Sat 210424 ついに灯火管制に/小銭の貯金とスモールライフ/4月上旬の関西 4036回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 210424 ついに灯火管制に/小銭の貯金とスモールライフ/4月上旬の関西 4036回

 とうとう、事態はここまで来てしまった。東京都では「街灯を除いて全ての明かりを消しましょう」と言ふ激烈なことになった。人の流れを抑制するために、午後8時以降は照明を伴う看板・ネオン・イルミネーションなど、街灯を除く全ての明かりを消すようにという要請がなされる。

 

 要するにこれは「灯火管制」であって、70年前の第2次世界大戦中、連日連夜の東京大空襲が続いていた頃に似た、暗闇の夜が続くということだ。

 

 残る明かりは、コンビニのみ。「河合塾」「Sundai」みたいな塾の看板や、巨大校舎のカラッポの教室を煌々と照らす無駄な窓の明かりも、原則として全て消灯を要請される。

 

 想像してみたまえ。六本木・銀座・新宿・渋谷・下北沢、「街灯以外はみんな消灯」ということになれば、繁華街は危険すぎてとても歩けたもんじゃない。おそらく金属バットや木刀や竹刀をかざした自警団だって登場する。バーチャンやジーチャンの昔語りに聞いた戦時中の物々しさが東京に帰ってくる。

(4月上旬、まだ平穏だった大阪・伊丹空港で「オム焼きそば」をいただいた。オイシューございました)

 

 今は、この体験をしっかり記憶にとどめたい。ワタクシの世代は、すでに大震災も地下鉄テロも、原発事故や温暖化の脅威も経験した。まさかパンデミックで灯火管制にまで発展するとは予測もしなかったが、おそらくここから1ヶ月、大都会の夜の暗闇をみっちり身にしみて経験することになる。あとは、戦争が来ないことを祈るばかりだ。

 

 今晩すでに、国立劇場とサントリーホールから緊急事態宣言に関わる緊急メールが届いた。今後、キャンセルや予定変更が相次ぐかもしれないが、「ご了承いただきたい」とおっしゃるのである。おお、まさに非常事態の強烈なカホリが首都圏を満たしている。

 

 しかし考えてみれば、この体験を「ギュッとお灸をすえられた」と受け止めることだって出来るはずだ。20世紀後半に育った大人たちは、無制限の贅沢を美徳と取り違え、化石燃料も水資源も食物もすべて言わば「飽食の限り」を尽くし、ネオンにイルミネーションぎらぎら、水道水もダラダラ垂れ流し、オカネ使い放題の日々を際限なく続けてきた。

 

 だからこれは、強烈なお灸なのだ。20時以降は原則として真っ暗。1ヶ月で終わることなら、お灸と同様にギュッと歯を食いしばって耐えることはできる。休業補償みたいな難しいことは政府の人々にしっかりやってもらって、我々は滅多にないお灸にギュッと耐える経験を大事にしたいじゃないか。

(まだいくらか平穏だった4月中旬、銀座「デリー」で名物「三種のカレー」をいただいた。下から「カラヒ」「カシミール」「チャムマサラ」。オイシューございました)

 

 ワタクシは、21世紀初期のジャイアンツみたいな野球はあまり好きではない。よそのチームの4番バッターをオカネでかき集め、派手なホームランをボカスカ打ちまくり、「毎試合10点取って爆勝の連続」なんてのは、野球というよりほとんどプロレスに近い。

 

 高校野球でも同じこと。有望選手を全国からかき集めて爆勝の連続、それで甲子園でバカスカ優勝を重ねても、大した感激にはつながらない。

 

 ワタクシは、どこまでも「スモールベースボール」が好きなタイプ。粘りに粘って四死球で出たランナーをバントで送り、内野安打で1点。エラーで出たランナーがパスボールで進塁し、スクイズや犠牲フライでまた1点。そういう合計2点を堅守で守り抜いて辛勝を続け、気がつけば頂点に近づいている。

 

 今回の灯火管制なんかも、我々としては地球からの「スモールライフ」の提案と受け止めていいんじゃないか。ワタクシは、学部に入学して1人暮らしを開始してからずっと変わらぬスモールライフの信奉者であって、ボカスカ&バカスカ贅沢ライフを継続して、それを自慢たっぷり吹聴するような人生スタイルには、どうしても嫌悪を感じる。

(まだ平穏だった4月上旬、京都・西陣でスッポン鍋をいただいた。おいしゅーございました 1)

 

 その象徴が、諸君、2リットルのペットボトル貯金箱である。ペットボトルの購入は、2002年6月、下北沢南口のコンビニにて。中身はごく当たり前の緑茶だったが、それを飲み干してからキレイに洗って、小銭用の貯金箱にかえた。「よっしゃ、コイツをつかってスモールライフを実践しよう」と決意したのである。。

 

 ペットボトル貯金には、厳しい条件をつけた。財布の中の小銭をみんな入れていいんじゃなくて、以下の条件を満たした小銭しか、入れられないことにした。

 

「小売店のサービス券を利用したら、その分だけ入れていい」

「クレカ利用で貯まったポイントを使ったら、ポイント利用代金だけ入れていい」

「タクシー利用を1日我慢したら、100円玉を1個入れていい」

 

 だいたいこんな条件であるが、そこから今井君はサービス券やポイントをマコトに積極的に使うようになった。新聞チラシに朝マックとか吉野家の50円引きのサービス券があれば、意地でもそれを使って朝メシを貪った。

 

 そういう日々を約20年も続ければ、スモールライフ実践者を自称していいんじゃないか。スーパーやホテルチェーンのポイント、最近はコンビニのアプリで貯まるポイント、その類いの全てを、小銭に換算してペットボトルに詰め込んだ。

(まだ平穏だった4月上旬、京都・西陣でスッポン鍋をいただいた。おいしゅーございました 2)

 

 こうして貯まった実際のオカネは、別に大した金額ではない。明日か明後日支給される大学新卒の新入社員の初任給1ヶ月分。20年かけて、やっとだいたいそのぐらいだと思ってくれていい。

 

「そんなことを書いて、もしもドロボーに盗まれたらたいへんだ」という心配も無用。パンパンに小銭の貯まったペットボトル、こりゃたいへんな重量だ。腕立て伏せを1日100回、それをすでに500日続けて、筋肉隆々の超たくましい今井君でも、これを抱えて歩くのが困難なほど。普通のドロボーなら一発でギックリ腰だ。

 

 というか、貯まるごとに銀行に無理を言って預かってもらう。間もなく日本でも「ほぼキャッシュレス社会」が実現する。いつまでも1円玉と5円玉満載のペットボトルを放置してはおけないから、馴染みの銀行に甘えるまでのことである。

 

 大事なのは、その種のことではない。いま一番大切なのは「スモールに生活しよう」「ボカスカ豪快なホームランを打ちまくるような日々は、どうせロクなことにならない」と、常に意識し続けることだ。

 

 予備校での授業についても、ワタクシはいつでも同じ考えで続けている。思い切り怠惰な日々を続けてから「ミラクル」「奇跡の大逆転」なんかを狙うんじゃなくて、日々の授業の基礎基本を大切に、ボキャブラリーを増やし、丹念に文法を学習し、1つでも多くの授業を受講し、1ページでも多く音読を継続、そういうスモールステップが最も効果的なのである。

(京都西陣「斉 阿うん」、スッポン鍋の後の桜餅デザート。オイシューございました)

 

 そして、ごくごく稀に贅沢も楽しむ。贅沢を完全に排除してしまって、スモールな蓄積だけを追求すれば、たいへんな重量のストレスがかかって、全てを崩壊させかねない。

 

 4月初旬のワタクシは、まだ今みたいな重大な事態になる前の関西に滞在していた。大阪で、どうしても観ておかなければならない大切な演劇があって、そのついでに「稀な贅沢」を2つか3つ、ごくごくおとなしく楽しむことにしたのである。

 

 伊丹空港で静かにいただいた「オム焼きそば」がその1つ。4月初旬の段階ですでに伊丹空港はガラガラ、オム焼きそばの店も、他のお客はほぼ皆無だった。ワタクシは、マヨネーズ抜きのオム焼きそばが大好物。「稀な贅沢」だからこその、格別な旨さだった。

 

 この時、大阪への旅のついでに京都・西陣を訪れた。やっぱり他には誰もいない店の片隅に陣取って、野菜たっぷりの豪華なスッポン鍋をいただいた。

 

 いつも京都のスッポンは、歴史ある名店「大市」でいただくのだが、この日の「稀な贅沢」は、西陣の奥の「斉 阿うん」。話好きな店主としみじみ中世の歴史を語り合いながら、あっという間に閉店時間の午後7時を迎えた。

 

 4月上旬の午後7時、外の薄闇には冷たい雨が降り始めていた。やがて「明かりは消して♡」の要請が京都・大阪・兵庫にまで拡大されれば、京都の夜も灯火管制の闇に。西陣・祇園・河原町・一条通り、そこいら中の闇の中に、平安京以来1200年分の怨霊やら亡霊やらモノノケやらが、ゆらゆら怪しい姿を現すかもしれない。

 

1E(Rc) Solti & LondonHAYDNSYMPHONY No.101 & 96

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3E(Rc) Corboz & LausanneVIVALDIGLOLIA KYRIECREDO

4E(Rc) Elly Ameling & Collegium AureumBACHHOCHZEITS KANTATE & KAFFEE KANTATE

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