Tue 200825 怠け放題の8月/予備校での天国と地獄(アドリア海岸探険記22)3962回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 200825 怠け放題の8月/予備校での天国と地獄(アドリア海岸探険記22)3962回

 いやはや、もう1週間以上も更新を怠けて、怠ければ怠けるほど新しい記事の文章を書くのが億劫になる。怠惰はクセになる。ホントに恐ろしい。

 

 若い諸君は、サトイモのこのテイタラクをよろしく他山の石として、1日たりとも怠けないこと。怠惰をクセにしないこと。ルーティンを決して疎かにしないことを、肝に銘じてくれたまえ。

(8月中旬は都内で食べ歩き。八重洲「都路里」で抹茶かき氷、おいしゅーございました)

 

 ホンの2年前まで、ブログの記事を書くのは完全にサトイモのルーティンであって、朝起きてまず考えることは「今日のブログに何を書こうかな?」。もう一つのルーティン「お風呂で1時間の読書」を終えれば直ちにMac君に向かい、A4版3枚から4枚の長大な文章を書きまくった。

 

 それが諸君、この数ヶ月のテイタラクは、もう目も当てられない。ダルビッシュの快投はいつ見ても爽快だが、今のワタクシはダルビッシュならぬ「ダルイッス」であって、記事もサッパリ書かないし、お風呂での読書からも遠ざかってしまった。

 

 朝起きてまず最初の「ダルイッス」。お風呂でも「ダルイッス」で読書もはかどらず、1時間で大量の汗をかいて出てくれば、仕事がないのをいいことに、ひたすらビール三昧。お昼過ぎにはもう眠くなってお昼寝、目が覚めればすでに夕暮れが迫っている。

(日本橋「千疋屋」にて。目的だったマンゴーパフェがなくて、代わりに唐揚げ入りココナッツカレーを貪ることにした)

 

 夕暮れにはエダマメでビールが飲みたくなって、要するにそれで1日はオシマイ。何しろ8月も下旬になれば、いくらお外は「危険な猛暑」が続いていても、やっぱり夕暮れは早くなる。

 

「風の音にぞ おどろかれぬる」であって、コオロギの声、カネタタキの声、秋の気配にうっとりしながら午前4時まで静かにお酒を楽しめば、日の出まではまだ1時間。酔いに任せて目覚ましを9時にかけ、深い眠りに陥ることになる。

(たまにはファミレスもいいじゃないか。久しぶりのロイヤルホストで、目玉焼きの載っかったハンバーグをいただいた)

 

 こんなふうだから諸君、ブログの更新も「毎週1回、月曜日」という週刊誌みたいなアリサマになる。月曜日の新聞には「週刊ポスト」と「週刊現代」、大衆誌2誌の扇情的な広告がデカデカと躍るが、かつて格調高かった今井のブログも、今やそういう世界にまで落ちてきた。

 

 何もかも急速に高齢化して、週刊現代も週刊ポストも、すっかり高齢者向けの雑誌に変質したらしい。広告を眺めてみるに、病気と病院と年金と相続と墓地の話がほとんどである。

 

 1990年代までの2誌はマコトにエゲツない内容で有名であって、若い人々にはその詳細をあまりお伝えしたくない。公衆の面前ではただのヌード写真でも困りものだが、そのヌードの前に「ヘ」と「ア」の2文字がくっついていた。

(わざわざ出かけた鎌倉プリンスホテルで、上品なハンバーグ定食をいただく。おいしゅーございました)

 

 そういう週刊誌が、むかしはJALでもANAでも機内にごく当たり前に備え付けてあって、出張帰りのオヤジたちはそんな雑誌をペラペラめくりながらタバコを吸った。「ヒコーキ内でタバコ」「新幹線車内でタバコ」が当たり前で、禁煙室や禁煙席がまだ少数派だった時代である。

 

 山手線でタバコ、地下鉄でタバコ、予備校の講師室でもタバコ。何をそんなにもうもうとケムリに巻かれていたかったのか、今では理解できないが、駿台でも河合塾でも代々木ゼミナールでも、講師室でタバコを吸うのはごくごく当たり前。質問の生徒は濃厚なケムリの幕の向こうから長い列を作っていた。

(ここからの写真は旅行記の代わり。2019年9月、カプリ島でこんな店に入った。何ケ所か蚊に刺されて、マコトに痒い思いをした 1)

 

 講師室の机には、1卓に1つの割合で灰皿が置かれ、講師室担当の女性職員がせっせと灰皿を洗っていた。ホンの20年前の光景であるが、代ゼミなんか灰皿に巨大なマッチ箱が置かれ「馬首印」と印刷されたマッチ箱からは、軸木のニオイと火薬のニオイがプンプン漂った。

 

 諸君、駿台から代ゼミに移籍したばかりの今井君が限りなく辟易したのが、タバコとその「馬首印」だったのである。見かけに似合わず潔癖なワタクシは、19世紀と20世紀を席巻した「マッチ」というシロモノが大の苦手。正直をいえば「マッチ」という文字を書くだけで、激しい嫌悪が全身を貫く。

 

 理科がキライになったきっかけも、実はその「マッチ」である。理科室でアルコールランプなりガスバーナーに火をつける。小学3年か4年の頃にはどうしても逃げられないシーンであるが、あの火薬のニオイ、軸木のニオイ、いやはや、理科系に進むには逃げていられないあの瞬間が、どうしても我慢できなかった。

(ここからは旅行記の代わり。2019年9月、カプリ島でこんな店に入った。何ケ所か蚊に刺されて、マコトに痒い思いをした 2)

 

 ついでに言えば、ワタクシは「エンピツ」という存在にも激しい嫌悪を感じるのである。食卓の近くにエンピツが存在すると、それだけで全ての食欲が失せていく。ラーメン屋とか餃子屋とか居酒屋で、エンピツで注文を書かなければいけない場面に遭遇すると、もうラーメン1本たりとも胃袋に入らない。

 

 要するに、容姿&外見に似合わず、このサトイモは異様なほど繊細にできている。「代ゼミをヤメちゃおう」と決意したのは、代ゼミで授業をした初日と2日目、代々木本校と横浜校の机の上に「馬首印」を発見し、その馬首印を使ってほとんどのセンセたちがタバコを吸い始め、講師室内にケムリが充満し、火薬と軸木のニオイに満たされたその瞬間である。

(カプリ島の店で、フジッリをいただく。ネジネジなので「ネジッリ」と呼んでいる。おいしゅーございました)

 

 しかも机の上には、必ず「エンピツ」が4本か5本存在した。そういう場所で、昼食を食べさせられる。さらについでに「消しゴム」というのも苦手であって、そいつもまた机の上で頑張っている。

 

 苦手なものがみんな揃って牙を剥き、繊細なサトイモ君を責め立てる。そこで蕎麦をすすり、うな玉重を頬ばり、たまには握り寿司をつまむ。おいしいはずのものでも、こんな状況でメシが旨いと思えるはずはない。メシも旨くないし、三度のメシより好きなはずの授業だって、残念ながらちっとも楽しくなくなった。

 

 そういう日々の中で、一服の清涼剤となったのがパラグラフリーディングである。20年も昔のことであるが、火薬と軸木のニオイ、ムラサキ色のケムリの充満、憎っくきエンピツと消しゴム、大キライな全てから1歩でも早く逃れて教室に駆け込み、常に超満員の教室の中で、長文読解問題の爽快な解き方を説き続けた。

(同じくカプリ島の店でフィレステーキを貪る。おいしゅーございました 1)

 

 いやはや、だから諸君、天と地の間を頻繁に往復する毎日だった。教室は天国、講師室は地獄。教室ではスッキリ爽快で冷涼な空気を胸と腹の底まで吸い込みながら、驚くべき明快さで長文問題を解きまくった。他の講師たちの数倍の速さで、マホーのように設問を解きまくるキウィは、我ながら「カッケー♡」の極致だった。

 

 しかし諸君、キー局のワイドショーも駆けつけるほどの鮮やかな授業の直後、ワタクシは地獄を経験するのである。バタコと火薬と「馬首印」とエンピツと消しゴム。キライなもののほとんど全てがセットになってビシッと揃った真っただ中で、イヤなものを見ないように目を閉じ、イヤなニオイを嗅がないように息を止めてランチを飲み込む。

(同じくカプリ島の店でフィレステーキを貪る。おいしゅーございました 2)

 

 ランチの時間は1220分から40分のたった20分間。もちろん、それは構わない。息を止めて飲み込むなら、ランチには10分もかからない。しかし諸君、そこから先がまた地獄であって、タバコのケムリと火薬のニオイの中、生徒諸君が質問の長い列を作る。

 

 質問に答えることに集中して油断していると、プーンと火薬のニオイがやってくる。同じように油断していると、意地でもサトイモとそのパラグラフリーディングをディスろうと頑張っているセンセたちのツマラン言葉が耳に入ってくる。講師室の今井があんまり不機嫌なので、違和感を感じた生徒も多かったはずだ。

(カプリ島の店で、リモンチェロをサービスしてもらえた。おいしゅーございました)

 

 あれから幾星霜、ヒコーキの客席から週刊ポストや週刊現代はとっくに姿を消し、週刊誌も高齢者向けに脱皮して、「へ」や「ア」もほぼ消滅してくれたらしい。予備校の講師室も禁煙が当たり前になり、エンピツと消しゴムは生き残っていてもすでに少数派。繊細すぎるサトイモ君も気持ちよく深呼吸、いやはや生きやすくなった。

 

 特に東進に移籍した2005年以降は、講演先も天国、講師室も天国、スタジオも天国であって、こんなに快適な職場は考えられない。年間100回も国内出張をさせていただき、全国の珍味佳肴の舌鼓をうち、1年平均80日も海外の旅を満喫すれば、それでまだ不満なんか残るはずもない。

(バーリに戻る前に、酷暑のナポリを観光する。4年ぶりの卵城)

 

 あえて不満があるとすれば、① 政治向きのこと、② マスメディアの劣化のこと、③ 大学入試問題の劣化のことぐらいである。①と②について大騒ぎするのはワタクシの任ではないが、③については近いうちにどうしても述べなければならない。

 

 暑かった8月、ワタクシは2020年入試問題の解説をして過ごした。早稲田大学政経学部と名古屋大学であるが、どちらの大学についても、どうしても一言だけ発言しておかなければならない。次回は①や②も含めて、ベテラン予備校講師としてキチンと言うべきことを言うことにしたい。

  (これまた4年ぶり、ナポリの国立博物館にて 1)

 

 ま、それはあくまで次回のこと。今日はこれから吉祥寺スタジオに出かけて、大流行中の「双方向♡オンライン授業」を実施する。十数年ぶりにパラグラフリーディングを解禁した「難関私大長文読解・早慶レベル編」の締めくくりとして、東進英語科が企画してくれたのである。

 

 だから諸君、旅行記「アドリア海岸探検記」のサブタイトルは付いているが、今日は写真だけで勘弁していただきたい。いやむしろ「勘弁してあげよう」と言ったほうがいいかもしれない。またまたこんなに長い記事を書いて、そこからまた旅行記なんか始まったら、諸君の忍耐力に亀裂が入っちゃう危険を感じるのだ。

  (これまた4年ぶり、ナポリの国立博物館にて 2)

 

1E(Cd) Brian BrombergPORTRAIT OF JAKO

2E(Cd) George DukeCOOL

3E(Cd) Joe SampleRAINBOW SEEKER

4E(Cd) Joe Sample & Lalah HathawayTHE SONG LIVES ON

5E(Cd) Marc AntoineMADRID

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