Tue 210302 こんな試験じゃ、冷めたカップ麺の早食い競争だ/カウントダウン2/3998回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 210302 こんな試験じゃ、冷めたカップ麺の早食い競争だ/カウントダウン2/3998回

 新しい共通テストの実施から1ヶ月半が経過。あまりにカンタンなテストに対するショックはだいぶ冷めてきたと見えて、公開授業で依頼されるテキストも、だんだん共通テスト対策以外のものが増えてきた。「ちゃんとした長文問題をキチンと扱うテキストを使ってください」と依頼される率が増えた。

 

 いまだにマスコミでは「単純な文法問題や発音アクセント問題はなくなった」と大騒ぎを続けているし、「共通テストの中身を踏まえた高校現場の変化」「様々な取り組み」をリポートして、チャラチャラした英語のママゴトみたいな授業を夢中で称揚している。


 しかしワタクシは、今回の共通テストを「冷めたカップラーメンの早食い競争」と呼んでいる。歯ごたえも中身もナシ、食感も読み応えもナシ、読んで感動も感激も面白味も一切ナシ、どれもこれも同じような難易度と内容の文章を次から次へと差し出して、「食え!!」「急いで食え!!」と受験生に強要するだけの試験にしか見えない。

 

「とにかく早く食ってみせろ」

「味なんかどうでいい。いいから早く食え」

「つまらなくても文句言うな。」

「速さだけが勝負なんだ」

「好奇心なんかもつな。すすれ、飲み込め、味わうな」

と脅迫的にガナリたてるだけなら、「のびきったカップ麺の早食い競争」と揶揄されてもちっともおかしくない。

(大満足、京都「寺町ハンバーグ」150グラム × 2個。ワタクシは前途有望な若者たちに、こういうのを食べさせたいのだ)

 

 少年期のダメな今井君は、好きな小鉢だけを爆食いするのが何よりの楽しみ。コメも味噌汁も、肉や魚やその他の主菜もみんなそっちのけにして、大好きな小鉢を家族4人分の鍋1つ爆食して、連日それでお腹をいっぱいにした。

 

 小学校低学年の頃は、何と言っても「イカ&マヨ」。イカとキュウリをマヨネーズで和えたカンタンな小鉢で、普通なら食事の最初に1鉢ササッと胃袋へ、それで食欲をアップする一種のアピタイザーである。

 

 ところが諸君、今でも不思議でならないが、まだ小2か小3の今井君は、これを小鉢8個、いや9個、秋田では「鍋ハダケ」と呼ぶが、とにかくそこにイカ&マヨが存在する限り、一気に胃袋に流し込むのである。咀嚼もほとんどしない。一気に1鍋、底の底までハダケるように猛スピードで飲み込んで、それで夕食を終える。

 

 小学校中学年から中学校にかけても、そのクセは全く治らない。美味しい肉があっても旨い魚があっても、もしもそこに大好きな小鉢があれば、小鉢1種の鍋ハダケで食事を終える。

 

「タラの子の炒りあげ」「海藻と豆腐の炒りあげ」「ヒジキ」「納豆とオクラと山芋のバクダン」「炒り豆腐」。さすがに味覚はマヨネーズから濃厚な醤油系に移っていったが、主菜も主食もそっちのけで小鉢の一気食いのクセは大人になるまで治らなかった。小鉢を高速で平らげている時の快感は、何ものにも代えがたいのだった。

(2月19日、広島県廿日市での大奮闘。出席者200名を超えた。キャパ1/2ルール厳守で、ギリギリの大盛況だった)

 

 しかし諸君、やっぱりその様子、今考えても病的なのである。高校生時代の昼食にもその片鱗が残っていて、連日「葡萄パン2斤」なんてのがあった。「葡萄パン」とは、食パンにレーズンを大量に混ぜ込んで、8枚切りで50円の商品。これを2斤買って昼休み50分で一気に16枚、牛乳1本で胃袋に流し込むのである。

 

 高1の春にその昼食が好きになって、高2の秋まで例外なしに毎日それを続けた。どんな栄養士だって決して推奨しない食生活であるが、諸君、まあ何とか病気になることもなく高校を卒業した。

 

 学部時代の食生活については、このブログの初期に記しておいたから、興味のある方はブログ内検索「松和荘時代」で読んでみてくれたまえ。「モヤシの油炒め」だけで数週間、「ひき肉とミックスベジタブルの炒め物」だけで数ヶ月、そういうことを社会人になっても続けたのである。

(2週連続で、広島駅ビルのお好み焼き「麗ちゃん」を訪問)

 

 そういう時代を思い出すにつけ、ワタクシは21世紀の日本の若者たちにそんな経験して欲しくない。小鉢もいいが、主食も主菜もキチンと味わい、しっかり咀嚼し、しっかり嚥下して消化する能力を身につけてほしい。健康な肉体も健康な精神も、そういうしっかりした日々の連続によって養われるものである。

 

 それなのに諸君、共通テストの英語はどうだ? 大問合計6つを、ご丁寧にさらに小問合計10問あまりに小分けし、小皿に盛り付けられて出される問題は、みんなのび放題のカップ麺ばかりだ。

 

 歯ごたえのある長文なんか1つもなし、サクサクの天ぷらも、ワシワシ噛める肉もなし。新鮮な野菜の食感もないし、「小骨に注意しろよ」と頼もしい大人たちに注意されることもなければ、「こんな順番で味わってみろ」というアドバイスさえ不要。差し出される順番にスピード勝負。そういう不毛きわまりない世界だ。

(2月18日朝、緊急事態宣言下の羽田空港は超ガーラガラだ)

 

 冷めたカップ麺と言って悪ければ、「一昨日のおかゆ」「水の多過ぎた和風カレー」「カビ臭いオモチ」「湿気たポテチ」。そういう小鉢と中鉢が、10個に分けて次々と供され、試されるのは要するにスピードのみなのだ。

 

 国公立大学にエントリーしたければ、北大・東北大・東大・名大・京大・阪大・九大、どんなに本格的な読解問題にチャレンジしたくても、大前提としてこの冷めたカップラーメン早食い競争に勝利しなければならない。

 

 問題作成者は、どうしてこの小問10問なり大問6問なりを本格的な3問なり2問なりにまとめ、本格的な長文読解力を試そうとしなかったのか。日本の大学学部生に求めるべき読解力とは、わずか20行ちょいに小分けされた情報から、3つか4つの安易な設問に回答を与えるチェック能力に過ぎないというのか。

(福岡空港「ラーメン滑走路」内、「きんとうん」で鹿児島ラーメンをすする)

 

 共通テスト6問の大問を合計すると、出題された英文は合計で約285行。これを読むのに55分、設問を解くのに25分と計算すると、必要とされる読解スピードは285行 ÷ 55分だから、1行12秒、1分5行。外国語としてはごく常識的なスピードであって、「速読力」などという特殊能力とは全く別次元、標準的な読解能力に過ぎない。

 

 だからもし、問題を作成する側がホンキで日本の大学生の読解能力の向上を目指したとすれば、こんな冷めたチェック能力ばかりを問うのではなく、同じ分量で100行に近い本格的読解問題を3問、マジメに出題すべきだったのだ。

 

 その300行を150行 × 2問でもいいし、いっそのこと300行 × 1問でもいい。そもそも18歳年齢の知的能力をマジメに試そうとする時に、平均30行に満たない細切れを10問ほど遠慮がちに押しつけるか、150行の大物を2つグッと差し出すか、料理する側のキョージが試される場面じゃないか。

 

 30グラムの冷えた肉団子を小鉢に遠慮がちに10鉢ならべるか。150グラムの大っきなハンバーグを2個、自慢げに大皿に盛って運んでくるか。いや、この際、300グラムのヒレステーキを、立ちのぼる湯気とともに「どんっ!!」とテーブルに置き、「さあどうぞ♡」と胸を張るか。

(2月18日、八代の会場から博多に戻る。21時過ぎの新八代駅はほぼ無人だった)

 

 いやもちろん、「それを全国の受験生全員を対象に行うのは不適切」「これはあくまで一次試験にすぎない」「本格ステーキは2次本番でやればいいこと」というのは分かっている。しかし今回の共通テストはどう見ても冷えきったカップ麺が小鉢で10個。これをモノサシにして受験勉強を進めなければならない受験生が不憫だ。

 

 朝日新聞によれば「テクニックは通じない」「論理的思考力が試されます」のはずだった共通テストが終了して45日。全国どこの予備校でも、すでにその「テクニック」が次々と見出され、テクニックてんこ盛りの授業を開始しようと腕によりをかけている新鋭&中堅講師がワンサと山を形成している。

(広島駅ビル「麗ちゃん」を2週連続で訪問。お好み焼きの前に、牡蠣の鉄板焼きをいただく)
 

 何しろ鳴り物入りの共通テストだ。「共通テスト対策」とさえ銘打てば、どんな斜陽の予備校だってその講座だけは満員御礼、経営者はホッと胸をなでおろす。高額の給料を払わなくて済む一般講師でも教室が満員になるなら、そんなに美味しい商売はない。

 

 しかしだからこそ、ワタクシは共通テストを考え直してほしい。テクニック満載の長文問題は、これから1年かけてしっかり練り直してほしい。ホントにホントに「テクニック、通じない」の問題を作成すべきなのであって。その辺がどうなっているかを監視することこそ、ホンモノのマスコミの役割なのだ。

(20分待って登場した「ちゃん麗」のお好み焼き。いやはや、どうもピンとこない)

 

 というわけで、その後の今井君の日々をカンタンに記録しておく。2月12日、久しぶりに首都圏に帰ったワタクシは、千葉県新浦安で公開授業、出席者100名。数年前、同じ会場で「LINE LIVE」の収録を行い、一晩で30万もの「ハーツ」だか「いいね」だかを獲得した。懐かしい思い出である。また近いうちに同じような企画に参加したい。

 

 その後しばらく休みがあって、2月18日、熊本県八代で公開授業。博多駅前に宿泊して、博多から新幹線で八代に移動した。2005年の東進移籍以来、八代はこれで3回目になる。昨年夏に大きな水害のあった球磨川の近くの校舎である。

 

 15年前、最初の訪問の時にはまだ九州新幹線がなくて、熊本空港からJR熊本駅に入り、そこから在来線の特急でさらに1時間かかって移動した。あの頃は熊本県でのお仕事がナンボでもあって、熊本に宇土に人吉に玉名、1年に4回も5回も熊本に出張していたものである。

(広島「麗ちゃん」にて。「おたふく」ではなくて「カープソース」だった)

 

 翌19日は、広島で公開授業。博多から広島へは新幹線で1時間ちょい。この移動は全く苦にならない。広島に到着して、すぐに駅ビル内「麗ちゃん」にてお好み焼きを貪る。実はつい10日前にも「麗ちゃん」のお好み焼きを味わったばかりである。

 

 だからと言って諸君、ワタクシは別に「麗ちゃん」のファンなのではない。今井君にとって広島のお好み焼きは「高砂◯」に尽きるのである。この15年、広島に出張があれば間違いなくまず「高砂◯」でお好み焼きを貪り、翌日には「かき船 かなわ」で新鮮な生牡蠣を40個飲み干した。

 

 考えてみれば、その「生牡蠣40個」もまた、ワタクシの幼児からの「小鉢♡爆食い」の名残なのかもしれない。そんなことはやめたほうがいいに決まっている。早食い競争なんか、どんな場合にも馬鹿げているのである。

(それでも、ソースをたっぷりかければ、さすがにピンとくる味になった)

 

 しかし諸君、大好きだったお好み焼きの「高砂◯」、広島駅ビルの建て替えとともに、どこへともなく、何の跡形もなく姿を消してしまった。行方がわかれば訪ねていくが、今のところ行方は全くわからない。廃業、消滅、そういうことかもしれない。

 

 そのぶん新しい広島駅ビルには、「いっちゃん」「福ちゃん」「麗ちゃん」「みっちゃん」、言い合わせたように「ちゃん」のついたお好み焼き屋さんが軒を並べている。

 

 もう少し歯ごたえのある質実剛健な名前の店は、現れないのだろうか。ワタクシはお好み焼きだって、細切れ10個より、150グラムも300グラムある手強いデッかい奴を、力強くワシワシやっていたいのだ。

 

1E(Cd) Solti & ChicagoBRAHMSSYMPHONY No.4

2E(Cd) MenuhinBRAHMSSEXTET FOR STRINGS No.1 & No.2

3E(Cd) BaumannMOZARTTHE  HORN CONCERTOS

6D(DMv) APOLLO 13

total m6 y54  dd25894