Wed 210324 のぞみ君は静岡に停車すべきだ/静岡での大奮闘/静岡おでん(4010回) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 210324 のぞみ君は静岡に停車すべきだ/静岡での大奮闘/静岡おでん(4010回)

 博多や広島から静岡に移動するのは、思った以上に困難である。新幹線「のぞみ」は、静岡県内には一切停車しない。準急タイプの「ひかり」だって、意地でも静岡県を無視して走るタイプが半分も存在する。西日本から東行きの「ひかり」の半分は、愛知県豊橋に停車した後は神奈川県小田原まで停車しない。

 

JR東海」と静岡県の確執は、JRが長年こういうダイヤ編成に固執してきた結果なんじゃないか。静岡市、人口は70万。浜松市、人口は80万。合計150万人の政令指定都市2つを完璧に無視、あざ笑うように両駅を高速で通過する。

 

 西日本から静岡に入るには、名古屋で乗り換えて「こだま」利用するしかないこともある。「こだま」で名古屋から静岡は遠い。1時間15分もかかる。三河安城・豊橋・浜松・掛川、駅に停車するたびに「5分停車」「7分停車」があり、その度に「のぞみがあざ笑ってスルー」の屈辱を味わう。

(東海道新幹線・新富士駅付近からの富士山の雄姿。2021年早春シリーズでは、繰り返し&繰り返しこの雄姿を眺めた)

 

 だから博多や広島からの静岡入りには、「ヒコーキで一気に羽田空港、羽田から品川を経由して、西行きの新幹線」という選択肢もある。しかし西行きの「こだま」もまた、品川・新横浜・小田原・熱海・三島・新富士に止まり、同様に「5分停車」「7分停車」を繰り返す。所要時間はやっぱり1時間15分。難しい選択だ。

 

 どうしてJRは、静岡にこういう仕打ちを続けるんだろう。ワタクシの父はJRの前身「国鉄」こと日本国有鉄道に35年勤続した労働英雄である。一方、母方の伯父は、静岡大学の総長を務めた。まあこちらは知の英雄と言ってあげていい。息子であり甥であるワタクシとしては、JRの味方をするか、静岡の味方をするか、大いに悩ましい立場である。

 

 昭和39年、というか1964年、東海道新幹線が開通した時には、「東京を出ると、次は名古屋まで止まりません」というのが、何と言っても国鉄の1番の自慢であり、子供たちは「東京の次は名古屋なんだって♡」と目を丸くした。新幹線が子供たちの憧れの対象になったのは、「名古屋まで止まらない」というカッコよさも理由の1つだった。

 

 だから諸君、最優等列車「のぞみ」を静岡県内に停車させるというのは、JRのヒトビトにとっては新幹線のカッコよさを大きく傷つける変更なのである。

 

「ひかり」だって、「のぞみ」のなかった昭和の時代には英雄だった。太宰治の英雄・走れメロスが途中で立ち止まらないのと同様、のぞみ以前の過去の英雄ひかりにだって、静岡県内で一息つかせるわけにはいかない。小田原の次は、豊橋。昭和の英雄8マンにならって、ヒーローの快走に給水所なんか必要ないのだ。

(静岡での大奮闘、終了直後の風景。これでもキャパ1/2ルールは厳守、155名。窓とドアを開け放って換気に励んだ)

 

 いやはや、しかしそれは静岡県にとっては屈辱だ。明治・大正・昭和の前半まで、静岡県内は鉄道の旅の要衝であって、東京から西に向かって走り出した長距離列車の車内が「さあ、旅がいよいよ本格的になってきた」という思いで満たされるあたりだったはずだ。東京駅で買った駅弁もお茶も、そろそろなくなった頃である。

 

 一方、西から東に向かう列車内では、静岡は「あと数時間でいよいよ東京だ」という上京の緊張感に包まれる頃だったろう。静岡あたりで、腹ごしらえの駅弁を買う人も多かったはずだ。

 

 太田裕美「木綿のハンカチーフ」の時代になっても「恋人よ ボクは旅立つ 東へと向かう列車でぇ」であり、チューリップの時代でもなお「ああ明日の今頃は ボクは汽車の中」であって、イルカどんの場合も「東京で見る雪はこれが最後ね」と「なごり雪」を眺めながら呟くのである。すべて3月中旬から下旬、ちょうど今の季節である。

 

 秋の裏切りとか、春の別れとか、駅のホームでの涙&涙、重い過去と現在を断ち切って未来に進む劇的瞬間が、博多駅・長崎駅・広島駅・大阪駅、または東京駅にあって、しかしその激しい感動や感激がフェードアウトし、緩やかで生温かい旅情に変わっていく。その時、車窓には必ず静岡の山と海岸の風景があったのだ。

(1958年、日本交通公社「時刻表」の北海道。今とは別世界の鉄道天国だった。廃止された路線の詳細を、写真を拡大してつくづく眺めてみたまえ)

 

 東海道新幹線開通前、1958年の時刻表を見ると、東京発鹿児島行き「はやぶさ」は横浜1925分、静岡2125分。東京発博多行き「あさかぜ」は横浜1855分、浜松2154分。大阪行き「明星」は、熱海・沼津・富士・清水・静岡・浜松に停車する。静岡は、こんなに大事にされていた。

 

 リニアの開業が視野に入ってきた今、新幹線は再び静岡を大事にしてあげるべきなんじゃないか。「名古屋まで止まりません」の感動や、子供たちの憧れをリニアに譲るのにも、せめて「のぞみ」の1/2を静岡&浜松に止めた方がいいんじゃないか。ワタクシはそう思うのである。

(静岡駅「海ぼうず」の静岡おでん。1本70円がほとんどだ)

 

 というわけで、3月14日の今井君は四苦八苦の末、16時前に静岡駅にたどり着いた。公開授業開始17時、出席者155名。写真ではずいぶん密に見えるが、いつも通りキャパ1/2はキチンと厳守している。窓開け&ドア開放で換気も十分、手洗い・マスク・検温はすでに国民の常識となって、わざわざ言葉をかけるまでもない。

 

 大爆笑の連続で全身びっしょりの汗をかいた後は、静岡駅構内「海ぼうず」で単独祝勝会。静岡の名物は何と言っても「おでん」だから、1本70円の旨いおでんを腹いっぱいに詰め込み、ついでに静岡の地酒もたっぷり戴いて、20時前の「ひかり」に乗り込み、久しぶりの東京に帰ってきた。

 

1E(Cd) COMPLETE MOZARTTHEATRE & BALLET MUSIC 4/5

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3E(Cd) COMPLETE MOZARTDIVERTIMENTISERENADES 1/11

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