Sun 200531 小林桂樹が理想/東大コース最終回/怪僧サトイモから高僧キウィ(3938回) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 200531 小林桂樹が理想/東大コース最終回/怪僧サトイモから高僧キウィ(3938回)

 別に大臣やらカイロ大首席の女神な都知事に言われなくても、ワタクシはもう2月下旬の段階で「3月から5月いっぱいはコロナ自粛」と決めていた。

 

 自粛するからには、不要不急の外出は全て自粛する。そもそも今井の人生はほぼ全面的に不要不急であるから、この3ヶ月の緊急外出はたった5回に過ぎなかった。

 

 京都に1回、大阪に1回。あとは東京都内で、練馬・成城学園・池袋。5回は全て3月のことであって、あとはダルマさんみたいに、薄暗い穴倉の奥にギュッと籠城していた。

   (山賊系の怪僧サトイモから高僧系キウィに戻る 1)

 

 100日近い籠城生活の後で、ニーチェのツァラトゥストラよろしく、R・シュトラウスの例の交響詩に乗せ、神々しい朝日の中に超人として姿を現す日を悶々と待ち受けていた。

 

 そしてついに明日、「その日」がやってくる。マコトに残念なことに、サトイモストラが穴蔵から出現するはずの明日、東京地方は「梅雨入り宣言」ということになりそうだ。

 

 ツァラトゥストラは燦然たる朝日の只中に出現したが、対する楕円球サトイモストラは、薄ら寒い梅雨の曇天の中にボンヤリ&ドンヨリ、もったり&もったり、そのダラシない不要不急の人生を再開することになる。

    (山賊系も、それなりに評判は高かった 1)

 

 それでも諸君、ワタクシは3ヶ月ぶりの出現に備え、昨日のうちにキチンと床屋さんに出かけて、スッキリ清潔なオジサマの姿に変身してきた。

 

 何しろワタクシの生活圏は、新宿にも原宿にも渋谷にも徒歩30分のオシャレな地域であるから♡、馴染みの床屋さんもパークハイアットの中の高級店。ただしポンタのポイントを上手に使って、毛刈りに使ったオカネは4000円ちょい。懸命に努力して、不要不急の生活費を抑制している。

    (山賊系も、それなりに評判は高かった 2)

 

 この毛刈りについては、周囲の意見がいろいろ錯綜していた。「そのままでいいじゃないか」「もっと伸ばせば?」「その山賊みたいな山盛りヒゲのほうがセクシー♡」「ついでに楕円形の人生を卒業して、頭も長髪のオールバックのほうが知的に見えるかも」。長髪&山盛りヒゲ支持派も少なくなかった。

 

 ブログを見た数十年前の学部のゼミの仲間から連絡があって、「そのワイルドなヒゲの方がいいんじゃないか」という意見を開陳してくれた。実は今井君自身としても、山盛りワイルドヒゲをそのままにしておきたい気持ちは強かったのである。

 

 以前に書いたかもしれないが、ワタクシが中高生時代から憧れていたのが、江戸・小石川養生所の「赤ひげ先生」。高3の秋までずっと医学部志望だったのも、「赤ひげ先生みたいになりたい」の一心からだった。赤ひげを知らない人は、ぜひ今日中にYouTubeで目撃してくれたまえ。

 

 ただしその場合、憧れの赤ひげは昭和の名優・小林桂樹(けいじゅ)が演じるものであって、平成の時代に船越英一郎どんが演じた赤ひげは、ワタクシの中では全く問題にならない。見るなら諸君、意地でも小林桂樹バージョンだ。

  (山賊系の怪僧サトイモから高僧系キウィに戻る 2)


 あんまり小林桂樹が気に入ったので、やがてワタクシは小林桂樹バージョンの「必殺仕事人」まで好きになった。正式名称「仕掛人・藤枝梅安」。21世紀になって渡辺謙主演の新作ドラマが制作されたが、やっぱりこれも諸君、小林桂樹バージョンじゃなきゃダメだ。ぜひ今夜中に検索して目撃してくれたまえ。

 

 制作されたのは、1982年から1983年にかけて。主役の小林桂樹は、江戸・品川に住む鍼治療の医者だ。田村高廣・柴俊夫・中村又五郎がワキを固め、ナレーションに芥川隆行。当時としては最高の布陣である。

 

 池波正太郎の原作。小林桂樹と田村高廣が演じる晩メシのしっとりしたシーンが、いやはやマコトに旨そうだ。7回シリーズのサブタイトルは、「梅安 蟻地獄」「梅安 流れ星」「梅安 迷い箸」「梅安 晦日蕎麦」「梅安 針供養」「梅安 岐れ道」「梅安 乱れ雲」。時代劇の定番はスーパーヒーローによる大量殺戮シーンであるが、小林桂樹バージョンにはそれが一切ない。

(東大コース① 代々木上原駅前・古賀政男記念館からスタート)

 

 優しい笑顔の中年の町医者が、その笑顔と安心感だけで江戸の人々の病を癒していく。小林桂樹のイメージはそれだった。群馬県高崎市出身。戦前の前橋中学から日大芸術学部に進んだが、戦後の映画の世界でもそれほどエリートコースを歩んだわけではない。

 

「社長シリーズ」「サラリーマン出世太閤記シリーズ」。そういう地味な仕事を重ね。1973年「日本沈没」で「田所博士」を熱演して注目を集めた。いやはや「赤ひげ」、 1972年のNHK作品を是非ともご覧いただいて、それからもう一度じっくり医学部志望を考慮していただきたい。

 (東大コース② にんにくラーメンの名店、駒場・千里眼)

 

 ついでに言えば、今回のコロナ自粛に伴う穴倉♡隠遁生活を始める時、小林桂樹の赤ひげ先生以外に、今井がイメージしていた姿が2つあった。2000年の映画「キャスト・アウェイ(Cast Away)」のトム・ハンクスと、これまた2000年の映画「プルーフ・オブ・ライフ(Proof of Life)」のデヴィッド・モースである。

 

 デヴィッド・モース(David Morseについては、ググってくんろ。主役で登場することはないが、気難しいマッチョな保守系白人の役どころが多い。1998年「交渉人(The Negotiator)」のアダム・ペック役とか、2008年「パッセンジャーズ(Passengers)」のアーキン役など、諸君も目撃したことがあるはずの名脇役である。

 

「プルーフ・オブ・ライフ」でデヴィッド・モースが演じたのがピーター・バウマン。中南米の反政府系・麻薬組織ゲリラに拉致され、山中のゲリラキャンプに監禁されて百数十日、ついに救出されるが、その時の精悍な風貌は圧倒的である。

     (東大コース③ 駒場・日本民藝館)

 

「キャスト・アウェイ」でトム・ハンクスが演じる主人公は、航空貨物便の墜落事故でただひとり孤島に漂着。4年間を孤島で過ごし、ついに脱出に成功する。

 

 ツァラトゥストラ10年、サトイモストラ3ヶ月。そのちょうど中間の丸4年を孤島で過ごした彼の姿がこれまた圧倒的だ。映画とはマコトに便利なもので、その恐るべき体臭に全く悩まされることなしに、孤独の数年の壮絶を嗅覚ナシ、清潔な視覚だけで堪能できるのだ。

(東大コース④ 東大駒場大明神に参拝。この日もめでたい快晴だった)

 

 まあ諸君、こういうふうで、ついに明日6月1日、サトイモストラはコロナ自粛の穴倉生活を終えて再び世の中に出現する。関西はとっくに緊急事態を脱し「Kansai Strong !!」をやってくれたはずだが、ワタクシはあくまで東京の片隅で「Tokyo Strong !!」を叫びたいと思う。

 

 もちろん諸君、「油断はできません」「緩んじゃいけません」「第2波 & 第3波がやってきます」「アラート!!」なのであるが、少なくとも我々は「第1波は見事に乗り切った」ことだけは確認し、大いに自信を持って「日本流ノラクラ術」の威力を感じるべきである。

 

 指導力を誇る強烈なリーダーが不在でも、我々には1つの危機をノラクラやり過ごす知性と能力があったのである。「検査 & 検査」と検査マニアになって医療に重い負担をかけるより、目前の危険をやりすごし&やりすごし、気がつけば1つ目の波は乗り切った。

(東大コース⑤ 井の頭線・駒場東大前駅。諸君、人生で一度ぐらい、この駅を使って通学したいものでござるね)

 

 ワタクシもこの3ヶ月、実は穴倉にばかり篭っていたのではない。4月10日、ちょうど第1波のピークが訪れていた頃から、「よーし、それならこっちにも考えがある」とばかり、第1波を無事に健康に乗り切る対策として、独自の「東京大学駒場コース」を設定した。

 

 もちろん諸君、このサトイモ流♡東大コースは、東大合格を目標としたものではない。東大コース、またの名を東大駒場一周コースは、穴倉ごもりの禁欲の日々を明るく健康に過ごすためのウォーキングコースなのであった。

(東大コース⑥ 目黒区立・駒場野公園。蚊に刺されないように注意)

 

 だって諸君、禁欲はあまりにツラかった。あんなに好きな生牡蠣も、あれほど好きなヒレカツもヒレステーキも、強烈に愛してしまっている天ぷらもうなぎも、スッポン丸鍋も激辛カシミールカレーも、全て「じっと我慢の子」、しとしとぴっちゃん&シトピッチャン、「子連れ狼」の大五郎みたいに指をくわえて過ごすしかなかった。

 

 もちろん、もしも今井君が「知性の人」「真の純潔な高僧」であれば、今こそ読書に親しみ、思索に没頭し、晴耕雨読の理想的な日々を、むしろ神の恵みと感謝して過ごしたんだろうけれども、いやはや今井君は悪僧であり、破戒僧とまでは言わないにしても、要するに手のつけられない怠惰な暴れん坊だ。

  (東大コース⑦ 世田谷区代沢の高級住宅地を行く)

 

 暴れん坊が禁欲生活を何とかごまかすのには、夕暮れ時のウォーキングがベスト。晩春から初夏の麗しい風を楽しみながら、東京大学駒場キャンパス付近を巡るコースを設定し、受験生諸君のためにホボ毎日、ないしは準毎日、東大駒場大明神に参拝。我がいとしの受験生たちの第一志望合格を祈願しつづけた。

 

 その甲斐があってか、5月25日の午後4時半、それまで固く閉ざされていた東大駒場の門が奇跡的に開放された写真を、前々回の記事に掲載したはずだ。「STAGE RED」の危機的状況の中で、固いゲートが目の前で開かれたのは、まさに奇跡。読者諸君のこれからの深く大きな幸福を啓示する事件と言えるほどじゃないか。

(東大コース⑧ 世田谷区池の上で、サザエさん一家に出会う)

 

 ま、いいか。というわけで本日は「アドリア海岸探険記」はお休み。探険家サトイモストラをアルベロベッロに置き去りにしたまま、東大駒場コースの確認をしておこう。

 

 夕暮れ間近の代々木上原駅前を出発、朝ドラで活躍中「コガラシさん」こと古賀政男記念館を右に見ながら、美しいケヤキ並木の坂を登る。上原仲通り商店街を抜け、名店「千里眼ラーメン」のニンニクの香りを楽しみながら、日本民藝館に向かう。

   (東大コース⑨ 井の頭線・池の上駅の踏切を渡る)

 

 馴染みになった賢げな柴犬2匹に挨拶し、民藝館を過ぎて左折すると、もう東大駒場は目の前だ。井の頭線・駒場東大前駅の商店街を抜けて、筑波大駒場高の農園を見ながら駒場野公園を散策。大学入試センターあたりから、散歩道は目黒区から世田谷区に入る。

 

 世田谷の閑静な住宅街を15分ほど行くと、井の頭線・池の上駅。駅の手前に旨い鯛焼き屋があり、1つ買ってそのままパクつきつつ踏切を越える。

(東大コース⑩ ウォーキングの締めくくりは、東大・先端科学研究センター)

 

 いつの間にか寂しく閉鎖された「河合塾・駒場校」の残骸を眺め、ウォーキングは最終盤に入る。東京大学先端研究所を右に見て、道は渋谷区へ。上原仲通り商店街を抜け、コガラシさんの前に戻れば、今日の東大コースもまた締めくくり。90分から100分ぐらいのコースである。

 

 どうだい優秀な諸君、来年は東大にでも合格して、毎日このコースを朝の日課として歩きにこないか? ただワタクシは、そろそろ東大生がキャンパスに戻ってくる季節になったから、この東大コース、今日か明日か明後日か、そろそろ打ち止めにして、本来の美術館めぐりに舵を切ろうと考えている。

 

1E(Cd) Bobby CaldwellEVENING SCANDAL

2E(Cd) David SanbornHIDEAWAY

5D(DMv) TIGERLAND

8D(DMv) A TIME TO KILL

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