Sun 210425 仁和寺桜と原谷苑/トゥット・デ・リ!! トゥット・デ・ラ!! 4037回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 210425 仁和寺桜と原谷苑/トゥット・デ・リ!! トゥット・デ・ラ!! 4037回

 今年の春はずいぶんたくさん花を眺めた。そんな告白をすれば、「この緊急事態に何をやってるんだ?」と厳しく叱られてもやむを得ないが、ほとんど全てが出張の途中か、出張帰りの短時間だ。まあ何とか許してもらえる範囲内だと考える。

 

 京都・城南宮と北野天満宮の梅。平野神社・インクライン・岡崎疎水・哲学の道の桜、東京・千鳥ヶ淵の桜。どこも平年より2週間も3週間も早くて、「ええっ、もう満開を過ぎちゃったんですか?」とガッカリすることが多かった。

 

 昨年はギュッと強烈に我慢したから、「今年は角館に行きたい」「弘前城の桜も久しぶりに見たい」「今年は初めての高遠を訪ねたい」「五稜郭の桜だって5年ぶりだ」と、いろいろずいぶん張り切って計画を立てていたのに、どこも激烈な温暖化のせいで、呆然とするワタクシを尻目に、桜前線は非常識なほどの俊足で駆け抜けていった。

 

 4月上旬のワタクシには「今どうしても観ておかなければならない演劇」という言い訳があって、何とか大阪に出かける決断ができた。今回の緊急事態宣言より3週間前、「まん防」よりも以前のことだ。「滑り込みセーフ」というか、県境をまたぐ移動を許されるギリギリのタイミングだった。

    (4月上旬、京都仁和寺・御室桜の風景 1)

 

 その「観なければならない演劇」が何だったか、その点は3日か4日後にこの場で示すことにするが、若い頃から今井君が40年間欠かさず律儀に通い続けた伝統芸能である。

 

 21世紀に入ってから20年、関係者がことごとく高齢化して、昭和の昔の花やかさはない。「絶滅危惧種」のカテゴリーに入れられる危機さえ刻々と迫っている実感がある。

 

 だから、どうしても今、目に焼きつけておきたい。「これが最後の舞台」になりかねない演者も少なくない。ならば観客1人1人、コロナ感染対策をウルトラ万全にした上で、渾身の熱演を意地でも見届けたいじゃないか。

 

 手に入れたチケットに記された開場時刻は、午後1時半。開演は午後2時。上演に4時間近くかかって、劇場を後にするのは午後6時になる。東京在住のワタクシとしては、まあ日帰りも可能。午前9時にオウチを出て、午後7時の新幹線に乗り、10時に東京駅に帰ってくるプランも考えられる。

 

 しかし諸君、そりゃさすがに酷じゃないか。今井君はもう30歳代の若者ではない。すでに人生のベテランだ。大阪に宿泊して、ついでに春の京都を楽しんでくるぐらいの余裕は許されていい。

    (4月上旬、京都仁和寺・御室桜の風景 2)

 

 そこで諸君、ワタクシはちょうど満開が伝えられていた仁和寺の「御室桜」を眺めてくることにした。徒然草にもチョイ役で登場する名刹・仁和寺である。いやはや、本来は4月中旬が満開であるはずの御室桜、4月上旬ですでに散り始めていた。

 

 というか、昭和のむかしの満開はもっともっと遅くて、当時の京都のガイドブックをめくってみると、「満開は4月下旬から5月上旬」と書かれている。この30数年の温暖化は、本当に半端な話ではなかったのだ。

 

 すでに花びらははらはらと風に舞って、葉っぱの濃厚な赤い新芽が顔を出している。樹高は2メートルから2メートル半であって、雰囲気は津軽平野のりんご畑に似ているが、津軽の岩木山の代わりに、仁和寺の五重塔がニョッキリ顔を出している。

 

 樹高が低いから、花も低いところにあって、こんなに近いところに桜の花が密集している風景は、仁和寺以外では経験したことがない。「花が低い」を「鼻が低い」に引っ掛けて、「お多福桜」の別名もある。

 

 しかしそんなのは余計な話であって、ほぼ視線の高さに密生した桜の花を眺めながら、人々はマコトに楽しげに行く春を満喫している。日本人男子とイタリア人女子が、2人お揃いの和装姿で結婚式の記念写真を撮っている。重い曇天をバックに、桜の花と紅色の若芽がいっそう美しい。無理して仁和寺を訪れてホントによかった。

    (4月上旬、京都仁和寺・御室桜の風景 3)

 

 仁和寺の近くの山の奥に「原谷苑」という名の花の園があって、徒歩で30分ほどの道のりである。かなりの標高差があるから、先に原谷苑を訪ね、延々と続く下り坂を降りて仁和寺を目指す方が賢明だ。

 

 順番を逆にして「先に仁和寺、後から原谷苑」とした場合、ハッキリ言うがそれはほとんど登山に近い。革靴やハイヒールなんかでデートにチャレンジすると、非常に高い確率で大ゲンカに発展する。まあ諸君、来年の春にでもこの辺りを訪ねるときは、順番に気をつけてくれたまえ。先が原谷苑、後から仁和寺だ。

 

 グーグルマップで等高線まで確認して歩く人は少ないと思うが、標高差や等高線の確認は、海外の旅でも必須である。例えばボローニャを旅すると「サン・ルーカ巡礼」という見た目は軽いピクニックに心を惹かれるが、これが予想に反した強烈な坂道の連続であって、高校の自転車部や大学の自転車サークルの諸君でも、簡単に登りきれる坂ではない。

    (4月上旬、京都仁和寺・御室桜の風景 4)

 

 ワタクシがボローニャで「サン・ルーカ参詣」にチャレンジしたのは、確か2007年の春のことであるが、懸命に自転車のペダルを踏む男子の後ろについたクルマの中から、鬼コーチと思しきコワい顔のオジサマが、激しく叱咤激励しているシーンに出会った。

 

「トゥット・デ・リ!!」「トゥット・デ・ラ!!

「トゥット・デ・リ!!」「トゥット・デ・ラ!!

 

 顔を真っ赤にして苦悶の表情でペダルに体重をかける少年。「トゥット・デ・リ!!」とは「こっちに全力!!」であり、「トゥット・デ・ラ!!」とは「そっちに全力!!」であって、メガホンから流れ続ける鬼コーチの声は、15年近く経過した今もワタクシの耳から離れない。

 

 あれ以来、ワタクシは坂道がキツくなると自分に向かって「トゥット・デ・リ!!」「トゥット・デ・ラ!!」と厳しくハッパをかける。最近は旅をするチャンスもないから「トゥット・デ・リ!!」「トゥット・デ・ラ!!」の出番も少ないが、諸君、日々の努力の継続がツラくなったら、ぜひ今井君のマネをしてくれたまえ。

        (4月上旬、原谷苑の風景)

 

 いやむしろ若い諸君は、「トゥット・デ・リ!!」「トゥット・デ・ラ!!」、これを座右の銘にしてほしい。もしも新しく雑誌を創刊するなら、タイトルは「トゥット・デ・リ!!」「トゥット・デ・ラ!!」でどうだ。

 

 もちろん「雑誌を創刊」などという古色蒼然とした話じゃなくても、SNSでもYouTubersの1人としてでも、何らかの「立ち上げ」の時にはぜひ「トゥット・デ・リ!!」「トゥット・デ・ラ!!」を、最右翼の候補として考慮していただきたい。

 

 最後になるが、原谷苑も仁和寺桜もホントに美しかったのに、マコトに残念なことが1つあった。途中の山道が「ゴミ不法投棄の名所」になりかけているのである。

 

 不法に投棄されたゴミの山は凄まじいし、ほとんど5メートルおきに設置された「不法投棄厳禁」「あなたを見てますよ」の看板も悲しい。美しい古都の花の道だ。ゴミ投棄なんか、絶対にヤメにしようじゃないか。

 

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