Wed 210407 飛行機が欠航/7℃のドイツに真夏の里芋(アドリア海岸探険記28)4023回
この数年、スポーツの世界での強烈な歓喜が次々とやってくる。
2018年サッカーワールドカップは、ロシアでの開催。ベスト16進出が決まった時の歓喜を記憶していらっしゃるだろうか。確かあの時は、ポーランドとのマコトに微妙な一戦で、最後の10分間をパス回しに終始した戦い方に、それなりの批判も集まった。しかしやっぱり歓喜は歓喜。ワタクシはテレビの前で天に向かっって拳を突き上げた。
続く決勝トーナメントで、超強豪ベルギー相手に2点目を取ったときにも、やっぱり同じ右の拳を天に突き上げた。今井は右利きだから、突き上げるのはいつも右のコブシなのだ。
2015年のラグビーワールドカップでも、南アフリカ戦のラストシーンは、熊本のホテルで深夜、右の拳を突き上げたのである。あの時は、何度コブシがホテルの部屋の天井を突き破りそうになったか分からない。
五郎丸のPGが決まるたびに、その五郎丸が右隅にトライを決めた時にも、また最後の逆転トライ、NHK豊原謙二郎アナの「行けえ!! 行けえ!!」の絶叫の時にも、ホテルの天井は崩壊の危険に見舞われたのである。
2018年には、これはワタクシ独特の歓喜であるが、甲子園での金足農の奇跡。いやはやあの夏、3回戦の横浜高校戦8回裏、準々決勝の近江高校戦9回裏、連日の奇跡の連続のせいで激しい絶叫が続き、「あそこのダンナは昼間っから何をあんなに喚いているんだ?」と、通行人に訝しがられるほどの事態となった。
(ポリニャーノ・ア・マーレからバーリまでは、各駅停車で30分ほど。次はいったいいつイタリア国鉄の電車に乗れるだろう)
こうして2019年、ラグビーワールドカップが日本にやってきて、アイルランド戦やらスコットランド戦やらのコブシと絶叫が始まることになるのだが、その直前、ワタクシはアドリア海岸バーリの街に2週間滞在して、暢気な旅を満喫していた。
その旅も9月9日で終了。すでに書いた通り、9日昼にはもうホテルをチェックアウトして、もし旅行会社のパンフレットだったら「一路、帰国の途へ」という世界。激しいランチを楽しんだ後の今井君は、ホテル前に1台だけ待っていたタクシーに乗り込んで、バーリの空港に向かったのである。
しかしちょうどこの頃、東京に台風が接近していた。2019年秋には、2つの台風が首都圏を直撃したのである。1つ目が9月上旬、2つ目が10月中旬。その「2つ目」が通過した翌日が、ラグビー・スコットランド戦の歓喜。その3日後、10月16日にニャゴロワが天国に旅立った。忘れられない秋である。
だから9月9日、ワタクシがミュンヘン経由で帰国するヒコーキ機材は、大型台風が接近中で暴風雨にさらされていた羽田から、前夜9月8日にミュンヘンに飛び立つ機材であったのだ。
バーリ空港でタクシーを降りた直後、ANAから緊急のメールが届いた。「ミュンヘン → 羽田便は欠航になりました」というのである。前夜の羽田 → ミュンヘン便が台風にせいで欠航、だからその機材を使用するミュンヘン → 羽田便も欠航。玉突きでどんどん欠航になる。
(バーリ旧市街は、小さな教会でいっぱいだ 1)
昔なら、この連絡だけで慌てふためいた。2008年11月には、マドリードからのフランフルト便が濃霧のせいで着陸が遅れ、フランクフルトからの帰京便が先に出てしまった。フランクフルトの広大な空港を右往左往、同じところを2周も3周もして、翌日の便のチケットをもらうだけで3時間もかかった。
逆に「目的地にたどり着けない」というケースもあって、2009年、ロンドンで乗り換えてリスボンに向かうヒコーキが、8時間も待たされたあげく「アイスランドの火山の噴火のせいで飛びません」ということになった。ポルトガルの人々とともに空港職員にかけあって、近くのホテルに無料で泊めてもらった。
(バーリ旧市街は、小さな教会でいっぱいだ 2)
しかしさすがにこういうことが度重なると、クマ蔵でもサトイモ入道でもキウィ小僧でも、すっかり落ち着き払って事態に対応できるようになる。
つい2〜3年前にもフランクフルトで同じようなことがあったが、航空会社に用意してもらったホテルで、余裕でバーに座り、アイリッシュ・ウィスキーをバーテンダーが驚異の目を見張るほど飲みふけった。
今回はさらに落ち着き払って、「欠航です」というメールを開いた次の瞬間に、ミュンヘンのホテルの予約を始めていた。しかもポイントを利用して、かかるオカネは0ユーロ。ミュンヘン駅前の「ホテル・メリディアン」で、イタリア2週間のオマケのドイツの1日を満喫しようと、レストランやバーの情報を探し始めた。
(オマケのミュンヘン1泊を満喫。ただし気温は7℃。さっきまでの南イタリア・30℃とのギャップに苦しんだ)
もちろん東京に帰るヒコーキは、さすがにミュンヘンに到着してすぐに手配を終えた。いいじゃん & いいじゃん。ミュンヘン空港からは、例のドイツの朱色の電車に乗り込んで、ミュンヘン中央駅に向かった。
ただし諸君、9月の南イタリアは30℃。この夜のミュンヘンはいきなり冷え込みがきつくなって、気温7℃。電車に乗り込んだドイツの人々はすでにすっかり冬支度。翌朝になると、道行く人々はダウンジャケットに真冬のコートを着込み、コートの前をしっかりかきあわせている。
この状況で、日本のサトイモ入道のみが、真夏のシャツの腕をめくり上げている。ホテルのフロントも、ミュンヘン中央駅のビール・バーの従業員も、同じような驚きの表情で、本格的な寒気の中に突如として出現した真夏のサトイモを眺めるのであった。
1E(Cd) Maggini String Quartet:ELGAR/STRING QUARTET in E MINOR & PIANO QUINTET in A MINOR
2E(Cd) Barbirolli & Hallé:THE BARBIROLLI ELGAR ALBUM 1/2
3E(Cd) Barbirolli & Hallé:THE BARBIROLLI ELGAR ALBUM 2/2
4E(Cd) Elgar & London:ELGAR/SYMPHONY No.2
5E(Cd) Barbirolli & Hallé:THE DREAM OF GERONTIUS 1/2
6E(Cd) Barbirolli & Hallé:THE DREAM OF GERONTIUS 2/2
7E(Cd) Ashkenazy & Philharmonia:SIBERIUS/SYMPHONIES 1/4
8E(Cd) Ashkenazy & Philharmonia:SIBERIUS/SYMPHONIES 2/4
9E(Cd) Ashkenazy & Philharmonia:SIBERIUS/SYMPHONIES 3/4
10E(Cd) Ashkenazy & Philharmonia:SIBERIUS/SYMPHONIES 4/4
total m58 y278 dd26118