高貴な精神の持ち主でもある今井君だ。いよいよその「演劇」当日、演劇の始まる前にも、あえて演劇関連の名所を数カ所訪ねて、江戸時代からの演劇関係者に敬意を表することにした。

 

 ホントなら、井原西鶴にも挨拶しなきゃいけないところだ。井原西鶴こそ「そろばんずく」の精神を独特の諧謔で描写しつくした天才。経済学部志望の諸君、せめて「日本永代蔵」「世間胸算用」ぐらい熟読してから「ホントに経済学部でいいのかな?」を熟考したまえ。

 

 受験ジャーナリズムに踊らされて「よーし、数学だ♡」と張り切るんじゃ、あまりにも軽薄(スミマセン、意地でも昨日の続きです)。「数学だ」「数学だ」「数学だ」と連呼するジャーナリストは、要するに「数学だ」というキーワードでアクセス数を増やそうとしているにすぎない。

(大阪天王寺で「パインアメ」本社を発見。関西の人って、やっぱり飴ちゃんが大好きみたいだ)

 

 この日は井原西鶴にまで敬意を表している時間がなかったから、昼前の大阪で、まず近松門左衛門のお墓に墓参り。KM党のYセンセみたいに「議員パスで」と言ふことはできないから、ホテルからあえてタクシーに乗り、谷町6丁目「まっちゃまち交差点」で降ろしてもらった。

 

「何なんや『まっちゃまち』って?」であるが、正確には「松屋町」、もっと正確には「松屋町筋」。詳しくはググっていただくしかないが、大阪でもっとも大阪らしい商店が並ぶ、マコトにディープな大阪のうちの1つである。

 

 江戸期&明治期からの人形店が立ち並び、2月3月には雛人形、4月5月にはコイノボリに武者人形、孫とジーチャン&バーチャンが満面の笑顔で訪れる町である。ただしそれも今は昔、人形を商う老舗はみんな疲弊して、次から次へとマンションが立ち並び、往年の面影はない。

 

 しかし諸君、「まっちゃまち」から上本町を経由して天王寺までは、味わい深い庶民的な商店街が続き、江戸時代から綿々と続く由緒ある仏教寺院が立ち並ぶ。東京はもちろん、京都ですら見かけない寺町大繁栄の光景である。

 

 諸君、元禄や文化文政時代の大坂の繁栄を知るには、「まっちゃまち」あたりから天王寺まで、徒歩で南下するのが一番だ。まずは井原西鶴を読み、近松門左衛門の演劇を観て、まっちゃまちから天王寺へ。来年の今頃コロナが収束していたら、そのルートで歩いてみたまえ。大坂を中心にした近世史を、最も身近に感じることができる。

(大阪まっちゃまちから南下、近松門左衛門の墓参りを済ませる)

 

 というわけで、4月8日のワタクシは「まっちゃまち」から左に折れて「まっちゃまち筋商店街」へ。あまりに激しく3密になっているカレー屋を眺めて不安を居抱きながら、近松門左衛門のお墓参りに向かった。

 

 近くの高校では、ちょうど入学式が終わったところ。ママと一緒の新高1生諸君が、嬉しそうに闊歩している。近松の描いた「お初 & 徳兵衛」「梅川 & 忠兵衛」「小春 & 治兵衛」、高校生ともなれば、これら悲劇の登場人物と、少なくとも女子の方は世代が重なり始めるのだ。新入生諸君、くれぐれも人生は慎重に歩んでくれたまえ。

 

 カンタンに言えば、近松の主人公の多くは、生き方に慎重さを欠いて「そーっと、のぞいて見てごらん」の犠牲になった人々。特に男子のほうは、いやはや&いやはや、あまりに情けない人物ばかりで「そーっと、のぞいて」見る気も失せそうだ。

 

 作者は近松ではなくて菅専助(すが せんすけ)という人でスガ、桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ)となると、ヒロインの「おはん」が数え年14歳、男子の長右衛門が38歳。「うにゃにゃ、日本の男子って、江戸時代からいったい何やってんだ?」でスガ、まああんまり考えないほうがいい。

 

 菅専助、知名度のレベルで近松には圧倒的に負けているけれども、他にも名作「染模様妹背門松」「摂州合邦辻」の作者でもある。医者の息子として生まれたが、医者の道を嫌って自ら人形浄瑠璃の世界に入り、「豊竹光太夫」を名乗った。

 

 記憶を辿れば、ワタクシの高校の1年先輩に「菅」という名の秀才がいて、確か現役で慶應義塾大学医学部に進んだ。その後は全く知らないでスガ、それこそファミリー・ヒストリーを辿れば、菅専助に行き着くんじゃないか。

 

 彼の合格体験記に「数学は、高1高2で『解法のテクニック』をみっちりやって基礎を固め...」とあったのを、今も記憶している。科学新興社・矢野健太郎の名著「解法のテクニック」、当時の医学部志望者の必読書だった。

 (大阪「生國魂神社」のすみっこに「浄瑠璃神社」がある)

 

 さて、こうして近松門左衛門の墓参りを済ませたワタクシは、そのままさらに南下。他にどうしても「愛染さん」と「浄瑠璃神社」を訪ねたかった。「愛染さん」こと愛染堂は、映画「愛染かつら」で有名。「愛染かつら」と呼ばれる桂の樹の下で愛を誓い合うと、その男女は必ず結ばれる。そういうストーリーの映画である。

 

 何しろ1938年の映画だから、もちろんエラく古臭い。主人公は、医師とナース。またまたお医者さんの登場だ。医師とナースが樹の下で永遠の愛を誓い合うストーリーは、1955年のアメリカ映画「慕情」でも同様。原題はLove Is a Many Splendored Thingというのであるが、医師とナースの悲恋って、みんなお気に入りのストーリー構成であるらしい。

 

 どれほど「お気に入り」かと言うに、「愛染かつら」はその後4回もテレビドラマになっている。今井君が知っているのは、1965年、1968年、1974年、いずれもフジテレビ「ライオン奥様劇場」。当時ワタクシの母上も熱中していた。

 

「ライオン、ライオン、ライオン、ラーイオオーン」。小堺一機が1991年から2015年まで、MCを長く務めた「ごきげんよう」の枠の前身が「ライオン奥様劇場」だった。それにしても「奥様劇場」って、そのタイトルにも思わずたじろぎますな。

 

 岩崎宏美という当時まさに絶好調のアイドルが歌った「想い出の樹の下で」は、1977年1月。「この樹の下で愛を誓えば、必ず2人は結ばれる」「信じましょう、信じて生きましょう」「そしていつかあの樹の下で逢える日がくるのです」「そしていつか奇跡のようにあの丘で逢いましょう」。阿久悠作詞、筒美京平作曲である。

 

 これもまた「愛染かつら」「慕情」からのスピンオフといってよくて、諸君、大阪のこの辺り、コロナ明けには是非とも散策する価値があると信じている。

 

1E(Rc) Darati & DetroitSTRAVINSKYTHE RITE OF SPRING

2E(Cd) 東京交響楽団:芥川也寸志/交響管弦楽のための音楽・エローラ交響曲

3E(Cd) デュトワ&モントリオール:ロッシーニ序曲集

4E(Cd) S.François& Cluytens & Société des Concerts du Conservatoire:ラヴェル/ピアノ協奏曲

7D(DMv) DEATH WISH

10D(DMv) THE EYES

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