Thu 210218 関西でミニミニ南船北馬/兵庫県豊岡での大奮闘/カウントダウン4/3996回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 210218 関西でミニミニ南船北馬/兵庫県豊岡での大奮闘/カウントダウン4/3996回

 

 ヨーカンと言ふお菓子があって、ワタクシの幼い頃にはまだ「今日のオヤツはヨーカンよ」と言われれば「わーい♡」と手放しで喜ぶ和菓子好きのコドモも存在した。

 

 21世紀のコドモたちがヨーカンで喜ぶとはとても思えないし、そもそもヨーカンを知っているかさえ頼りない気がする。ワタクシも20世紀独特、西洋かぶれのコドモだったから、オヤツはチョコかキャラメル、飲み物はコーラかファンタかカルピス、そういう世界で幼時を過ごした。

 

 ヨーカンが実は「羊羹」で、「もともとは中国の羊のスープだった」なんてのは、中学の国語の時間に習ったトリビアである。「羹」を「あつもの」と読むことを習い、ついでに「羹に懲りて膾をふく」の意味も習った。

(新大阪発、特急「こうのとり」のグリーン車で豊岡に向かう)

 

 その羊のスープが鎌倉時代の禅僧によって日本に伝えられ、精進料理ではもちろん羊の肉はご法度だから、羊の代わりに小豆を用いた。いやはや羊羹、20世紀人間のワタクシ的には、もともとの羊のスープのままでいて欲しかった。

 

 一方の「膾」であるが、もちろん膾と書いて「ナマス」と読む。ナマスは諸君、今井君の天敵であって、とにかくワタクシは酢のカホリが大キライ。酢のカホリのするものはマヨネーズもバルサミコもみんな遠慮したいので、お好み焼きにも決してマヨネーズはかけない。そういう気難しいサトイモなのである。

   (新大阪駅「串カツ だるま」で串カツを貪る 1)

 

 さて、そのヨーカンを地球の上に水平に起き、真ん中あたりを掴んで、南東方向にギュッと引っ張った形になっているのが日本の本州である。おそらくその形のせいで、頻繁に大きな地震におそわれる。2月14日夜、東京も震度4。長い長い大きな揺れに、ネコたちの写真の額がパタリと倒れた。

 

 ヨーカンの形の本州で「南も北も海に面しています」という珍しい県が1つ存在する。兵庫県である。北は日本海、南は瀬戸内海。「海のない県」はたくさんあるけれども、南も北も海に面しているという県は、他に山口県しか思いつかない。兵庫ほどスパッとヨーカンを輪切りにした形は、マコトに珍しいのである。

 

 その兵庫で「ミニミニ南船北馬」をやることになった。前回の記事で「東奔西走ばかりで南船北馬がない」とツベコベ書いていたら、「じゃあミニミニで」ということで南から北  北から南、輪切りヨーカンの中の南船北馬を満喫させていただいた。兵庫県北部、カバンで有名な豊岡への旅である。

   (新大阪駅「串カツ だるま」で串カツを貪る 2)

 

 豊岡へは、① 京都から ② 大阪から ③ 姫路からの3ルートがある。もう1つ「伊丹空港からヒコーキで30分」という驚きのルートもあるが、何しろ1日2便しか飛んでいないから、これは考慮の外である。

 

 京都からなら特急「きのさき」、大阪からなら特急「こうのとり」、姫路からなら特急「はまかぜ」。コロナ蔓延の影響で、どの特急も大幅な間引き運転になっているが、どのルートでも2時間半かかる。21世紀には珍しい長旅になる。

 

 2月8日、すでに10日も前のことになるが、ワタクシは「どうしても大阪の串カツを食べてから行きたい」、そういうマコトに馬鹿げた理由で、新大阪駅経由を選んだ。「串カツ だるま」、例の「ソースの2度づけは禁止やで」の店である。

 

 今や「2度づけ禁止ソースは、かけて食べてね」の貼り紙があり、マヨネーズの容器みたいなのに入ってテーブルに並んでいる。これじゃ2度づけも何もあったものではないが、考えてみれば2度づけより遥かに贅沢にじゃぶじゃぶかけても許される。風情より、効率と清潔。まあ悪いことでもなさそうだ。

       (人生で4度目の豊岡に到着)

 

 しかし問題は、4人用のテーブルに4人ギュッと密に座り込んで、ワイワイ飛沫を飛ばしながら串カツ会食を満喫している人々の存在である。ワタクシの後方は、男子2名&女子2名のミニミニ合コンであって、男子2名が2言3言、大して面白くもない冗談を飛ばすごとに、女子2名がキャハキャハ豪快に笑い転げている。

 

 話を聞いた限りでは、男子2名は首都圏の大学生、女子2名は関西の大学生である。男子が盛んに「表参道でさあ」と口にするのだが、首都圏の若者の発音はマコトに独特で「OMOTESANDOU」の「TE」から「E」の発音が消える。盛んに「おもTさんどう」「おもTさんどう」繰り返すのが、いっそう耳障りである。

 

 しかしせっかくのミニミニ合コンだ。盛り上がりに水を差すのも無粋だろうから、今井君は飛沫感染の危険を避けて店外へ脱出。楽しみにしていた串カツは10本しか貪れなかった。これからいよいよ南船北馬、輪切りヨーカンの兵庫県を北上するのに、太鼓腹の中に串カツ10本だけでは安心できない。

         (兵庫県豊岡での大奮闘)

 

 一計を案じたワタクシは、同じ新大阪駅構内の「北極星」というお店に闖入、久しぶりにオムライスを味わうことにした。どのぐらい久しぶりかと言うに、おそらくは20年ぶりのオムライスである。20年前、小田急線の梅ヶ丘駅前にあった洋食屋で食べたのがラスト・オムライスである。

 

 いったいどうしてそんな長期のご無沙汰になったかと言うに、全ての問題は「ケチャップ」に由来する。やっぱりここでも酸味が問題なので、膾も酢もキライなら、ケチャップの酸味も当然キライ。真っ赤なケチャップのかかったオムライスを口に運ぶなんてのは、よほどの勇気が必要だ。

 

 その点、新大阪駅「北極星」にはオムカレーがある。ちょっと贅沢をすればオムカツカレーも注文できる。ケチャップには耐えられないが、カレーやカツカレーならナンボでも食べられる。さっきの串カツ10本が胃袋に存在するけれども、まああれはあれ、これはこれ、完全な別腹と言っていい。

 

 勢い込んでお店に入って、しかしその店にも密な会食集団が存在し、この空間もまた飛沫感染の危機に瀕しているのを実感しつつ、それでもオムカツカレーを注文。それが下の写真であるが、うーん、やっぱり食べ慣れないものはよしたほうがいい。危うく半分残して店を出そうになった。

(新大阪駅「北極星」でオムカツカレーを貪る。チケット上が特急グリーン車指定券、下が乗車券)

 

 こうしてようやく今井君は、予定していた特急「こうのとり」に乗り込み、誰もいないグリーン車に踏んぞりかえって新大阪駅を出発。楽しい楽しいミニミニ南船北馬の始まりであった。

 

 ところが諸君、楽しいことは長く続かない。次の大阪駅で、怪しい男女が乗り込んできた。男子は、40歳代中頃のやかましいオヤジ。女子はどう見ても「飲食を伴う接客業」タイプ、超ミニスカートからマコトにたくましいアンヨが2本ニョッキリ突き出し、男女で力を合わせていきなり座席をグルッと回転させた。

 

 車両の端と端だから、直接ワタクシに被害はなさそうだが、弁当やら酒やらツマミやら「よくもまあそんなに運搬してきたな」という分量の飲食物を広げ、声高に語り合い爆笑し合って尽きるところがない。そのまま列車は北上して三田を過ぎ、福知山を過ぎ、向かい合った男女の談笑と飲食は尽きず、豊岡まで2時間半のミニミニ合コンは終わることがなかった。

(オーベルジュ豊岡1925に宿泊。昭和初期の銀行の建物だ)

 

 豊岡での宿泊は「オーベルジュ豊岡1925」である。マコトに由緒ある建物であって、1934年に建てられた国登録有形文化財 「兵庫縣農工銀行 豊岡支店」を利用し、レトロな雰囲気のスモールラグジュアリーなホテルとして運営されている。

 

 いやはや今井君だって、いつもいつもリッツカールトンだのインターコンチだのウェスティンだの、そういう一流ホテルにばかり宿泊しているのではない。今井君はマトモなサトイモである。「マトモ」と「サトイモ」、発音だってそっくりだ。「ト」と「モ」は共通じゃないか。

   (オーベルジュ豊岡。こんな部屋に1泊した 1)

 

 そもそもどうして今井君が国内でも外国でも5つ星や4つ星の高級ホテルを選ぶのか、それを書いておかないと誤解する人もいるだろう。ここでもまた「酸っぱさ嫌悪」が登場する。今日の記事を「膾」の話でスタートしたのも、実はその辺のことを意図したのである。

 

 問題は、酢酸系の洗剤なのだ。3つ星以下のホテルに宿泊すると、酢酸系洗剤の酸っぱいニオイに悩まされることが少なくない。シーツにもタオルにも、床のジュータンにもカーテンにも、徹底的に酢酸系洗剤が染み込んで、いやはや酸っぱい&酸っぱい。こちらの肉体や下着にまで酸っぱさが染み込んで、サトイモの酢漬けみたいに成り果てる。

 

 いつだったか、東京都内の某一流ホテルで床一面を酢酸系の洗剤で掃除していたことがある。エレベーターの中まで酸っぱさが充満、以来あのホテル内のレストランには絶対に入らない。そういうふうで諸君、ワタクシは別に高級好みなのではなくて、徹底した酸っぱさギライなのである。

   (オーベルジュ豊岡。こんな部屋に1泊した 2)

 

 豊岡での公開授業は、兵庫県での緊急事態宣言を受けて時間が変更になった。19時スタートの予定が、18時スタートに。これがかえってよかったのかもしれない。何しろ豊岡は日本海側だ。夕暮れにしんしんと雪が降り始めて、仕事が終わった20時には外は一面の銀世界になっていた。

 

 出席者、約150名。遠く鳥取県内から山陰本線の列車でやってきてくれた生徒もいて、雪がこれ以上積もって万が一鉄道が止まったりしたらたいへんだ。20時、時間きっかりでキチンと終了した。

 

 あとは「オーベルジュ豊岡」のレトロなラウンジに陣取って、深夜までたった1人、無料&飲み放題のウィスキーを5杯、6杯、ロックで勢いよく飲み干し続けた。周囲は完全に無人。昭和初期の銀行の暗がりに、何だかこの世のものでない存在がナンボでもうずくまっていそうな気がしたものである。

(オーベルジュ豊岡。上がロビー、下がラウンジ。マコトに静かな一夜だった)

 

1E(Cd) Backhaus(p) Böhm & ViennaBRAHMSPIANO CONCERTO No.2

2E(Cd) Solti & ChicagoBRAHMSEIN DEUTSCHES REQUIEM 1/2

3E(Cd) Solti & ChicagoBRAHMSEIN DEUTSCHES REQUIEM 2/2

6D(DMv) FOR LOVE OF THE GAME

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