Tue 210119 共通テストの不公平/クオリティが低すぎる/カウントダウン8/3992回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 210119 共通テストの不公平/クオリティが低すぎる/カウントダウン8/3992回

 いつもまでもガンコに沈黙を守っているわけにはいかないので、今日は「共通テスト」についてコメントする。ただし余りにも長くなるから、目次をつけることにした。

 

1【共通テスト・モッタリ&グズグズの排除】

2【いま問題を公表する不公平】

3【英文のクオリティがあまりに低い】

4【こんな文章の羅列では、思考力は試せない】

5【適切な時間配分・「速読力」は必要か】

6【じゃ、どんな対策が必要か】

 

 今回の記事では1から4。次回の記事で5から6。是非とも熟読して、超ベテラン講師・イマイの心の中を理解していただきたい。ワタクシは1月16日の深夜に問題を入手。目を通すなり怒り心頭に発し、ついついお酒に手が伸びて、除夜の鐘 → ゆく年くる年 → 謹賀新年の直後みたいな、自堕落な日々を過ごすことになってしまった。

 

1【共通テスト・モッタリ&グズグズの排除】

 いやはや、ロクでもない試験を始めたものだ。これほどロクでもない試験、長い人生を誇る今井君としても、おそらく初めての経験だ。

 

 ただし誤解がないように大急ぎで言っておくが、今やワタクシは群を抜く授業の名人だ。どんなロクでもない試験でも、今井の授業さえ受ければスカッと攻略法が分かる。共通テスト向きの英語力なんか、カンタンにつけてあげられる。だからとにかく、今井の授業を躊躇することなくバンバン受けたまえ♡

 

 だって諸君、問題に目を通せばすぐに分かることだ。問題を作ったオカタは、グズグズした人間がキライなのだ。モッタリ&グズグズ、「ああでもない」「こうでもない」と思い巡らし、なかなか行動に出られないヒトは大学に来るな、とにかくスピーディに判断し決断しろ、そういうスタンスの問題がズラリと並んでいる。

 

 だってそうじゃないか。たった80分で、設問数47。要するに1分半に1回の頻度で、何が正しくて何が正しくないか、高速でチャキチャキ判定を下さなきゃいけない。そういう無慈悲なことをチャキチャキできる人が高く評価されるテストなのだ。

 

 ウジウジ&モッタリ、「いや♡待てよ」とか腕組みしてるヤツは大学に来るな、そういうスタンスだ。ならば受験勉強でも、予備校選び・講師選び・講座選択で「いや♡待てよ」なんてのはダメ男くん&ダメ美ちゃん、ダメ子どんにダメ代はん。自信を持って「ワタクシの授業を受けなさい」と断言する選択肢→イマイにサッサとチェックマークを入れちゃいたまえ。

(三重県松阪駅の人気駅弁「モー太郎弁当」。蓋を開ければオルゴールが「ふるさと」のメロディーを奏でる。迷ってないで、サッサとこれにしたまえ)

 

2【いま問題を公表する不公平】

 さて冗談はさておき、まず「いくら何でも不公平すぎる」ことから述べておこう。ワタクシがこんなに長く沈黙を守り、共通テスト関係のコメントを控えてきたのは、その不公平ぶりをこれ以上大きくしないためでもあった。

 

 だって諸君、事前に示された試行問題と、こんなに大きく問題形式が変わっちゃったら、第1回で受ける人々に比較して、第2回で受ける人々が圧倒的に有利になってしまう。

 

「テニスをやります」と言われていて、当日になって「やっぱり卓球にします」。サッカーのつもりで出かけていったら、いきなり「ハンドボールです」。ラグビーだと思って盛り上がっていたら、「実はアメフトです」。そのぐらい大きく問題形式が変更されたのである。

 

 そりゃ「みんな平等なんだから文句は言えないはずだ」。知力・体力・精神力・集中力・判断力、試される力量のクオリティはそれほど大きく違わない。しかしそれは言い訳する側の言い訳であって、1月16日に受けた人々と、たとえ少人数であってもその半月後に受験する人々の間に、あまりにも大きな有利&不利が生まれないか。

 

「テニスだって言ってたけど、実は卓球らしいぜ」「野球だって言ってたけど、ホントはクリケットなんだって」。それを知らずに出かけて現場で慌てふためいた集団と、ウスウス分かって半月後にチャレンジした集団が、同じ基準で評価されるのは余りにも不公平である。

 

 だから本来、予備校講師がこの段階で「時間配分」とか「どの順番で解くのがいいか」「勝利へのタクティクス」「勝つためのストラテジー」の類いを語るべきではないのだ。それではますます不公平が募る。ホントは、来月まで待ったほうがいい。

 

 それなのに、「こういう難易度で、こういう形式の問題が出ます」と、マスメディアが無反省に日本中に暴露してしまった。「思考力と判断力と表現力が試されました」「記憶では解けません」というメディアの報道は、実はほぼ根拠もないのは明らかとしても、まだ第2日程が済んでいないうちに出題形式を公表してしまうのは完全に不公平だ。

(三重県松阪「モー太郎弁当」。今回の共通テストで、「ウシなんか大キライ」とスネちゃった人は少なくないはずだ)

 

3【英文のクオリティがあまりに低い】

 では、出題された文章のクオリティはどうか。いやはや、そのクオリティの低劣さにについては、唖然とするというか嘆息するというか、嘆息しすぎて短足がますます短足に縮んでしまうみたいな、取り返しのつかない低クオリティである。

 

 元来この試験の正式名称は「大学入学共通テスト」であり、大学に入学して勉学に励むための基礎力がついているか、それを判定するためのテストのはずだった。「キミの英語力は大学の授業を理解するレベルに達していますか?」という質問に、「ハイ!!」「準備OK!!」とニコニコ肯定の返事を返すことができるか、それを問う試験のはずである。

 

 ところが、出題された英文は「LINEでのやりとり」「メールのやりとり」「HPでのホテル手配」「日帰り旅行の日程調整」「校則変更に関する責任者とのメール交換」「ボランティア募集の告知」。本格的な長文問題についても「ウマの能力を獲得したウシ」「人工甘味料あれこれ」「アイスホッケーを安全にプレーするには」。いやはや、ホントにこんな選択でいいんですかね?

 

 大学入学にふさわしい英文読解力とは、LINEやメールの単純なやりとりを短時間でできる能力なんですか? 今回の共通テストで宣言されてしまったのは、「大学で要求される英語力とは、LINE やメールやHPを短時間でチェックできる能力です」という取り返しのつかない話であって、朝日新聞が書いているような「思考力」「判断力」などというキレイゴトではないのである。

(モー太郎弁当、新宿・京王デパートで購入。会食自粛のプレッシャーがあんまりキツイので、駅弁を自宅で貪ってガマンすることにした)

 

 本来ここで試されるべき思考力とは、「ある程度以上の難易度の文章をじっくり時間をかけて読み取り、読み取った内容を応用して自らの抱える問題を解決する力」のはずである。たった80分しか時間を与えずに、わずか80分の枠内で47もの些細な雑事にその場しのぎの解決を要求するようでは、思考力も何もあったものではない。

 

 大学で求められるホンモノの読解力とは、専門分野の小論文をじっくり読破する能力である。カンタンに言えば、ゼミの宿題として「来週までに読んできてください」と教授に言われた小論文20ページを、3時間かけても5時間かかってもいい、じっくり腰を据えて、ゼミの発表のレジュメにまとめられる能力である。

 

 それなのに、ものものしく「大学入学♡共通テスト」と名付けられたこのテストでは、「3時間かけて論文をじっくり」も何もあったものではない。1分か2分でLINEやメールを略読する力しか求められていない。読解の質がまるっきり異質なのだ。

 

 というか、今の日本の実社会できちんと仕事をしているオトナなら、この程度のクオリティの英文であれば、誰だってスピーディに読解ができるはずだ。80分もかけて、この程度の英文300行が読めなければ、今の日本でサラリーマンをやっていくのはそんなにカンタンではない

(共通テストのウシ。日本中の若者が「ウシはキライ」と呻く原因になった)

 

4【こんな文章の羅列では、思考力は試せない】

 繰り返して言うが、こんな問題で試されるのは些事についてのチェック力に過ぎない。今の日本の大学に入学するために必要な能力とは、LINEやメールやタイムテーブルについて、極めて些細な些事に関わるチェック能力なのだと、この共通テストは堂々と告白してしまっているのである。

 

 しかも、判断に問題を感じる設問も多い。例えば問題25であるが、これは列車時刻表を見て乗るべき列車を選ぶ問題。「18時半に帰り着かなければならない」「駅からホテルまで徒歩で数分」という条件で、1822分着の列車を選択すれば正解となるが、提示された時刻表には、その前に1802分着の列車がある。

 

 ワタクシの海外珍道中では、こういう場合どうしても1802分着の列車を選択する。海外珍道中を1100日、それを15年も続けてきた男が言うのだ、この判断のほうが安全、時間の余裕を持って移動する方が、間違いがなくていいのだ。

 

 世界では一般に列車が時間通りに動く可能性は低いし、駅には階段やら地下道やら、予期せぬ行き止まりや通行止めが多く、暴漢やらヌシやらいろんなハードルも存在して、数字上では「数分」となっていても「ま、十数分はかかるね」を前提として行動すべきなのだ。しかも諸君、「お土産屋モールで1時間弱かかる」という判断も、そりゃおかしくないか? 20分もあれば十分じゃないか。

(ウシはもうイヤだから、トンカツを選択。西新宿NSビルの最上階「とんかつ伊勢」の「厚切りヒレカツ定食」。おいしゅーございました)

 

 ついでに、ますます細かい話になるが、もしも列車時刻表を問題に設定するなら、「各駅停車だけ」とか「たった3駅4駅だけ」にしちゃ話にならない。だって「じっくり考え抜く思考力を試す」のはず。高校入試なら「ピザとカレーとハンバーグしかないレストラン」みたいなのを設定してもOKだが、これはいやしくも「大学入学」共通テストなのだ。

 

 もし英語での旅行計画を通じて「ホンモノの思考力」を試そうとするなら、準急や快速や特急電車を設定したり、「土日祝日運休」の列車を混ぜ込んだり、特急料金やらおトクな学生割引&シニア割引の存在を匂わせたり、そのぐらいの工夫をしなきゃ、世界の旅に対応できない。「思考力というよりチェック能力ですね」とベテラン今井に悪口を言われるのはそういうことである。

 

 これと同じような問題を、ワタクシは随所に発見した。「思考力と判断力を試したんだ」というメディアのキレイゴト発言は、「列車は時刻表通りに正確に動く」「お土産屋で1時間はほしい」「料金体系は単純明快」という、日本独特で日本国内でしか通用しないルールを、世界言語=英語のテストにダラシなく当てはめたロクでもないテストだった証左なのではないか。

 

 クオリティについては、まだまだナンボでも申し上げることがある。第1問から第4問までの英文は、マコトに申し訳ないが、これは「高校入試レベル」。ボキャブラリーも高校入試レベル、文法的にも高校入試レベルだ。

 

「ウソだ」とおっしゃるなら、身近に存在する中3生に、共通テストを見せてみれば分かる。高校で3年間勉強しなければ出てこないはずのボキャなんか、ほとんど1つも見当たらない。

 

 文法的にも、関係代名詞と、助動詞+ have p.p.がホンの数カ所存在するだけで、マジメな中3の高校受験生なら、時間さえあればほとんど正解できるんじゃないか。いや、もちろんそれを悪いと言うわけではない。しかし、もしもそれで「大学入学の資格がある」と判断するなら、高校教育の3年間をまるまる否定することになりかねない。

(大人数の会食じゃないなら、まあ許してもらえますか。午後の穏やかな静寂の中でヒレカツ。暑苦しい「時間との勝負」の英語テストなんか、徹底的にキライだ)

 

 若き今井君は、せっかく就職した超一流企業・電通を恐るべきハイスピードでヤメてしまった後、30歳で河合塾&駿台の講師になるまでしばらくの間、高校受験が主体の首都圏の塾で講師のアルバイトしていた。中学受験の算数と、高校入試の英語と国語、大学入試の英語と現代文と日本史と古文を担当した。

 

 だからワタクシは今でもなお、高校入試英語の世界は忘れていないのである。早稲田系やら慶応系、明治法政中央大学の付属高校、関西の難関大学付属高校、そういう高校で出題されるレベルの英語長文を、今でもしっかり記憶している。

 

 共通テストの問題を眺めた時、「既視感」というか「デジャブ感覚」というか、要するに「ああこれは高校入試の英語そのものだ!!」と、思わずワタクシは絶叫した。何だ、これは20歳代のワタクシが格闘していた難関高校の入試英語と同じじゃないか。

 

 つまり諸君、「まるでTOEICだ♡」「挫折した民間テスト派の逆襲か?」などという話ではない。驚くなかれ、これは高校入試の世界が大学入試に乱入してきたということ。「高校での英語教育なんか何のプラスにもなっていない」と、過去数十年にわたって営々と積み上げてきた高校英語教育を否定しようとしているのだ。

 

 つまり、単に制限時間をギュッと縮めただけなのだ。15歳の高校入試なら20分与えられた読解問題を、「もうキミたちは18歳なんだから、10分で解いてごらん」とニヤニヤ、「急げ♡」「急げ♨︎」「急げないヤツは大学に入れてやらないぞ♨︎」とムチを振り上げ、性急なチェック力を思考力と勘違いさせて(というか出題者自ら勘違いして)怒鳴り散らしているのだ。

 

 これはあくまで偏見であるが、ワタクシは17歳&18歳の青年諸君に、こんなクダラン文章の読解で時間を無駄にして欲しくない。読むべき名著は図書館の本棚にナンボでも存在し、もし読めば一生涯、その名著の影響のモトで幸福に精一杯戦いを続けていける。

 

 そういう名著を全て後回しにして、理系も文系もこぞってLINEやメールのやり取り & 時刻表やホテルHPの読解をやらされる。前途洋々の青年諸君にとって、何という時間の無駄遣いだ。何という迷惑千万なテストなんだ。

 

 予備校の大先輩、奥井潔師や鈴木長十師が今ももし存命でいらっしゃったら、「こんな品格に欠ける試験問題を、有望な青年たちに与える必要はない。今すぐゴミ箱に捨ててしまいたまえ!!」と、職員全員に向かい、堂々と喝破&一喝なさると信じるのである。

 

(スミマセン、次回に続きます。「次回」はすでに執筆済み。写真さえ準備できれば、1月22日頃アップします)。

 

1E(Cd) Richter & MünchenerBACHBRANDENBURGISCHE KONZERTE 2/2

2E(Cd) Lucy van DaelBACHSONATAS FOR VIOLIN AND HARPSICHORD 1/2

3E(Cd) Lucy van DaelBACHSONATAS FOR VIOLIN AND HARPSICHORD 2/2

6D(DMv) THE SON OF NO ONE

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