Sat 210327 千鳥ヶ淵の桜/昔の花見のハラスメント地獄/神保町を散策(4013回) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 210327 千鳥ヶ淵の桜/昔の花見のハラスメント地獄/神保町を散策(4013回)

 あんまり周囲が「満開だ」「満開だ」とニッコリ&ニコニコするので、半信半疑ながらワタクシも桜の開花状況を確認しに行くことにした。

 

 3月22日だったか23日だったか、まだ2021早春シリーズは完璧に終了したわけではなかったが、曇りがちながらもうコートはいらないほどの暖かさ。千鳥ヶ淵をぶらつくぐらいなら叱られることもないだろう。

 

 言い訳をするなら、これはあくまで「開花状況の確認」。「お花見」ではない。東京・千鳥ヶ淵は皇居にも最高裁判所にも国会にも至近の地だから、もともと昔ながらの花見の宴会とは無縁の地だ。20世紀の昔から、千鳥ヶ淵の桜は散策のみが許される。

   (3月22日、まだ5分咲きの東京・千鳥ヶ淵 1)

 

 そもそも昭和独特のお花見は、コロナ禍とは無関係に、早くヤメにした方がよかったのだ。あれはパワハラ・セクハラ・アカハラその他、ありとあらゆるハラスメントの温床に過ぎなかった。「温床」などという表現は甘いので、ほとんど「ハラスメントのナマ標本」と化していた。

 

 昭和の時代には、桜の開花は今より10日は遅かったから、東京で満開になるのは4月3日とか4日ぐらいが普通。「新入社員の最初の仕事は、花見の宴会の場所取り」と公言するサラリーマンは少なくなかった。

 

 例えば入社式の翌日が何故かTOEIC、新入社員が社内大ホールに集められて数時間、まずはTOEICで徹底的に攻め立てられる。2年目&3年目の先輩社員が取り囲んで「何だオマエたち、英語もできないのか?」と声を張り上げたりする。要するに諸君、この段階ですでにハラスメントが始まっている。

 

 その翌日ぐらいが、配属先に決まった「部内のお花見」。ブルーシートなり何なりが新入社員に手渡されて、「英語ができないヤツらには、ちょうど似合いの仕事があるぜ」みたいな罵声とともに、花見の場所取りが言い渡される。

 

 もちろん、むかしむかしの若き今井君みたいに、「TOEICなんかナンボでも得点できる♡」という若者も少なくないだろうが、実際の成績が分かるのはまだ先のことだから、とにかく「オマエたちはダメなんだ」という根拠のない罵声だけが、土砂降りの雨のように降り注ぐことになる。

   (3月22日、まだ5分咲きの東京・千鳥ヶ淵 2)

 

「英語もできないんじゃ、出来る仕事はこれぐらいしかないじゃないか」みたいな言われ方で、上野公園あたりに送り出される。仕方がないから、昼前からブルーシートの上に座り込んで、先輩社員たちがやってくるのを待つ。先に始まってしまった隣りの花見集団と睨み合いになり、ありとあらゆる罵声が飛び、つかみ合い寸前になることもある。

 

 やがて怒鳴り合いが始まる。あちこちでマメカラのカラオケ大会が始まり、バーベキューのソースが舞い散り、吐瀉物の処理やら何やら、まだ日が高いうちから乱闘シーンを間近に見なければならなかったりする。

 

 しかしそれでも、先輩社員たちのために場所は死守しなければならない。18時、19時、先輩社員たちは姿を見せない。19時半、すでにどこかの店で一杯ひっかけてきた先輩集団が接近するや、「何だ、こんな場所しか取れなかったのか」「やっぱ英語のできないヤツらはダメだな」、その種の罵声が限りなく続く。

 

 こうして諸君、あんなに苦労してシューカツに励んだ会社への疑念がムクムク湧き上がる。「オレはこんなことをするために入社したんじゃない」。おそらく30年後まで続く先輩のパワハラを思って、早くも心の中には転職への熱い想いが湧き上がる。

   (3月22日、まだ5分咲きの東京・千鳥ヶ淵 3)

 

 昭和&平成の花見とは、そういう世界であった。スーツ姿の女子社員が硬く冷たいブルーシートの上で長時間の正座に耐えているのも、可哀そうで正視に堪えない。もちろん今はあり得ないが、女子社員へのお酌の強要だの、新入社員への一気飲みの強要だの、そんなの20世紀の時代はちっとも珍しくなかった。

 

 かつてのワタクシは強靭な肝臓と肉体と精神力の持ち主だったから、その類いの一気飲みの被害者に甘んじることはなかったが、「会社員で生きていくのは、ヤメたほうが身のためだ」「予備校講師で一本立ちする方が圧倒的に向いている」と、こういう段階で人生の方針と態度をほとんど決めてしまった。

 

 だから諸君、ワタクシは今でも「花見の宴」は大嫌いだ。冷たいブルーシートの上で20人も30人もが車座に座り、ぬるいビールとマズい日本酒を我慢して一気飲み、マメカラや手拍子で高歌放吟し、ネクタイのハチマキに桜の枝を折って差し込んでは、他のグループにちょっかいをかけ、挙げ句の果ては終電に乗り遅れて会社で雑魚寝、その類いのウタゲを満喫するのは今後も絶対にあり得ない。

 

 千鳥ヶ淵のいいところは、その類のハラスメントの渦とは完全に無縁だということである。北の丸公園を右に見ながらお堀を1/4周。お堀にはたくさんのボートが浮かび、そのボートも今年は「整理券なしでお乗りになれます」というほど空いている。菜の花は満開、満開のはずの桜はまだ5分咲きだった。

   (3月22日、まだ5分咲きの東京・千鳥ヶ淵 4)

 

 こうして、穏やかで華やかな桜を満喫できた。東京の桜は、満開だと白っぽく色が冷めてしまうが、三分咲きや五分咲きだとツボミの濃い紅色が混じって、満開よりずっとキレイなピンクが楽しめる。武道館では某マンモス私大の卒業式が開催されて、華やかな気分がますます高まってくる。

 

 千鳥ヶ淵を抜けたワタクシは、そのまま久しぶりに神保町の古書店街を回った。老舗の古書店が何軒も姿を消してしまったのは寂しいが、これもまた世の中の流れの必然であって、「やむを得ないものはやむを得ない」と溜め息をつくしかない。

 

 たどり着いたのは、フィレステーキとハンバーグの店。シチリアの旨いワインを揃えていることも自慢の店である。ワタクシがシチリア2週間の旅を敢行したのは2016年の夏。パレルモ・トラーパニ・チェファルー・アグリジェント・シラクーサ・ウスティカ島。シチリアのワインを1本痛飲しながら、当時の思ひ出に浸った。

 

 ブログと言ふのはたいへん便利なもので、5年も前のシチリアの旅を、数十枚の写真とともにナンボでも追体験できる。おぞましい花見の記憶をブログなんかに残していなくて、ホントに幸運だった。そう痛感しながら神保町のハンバーグを貪ったのであるが、残念ながら諸君、店の名前は失念してしまった。

 

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